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掲載日:2021年10月11日
Q 清水義憲 議員(自民)
平成29年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果、埼玉県の小学5年生男子のボール投げは平均21.50メートルで全国45位でした。過去の記録をさかのぼっても平成20年度から平成24年度まで全国最下位。それからは平成25年度の43位を最高に低迷が続いています。小学5年生女子は少しよく、それでも平成29年度は全国37位でした。
子供たちのボール投げの能力に危機感を持った立正大学講師の小山啓太先生は、この状況を改善したいと研究を始めました。小山先生は研究結果を随時発表されており、NHKのテレビ番組やラジオなどにもたびたび取り上げられております。上尾市在住の小山先生にお話を伺ってきました。
小山先生は、今子供たちには投げるボール運動が必要だと言います。子供の投げる能力が低下していて、これは身体能力の未熟化を意味しています。この背景にはテレビゲームやスマートフォンの普及、自由運動の減少、公園でのボール運動の禁止、地域や社会のつながりの希薄化などがあります。昭和60年と平成29年を比較した場合、身長や体重などの子供の体格は向上しているにも関わらず、体力や運動能力は低下していて、特に投げる能力の低下が著しい状態です。
早い時期に投げる動きを体験する機会を作らなければ、一般的にスポーツには球技が多いことから、就学後スポーツ団などに参加する子供が減少すると思います。スポーツをしない子供の増加は、スポーツが苦手という子供の増加につながります。スポーツが苦手な子供たちは運動を楽しいと感じず、運動により達成感を得る機会もなく、ますます運動を好きにならないという悪循環を呼び起こします。
子供のボール運動の本当の狙いは、子供のうちに基礎となる知識と能力を身に付け、脳、心、体のたくましく健やかな成長を実現することなのであります。さらにボールで遊ぶ運動は、あらゆる能力を伸ばすと小山先生は言います。ボールなどの目標物が自分の位置からどの程度離れていて、どのように移動しているのか、向かっていくのか、離れていくのかなどを捉えることは空間認知機能を養います。キャッチボールやテニスなどで複数で行えば協調性を養い、何かの的に対して投げる運動は運動を通して手先の起用さを養うことができます。空間認知と運動能力が養われないと転んでもかばうことができずに、顔に傷を負ってしまう子供もいます。逆に空間認知の発達により読書も上手にできるようになるとのことです。
同じ球技ということでボールをけるサッカーなどではいけないのでしょうか。小山先生は答えます。手を使わないことで人間は不器用になります。手と脳で新たなものを生む力が衰退し、退化現象が起きます。また近年、子供の姿勢の悪さや長く立っていることができないなどゆゆしき問題がありますが、手を使うことで姿勢がよくなり体幹が鍛えられます。手による単純な運動の繰り返しでも神経系が活発化し、安定します。絶えず手を使うことで初めて創造的な手の使い方ができるようになります。単純作業でも繰り返すことで器用になり、そこで初めて新たに創造する力が養われます。以上のような話でした。
そこで、教育長にお尋ねします。子供の投げる能力は大きく生きる力の育成に非常に大切であると考えますが、全国でも最下位近辺にある本県の子供たちのボール投げ能力についてどのように考えておられますか。さらに、能力向上のために県としてもいろいろ努力はされていると思いますが、結果が見えてこないようであります。今後どのように取り組んでいかれるつもりなのかお伺いします。
A 小松弥生 教育長
まず、「本県の子供たちのボール投げ能力についての考えを伺う」でございます。
平成29年度の全国調査では、8つの調査項目を合計した体力合計点において、本県の小学校5年生男子は全国8位、女子は5位、中学校2年生男子は5位、女子は3位と、全国的にも大変高い結果となっております。
しかしながら、ボール投げのみ、小学校5年生で全国平均値を下回っておりますが、中学校2年生では男女とも全国平均値を上回り、男子が全国12位、女子が5位でございます。
本県の子供たちのボール投げ能力については、特に小学校期において低位にあり、課題があることから、有識者等に意見を伺うなど、原因分析を進めておりますが、明確な原因が掴めておりません。
次に、「今後どのように取り組んでいくか」についてでございます。
ボール投げ能力の向上については、平成28年度の全国調査の報告書の中で、「一つの動作や種目に限定することなく、複合した多様な運動の実施が効果的であることが推察される」とされております。
そこで、本県でも平成29年度から、ボール投げ能力の向上のためにも、児童生徒一人一人の得手不得手に応じた指導を行い、総合的な体力の向上に取り組んでおります。
今後は、議員からお話のありました研究結果も参考としながら、引き続き投げる動作も含めた多様な運動に取り組み、総合的な体力の向上を図る中で、ボール投げ能力が高まるよう努めてまいります。
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