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掲載日:2024年10月8日

平成30年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(清水義憲議員)

障害者雇用水増し報道に対する県の対応について

Q   清水義憲  議員(自民

障害者雇用促進法では、従業員が一定数以上の規模の事業主に障害者の雇用割合を定めており、この法定雇用率が達成できなかった場合、民間企業では不足1人当たり月額5万円の納付金が課せられる厳格な運用がなされています。
本県教育局においては、平成29年6月1日現在、510人の障害者を雇用し、法定雇用率2.20%に対して2.21%と法定雇用率を達成しているとしておりました。平成30年6月1日現在では法定雇用率は2.24%に引き上げられ未達成となりましたが、492人の障害者を雇用し、前年同様の2.21%を確保していると報告していました。しかし、再調査の結果、139人分の水増しが発覚し、本当の雇用率は0.55%減の1.66%と法定雇用率を大幅に下回っていたことが明らかになったものであります。
小松教育長は、水増しした理由を厚労省のガイドラインを拡大解釈してきたためであると発表し、さきの塩野議員の一般質問に対する答弁でも同様の発言をされています。しかし、これは解釈の誤りによる不作為のミスではなく、法定雇用率の数字を達成するために作為的にガイドラインを拡大解釈し、さらには重大な法令違反と人権侵害が常態化していた悪質な事案であると言う人もいます。
ここに無所属改革の会が9月13日付けで小松教育長宛てに出した9項目の質問趣意書と、それに対する9月26日付けの教育長名の回答書があります。この中で、「本人が障害者雇用枠にカウントされていることを了承していなかったのは何人か」という質問に対し、「障害者手帳で確認をせずに障害者としていた370人のうち、本人がその事実を知らなかった職員が身体障害者で46人、精神障害者で1人いた」と回答されています。普通に採用試験を受け勤務している職員が何の説明もなく、勝手にいつの間にか県から障害者と認定されていたとしたら、これはゆゆしき事態であり、大変な人権侵害であります。
上田知事が中川議員に出したという要請文の文言をそっくりかりるならば、もし教育長が勝手に精神障害者とされていた職員の親だったならば、子供が職場でこのような扱いを受けてどのように感じますか。逆の立場だったら許されると思いますか。教育長、まず、この点についてしっかりとお答え願いたいと思います。
また、さらに重大な法規違反であるのは、人事異動希望調書などの人事資料に基づいて障害者と認定していた点であります。厚労省の「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」では、障害者と把握し、確認するための具体的な手順や禁忌事項が明確に記されています。その中で、採用後に障害者を把握・確認する場合には、「障害者雇用状況の報告に用いる」という利用目的などの事項を明示した上で、基本的に全員に対して画一的に申告を呼び掛けなければならないとされています。例外的に個人を特定して障害者の確認ができるのは、本人が支援を求めて自発的に情報を提供した場合に限るとされています。
つまり、人事異動希望調書など別の目的で取得した人事資料を基に障害者の把握を行うことは個人情報保護法違反であり、それを本人に事前にも事後にも伝えていないということは告知義務違反、明らかな厚労省ガイドライン違反であると言えます。教育局はガイドラインを拡大解釈できるほど読み込んでいるのですから、このガイドラインについても当然よく理解していることだと思います。
人事資料を基に障害者を認定していたという重大な法規違反について、教育長の見解を求めます。
さらに、私が最も驚いたのは読売新聞の記事で、上田知事が8月21日の定例記者会見で、この水増し問題に対して厚労省の指針を批判したという点であります。不正が発覚した後の記者会見で自らを省みず、「国の指針が間違っている」などと言ったのなら何事でしょうか。卑近な例で恐縮ですが、高校生が飲酒や喫煙をして警察や先生に見つかりとがめられたときに、そんなもの法律が間違っていると言っている姿を私は想像してしまいました。自分の気に入らないルールは破ってもいいと思う性格なのでしょうか。
障害者雇用の根本目的は手帳を持っている障害者の雇用率を上げることであり、手帳を持っていない障害者を救う施策とは全く異なる政策であります。知事がこうした姿勢だからこそ、教育長も今回の水増し問題を大した問題と思っておらず、いまだに甘い認識でいるのではないかと言う人もいます。今回の問題は水増しという不正の問題のみならず、障害者雇用の本義を全く理解していなかったということだと思います。
障害者にも就労の場をしっかりと提供できるように社会を構築していくことこそ我々政治の重大な使命であり、だからこそ法定雇用率を設けて障害者を積極的に採用するとともに、障害者が働きやすい環境整備に努めるよう障害者雇用促進法で民間企業に義務を課しているわけであります。
民間企業を先導するようにその範を示すのが行政の役割であり、社会をリードするように積極的に障害者雇用に取り組むことこそ本来の姿なのではないでしょうか。ノルマをクリアするためにガイドラインを拡大解釈してまで職員を勝手に障害者にカウントする。こんなことが本県で、しかも教育を司る教育委員会で起きてしまったことをもっと重く受け止めるべきではないでしょうか。
今回の水増し問題は重大な法規違反、人権侵害に加え、障害者雇用を民間に推進する行政自らがその本義をゆがめてしまった大変重大な背信行為であります。この点について教育長はどのように考え、どのように責任をとるのか、御答弁を求めます。

A   小松弥生   教育長

障害のある生徒の就労を支援する立場である教育委員会において、不適切な数値計上があったことにつきましては、教育委員会の全ての業務の責任は私にございますので、深くお詫びを申し上げます。
まず、これまでの経緯を整理させていただきたく存じます。
障害者雇用率の算出に当たり、厚生労働省のガイドラインに、障害者手帳等により障害者であることを確認することとされておりますが、身体障害者手帳がなくても、1級から6級に相当する障害がある場合には、障害者として計上して差し支えないと拡大解釈をしておりました。
この解釈のもと、教育局と小中学校の教職員に対する調査においては、障害者手帳の有無にかかわらず、相当する障害があれば申告するよう求めておりました。
また、自己申告の他に、人事異動や職務上配慮すべきことを把握するため、職員から提出される人事異動希望調書や所属長からの聴き取りなどでも、職員の障害の状況を把握し、障害者雇用の対象となる職員に算入しておりました。
なお、その際、障害者雇用の対象となる職員に算入することを本人に伝えたり、了解を求めたりすることをしておりませんでした。
障害者雇用の対象となった職員に対して悪意や他意はございませんでしたが、適切ではございませんでした。
あらためて深くお詫びを申し上げます。
もし私の子供が障害者ではないのに障害者として算入されていたら、どのように感じるかについてでございますが、子供の特性が正しく理解されていないと思われますので、本人から訂正を求めるよう、子供にアドバイスをいたします。
次に、人事資料を基に障害者を認定していたという重大な法規違反についての見解でございます。
本人に対して、人事資料を基に障害者の把握していたことは、ガイドラインから逸脱しておりましたので、深くお詫びを申し上げます。
最後に、重大な法規違反、人権侵害に加え、重大な背信行為であるが、どのように考え、どう責任を取るのか、についてでございます。
8月21日の定例記者会見で、知事は「厚生労働省のガイドラインで定められている以上は、障害者手帳等による確認をすべきであった。」旨の発言をされております。
ガイドラインに沿った対応をせずに不適切な数値計上をしていたことは、誠に申し訳なく思っております。
なぜこのような事態が生じたのか、弁護士等で構成する第三者委員会を設置し、しっかり調査した上で、経緯を明らかにしたいと考えております。
教育委員会は、民間企業に率先して障害者雇用に取り組むべき立場、ましてや特別支援教育を所掌する立場にございます。
今後、障害者が働きやすい環境を整備し、障害者の雇用を進め、教育委員会に対する信頼の回復に全力で取り組むことが、私に課せられた責任であると考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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