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掲載日:2024年4月2日

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答申第153号「平成20年度校長候補者選考方法等について」等の部分開示決定(平成22年6月22日)

答申第153号(諮問第196号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成21年9月1日付けで行った次の公文書を部分開示とした決定(以下「本件処分」という。)を取り消し、不開示とした部分を開示すべきである。

(1) 平成20年度校長候補者選考方法等について(以下「本件対象文書1」という。)

(2) 平成20年度教頭候補者選考方法等について(以下「本件対象文書2」という。)

(3) 平成20年度教頭候補者選考筆答試験の手引き(以下「本件対象文書3」という。)

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成20年8月7日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、以下の公文書の開示請求(以下「本件開示請求」とする。)を行った。

  • ア 2008年度、教員管理職選考試験実施要項(作成されていない場合には、前年度のもの)
  • イ 2007年度校長・教頭選考試験問題及びその模範解答例&採点基準
  • ウ 昨年度の教員管理職選考方法及びその基準に関するすべての文書
  • エ 2008年度、校種別、校長・教頭採用名簿登載者数の一覧
  • オ 2008年度、各校種別、年齢別、校長・教頭人数の一覧
  • カ 2008年度、各校種別、男女別、校長・教頭人数の一覧

(2) これに対し、実施機関は、本件開示請求に係る公文書について13文書を特定し、うち9文書を開示決定し、残り3文書(以下「3文書」という。」を条例第10条第5号に該当するものとして全部を不開示決定し、1文書を作成していないとして不開示(不存在)決定を行い平成20年8月21日付けで申立人に通知した。

(3) また、実施機関は、平成21年9月1日に3文書について、全部を不開示とする決定を取り消し、条例第10条第5号に該当するとして部分開示とする変更決定(以下「本件処分」という。)をした。

〔不開示とした部分〕

  • ア 本件対象文書1のうち「選考試験の各配点」、「各段階における合格予定者数の割合及び比率」及び「選考枠の合格予定者数の割合」
  • イ 本件対象文書2のうち「選考試験の各配点」、「選考枠ごとの合格予定者数の割合」及び「各段階における合格予定者数の割合及び比率」
  • ウ 本件対象文書3のうち「選考試験の各配点」

(4) 申立人は、平成21年10月20日付けで本件処分について、不開示とされた部分の開示を求める異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を実施機関に対して行った。

(5) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成21年11月10日に実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(6) 当審査会は、実施機関から、平成22年1月4日に開示決定等理由説明書(以下「理由説明書」という。)の提出を受けた。

(7) 当審査会は、申立人から、平成22年1月20日に理由説明書に対する反論書(以下「反論書」という。)の提出を受けた。

(8) 当審査会は、平成22年2月1日に実施機関の職員から意見聴取を行った。

(9) 当審査会は、平成22年3月8日に申立人の口頭意見陳述を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人の主張は、概ね以下のとおりである。

(1) 県教委は「配点等を公表することは、選考で重視されている領域が明らかになり、必要以上に競争を煽ったり、受験者の偏った受験対策を助長したりするなど、管理職としての資質や能力、人物を見極める選考のあり方を困難にするおそれがある。」と述べている。
しかし、配点は、重視されている領域とそうでない部分が分かるだけであり重視されている領域において受験対策しようともそうでない部分もおのずと受験対策しなければ競争に勝つことはできない。競争率の高い試験において、受験者は点数や配分が低いからと言って手を抜くであろうか。

(2) また、県教委は「配点等を公表することは、受験者が、人物・実績点に不合格の理由を求めるなど、所属長を含めた評価者との人間関係に悪影響を及ぼすことも危惧され、学校運営・経営上、人事管理上支障が生じる。さらには、人物・実績の配点を受験者が具体的に知るところとなり、評価者が受験者の実績を客観的に評価することを困難にする。」と述べている。
しかし、受験者が、人物・実績点に不合格の理由を求めるなどということがありうるのだろうか。逆に配点等が不明確であるが故に「なぜ、自分は合格しなかったのか」という不信を生みだす原因にもなる。

(3) そもそも選考試験で、評価者が受験者の実績を客観的に評価することを困難にするとは、一体どんな選考試験をしているのであろうか。通常、自ら作り上げた選考試験あるいは一般の試験でも「こういう評価で試験を実施し、こういう試験結果だったので評価した。」と自信を持って述べることが、その試験の信頼性を高めるもので、同時に不合格者は、次年度に向けてより良い管理職になっていくための学びになるものである。

(4) 平成19年度、平成20年度埼玉県公立小・中学校等採用選考1次、2次試験においては、県教委は「選考試験の実施方法、観察の方法、評定及び判定等」を明らかにしてきている。何ゆえ管理職候補者選考の場合では部分不開示となるのか、県教委は、具体的かつ合理的理由を明らかにしなければならないがその理由がまったく示されていない。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関の主張の内容は、概ね以下のとおりである。

(1) 校長、教頭に求められるのは、組織運営能力である。
組織運営能力は、何より日ごろの学校運営や業績等に裏付けられた、経験をとおして身に付けた資質や能力であると考える。
学校管理職選考は、教育に関する専門性及び実績評価を重視している。
配点等を公表することは、選考で重視されている領域が明らかになり、必要以上に競争を煽ったり、受験者の偏った受験対策を助長したりするなど、管理職としての資質や能力、人物を見極める選考のあり方を困難にするおそれがある。

(2) また、配点等を公表することは、受験者が、人物・実績点に不合格の理由を求めるなど、所属長を含めた評価者との人間関係に悪影響を及ぼすことも危惧され、学校運営・経営上、人事管理上支障が生じる。さらには、人物・実績の配点を受験者が具体的に知るところとなり、評価者が受験者の実績を客観的に評価することを困難にする。
よって、重点としている選考の観点や「具体的な選考方針」などの「選考の基本方針」を逸脱し、管理職選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第10条第5号に該当するものとし、不開示としたものである。

(3) 教員採用選考試験では、試験員と受験者が互いに直接的に触れ合うことをとおして、教員としてふさわしい優れた人物を総合的に評価し、選考することをねらいとして実施されている。
一方、管理職選考試験は、日ごろの学校運営、教育実践及び業績等人物や実績重視で選考を行っており、教員採用選考試験とねらいを異にしている。
 よって、管理職選考と教員採用選考試験とを同じものとしてみる異議申立人の主張は到底受け入れることはできない。

5 審査会の判断

(1) 条例第10条第5号該当性について

条例第10条本文では、「実施機関は,開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(次条から第13条までにおいて「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。」と規定しており、同条第5号は、県の機関等が行う事務又は事業の適正な遂行を確保するために不開示とする情報について次のように定められている。
「県、国若しくは他の地方公共団体の機関、独立行政法人等又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」
上記引用中の「次に掲げるおそれ」としてイからホまでに掲げられた「おそれ」は、いずれも典型的な例示とされている。
よって、以下では、本件対象文書1から3について、条例第10条第5号に該当するとしている実施機関の主張について、個別に検討する。

(2) 本件対象文書1について

当該文書は、平成20年度小中学校校長候補者を選考するに当たっての選考の基本方針、選考試験の内容、登載予定者数(合格者数)、試験日、選考試験成績の配点及び選考方法の基本的手順等が記載されている。
実施機関は、本件処分において、「選考試験の各配点」、「各段階における合格予定者数の割合及び比率」及び「選考枠の合格予定者数の割合」について、それぞれ管理職選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、条例第10条第5号に該当するとして不開示とした。
これらの不開示部分は、実施機関が小中学校管理職候補者選考試験に当たって、「人物・実績」及び「面接」等の各配点並びに各段階・選考枠の合格予定者数の割合等をどれくらいにするかが記載されているに過ぎない。また、当該選考は既に実施済みである。
このため、これらの不開示情報を開示したとしても、管理職としての資質や能力、人物を見極める選考のあり方を困難にするおそれや学校運営・経営上、人事管理上支障が生じ、管理職選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない。
したがって、当該不開示部分は、開示とすることが妥当である。

(3) 本件対象文書2について

当該文書は、平成20年度小中学校教頭候補者を選考するに当たっての選考方針、選考試験の内容、合格予定者数、試験日、選考試験成績の配点及び選考方法の基本的手順等が記載されている。
実施機関は、本件処分において、「選考試験の各配点」、「選考枠ごとの合格予定者数の割合」及び「各段階における合格予定者数の割合及び比率」について、それぞれ管理職選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、条例第10条第5号に該当するとして不開示とした。
これらの不開示部分は、「(2)本件対象文書1について」で判断したとおり、開示とすることが妥当である。

(4) 本件対象文書3について

当該文書は、平成20年度小中学校教頭候補者選考筆答試験の手引きであり、筆答1(大論)、筆答2(中論:課題解決論文)、筆答2(中論:事例論文)及び筆答2(小論:法令問題)の問題、採点をするに当たっての基準及び配点等が記載されている。
実施機関は、本件処分において、「選考試験の各配点」について、それぞれ管理職選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、条例第10条第5号に該当するとして不開示とした。
これらの不開示部分は、小中学校教頭候補者選考筆答試験の各問題の配点をどれくらいにするかの方針が記載されているに過ぎない。また、当該選考は既に実施済みである。
このため、これらの不開示情報を開示したとしても、管理職としての資質や能力、人物を見極める選考のあり方を困難にするおそれや学校運営・経営上、人事管理上支障が生じ、管理職選考試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない。
したがって、当該不開示部分は、開示とすることが妥当である。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
鈴木 幸子、田村 泰俊、早川 和宏

審議の経過

 

年月日

内容

平成21年11月10日

諮問を受ける(諮問第196号)

平成22年1月4日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成22年1月20日

申立人から反論書を受理

平成22年2月1日

実施機関から意見聴取及び審議(第三部会第56回審査会)

平成22年3月8日

申立人の口頭意見陳述及び審議(第三部会第57回審査会)

平成22年4月27日

審議(第三部会第58回審査会)

平成22年6月22日

答申(答申第153号)

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