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掲載日:2025年9月18日
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知事
私の方から何点か本日は御報告させていただきたいと思います。まず、令和7年9月定例会の付議予定議案であります。今回、令和7年9月定例会につきましては、9月24日水曜日に招集させていただくこととなりました。今定例会に提案する議案は10件であります。内訳でありますけれども、「令和7年度埼玉県一般会計補正予算(第3号)」などの予算が2件、そして「法人の県民税の特例に関する条例の一部を改正する条例」などの条例案が3件、そして工事請負契約の締結が2件、さらには損害賠償が1件、そして事件議決が2件となっております。他に報告事項でありますけれども、専決処分報告4件、公社等の経営状況報告5件などの22件で、議案と合わせて全体で32件となります。
それでは、今回提案する「一般会計補正予算(第3号)」について御説明申し上げます。補正予算額は88億4,620万5千円であります。補正後の累計ですけれども、2兆2,490億4,092万7千円となります。内容としては、まず、公共事業の追加、適正工期の確保として84億4,197万7千円を計上し、繰越明許費を140億2,290万4千円設定いたします。また、国庫補助事業として、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関に対する給付金の支給につきましては、3億4,063万2千円を計上いたします。さらに、中央児童相談所一時保護所の建設に関わる解体工事においてアスベストの除去等の経費が見込みを上回ったことから、6,359万6千円を増額し、併せて継続費の変更も行うことになります。
そして次に「流域下水道事業会計補正予算(第2号)」についてであります。補正予算額でありますが、62億8千万円となっています。内容は大きく2つございます。まず、全国特別重点調査の結果を踏まえた対策等でありますが、八潮市で発生した陥没事故を受け国土交通省から調査の実施要請がございました。この調査の結果を踏まえて、国が示している緊急度にかかわらず、県として速やかな対策が必要と認めた箇所について下水道管路の改築工事等を実施いたします。要するに、国が示している緊急度以上の対策ということであります。対策工事の内容といたしましては、腐食した下水道管の内側に樹脂製の新しい内壁を形成する「管更生(かんこうせい)」、あるいは塗装を施して下水道管路を腐食から防ぐ「防食工事」を行い、機能の維持を図ります。これらの工事等に要する費用として55億円を計上しております。次に、復旧工事の影響を受ける住民及び事業者への補償等であります。八潮市内で発生した下水道管の破損及び道路陥没に関わる個別相談会などにおいて、地域住民、事業者の方々からお伺いした生活・事業等への影響を踏まえ、家屋調査や営業補償を実施するための費用として7億8千万円を計上いたします。八潮で発生した陥没事故が二度と起こることがないよう、安心安全な社会づくりに尽力するとともに、陥没現場の地域住民、事業者の不安解消に向けてしっかりと対処してまいりたいと思っております。
知事
次に、「ドイツ訪問の結果」についてお知らせいたします。去る9月9日から13日までの5日間、ドイツのブランデンブルグ州、そしてベルリン州、ザクセン州を訪問させていただきました。今回の目的は主に2つでした。1つ目は、昨年本県との姉妹提携25周年を迎えたブランデンブルグ州を知事として15年ぶりに訪問し、私自身としては初めてになりますが、交流を深めることとなりました。昨年、選挙で4選を果たされたヴォイトケ首相と2人だけでテタテート(差し向かいでの対談)の会談を行ったほか、県議会議長等も交えた会談や懇談会も実施し、これまでの様々な分野での協力に感謝を伝えるとともに、今後もパートナーシップを更に発展させることを合意・確認いたしました。そして2つ目でありますが、今回ブランデンブルグ州のみならず、その隣になりますけれども、ベルリン州そして先ほど申し上げたとおりザクセン州を訪問いたしましたけれども、このブランデンブルグ州に隣接する地域を訪問して、関係者との意見交換あるいは視察を行い、県政の課題解決につながる新たな関係を模索・構築することになりました。
続いてそれぞれの行事の結果です。まずブランデンブルグ州での主な行事ですが、ヴォイトケ首相との会談では訪問団に温かい歓迎のコメントを頂くとともに、協力分野を拡大し関係を深めていくことの重要性を確認しました。続いて、「県とブランデンブルグ州とのパートナーシップの更なる発展に関する共同声明」を署名、発出いたしました。この共同声明にはブランデンブルグ州で以前から力を入れられていたスタートアップ支援と、7月に我が方でオープンした渋沢MIX等の今後の協力、さらには、この後述べますけれども、両県州の大学の連携を盛り込みました。州の女性経営者と県から参加した女性経営者同士の意見交換の場も設けさせていただきました。仕事と家庭の両立、いわゆるガラスの天井、後継者問題や起業家の少なさなど、共通の課題があることを知り、参加者からはこれからも交流したいとの声が上がりました。州政府には提携25周年の記念レセプションを開催していただきました。御参加いただいた州政府や州議会並びに企業関係者の方々に対しては、本県から地酒を紹介させていただきました。ヴォイトケ首相から「是非埼玉県を訪問したい」というお言葉を頂きましたので、その暁には地酒だけではない、本県の魅力をたっぷり御紹介させていただき、それを州内に広げていただきたいと思っています。また、州の地域スポーツ連盟を訪問し、ドイツで長らくスポーツ文化を支え、優秀な選手を輩出してきた「シュポルトフェライン」と呼ばれる地域に根差したスポーツクラブの取組について聞かせていただくとともに、本県のアスリート発掘・育成・強化の取組を御紹介いたしました。先方からは、アスリートの生活や引退後をどうするかが課題であるとの指摘があったため、私どもの方からは、埼玉上尾メディックスというバレーボールチームが埼玉県にあるが、スポンサー母体の病院が女子アスリートのライフイベントを専門的(知見)に基づき支援したり、引退後の受皿となっているといったユニークな例があるという御紹介をさせていただいたところ、先方の幹部からは大変高い評価がありました。今後も両県州にとって実りある協力関係を模索したいと思っています。続いて、県の仲介によって、州都ポツダムにあるポツダム大学と埼玉大学並びに獨協大学間の学術協力に関する協定を締結しました。これは、県議会からも、私の海外経験に裏打ちされた交渉力に期待していただき、本県の若者が姉妹友好州省の大学に留学する機会を確保して欲しいとの御要望がありましたので、この御要望にも応え、本協定に基づき交換留学に関する協定を締結されました。今回締結に当たり、締結式には埼玉大学の坂井学長と市橋(いちはし)副学長に御参加いただいたほか、私あるいは白土県議会議長も立会人として御参加いただきました。ポツダム大学は多様な学部を有する総合大学でありますが、ユネスコの世界文化遺産に登録されているサンスーシ宮殿の新宮殿を利用した美しいキャンパスが特徴の大学でもあります。このように恵まれた環境で、本県の若者が学ぶ機会を新たに得たことを喜ばしく思うとともに、今後両県州で学んだ人材が、日本とドイツの懸け橋となることを期待したいと思います。また大学内に所在するハッソ・プラットナー研究所のアントレプレナーシップ教育機関では、7月に本県にオープンした渋沢MIXを御紹介させていただくとともに、プログラム責任者と意見交換などを行い、相互の交流について検討することで合意いたしました。
さらにベルリン州では、ベルリン日本商工会の皆さんと意見交換を行いました。続いてジェトロの紹介によって、狭山市で江戸時代から続く茶園「奥富園」の茶葉を輸入し、自身の店舗で販売・提供している現地のバイヤーのお店を訪問しました。バイヤーからは、狭山茶に感じている魅力をお伺いしました。小規模で高品質の茶葉を取引することは双方の希望にかなうものであったということで、バイヤーがドイツからはるばる来日し実際に茶畑を見て取引を始めた話や、ドイツでの狭山茶の評判などについてお伺いをしました。このような好事例を基に、狭山茶の輸出が拡大し、その魅力がドイツのみならず世界に広がることを期待しております。ベルリン州では最後に、在ドイツ日本大使館の志野光子(しの みつこ)大使を訪問いたしました。私は大使とは数十年ぶりの再会であり、日独を取り巻く国際情勢に関する意見交換のほか、埼玉県の地酒や農産品のPRもさせていただきました。最後に、ザクセン州での主な行事ですけれども、大宮スーパー・ボールパーク構想の観点から、RBライプツィヒのホームスタジアム、レッドブルアリーナを訪問しました。これは5月にRB大宮の表敬訪問を受けた際に、「ドイツの施設を是非見て欲しい」とのお誘いを受けておりましたが、ちょうど今回、ドイツに訪問の機会があったところから実現したものであります。現地ではRBの関係者の皆様だけではなく、スタジアムのあるライプツィヒの市長もお越しになり、スポーツチームの地域貢献やドイツ中から集まる観客の満足度を高めるホスピタリティ向上の面から大変参考になる内容でありました。特に、スタジアムの中にありましたホスピタリティ施設、つまりそこで様々なイベントが行われたり、あるいは企業同士の取引が行われる、そういった場を併設しているといったことについて、様々な効果が高いということを市長からもお話を頂き参考になりました。就任以降初めてのヨーロッパ訪問でありましたが、姉妹州とのますますの関係強化を約束できただけでなく、県政の課題解決に資する、正に今必要な課題について、様々な意見交換、視察あるいは成果が上がったことは大変有意義であり、今後につながる成果だったと考えております。
知事
続いて、「リチウムイオン電池の分別排出の徹底」であります。近年、ごみ処理施設等での火災事故が相次いでいることは、この席でも何度も御報告させていただいております。本年1月には、大変残念でしたが、川口市の朝日環境センター、そして7月には蕨戸田衛生センターで火災が発生いたしました。施設の火災でごみの受け入れができなくなると、ごみの収集が停止し何十万人もの県民生活に深刻な影響が及ぶことになります。また施設の復旧工事のほか、復旧までの間、他の自治体へのごみ処理の委託には多大な経費が掛かります。川口の場合には約67億円、蕨戸田の場合には約41億円の費用を見込んでいますが、本来、様々な他の必要な政策に投入することができたはずの貴重な財源をこれらの費用に充てざるをえないこととなります。川口、蕨戸田ともに原因は不明でありますが、最近ではこうしたごみ処理施設等の火災のうち、リチウムイオン電池に起因するケースが増えております。小さな電池がたった1つ紛れ込むだけでも火災が起こるため、県民の皆様には分別の徹底をお願いいたします。リチウムイオン電池の排出方法は、地域によって、市町村によって異なりますので、是非お住まいの自治体、市町村のルールに従って、リチウムイオン電池の正しい分別排出をお願いいたします。
次に、リチウムイオン電池の分別排出方法です。この分別排出ルールは市町村ごとに異なります。そこで、お住まいの市町村のルールを確認できるよう、県のホームページに排出方法の一覧を掲載していますので是非御利用いただきたいと思います。また、どんな製品にリチウムイオン電池が使われているか分からないというお声も頂きます。リチウムイオン電池が使われていることを知らないまま家庭ごみに混ぜて捨ててしまうケースもあると思います。リチウムイオン電池が使われている製品が一目で分かるポスターを作成させていただき、銀行や商業施設など目に付きやすい場所に掲示しています。主な製品としては、モバイルバッテリーやハンディファンあるいはスマートフォン、デジカメ、さらにはパソコンなどにリチウムイオン電池が使われています。これらを廃棄するときには注意をいただきたいと思います。そして、リチウムイオン電池が使われている製品を判別するには、(画面を指しながら)このマーク、リサイクルマークを確認するほか、充電できるものや電源につながなくても動くものはリチウムイオン電池が使われている可能性が高くなります。迷ったらリチウムイオン電池が使われている製品と考え、確認ができなくても、迷ったらリチウムイオン電池が入っている製品と考えて、市町村のリチウムイオン電池の分別排出ルールに従っていただきたいと思います。捨てるときの注意点として、「電池をぬらさない・外さない」「他の廃棄物と混ぜない」「電池の端子を露出させない」ことが重要であります。こうした情報を県民の皆様に確実に届けるため、テレビ、ラジオ、SNSなどを活用し、市町村と連携して情報発信に努めてまいります。
続いて「再資源化」です。リチウムイオン電池の適切な分別排出により火災事故を防止するだけではなく、貴重な資源であるレアメタルの回収が可能となります。このため県では、サーキュラーエコノミーの取組の一環として、県内6市や民間企業とともにリチウムイオン電池の再資源化に取り組んでいます。これまでの主な成果として、回収したリチウムイオン電池を安全に保管し、そしてレアメタルやベースメタルを取り出す方法を研究しました。こうした成果を市町村と共有するため、本年度中に再資源化に向けた分別回収マニュアルを作成し、県内市町村に配布したいと考えています。繰り返しになりますが、火災防止、再資源化のために、県民の皆様にはリチウムイオン電池の分別(排出)の徹底に御協力をお願い申し上げます。
テレ玉
発表項目について2点、幹事社から質問させていただきます。まず1点目が八潮市の道路陥没事故に関する補償等についてお聞きします。今月4日の(八潮市で発生した道路陥没事故に関する)原因究明委員会で、硫化水素によって腐食した下水道管に起因するものと考えられるとした中間報告もまとまりました。こういったこともあって、今後補償であったりとか、点検調査の見直しというのもかなり進んでいくのではないかなと思いますが、このあたりの知事の御所感をまずお願いできますでしょうか。
知事
最初に後者から、つまり点検調査等に関するものについてですけれども、こちらにつきましては、我々としては第三者による原因究明委員会をお願いさせていただいておりますので、まずは(専門家の)皆様からの御意見というものをしっかりと受け止めることを優先しているところでございますので、この原因究明委員会における中間報告はございましたけれども、今後、この中間報告だけではなく、最終的には最終報告がなされるというふうに考えておりますので、それを受けて、しっかりと判断していきたいというふうに考えております。また補償の方ですけれども、住民の皆様や周辺の企業の皆様に対する補償という意味でお答え申し上げますと、現在、個別の補償の対応は別として、12月26日まで先般の補償説明会に基づく申込みを受け付けておりますので、これは進むというのは、まずはそこまで期限がありますので、そこをしっかりと待った上で対応をする。また必要なものについては迅速に対応していくことになると我々として考えています。
テレ玉
もう1点、ドイツの訪問についてお聞きします。先ほど知事の大宮の(スーパー・)ボールパーク構想等で非常に参考になったというお話がありましたが、それ以外のところで何かこう具体的に県政に役立ちそうだなとか参考になったところがあったらお願いできますでしょうか。
知事
まず私の大きな公約の1つである大宮スーパー・ボールパーク構想について役に立ったというお話をまず1つさせていただきました。これが具体的な成果についてのまず1つ目であります。それから2つ目は、7月に渋沢MIXを開設いたしましたが、埼玉県として様々な形でマーケット、あるいはオープンイノベーション、さらにはファンディング(資金調達)、こういった様々な分野で渋沢MIXを介して、あるいはきっかけとして多くの企業と結び付けたいといった思いがございましたので、今回、そういった意味では、オープンイノベーションに関する事業を行っているところが2か所、あるいはブランデンブルグ州との会談等でも、そういったお話をさせていただき、今後これを彼らと共にどうつなげていくかということを検討していくことについても合意がありましたので、そこも2つ目の成果だと思っています。それから3つ目には、先ほどお話ししました議会でも私のこれまでの経験を生かして留学生の交換について進めるべきだという御質問も以前頂きましたので、それも踏まえて人材の大切さというのは当然の話ですけれども、今後グローバル人材、あるいはその様々な経験を通じて、埼玉県の発展に貢献していただける人材、これらを育てるための協定というものを結ぶことができましたし、また具体的に埼玉大学と獨協大学と(ポツダム大学との大学間の協定締結)いったことがまずできた。これが3つ目であります。それから4つ目に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、狭山茶の今回バイヤーさんのところへ行かせていただいて、なかなか埼玉県の狭山茶の事業者というのが6次産業で小さいところが多いということが事実ではありますけれども、しかし、そういった小さいところでもニーズがある、あるいはその重要な、非常においしいとかいろいろな特徴を捉えてくれるということがよく分かりましたので、そこで今回のバイヤーさん、あるいは今回、奥富園さんのお茶を扱われていますけれど、それ以外の狭山茶の事業者とも結び付けるといったことができるのではないか、こういったことがありました。さらには、今後スポーツ科学拠点も作られますので、今回州のシュポルトフェラインという、ブランデンブルグ州のいわゆるスポーツクラブと言うのでしょうか、地域に根差したスポーツクラブ、彼らの取組とか、そこで元オリンピック選手とかが活躍をされたり、あるいはデータを取ったり、育成したりといった話もございましたので、プラチナキッズだったり、スポーツ科学拠点だったり、こういったところと連携ができる余地が生まれてきたということを確認しました。主なところはこんなところです。
埼玉
下水道関係で2点お伺いします。1点目は本日、国土交通省が公表した下水道管路の全国特別重点調査の結果に対する受け止めについてです。原則1年以内に速やかな対策が必要と見込まれる緊急度Ⅰが県流域下水道で3.5キロメートル、川口、戸田、さいたま市を含めた県全体で約4.4キロメートル、応急措置を実施した上で5年以内の対策が必要と見込まれる緊急度Ⅱが県流域下水道で43キロメートル、県全体で約44.5キロメートルという結果が公表されました。この結果についての御所感をお聞かせください。2点目が、八潮市で発生した道路陥没事故の補償に充てる予算について、陥没箇所から約200メートルの住民又は事業者を対象に1世帯当たり3万円、世帯人員1人につき2万円、事業者に一律10万円を補償する、その他の補償と定義されていた補償に関して一般会計から繰り出して対応するというふうに伺っています。この補償の財源について、知事のお考えをお聞かせください。
知事
本日、午前10時頃発表になったと聞いておりますけれども、全国特別重点調査の結果が国から発表になりました。ここにつきましては、結論からまず申し上げると、今回の調査において国が示した基準に基づき緊急度Ⅰと判定された箇所、12か所でしたけれども、それにかかわらず、これも含めて速やかな対応が必要と判断した下水道管路については、改築工事を実施するなど、我々としてしっかりと対応していきたいと思います。他方で、この下水道管路の全国特別重点調査は、八潮市で発生した道路陥没事故の原因や対策がはっきりしない中で事故をできる限り未然に防止し、国民に安心安全を確保するため、国の要請に基づき実施されたものであり、緊急度に応じた対策を求められていますが、調査のきっかけとなった事故が発生した本県としては、その意義は大いに理解し賛同するものの、八潮市道路陥没事故の現場においては、過去の調査でこの場所だけ特異な状況というわけではなかったにもかかわらず発生したことから、今回の調査が旧来の調査方法をベースとして実施していることが果たして十分かどうかについては議論が必要だと考えており、もちろんこれはまだ新たな知見ですからすぐには出てこないかもしれませんが、国として早急に調査方法を確立していただく必要があります。また特に今回の調査では緊急度Ⅰ並びにⅡとして対策工事を行う期限を自治体が選択する、つまり、1年以内の緊急度Ⅰというのを自治体が選ぶことになっています。今までは(本県で実施してきた調査において不具合のランクが)A、 B(に該当する)ところは、AとかB(に応じて対策を行う)ということをしており、対して国では(国の基準で緊急度に応じ)1年以内とか5年以内(に対策する)という(基準を)を示していたのですが、今回は緊急度Ⅰで1年以内の工事が必要であり、緊急度Ⅱで5年以内の工事が必要ということで自治体が選ぶことになっています。私たちはこれまで国が示してきた調査の頻度や老朽管の耐久年数等については、疑問がある、新たな知見等が必要だというふうに言ってきました。それにもかかわらず、自治体側に対策工事の期限を選択させる形式というふうになっているのは、私は全く不適切だと思っています。事故が発生した県の責任として、先ほど御説明させていただいたときにも二度とこのような事故を起こさないためにもというふうに申し上げましたが、今回の緊急点検については、これは先ほど申し上げた、迅速にやるべきこと、そこは理解するものの、是非フォローアップと技術的な知見の確立を早急に求めたいというふうに思っていますので、これで終わらずに追加が必要だと考えています。なお、この調査の結果を踏まえた対策には莫大な費用を要することとなります。国の有識者委員会では使用料に資産維持費等を適切に反映するべきとの意見がありましたが、これらの費用を全て使用料に上乗せすることについて、私は利用者の理解を頂くことは現実的にかなり困難だと思っています。このため、下水道がこれまで国費も充当して整備され、また従前には想定されない程の莫大な改修や更新の費用を要することが分かってきたことも踏まえれば、自治体の意見を十分聞いた上で、国費の充当も含め、費用負担の仕組みを検討することが私は不可欠だと思います。また、これらの議論を後回しにして、例えばウォーターPPPなどを推進していくということは、私は時期尚早だと思っています。また、さらには将来の人口動向を踏まえれば、いわゆる流域下水道だけではなくて、生活排水処理施設整備の考え方についても見直しを行う必要があると考えており、例えば浄化槽、農業集落排水施設、下水道を適切に組み合わせた施設整備の在り方について、持続的な汚水処理システム構築に向けた検討が必要だと思っています。国では今回の事故を受けて複数の委員会を立ち上げ、再発防止に向けた検討を行ってきていただいています。埼玉県もこうした委員会などを通じて、今申し上げたことをしっかりと提言するとともに、先ほどお話があったこの10時に発表された重点調査については、これで終わらずにしっかりとした抜本的な見直しを重ねて求めていきたいと考えています。財源については、今回補正予算をお願いさせていただく中で、下水道事業会計補正予算について、これは可能な限り速やかに対応する必要があることから、今回、補正予算という形で計上させていただくこととなりました。この補正予算につきましては、補修工事とそれから補償の二本立てになります。補償の方ですけれども、交通規制区域内の事業者への営業補償などとして、6月補正で4億円、今回の補正で約6億8千万円を計上しています。この営業補償につきましては、道路陥没工事に伴う工事によって、緊急的な交通規制を長期的かつ大規模に行い、沿道の往来がなくなったことにより休業または売上げが減少した事業者に対しての損失分を補償する、あるいは家屋調査や脱臭機(の配布)を行ってまいりました。それに加えて、先ほどその他の補償という話をいたしましたけれども、現在、この補償(額)について最終的なものは先ほど申し上げたように12月26日まで(受付)でありますので、出ていませんけれども、この財源については、一般会計から予備費を充用いたしました。つまり、先ほどのように受益者負担という話ではなく、一般会計から出しました。これは土木的な措置を実施した県がこれまでに経験がなく、予想ができなかった事象に対処する上での県の社会的責任としての補償と考えており、最終的に下水道使用料に転嫁される維持管理負担金を財源とすることは適当ではないと考えたことから、一般会計から基準外繰出として全額を負担することとしたものであります。
日経
ドイツ訪問の関連で幹事社さんともかぶってしまう部分もあるかと思うのですけれども、特にブランデンブルグ州のスタートアップ支援の先進性というのがどういうところにあるのかいうことで、ドイツは今、国を挙げてスタートアップを育てているという状況の中で、その一翼を多分この州、例えばベルリン周辺も含めて担っているということかと思うのですけれども、先進性がどういうところにあるのかというところと、逆に埼玉との共通課題というのはどんなところにあるのか、よりちょっと詳しい部分の御所感をお伺いできればと思います。
知事
ドイツにつきましては、本当に御指摘のとおり、予想以上にスタートアップという言葉が非常に多くの場所で聞かれており、正直、今ドイツの経済はなかなか厳しいところにあり、特にそのエネルギーが難しいことになっているので、本当に物価高とか、あるいは将来に向けた悲観的な見方がすごく多い中で、スタートアップに期待するといったものがものすごく多かった。これが第一に感じたことであります。恐らくこの期待を受けてということだと思いますけれども、スタートアップ(支援)を具体的に行うところが出てきており、今回見せていただいたのは2か所でありましたけれども、ポツダム大学の敷地内にあるハッソ・プラットナーという研究所、これは教育機関なのですけれども、IT、デジタル系を対象として、これを先端的にスタートアップとしてしっかりと支えるというもので、彼らが一定のプログラムに従ってそれを教えて、そしてその後、いわゆるピッチをやって、そこで投資家をいざなうということで、非常に多額のお金を獲得するITの方やあるいは大学生、こういった方々がそこで出てきており、そしてそれが実際に既に商売として成立しているということが幾つも出てきているという意味では、非常に先進的な取組を(行っており)、しかもそれに対してファンドする方々が多いということは大変関心を抱きました。それからいわゆるものづくりのスタートアップを支えるモーションラボというところも行かせていただきました。ここは日本と共通というよりも、私も知らなかったのですけれども、私どもだと(県産業技術センター、)SAITECとかそういったところがあって、いろんな機械を貸して、スタートアップの方々を支援していますけれども、実は公的なそういう機関がないようで、民間でそれをやっているので、正直、埼玉県よりは一歩二歩遅れているなという感じはありました。ただ、そういった公的な機関が我々はあるということは、逆に言うと彼らが我々のアントレプレナー、あるいはスタートアップに対して投資をするような期待が広がるということにもなると思いますので、今後、渋沢MIXなどを通じて、こういった私が今回得た印象を具体的に伸ばしていくフィールドというものを幾つも探していきたいと思っており、それができれば、今はこういう世界ですからオンラインでもいろいろなことができるので、双方にとってWINWINの関係ができるのではないかというふうに強く感じたところであります。
時事
私もドイツについて、お願いしたいのですけれども、ドイツでの狭山茶バイヤーとの交流についてお伺いしたいのですけれども、財務省の貿易統計によるとドイツは、アメリカに次いで2位の日本茶の輸出先ですが、現地でどれぐらい人気があったのかや、気づいたことと、向こうから言われた要望とかニーズなどをもう少し詳しく伺えるとうれしいです。
知事
実は今年、あまり作柄が良くなかったということなのでしょうか、狭山茶の輸出が若干滞っているところもあるようです。彼らとしては、是非ニーズに応えられるような、そういった取引をしたいというのはありました。あともう1つは、ドイツだけではないと思うのですが、国内でもそうなのですが、抹茶が欲しいという話がありまして、ただもうそもそも、国内でも品薄というところもあったので、それについては、現時点ではなかなかお応えはしにくいものの、ただ抹茶という言葉自体が広がっていることは、とても喜ばしいことだと思いますので、こういったことを我々としても、狭山茶の事業者等に伝えながら、しっかりと対応していきたいと思っています。またお茶についても、このバイヤーさんは非常に理解が深かったようですけれども、必ずしもドイツ人が日本茶に対する知識が深いわけではないので、例えば埼玉県では狭山茶を活用した観光なども行っていますので、インバウンドの方々にも御紹介するなどを通じて、狭山茶の魅力、いろいろな方法で広めていきたいと考えています。
朝日
リチウムイオン電池の分別排出の徹底についてですが、2点お伺いするのですが、1点目が分別排出のルールがどうしても市町村ごとに異なるというのが、廃棄方法が分かりにくい一因ではないかと考えるのですが、例えば国に対してなど、統一的な廃棄方法を定めてもらえるような働き掛けを県としてされていくなどお考えはありますでしょうか。それと2点目が、市町村向けのマニュアルを本年度中に作成予定で、再資源化というところですが、マニュアルの作成後の来年度以降などの展望であったりとか、期待されている点について知事のお考えを伺えますでしょうか。
知事
最初の御指摘のリチウムイオン(電池)の扱いについて、国に統一的な取組等を行うよう求めるべきではないかという話、全くそのとおりだと思っています。というのは、リチウムイオン電池を使用している製品の製造・輸入・販売、これは本当に全国規模で行われていて、埼玉県だけの話ではありません。県単独で対応するよりも、国が統一ルールを定めるほうが合理的だと私は思います。例えば、その中で製造事業者に対して、リチウム(イオン)電池などを使用しているという旨を、分かりやすく表示させるとか、あるいは分別しやすい製品構造にするというルールづくり、これを実は国に既に要望しているところであります。我々といたしましては、最終的に恐らく何が原因か分からないのかもしれませんけれども、川口、蕨戸田、ここでは(火災の原因は)リチウムイオン電池の可能性が高いとも言われていますので、そういった中で、自治体が独自にしかも個別に担うよりも国がルールづくりを行うということが必要だと思っています。ただし、実際にこういったごみ処理をしているのは、市町村の基礎自治体や(一部事務)組合でありますので、そこで私たちはサーキュラーエコノミーの知見を利用して、単一の自治体では非効率あるいは知見が集まらないといったものについて、今回6市に御協力いただいて一緒にやるということで、良い例、悪い例を国にしっかりと上げていくということを今後も引き続き行っていきたいというふうに考えております。
環境部
今年度、今知事の方からお話ししましたとおり、県内6市と連携しまして、リチウムイオン電池の回収についてのマニュアル作りをしておりますけれども、リチウムイオン電池がごみとして出てきたものを燃やして、レアメタルを含むブラックマスというものを取り出すのですけれども、一定量確保しないとなかなかコスト的に見合わないという部分もありますので、多く回収できるような手法、集める場所を増やすとか、そのあたりについて来年度以降取り組んでいきたいというふうに考えております。
読売
ちょっと下水道の話にさせていただきますけれども、本日全国特別重点調査で、知事は国が示している以上の緊急度で速やかな対策が必要というふうにおっしゃいました。まず国が示している以上の緊急度とは具体的にどういったものなのかというところと、今回の補正予算に計上されています55億円の対策が必要な箇所、改築工事が必要と評価されている下水道の管の長さや箇所を教えていただければと思います。
下水道局
まず国の基準以上と申しますのは、国の方で緊急度Ⅰ、緊急度Ⅱということで緊急度Ⅰについては速やかな対策を1年以内で、緊急度Ⅱについては5年以内というようなところで示されているところでございますけれども、今回の補正で計上しております所、これが要対策箇所として中川流域ほか3流域で21か所となっているのですが、ここには緊急度Ⅰのみならず、国が示す基準の緊急度Ⅱも含まれているということで、5年以内と国が言っているところに対しても、県として対策が必要と判断した所については速やかに対策をしていると。そういうような意味合いでございます。
読売
長さというのは。
下水道局
約3キロメートルあります。
NHK
今の読売新聞さんの質問に追加してですけれども、21か所というのは今回の国の重点点検の緊急度Ⅰ・Ⅱ両方含めた多分数だというふうに今お答えいただいたと思うのですけれども、具体的に緊急度Ⅰが何か所で、緊急度Ⅱが何か所なのかということと、あと今回陥没が発生した八潮市の中に、緊急度Ⅰというふうに認定されたものというのが何か所、あるいは具体的な場所がどこにあるのかということを教えていただいてもいいですか。
下水道局
まず全国特別重点調査において、緊急度Ⅰというふうに判定されておりますのが、先ほど知事からもございましたけども、12か所という形になっております。そのうち9か所については補正(予算)の方での対応で、残りの3か所については既定予算での対応ということで、まず緊急度Ⅰについては、いずれも速やかな対応ということで考えているところでございます。それ以外のところについては補正(予算)でやる分については緊急度Ⅱだと思っていただければということと、(後に訂正:緊急度Ⅱが9か所で、残り3か所はマンホールの防食等になります。)あと八潮市の関係ですけれども、陥没事故周辺の箇所において八潮市の陥没箇所上流の中央幹線や川口幹線で管の腐食とか破損が確認されておりまして、ここにつきまして補正(予算)で対応していく予定でございます。これが緊急度Ⅰとなっている箇所でございます。これらの箇所ですけれども、地表から下水道管まで実際に穴を開けて空洞が存在するのかというふうな調査を行っておりまして、空洞は認められていなかったので、直ちに陥没が発生する恐れはないものと考えておるのですけども、引き続きモニタリングをしつつ、準備が整いましたら補修工事を行ってまいりたいと考えております。
NHK
今のお話だと、八潮市内で確認されている緊急度Ⅰの場所というのは、今おっしゃられた2か所ということでよろしいですか。現場の上流の2か所で。
下水道局
はい。御認識のとおりで大丈夫です。
時事
来年4月から施行される改正道路交通法についてお伺いしたいのですけれども、自転車の違反に反則金が掛かる青切符が導入されることになって、警察庁の基本方針を読むと、ながらスマホや車道が危険な場合を除いた歩道走行が自転車は禁止されるのですけれども、埼玉県は全国でも自転車の保有台数が多い県で自転車を利用する県民が非常に多いと思うのですけれども、その自転車レーンの現在の整備状況であったり、自転車に関する今後の大野知事の都市整備の方針とか教えていただければと思います。
知事
まず、埼玉県では令和4年7月ですが「県民や本県を訪れる人誰もが手軽に自転車を活用できる埼玉」を将来像として、「第2次埼玉県自転車活用推進計画」というものを策定しまして、自転車レーンを含め自転車通行空間の計画的整備を推進しているところであります。この計画に基づけば、県が管理する道路において、令和4年度から8年度までの5年間で自転車通行空間を40キロ整備して総整備延長を212.5キロメートルとすることを目標としており、令和6年度末ですけれども205.2キロメートルまでの整備が完了しておりますので、要するに後7キロメートルということになります。今後の見通しとしては、令和7年度に新たに7キロの整備を実施し、令和8年度までには目標通り212.5キロの整備が完了する見込みとなっています。整備に当たっては、歩行者、自転車及び自動車これらが快適及び安全に適切に通行できるような空間を確保することとしています。具体的に申し上げると、自転車は軽車両ですので、原則車道通行というルールのもと、車道の一部を活用して縁石などの工作物で区分した自転車道だったり、あるいは青色の路面標示で区分した自転車専用通行帯、先ほどお話があった自転車レーンはこのことだと思いますけれども整備を進めています。また道路空間に余裕がない、車道の幅員が縮小等によっては自転車と自動車の通行の混在が避けられない場所もあります。そういう場合には、矢羽根のような路面標示を設置するなど、地域の道路事情に応じた整備形態によって自転車通行空間の整備を進めています。広い歩道が整備されている場合には、それを活用して構造的または視覚的に分離した自転車歩行車道を整備することで、早期に連続した自転車通行空間を確保しております。いずれにいたしましても、こういった計画に基づき引き続き県警など関係機関と連携しながら自転車通行空間の整備を推進することが極めて重要であると考えており、先ほどの道路交通法の改正もありますけれども、まずは我々といたしましてこの計画に従って、着実にこの計画を実施することが重要と考えているところであり、私もこの旨を推進してまいります。 (終)
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