インタビュー・コラム

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掲載日:2023年8月25日

ポラス株式会社(ポラスグループ)

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プロフィール

1969年に有限会社中央住宅社として創業。その後、27社から構成されるグループ会社へと発展し続ける総合住宅メーカー。現在の社名「ポラス」は、ラテン語で「北極星」を意味する「ポラリス」という言葉に由来しており、住宅産業界の中心に位置し、存在と活動が明日のあるべき住宅産業界の秩序形成の核となるとの思いが込められている。また、地域に密着し、家づくりの工程をすべて自社で手掛ける「一貫施工体制」を強みとした経営を特色としている。地域貢献にも力を入れており、「南越谷阿波踊り」の開催を全面支援するほか、サッカーJリーグ浦和レッズのトップパートナーにもなっている。
グッドデザイン賞は20年連続受賞。最近では2022年1月に竣工した「リーズン我孫子綴(つづり)のまち」が世界3大デザイン賞の一つである「iFデザインアワード 2023」を受賞(日本の戸建分譲住宅としては初の受賞)するなど、高いデザイン力が評価されている。

従業員(グループ全体):4,483名うち、女性1,528名(2023年6月21日現在)

人事部長 石田 茂(いしだしげる)さん

人事部人事課係長 千葉 恵子(ちばけいこ)さん

ポラスグループでは、女性活躍推進のベースとなる企業風土をつくり上げ、人材育成にも力を入れています。同社の取組から“インクルージョンの実現により、社員一人ひとりが活躍する職場”のヒントが見えてきます。

ホームページ:https://www.polus.co.jp/

長時間労働是正に本気で取り組み、生産性の高い働き方へ

当グループでは長時間労働を物理的に抑制するため、2015年度からパソコンの強制シャットダウンを導入し、利用時間を所定始業時刻の1時間前から所定終業時刻の2時間後までとしました。導入当初は「お客様との打ち合わせはどうするんだ」「業績が落ちてもいいのか」など反発もありましたが、評価制度も改定し、成果の総量のみで評価していたのを労働時間に対する成果で評価するようにしたことで、“決められた時間内に仕事を終わらせ、成果を出す”という働き方が定着してきました。

2023年度からは、さらに所定終業時刻の30分後に強制的にシャットダウンするまで時間を短縮しています。上司の許可が下りた場合に最大で所定終業時刻の2時間後まで使える、また定休日は上司の許可がないとパソコンを起動できないスキームに進化させました。

こうした取り組みにより育児短時間勤務の社員の評価や昇進、昇格時の不公平感が是正され、モチベーションや定着率の向上につながりました。

勤務時間内で生産性を上げる働き方は、仕事のやり方を根本から見直すことが必要であり、過去のやり方と決別するところまで踏み込んで対応してきました。

また、「仕事の見える化」も進め、業務フローやマニュアルなどを全部文書化して、根拠に基づいた仕事をすることで、全員同じ仕事がいつでもできる体制の構築を推進しています。ペーパーレス化やRPAの導入などを進めていますが、DX推進をどのように業務上で取り入れていくかが今後は課題だと思っています。

男性の育児休業取得率は78.1%、年次有給休暇の取得率は80%以上

当グループの男性の育児休業取得率ですが、2022年度は78.1%となり、平均取得日数は30.8日でした。政府は男性の育児休業取得率を2025年に50%に引き上げると表明していますが、すでに達成しており、当グループでは2023年度は85%、2024年度は  100%を目標に掲げています。

女性活躍推進には男性の理解が必要不可欠で、男性が家事や育児を当事者として行っていくことが大切ですが、個人の自主性だけに任せていても、実際に男性が育児休業を取得するのは難しいところもあります。2021年度は20.2%だった当グループの男性育休が、2022年度に78.1%まで伸びたのは、昨今の男性育休を取り巻く法改正もありますが、人事部で強力に後押しをしたからです。

昨年度、従業員が提出する出産報告書に育休取得予定欄を新設しましたが、取得予定が「無」となっている従業員がいた場合は人事課長がその上司に「育児休業を取れるようにしてください」と、個別に働きかけをしています。マネージャー職の社員に子供が生まれた場合は「マネージャーが率先して取らないと部下が取りにくいですよ」と説得することもあります。

「こんなに休まれたら、職場としてはきついな。」という上司の声もありましたが、従業員だけでなくご家族の満足度向上やこれから入社してくる若手社員のためにも、男性も育児休業を取得するのが当たり前の職場にしていかないといけないと考えております。また、社内報や社内イントラネットに育児休業を取得した男性社員の事例を取り上げることで、社内でも男性の育休取得がだいぶ浸透してきたと思います。

同様に、年次有給休暇についても、グループ全体で取得促進をしています。具体的には、賞与の部門評価において半期でメンバー各々が4日以上取得すると加点、最低3日取得しないと減点されるようになっています。GWや年末年始など長期休暇の前後に有休を取得するなども推奨しており、有給休暇取得率は、以前は50%前後であったのが、2022年度実績は84%となりました。

社員の子育てに関して「組織全体で子育てする」と話していた役員もいましたが、こうした風土を数年前から先駆けて築いてきたこともあり、社員の意識が徐々に変わってきたと感じています。産休育休に関わらず、何かあった時に、いつでも休みが取れる環境にしないと会社自体回らなくなってしまうし、優秀な人材確保もできなくなってくると考えています。

社員目線の、多様な働き方をかなえる人事制度

当グループは、改正労働契約法をきっかけに2016年より従来の正社員と準社員の雇用形態別の人事制度から、働き方や役割・職責の違いによりコースを定義した「コース別人事制度」を導入しました。

従来の正社員の新たなコースとして創設した「ダイバーシティコース」は、子育て、介護、病気療養や資格取得等のキャリアアップといった、その時のライフスタイルや自己実現に合わせて、時間や職務領域を限定して働くことが可能です。例えば週5日の出勤を週3日にしたり週の労働時間40時間を35時間に短縮したり等、柔軟な働き方が実現できることや社員が「この期間はダイバーシティコースで働こう、落ち着いたらプロフェッショナルコースに戻ろう」といった選択も可能で、安心して長く働けるセーフティネットになっていますし、会社側にとっても優秀な人材の定着や確保につながっていると考えています。

そのほか、法定を超える小学校4年生までの育児短時間勤務制度(時短勤務)の利用や時差出勤が可能です。コース別人事制度も含め、様々な働き方の選択肢がある、というのが重要だと思っています。

社員への投資、自律的なキャリア形成が企業価値を高める

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企業のさらなる成長には社員個々人によるリスキリングの習慣や創造性の発揮が不可欠であり、実務に直結する知識の取得や教養を広げるため、企業内大学である「ポラスアカデミー」による人材育成に力を入れています。欧米諸国の無形資産、特に「人的資産」への投資が大切だという考えに対して、日本は有形資産への投資のウエイトが高いと言われています。ただし、新しいアイディアやイノベーションを起こすことは、企業が生き残っていくには必要で、それを生み出すのは社員です。

「ポラスアカデミー」は現在、全社員向け、階層別を合わせると、全部で140を超える講座を開催しています。全社員向けの講座では、金融、マーケティング、建築、ITなど多岐にわたるテーマがあり、集合型、ハイブリット型等で実施しています。なお、講師には専門有資格者による社内講師や大学教授など社外講師が登壇しています。リスキリングというと、社員が勤務時間外に本人の意思で研鑽を積むイメージがありますが、「ポラスアカデミー」はあえて、勤務時間中に受講するようにしています。また、3年以内に修了を義務付ける必修科目と選択科目が設定されており、自ら選択して受講しています。イノベーションの源泉となる「知の探索」の場でもあり、学ぶ習慣の定着にもつながっていると思います。

また、自社による一流の大工を育成する取り組みとして「ポラス建築技術訓練校」を1987年に設立しています。建築施工系木造建築科(建築大工)と建築内装系インテリアサービス科(電気・内装工事)があり、高校卒の新入社員が給与をもらいながら伝統的な技術や知識を学ぶとともに、新しい技術や知識も取り入れ、家づくりの担い手として技を磨いています。2023年度は女性初の社員大工を採用しました。

当グループでは女性が少ないと言われていた建築現場の現場監督に、毎年、女性を配属しており、現在は約30名います。建築現場の大工や職人にとっても、女性の現場監督はだいぶ定着してきています。女性の現場監督が当たり前になってきたように、女性の大工も受け入れられるよう、今年入社した社員を大切に育成し、後に続く女性を育てていきたいと考えています。

訓練校を卒業した後も研鑽する日々は続き、全国の技能者が技を競い合う「技能五輪全国大会」や「技能グランプリ」に出場し多数の優れた成績を残しています。設計職は女性割合も高く、女性目線だからこそできるデザイン提案により、キッズデザイン賞を受賞するなど、活躍の場が増えています。

女性社員のキャリア形成、管理職としてのキャリア実現

男女問わず活躍できるよう、女性社員のキャリアアップ支援を行っております。現在は女性の係リーダーの育成を強化しており、女性リーダー比率が約20%になりました。リーダーの先に、管理職(マネージャー)、役員がありますが、各組織の中長期行動計画に女性管理職比率の目標を入れ、グループ全体で女性管理職の育成を進めています。

その他社内の女性活躍推進の文化を創造するため、社内イントラネットで人事部長と、活躍または奮闘している女性社員の対談を毎月掲載しております。子育てと両立している時短の管理職(マネージャー)やリーダー、また営業職や設計職、現場監督等様々な職種の女性や女性活躍推進に理解のある男性上司も紹介しています。

今後も年齢・性別関係なく、主体的に自らのキャリアを築いていく人材を育て、多様な人材が活躍できるインクルーシブな会社を目指していきます。

 

 

                                                         本社1 キャプションあり

                                                       

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