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掲載日:2021年7月20日
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不当労働行為救済申立事件の棄却命令について(埼労委平成30年(不)第4号不当労働行為救済申立事件)
~組合が会社に送付した文書は団体交渉申入れとは言えず、会社の対応は不当労働行為に当たらないなどとした事案~
埼玉県労働委員会(会長 青木孝明)は、令和3年7月20日、標記事件に係る命令書の写しを当事者に交付したのでお知らせします。その概要は次のとおりです。
労組ジーケーアイ(東京都品川区)
Y会社(東京都港区)
事業内容:輸送用機械器具製造業
平成30年12月27日
被申立人の行った以下の行為が不当労働行為に当たるとして申し立てられた。
➀ 組合員の労働災害などについて団体交渉の申入れをしたところ、これを拒否したこと
➁ 組合員を雇止めにしたこと
➂ 組合員に支払われた傷病手当金の問合せに対して説明していないこと
(4) 組合員が会社の健康管理センターで診察を受けた内容を確認するため、本件申立て後に、申入れを行ったところ、これを拒否し
たこと
(1) 組合文書「労災証明のお願い」について、会社が団体交渉申入書であると認識することは困難であったと言わざるを得ず、組合
が当該文書を送付しただけでは、団体交渉を申し入れたとは言えない。したがって、会社が団体交渉を拒否したとは言えない。
(2) 会社は、当該組合文書を受け取る前から、組合員の就労に係る意思などを確認し、同人が契約更新手続に何の連絡もなく出席し
なかったことから、最終的に雇用契約を更新しないことを決定したものであり、同人が組合員であること又は同人の組合活動の故
をもっての不利益取扱いであったとは認められない。
(3) 傷病手当金について、会社が組合員からの問合せに対し説明を拒んだ事実は認められず、組合員に対する不利益取扱いがあった
とは言えない。
(4) 会社が組合員からの申入れに回答しなかったことについては、本件申立ての審査手続において証拠を提示したことを理由とし
て、同人に対する不利益取扱いがあったとは認められない。
調査9回、審問2回。令和3年7月2日の公益委員会議で命令を決定。
※なお、本件命令に対して、申立人が、令和3年8月3日に、中央労働委員会へ再審査を申し立てた。
労働委員会とは、労働組合(労働者)と使用者との間の紛争を、中立・公正な立場で、迅速・円満に解決するために労働組合法に基づき設置された行政機関です。労働委員会では、労働組合等からの救済申立により不当労働行為の審査を行い、また、労働組合や労働者、使用者からの申請によりあっせんを行い、労使紛争の解決をサポートしています。
労働組合法第7条により禁止されている「使用者」の次の行為。
(1) 労働者が労働組合の組合員であることや労働組合が正当な行為をしたことなどを理由として、労働者を解雇したり、不利益な取
扱いをしたりすること。
(2) 雇用している労働者の代表者との団体交渉を正当な理由がなく拒否すること。
(3) 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配しこれに介入すること。また、労働組合の運営経費について経理上の援助
を与えること。
(4) 労働者が、労働委員会に対して、不当労働行為の救済を申し立てたことなどを理由として、労働者を解雇したり、不利益な取扱
いをしたりすること。
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