ページ番号:200222
掲載日:2021年6月30日
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不当労働行為救済申立事件の救済命令について(埼労委令和元年(不)第3号不当労働行為救済申立事件)
~団体交渉拒否が不当労働行為に該当するなどとした事案~
埼玉県労働委員会(会長 青木孝明)は、令和3年6月30日、標記事件に係る命令書の写しを当事者に交付したのでお知らせします。その概要は次のとおりです。
一般合同労働組合東京西部ユニオン(東京都杉並区)
Y法人(東京都新宿区)
事業内容:健康保険事業
令和元年11月13日
被申立人の行った以下の行為が不当労働行為に当たるとして申し立てられた。
➀ 被申立人の職員である組合員を雇止めにしたこと
➁ 組合員の雇用継続などを議題とする団体交渉の申入れを拒否したこと
➂ 組合に送付した文書において、組合の団体交渉態度等について「逆ハラスメントにあたる」と述べたこと
(1) 被申立人は、申立人からの令和元年7月26日付け第7回団体交渉申入書に係る議題のうち、組合員の雇止めについては、速やか
に、かつ、誠実に団体交渉に応じなければならない。
(2) 被申立人は、以下の不当労働行為を繰り返さない旨記載した文書を申立人に手交しなければならない。
➀ 令和元年7月26日付け第7回団体交渉申入書に係る議題のうち、組合員の雇止めについて、申入れを拒否したこと
(労組法第7条第2号該当)
➁ 平成30年12月10日付け文書において、組合の再反論書面及び団体交渉態度について「逆ハラスメントにあたる」と述べたこと
(同条第3号該当)
(1) 被申立人が、令和元年7月25日の第6回までの団体交渉において、組合員の雇止めの理由について同人の業務上の評価を示さ
ず、また、退職する 職員の後任の公募に関して何の説明もなく、人員計画を踏まえた判断である旨の説明を繰り返したことは、
誠実に団体交渉に当たっていたとは言えない。したがって、第7回団体交渉の申入れを拒否したことには正当な理由がない。
(2) 被申立人が、平成30年12月10日付けの文書において、組合の再反論書面や団体交渉態度について「逆ハラスメントにあたる」
と述べたことについては、組合への非難の感情がうかがえる。同文書は同月13日の第3回団体交渉の直前に組合へ送付したもので
あることから、団体交渉において組合を委縮させることを企図した支配介入であると認められる。
調査5回、審問3回。令和3年6月9日の公益委員会議で命令を決定。
※なお、本件命令に対して、申立人が令和3年7月12日に、被申立人が令和3年7月15日に中央労働委員会へ再審査を申し立てた。
※また、中央労働委員会は、令和5年3月27日、両当事者に対し、初審命令のうち上記命令要旨の(2)②を不当労働行為であると認定し、文書手交を命じ、その余の再審査申立てを棄却する旨の再審査命令書の写しを交付した。
労働委員会とは、労働組合(労働者)と使用者との間の紛争を、中立・公正な立場で、迅速・円満に解決するために労働組合法に基づき設置された行政機関です。労働委員会では、労働組合等からの救済申立により不当労働行為の審査を行い、また、労働組合や労働者、使用者からの申請によりあっせんを行い、労使紛争の解決をサポートしています。
労働組合法第7条により禁止されている「使用者」の次の行為。
(1) 労働者が労働組合の組合員であることや労働組合が正当な行為をしたことなどを理由として、労働者を解雇したり、不利益な取
扱いをしたりすること。
(2) 雇用している労働者の代表者との団体交渉を正当な理由がなく拒否すること。
(3) 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配しこれに介入すること。また、労働組合の運営経費について経理上の援助
を与えること。
(4) 労働者が、労働委員会に対して、不当労働行為の救済を申し立てたことなどを理由として、労働者を解雇したり、不利益な取扱
いをしたりすること。
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