埼玉県議会 モバイル部門 埼玉の「魅力」入選「実りの秋」

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掲載日:2026年10月17日

令和8年9月定例会 意見書

意見書・・・・次の14件です。

物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の算定方法の見直しを求める意見書 

物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(以下「重点支援地方交付金」という。)は、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細かに必要な事業を実施する取組に活用されている。
中東情勢が不透明な中、経済活動や住民の暮らしに支障が生じないよう、地方公共団体が行う特別高圧電力やLPガスの利用者への支援などに充てるため、令和8年度補正予算において重点支援地方交付金1,000億円が計上された。このうち、本県への配分額は23億6,000万円であったが、本年6月補正予算で実施した特別高圧電力料金及びLPガス利用者への支援には36億5,000万円を要しており、人口比に鑑みて十分な配分であったとは言い難い。
重点支援地方交付金の各都道府県の配分額は、人口、事業者数、物価上昇率、財政力指数等の指標を用いた算定方法によって決定されているが、財政力の高い団体は、補正係数によって配分額が減算される仕組みになっている。
エネルギー・食料品価格等の物価高は全国的な課題であることから、本来、国において統一的に対策を講ずるべきものであり、地方公共団体において国の対策を補完するなど一定の対策を求める場合は、地域の実情に応じて機動的に講ずることができるよう、財政力にとらわれず、地方公共団体に必要な額が配分されるよう計上すべきである。
よって、国においては、物価高の影響の長期化により対策を講ずる場合、国の対策を補完し地方公共団体が行う対策について適切な財源措置を講ずるとともに、財政措置を重点支援地方交付金等で行う場合には、その算定について、財政力指数による補正を行うことなく、地域の実情に応じた財政需要を十分に反映した上で、全ての地方公共団体が必要とする額を確保・配分するよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
内閣府特命担当大臣(地方創生)

様                                            

 

 地方税源の偏在是正を求める意見書 

地方税源は、社会保障費等財政需要の一層の増加が見込まれる中、地方公共団体が地域の課題に取り組み、実情に応じたきめ細かな行政サービスを安定的に提供する上で、最も重要な基盤であり、どの地方公共団体にも偏りなく存在することが求められる。
しかし、大企業の本社の東京都への集積、支店の統廃合、電子商取引やフランチャイズ事業の伸長、キャッシュレス決済の拡大、都市開発の進展等に伴う大幅な地価上昇等により、東京都に経済活動や税収が一層集中・拡大するという構造的な問題が生じている。特に、地方法人課税については、法人の事業活動の実態以上に本社所在地に税収が集中している。
令和6年度地方財政状況調査によると、財政構造の弾力性を判断する指標である経常収支比率は、都道府県の平均92.2%に対して、東京都は80.3%と突出して低く、自由に使える財源が潤沢な状況にある。また、地方公共団体が独自施策等に充てられる財源について、令和7年度における各都道府県の人口一人当たりの額を見ると、東京都が28万1,000円で、他道府県の平均である7万8,000円の約3.6倍である。さらに、普通交付税の算定における東京都の財源超過額は5年連続で増加し、令和8年度は初めて2兆円を超え、過去最高となっている。
財政力が高い東京都は、0歳児から2歳児の第1子に係る保育料の所得制限のない無償化、18歳以下の子に対する現金給付、昨年に続いて夏季4か月間の水道基本料金の無償化を実施するなど、独自の施策を行っている。
財政力格差の拡大によって、地方公共団体の政策選択の結果とは言えない行政サービスの地域間格差は、もはや看過し得ない水準にまで拡大している。財政力や行政サービスの地域間格差の拡大は、更なる東京一極集中や地域活力の低下を招き、ひいては我が国全体の活力や持続可能性の低下をもたらすおそれがある。地方公共団体間の財源の均衡化を図り、地域間格差をできる限り縮小していくことは、国の責務である。令和8年度与党税制改正大綱においても、新たに法人事業税資本割を特別法人事業税・譲与税の対象とするとともに、所得割・収入割に係る特別法人事業税・譲与税の割合を高めるなどの措置を検討し、令和9年度税制改正において結論を得ると明記された。
よって、国においては、令和8年度与党税制改正大綱に示された具体的な取組について、地方公共団体の意見を聴きながら早急に検討を進め、令和9年度税制改正の大綱において、地方法人課税が地域における事業活動の実態に応じて当該地域の税収となる税体系など、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築について明記するとともに、早急かつ確実に取り組むことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

様                                              

 地籍調査及び森林境界の明確化の強力な推進を求める意見書 

本県の森林は、県土面積の31%を占め、首都圏の水源地として豊かな水を供給するほか、地球温暖化の防止等の多面的機能を有し、県民の生活に欠かすことのできない大切な役割を果たしている。また、森林のうち50%は人工林であり、豊かな森林を将来に受け継いでいくためには、植えて育てるのみならず、木材の積極的な利用拡大を図る「活樹」を推進し、森林資源の循環利用を進める必要がある。
一方で、本県の人工林の82%は私有林であるが、その所有規模は、1ヘクタール以上を所有する林家の78%が5ヘクタール未満であるなど小規模となっている。そのため、効率的に森林資源の循環利用を進めるには、隣接する複数の所有者の森林を取りまとめて、伐採、造林、保育等の森林施業を一体的に実施する必要がある。しかし、森林所有者の森林への関心の低下や世代交代により、境界や所有者が不明となり、所有者から施業実施の同意を取得することが困難な森林の増加が懸念されている。
森林の集約化や整備のためには、まずは、市町村が実施する地籍調査や、森林境界の明確化によって、筆界や所有権界を明らかにすることが求められるが、現地測量や所有者の現地立会に係る負担が大きいという課題がある。加えて、地籍調査は、市町村において調査に係る予算や人員の確保が困難となっており、令和7年度末の林地における進捗率は、全国で47%、本県で19%にとどまっている。測量を効率的に実施するため、空中写真や航空レーザ計測等のリモートセンシングデータを活用した手法の導入なども行われているが、これら森林整備のための取組をより一層促進するには実効的かつ確実な国の取組が必要である。
よって、国においては、地籍調査及び森林境界の明確化を強力に推進するため、下記の措置を講ずるよう強く求める。

記

1 地籍調査について、本年6月に策定した「3ヶ年加速化施策パッケージ」に基づく実効性ある施策を進めるとともに、市町村に対して十分な財政的支援を行うこと。
2 森林境界の明確化について、「森林整備地域活動支援対策」に基づき、市町村、森林所有者、森林組合及び事業体等に対して更なる技術的・財政的支援を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
国土強靱化担当大臣

様                                     

 「防災庁」発足を見据えた地方自治体との連携強化及び防災体制の抜本的強化を求める意見書 

本年7月に防災庁設置法が成立し、平時の備えから発災時の対応、復旧・復興までを一貫して担う司令塔組織として「防災庁」の発足が目前に迫っている。
一方で、本年7月28日に発生した令和8年熊本地震では、猛暑期における大震災であったことから、停電や断水が続く中での避難生活や車中泊・在宅避難に伴う熱中症、脱水症状、エコノミークラス症候群などの健康リスクの急増、衛生的なトイレの不足、ガソリン・軽油等の燃油の供給制限、さらには自治体職員自らの被災によるマンパワー不足など、激甚化・複雑化する災害現場の課題が顕著となった。
今後想定される巨大地震や気象災害のリスクに対し、新たに発足する防災庁が現場のニーズに即した司令塔機能を最大限に発揮し、災害関連死や二次災害を防ぎ、国民の命と暮らしを守り抜くためには、国と地方自治体との連携強化及び支援体制の抜本的刷新が不可欠である。
よって、国においては、防災庁の発足を機に、近年の災害教訓を踏まえた実効性ある下記の措置を速やかに講ずるよう強く求める。

記

1 改正災害対策基本法の理念に基づき、災害発生初期から清潔な「トイレカー」の適所への迅速な配置及び下水道接続等の衛生環境維持を図ること。あわせて、移動式エアコン、簡易ベッド、温かい食事が提供できるキッチンカー等の確保・広域調達・迅速搬送体制を構築すること。
2 避難生活における熱中症、感染症、エコノミークラス症候群等による災害関連死の発生を防ぐため、災害派遣医療チーム(DMAT)や災害派遣精神医療チーム(DPAT)、災害派遣福祉チーム(DWAT)等を避難所のみならず、車中泊や在宅避難者へも早期かつ広域に派遣・巡回させる体制を整備すること。
3 マンパワー不足に直面する被災自治体を支援するため、災害マネジメント総括支援員(GADM)をはじめ、国・地方自治体・民間の支援を円滑につなぐコーディネート機能を担う職員を迅速に派遣・配置する仕組みを強化すること。
4 燃油不足による販売制限や長時間の給油待ちなどによる移動困難を解消するため、救急・復旧活動及び住民の避難・生活維持に不可欠なガソリン・軽油等の燃油を優先かつ迅速に配給できる緊急供給スキームを構築すること。
5 余震や降雨に伴う土砂災害、火山の溶岩ドーム崩落や表層剥離等による複合災害・二次災害を防ぐため、地殻変動・斜面変位等の監視体制を強化し、住民への迅速かつ分かりやすい情報提供と避難体制の強化を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
内閣府特命担当大臣(防災)
防災庁設置準備担当大臣
国土強靱化担当大臣

様                                                 

 太陽光発電設備の適正な導入と将来の廃棄対策等を求める意見書 

近年、2050年カーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電設備の導入が進んでいる。その一方で、2027年度以降は事業用の地上設置型設備が国の固定価格買取制度(FIT)・フィードインプレミアム制度(FIP)の新規分について支援対象外となる方針が示され、ペロブスカイト太陽電池などの新技術の社会実装に向けた取組や、FIT・FIP制度の対象外となる電力購入契約(PPA)方式の活用など、太陽光発電を取り巻く環境は大きな転換点を迎えている。
また、2030年代には、FIT初期に導入された設備が寿命を迎え、年間50万トンに上ると予測される太陽光パネルの大量廃棄時代が訪れることになる。現在、10キロワット以上の太陽光発電のFIT・FIP認定事業に対しては廃棄等費用積立制度が導入されているが、同制度は廃棄費用全額を賄うことを保証するものではなく、昨今の急激な物価高騰や人件費の上昇により、将来的に実際の撤去費用が積立金額を大幅に上回り、資金不足に伴う設備放置等が懸念される。加えて、活用が進むPPA等の非FIT・非FIP案件は「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」の枠組みから外れるため、同法に基づく地域住民への説明会開催や廃棄等費用の積立ての義務付けがなくなることになる。
一方、太陽光発電事業を行う事業者への指導については、国において「関係法令違反通報システム」が構築されたものの、国が把握している事業者の経営状況や現地調査結果等の情報が地方公共団体に共有されないなど、現場指導を行う上での情報共有の在り方にも課題が残されている。
このような制度的な不備や情報共有の不足によって、地方公共団体では適切な対処が困難になり、その結果として将来的に太陽光パネルの放置リスクが高まることが懸念される。これらの課題は地域の安全と生活環境を脅かすものであり、国が責任を持って早急に法的・制度的な対応を講ずることが不可欠である。
よって、国においては、太陽光発電設備の適正な導入と地域の安全確保とを両立するため、下記の措置を講ずるよう強く求める。

記

1 現行の廃棄等費用積立制度について、将来的な物価高騰や処理費用の増大によって積立金額が不足し、設備の不適切な取扱いが発生することを防ぐため、国として実効性のある対応策を講ずること。
2 PPA案件をはじめとする非FIT・非FIPの太陽光発電事業について、地域住民への説明会開催や廃棄等費用の積立てなど、FIT・FIP制度で義務付けられている事項を、地方公共団体の条例に委ねるのではなく、国が責任を持って法的に義務付けること。
3 「関係法令違反通報システム」等を通じ、地方公共団体からの情報提供を受け付けるだけでなく、国が把握した事業者の経営状況や現地調査結果などの情報を地方公共団体へ適時に共有・還元する仕組みを構築し、現場における指導・監督体制を実効性あるものとすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
経済産業大臣
環境大臣

様                                                               

 社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成の継続を求める意見書 

社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、社会福祉法人が経営する社会福祉施設等の職員の処遇改善により、職員の身分の安定を図り、もって社会福祉事業の振興に寄与することを目的としており、保育所や幼保連携型認定こども園などの社会福祉施設等(以下「保育所等」という。)の職員に係る退職手当金の支給に要する額の3分の2は、公費によって補助されている。
しかし、制度を取り巻く環境が大きく変容する中、保育所等に対する公費助成の在り方については国において検討が行われてきており、他の経営主体とのイコールフッティングの観点及びこども未来戦略(こども・子育て支援加速化プラン)に基づく保育人材確保の状況等を踏まえた検討を加え、今年度までに改めて結論を得ることとされている。
現在、国は「こども・子育て支援加速化プラン」の取組として、質の高い保育を安定的に提供できる体制の構築を進めている。こうした中で、社会福祉法人が経営する保育所等において、保育人材の確保や定着を進め、保育の質の向上を図るためには、職員が安心して働ける環境の整備が不可欠であり、本制度の公費助成の継続が必要である。
よって、国においては、社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成を継続することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策)
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

様                                             

 こどもの安全確保対策の強化を求める意見書 

高所からの転落や、車内への置き去り、浴槽や海・川等での溺水など、こどもの命に関わる事故が後を絶たない。国の統計によると、令和6年度における0歳から14歳のこどもの不慮の事故による死亡は約200件に上る。
自分自身で身の安全を確保できないこどもについては、保護者などのこどもと近い立場にある大人の見守りが重要であるが、心身の発達段階の途中にあるこどもの行動には予測が難しい面もあり、保護者等の注意や見守りのみに頼る安全確保には限界がある。そのため、国、地方公共団体、事業者、地域など、それぞれがこどもの安全確保についての役割を分かち合うとともに、例えば、建築基準法等で規定するバルコニー等の高さに関する基準の見直しなど、こどもの痛ましい事故を未然に防ぐ仕組みづくりが必要である。
よって、国においては、下記の措置を講ずるよう強く求める。

記

1 こどもの安全確保には社会全体での取組が必要であるとの広報・啓発をより一層行うこと。それぞれの立場でこどもの安全確保について役割を分かち合い、一人一人が行動できる気運の醸成を図ること。
2 住居、生活道路、公園等の遊び場など、こどもが過ごす環境や、こどもが触れる可能性のある製品等について、安全性に関する基準を見直し、必要な法整備等を進めるとともに、実効性を高めるための財政支援を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
内閣府特命担当大臣(こども政策)

様                                             

 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄に係る制度の見直しを求める意見書

国と都道府県では、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下「特措法」という。)、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」及び「新型インフルエンザ等対策政府行動計画ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に基づき、り患者の治療や、その他の医療対応に必要な抗インフルエンザウイルス薬を備蓄しており、これまで国と都道府県で4,500万人分を目標として備蓄が進められてきた。本県においても約102万人分を備蓄しており、備蓄を開始した平成18年度から累計の購入費は約56億3,000万円に上っている。
一方で、この備蓄薬は、新型インフルエンザ対策のため特措法に基づく措置を実施する場合に限り、治療薬の流通状況を踏まえて放出できることとなっており、使用機会が非常に限定的である。令和6年末に季節性インフルエンザの定点患者数が過去最高を記録し、一部の医療機関や薬局で治療薬の在庫不足が生じたことを受け、令和7年に、想定を超える季節性インフルエンザの流行時には、1,000万人を上限として抗インフルエンザウイルス備蓄薬を使用できるようガイドラインが改正されたが、活用は国の備蓄分に限られる。
また、有効期限が迫っても、医療機関や薬局への流通や返品はできないこととなっており、必要な量の買換えを行った上で、期限切れの備蓄薬は廃棄処分とすることを余儀なくされている。
こうした状況は全国で共通の課題である。本県議会は令和7年3月にも意見書を提出し、制度の見直しを求めたが、いまだ国において抜本的な改正は行われていない。抗インフルエンザウイルス薬の膨大な廃棄ロスと維持管理費を減らすべく、現行の備蓄制度を早急に見直すべきである。
よって、国においては、下記の措置を講ずるよう強く求める。
記
1 季節性インフルエンザについても備蓄薬をより弾力的に放出できるようにするとともに、期限切れを迎える薬は医療従事者の予防投与に積極的に使用するなど、備蓄薬を有効活用し廃棄処分となる量を減らす仕組みを導入すること。
2 感染症対策に係る諸外国の制度運用を踏まえ、適正な環境で保管されている抗インフルエンザウイルス薬の有効期間を延長するとともに、現行の全面的な物理備蓄を見直し、感染症流行時に指定日数以内に指定人数分を供給する契約を製薬会社や卸売業者と結ぶ契約備蓄の導入を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
感染症危機管理担当大臣

様                                             

 健康増進法における既存特定飲食提供施設に係る経過措置の見直し等を求める意見書 

改正健康増進法は、望まない受動喫煙の防止を目的として、令和2年4月に全面施行され、多数の者が利用する飲食店等を原則屋内禁煙とした。
しかしながら、既存特定飲食提供施設については、事業継続への配慮から経過措置として、全部又は一部の場所を喫煙可能室とすることができるとされ、施行から6年以上が経過した。
本年7月には、厚生労働省の受動喫煙対策専門委員会における「議論のとりまとめ」において、既存特定飲食提供施設について経過措置を更に3年程度継続する方向性が示されている。
このような経過措置の継続は、受動喫煙防止の取組を停滞させるとともに、法令を遵守し必要な設備投資を行ってきた事業者との公平性を損ない、制度の信頼性を低下させるおそれがある。
よって、国においては、望まない受動喫煙のない社会の実現及び事業者間の公平性の確保を図るため、下記の措置を講ずるよう強く要望する。

記

1 既存特定飲食提供施設に係る経過措置を計画的に見直し、終了期限を明確にすること。
2 経過措置の終了に当たっては、既存特定飲食提供施設の経営実態に配慮し、必要な周知及び設備整備等への十分な支援を講じ、円滑な制度移行を図ること。
3 指定たばこ(加熱式たばこ)の取扱いなど、他の例外規定についても、小規模飲食店等の経営実態に配慮を行いながら改正健康増進法の趣旨に沿った見直しを進め、受動喫煙防止対策の実効性及び事業者間の公平性を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣

様                                             

 中小企業の円滑な事業承継のための税制の整備を求める意見書

中小企業は、本県の企業数の99.8%、我が国全体でも99.7%を占めており、地域経済の発展を支えるとともに、幅広い地域活動に貢献するなど、重要な役割を果たしている。そのため、中小企業の円滑な事業承継に対する支援は、将来にわたって地域の雇用、産業、エッセンシャルサービスの供給等を守り、地域コミュニティを維持していくために不可欠なものと言える。
現在、国は、法人版事業承継税制において、中小企業の事業承継時に非上場会社の株式に係る贈与税及び相続税の納税を猶予し、後継者の死亡など一定の場合に免除を行う特例措置を、令和9年末までの時限的措置として行っている。しかし、申請の事務負担の大きさや、後に納税猶予が取り消されるリスクが障壁となり、経営者が積極的な投資に踏み切れず、制度が十分に活用されていないなどの課題がある。そのため、経済産業省の令和9年度税制改正要望には、事業承継を契機として経営改革を実現し、生産性向上等による「稼ぐ力」の強化に向けて主体的に取り組む企業を後押しする措置への抜本的な見直しが盛り込まれた。
また、事業承継時の納税額に係る非上場株式の評価は、現在、企業規模に応じて異なる評価方式によって行われている。しかし、評価方式によって評価額がかい離し、その結果として企業規模によって税負担に不公平が生じていることや、租税回避などが行われている現状から、企業の保有資産と収益獲得能力から評価額を算定する新たな評価方式への見直しが提示されている。
国は、新たな評価方式で、中小企業の5割超は評価額が減少すると試算しているが、日本商工会議所の試算では、地域を支える中核的な中小企業の評価額が大幅に上昇し、相続税負担額が数千万円から数億円規模で増加する事例もあるとしている。また、毎年の利益が株式評価の基礎となる資産に累積的に加算されるため、事業承継時の税負担は増加を続けることとなる。さらに、価値創造に向けた成長投資を行い、収益獲得能力を上昇させた企業ほど、評価額が上昇して税負担が重くなるため、中小企業、ひいては地域や我が国全体の経済成長を阻害することになりかねない。
事業承継税制や株式の評価方式の見直しによって事業承継時の税負担が増大すれば、中小企業の事業承継が阻害されて廃業が進むおそれがあり、地域経済の成長や地域コミュニティの維持に大きな影響が生じる。
よって、国においては、税制措置と株式の評価方式の両面から中小企業の事業承継を支援するため、下記の措置を一体的に講ずるよう強く求める。
記

1 事業承継税制の特例措置については、事業承継に悩む全ての中小企業が低コストで簡便に利用できるよう、納税の猶予・免除の在り方や評価減も含めて抜本的な見直しを行った上で、制度を恒久化すること。
2 企業規模による税負担の不公平や租税回避など、現在の評価方式から生じる問題への対応と、株式の評価体系全体の見直しとを区別して検討すること。検討に当たっては、中小企業の円滑な事業承継の観点から非上場株式の評価方式が見直されてきた事実を最大限尊重し、中小企業の円滑な事業承継に資する制度とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
経済産業大臣

様                                             

 八潮市道路陥没事故を踏まえた下水道施設の強靱化対策の推進及びインフラ事故被災者支援制度の確立等を求める意見書

令和7年1月28日、埼玉県八潮市の県道松戸草加線中央一丁目交差点において、中川流域下水道の老朽化した下水道管の破損に起因すると考えられる大規模な道路陥没事故が発生し、尊い人命が失われた。また、現場周辺では、長期の交通規制、硫化水素等による悪臭、復旧工事に伴う騒音・振動、住宅のゆがみやひび割れ、自動車部品や住宅設備の金属メッキ部品の腐食、健康不安など、住民生活と地域経済に深刻な影響が及んだ。
国は本事故を教訓に、令和8年7月、下水道法等の一部を改正する法律を成立させ、診断基準の法制化、維持管理状況の公表、管路の複線化、広域連携の推進、都道府県による復旧工事の代行制度の創設など、施設管理と事業基盤の強化を図った。これらは再発防止の観点から評価できるものである。
一方で、大規模下水道における点検・調査や改築・更新に関するガイドライン等は整備されつつあるものの、これらを実行・推進するための技術的課題はいまだ多く残されている。例えば、点検・調査における飛行型ドローン等の新技術導入は模索されているものの本格実施には至っておらず、改築・更新で広く普及している「管更生工法」は流速が速い場合や水位が高い場合には適用できないなど、効果的な手法がいまだ確立されていない。
また、下水道事業においては受益者負担を原則としているが、八潮市道路陥没事故のような事故の対応や大規模下水道における改築・更新には多額の費用を要するにもかかわらず、現行の制度や法改正ではこれらの費用負担の在り方について、十分な整理がなされていない。
さらに改正法では、事故の被害を受けた住民・事業者に対する補償や支援金、生活再建に関する規定は盛り込まれなかった。現行制度では、社会資本施設に起因すると思われる事故(インフラ事故)による周辺被害に対して迅速に対応する法的枠組みがなく、自然災害を対象とする被災者生活再建支援制度等も適用されないため、被害者は災害に匹敵する被害を受けながら、制度の谷間に置かれている。このため、以下の仕組みを構築していくことが必要である。
ひとつは被害者補償の法的根拠を明確化することである。下水道等のインフラ事故により周辺の住民・事業者に生じた生活上の支障、営業損失、建物・財産の損害、健康被害等について、施設管理者による補償の手続を法律に明記するとともに、補償の対象範囲、算定方法、手続期間等について国が統一的な基準を定め、悪臭・金属メッキ部品の腐食・医療費など実際の被害に応じて柔軟に救済できるようにすることが国の重要な責務である。
次に補償費用等に対する国の財政支援の法定化である。下水道が国の方針の下で国費も充当して整備されてきたことに鑑み、大規模事故から災害に移行した場合には補償費・支援金について国庫補助の対象とするなど、地方自治体及び下水道使用者の負担軽減を図る必要がある。さらには、損害額の確定を待たずに、被害者に対する見舞金を速やかに支給することで住民の安心・安全を確保することが不可欠である。
さらに、小規模な自治体であっても十分な補償が可能となるよう、国と地方公共団体が共同で拠出する補償基金又は賠償責任保険・共済制度(生活者支援制度)を創設し、住宅の補修・再建、一時的な転居、心のケア等の生活環境対策を包括的に行うことが極めて重要である。
全国の下水道管の老朽化が急速に進む中、同様の事故はどの地域でも起こり得る。国民の命と暮らしを守るため、持続可能で安全な下水道システムを構築し、事故が発生した施設の管理者の財政力や個別の判断に左右されることなく、迅速かつ公平に救済される仕組みを国の責任において整備することは急務である。
よって、国においては、今後の下水道法等の改正又は新たな立法措置等において、下記の事項を推進するよう強く求める。

記

1 全国的な道路陥没事故の未然防止と、持続可能で強靱な下水道システムの構築に向け、大規模下水道の点検・調査への飛行型ドローン等の新技術の本格導入や、流速が速く水位が高い環境下でも施工可能な改築・更新技術など、実用的な技術の高度化とその確立を速やかに進めること。
2 大規模な事故発生時に要する復旧費用や、多額の経費が見込まれる大規模下水道の改築・更新費用について、国による財政支援を拡充するとともに、これらの費用における受益者負担の在り方を整理し、必要な財政措置を講じること。
3 災害級のインフラ事故により住居や事業所・施設に甚大な被害を受けた被災者に対し、生活再建や事業継続を諦めることがないよう、国が主導して支援金(見舞金)等を支給する救済・支援スキーム(基金の創設等を含む)を構築すること。その際、被害の長期化に伴う困窮を防ぐため、申請手続の簡素化等による迅速な支給制度とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
内閣府特命担当大臣(防災)
国土強靱化担当大臣

様                                             

 所有者不明土地対策の強化を求める意見書

不動産登記簿等を参照しても所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡が付かない土地、いわゆる「所有者不明土地」は、公共事業や民間主体による開発事業の実施に際し、所有者の探索等に多大な時間と費用を要するなど、円滑な土地利用の支障となっている。今後、人口減少・超高齢社会が進展し、相続件数の増加が見込まれる中、更に深刻化するおそれのある所有者不明土地問題の解決は喫緊の課題である。
こうした状況において、国は、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(以下「特措法」という。)や「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(以下「相続土地国庫帰属法」という。)の制定、民法や不動産登記法、都市再開発法等の改正を行うとともに、「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」を設置し、本年6月には「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」を決定した。
このように制度が整備されてきたものの、制度の利用者負担や有効性の点から課題は残る。例えば、特措法に基づく地域福利増進事業は、所有者不明の土地に使用権を設定しようとする場合、所有者の探索や補償金の供託などの負担が生じる一方、使用期間が10年間又は20年間に限られ、費用対効果に係る課題が指摘されている。また、相続土地国庫帰属法では、管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して国庫帰属の承認要件が厳格に設定されており、申請を断念するケースがある。今後の運用状況に鑑みたこれらの制度の見直しによって、新たな所有者不明土地の発生を抑制するとともに、既にある所有者不明土地の利活用を促進して総数を減少させることが重要である。
よって、国においては、所有者不明土地対策を更に強化するため、下記の措置を講ずるよう強く求める。

記

1 所有者不明土地対策に係る各制度の利用状況を調査・検証し、要件の緩和等、より利用しやすい仕組みへの見直しや制度の拡充を検討すること。国庫帰属となった土地の適切な管理や有効活用のための取組を推進すること。
2 所有者不明土地の発生を抑制するため、創設及び見直しが行われた制度を中心に、所有者不明土地対策について更なる広報・啓発を行うとともに、土地の適正な利用・管理の妨げとなる未登記建物の解消に向けた新たな制度について検討を行うこと。
3 所有者不明土地の管理や有効活用を進めるため、地方公共団体、民間事業者や所有者不明土地利用円滑化等推進法人と連携した実効性ある取組を推進するとともに、十分な技術的・財政的支援を継続的に行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

様                                             

都道府県の高校教育改革に係る取組に対し柔軟な財政支援の仕組みの構築を求める意見書 

令和8年度から、高校生等の授業料に充てる高等学校等就学支援金制度が拡充され、いわゆる高校授業料無償化が開始された。これに併せ、公立高校や専門高校等への支援の拡充を図るため、交付金等の新たな財政支援の仕組みを構築することを前提に、「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」に沿った緊要性のある取組等について、都道府県に基金を造成して先行的に支援する「産業イノベーション人材育成等に資する高等学校等教育改革促進事業」が実施されている。
この事業は、グランドデザインで示す新しい学校のイメージを踏まえた教育改革を先導する拠点の創出を目的としており、国は、アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援、理数系人材育成支援、多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保の3つの類型に応じた取組を行う学校を支援するとしている。都道府県が拠点創出に係る基金造成のために国に補助金を申請する場合は、これら3つの類型全てについて改革先導拠点を設定し、事業計画を提出することが必要とされている。
2040年に向けて現在の高等学校教育が抱える課題には、全国的に共通する点があるものの、都道府県によって高等学校を取り巻く環境や抱える課題は様々であり、課題解決や教育改革に向けて整備すべき拠点は同質のものとは言えない。国の一律の基準に沿う学校を支援するのみではなく、都道府県がその地域ごとに強化する高等学校を支援することが、高等学校全体の教育改革に資すると言える。
よって、国においては、「産業イノベーション人材育成等に資する高等学校等教育改革促進事業」や、今後、交付金等の新たな財政支援の仕組みを構築して実施する高校教育改革に係る事業について、事業の実施主体となる都道府県が、その地域の実情に応じた教育改革を推進できるよう、都道府県の裁量を認める仕組みとするよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣

様                                             

 国際刑事裁判所(ICC)の独立性確保及び制裁措置への毅然とした対応を求める意見書

国際刑事裁判所(ICC)は、集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪等の、国際社会にとって最も重大な罪を犯した個人を訴追・処罰するために設立された常設の国際刑事法廷である。我が国は2007年の加盟以来、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を重視し、最大の分担金拠出国として、また裁判官の輩出等の人的貢献を通じて、一貫してその活動と独立性を支持してきた。
しかし、本年8月に新たに対象となった赤根智子所長をはじめとする幹部や職員が米国から制裁措置の対象に指定されていることに加え、10月にはICC本体もその対象に指定された。司法機関の独立性と公平性は法の支配の根幹であり、特定の国家や政治的立場からの制裁・威嚇によって裁判手続や司法権の行使が脅かされる事態は、国際社会が長年築き上げてきた法秩序の基盤を揺るがしかねない重大な懸念事項である。 平和と安全を重んじ、国際協調主義を掲げる我が国にとって、国際法の遵守及び国際司法機関の独立性を守ることは極めて重要な責務である。
よって、国においては、国際秩序の維持と法の支配を堅持する観点から、下記事項について国際社会及び関係国に強く働きかけるなど、積極的な外交努力を行うことを強く求める。

記

1 法の支配の堅持のため、国際社会において司法機関の独立性が尊重されるべきであることを明確にし、ICCの独立性と公平性を支持するメッセージを、多国間協議や国連の枠組みを通じて国際社会へ強く発信すること。
2 ICCに対する一方的な制裁措置が国際法秩序に与える重大な影響に鑑み、同盟国・友好国との緊密な対話の場を通じて、制裁等の見直しや自制を粘り強く働きかけること。
3 赤根所長をはじめ重責を担う関係者が、不当な圧力や職務上の制約を受けることなく安全かつ適正に公務を全うし、ICCがその機能を維持できるよう、締約国と連携し、ICC関係者の保護のため必要な外交的・実務的支援を講じること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和8年10月16日

埼玉県議会議長 荒木 裕介

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣

様                                             

 

  • 注意:議員の氏名の一部にJIS規格第1・2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

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