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掲載日:2023年12月18日
Q 美田宗亮 議員(自民)
海外留学をする若者の減少傾向を受け、本県では平成23年度から平成28年度までの間、10億円を出資し埼玉県グローバル人材育成基金を設置しました。そして、この基金を活用した「埼玉発世界行き」奨学金により、全国の自治体の中でもトップクラスともいえる若者の留学支援を行ってきました。その後、県基金の設置期間が終了し新たな展開を図るため、平成29年度に県が3億円の補助を行い、公益財団法人埼玉県国際交流協会に埼玉グローバル人材活躍基金を設置しています。また、企業、団体、個人がスポンサーのオーダーメイド型奨学金、いわゆる冠奨学金も継続して設けており、官民連携で若者の留学支援を行っています。こうした取組により、平成23年度から令和元年度までで2,008人もの若者が71の国々で視野を広げ、国際感覚を身に付けています。
埼玉から世界を舞台に活躍する人材を育成するということは、政治が担うべき重要なテーマであり、今後も継続して効果を上げられることを期待し、以下について、県民生活部長にお伺いいたします。
この事業については、本年9月定例会での人材育成・文化・スポーツ振興特別委員会における質疑で明らかとなりましたが、県では渡航人数2,008人に対して留学後の追跡調査をアンケートで行い、回答したのは約3割、599人しかいませんでした。また、アンケートに回答した599人のうち就職したのは335人、そのうち県内企業への就職は30人とのことです。ということは、支援した2,008人のうち6人に1人しか働いていないということになりかねません。県内での就職者に至っては、67人に1人の割合です。
グローバルな人材育成が目的なので必ずしも県内に就職することもないのかもしれませんが、県民の税金で行っている事業であるからには、県内に何かしらの還元がなくてはなりません。学生への講演やアドバイスをしてもらったにしても、それを学生がどう受け止め育ったのか、具体的な成果を継続的に求めるべきです。
そこで、質問ですが、まず調査方法の改善、次に明確な目標設定と県への還元、また基金の見通しと今後の事業展開、この三点についてお答えください。
A 山野均 県民生活部長
県では大きな夢を描いて世界へ羽ばたく埼玉の若者を支援するため、平成23年度から「埼玉発世界行き」奨学金を設け、留学を後押ししてまいりました。
制度創設以来9年間の奨学生、2,008人全ての者に対して毎年度、現況調査を実施しております。
本年9月の定例県議会の人材育成・文化・スポーツ振興特別委員会での御指摘を踏まえ、未回答の奨学生に対して、郵便や電話などで繰り返し回答を求めたところ、現在まで1,126人から回答を得ました。
現況調査は、奨学金の成果を測る重要な資料となりますので、引き続き、様々な手法を講じて回答を求めるとともに、新たに選考された奨学生には現況調査への協力の義務付けを明確にし、徹底してまいります。
次に、明確な目標設定と県への還元についてです。
「埼玉発世界行き」という奨学金の名称が示すとおり、一人でも多くの若者にグローバルな舞台で活躍していただくことが大きな目標です。
奨学生の中には留学後、WHO世界保健機関やILO国際労働機関などで活躍する人材、アメリカのコロンビア大学の付属病院で最先端の医療に携わっている人材などがいらっしゃいます。
こうした方々の活躍によって埼玉の名を世界で高めていただければ、それが有形、無形で県への還元となります。
また一方、国際機関等での活躍だけではなく、県内にも留学で培った国際経験を生かせる場が多くございます。
現在、埼玉りそな銀行やJAさいたまの他、グローバルにビジネスを展開する県内企業でも御活躍をいただいており、これも埼玉県への重要な還元ととらえております。
さらに、国の内外で郷土の先輩がグローバルに活躍する姿は、埼玉の子供たちに将来への夢と希望を与えてくれています。これも貴重な還元であるととらえております。
今回の現況調査で判明した1,126人のうち、現在も勉学を続けていらっしゃる方は350人、就労している方は704人、このうち67人が県内で働いていらっしゃいます。
県としては、今後、県内企業と奨学生を結びつけるインターンシップや就職面接会を開催する他、世界規模で活動する県内企業の魅力を発信し、一人でも多くの奨学生が県内企業を知り、就職の機会に繋げるよう取り組んでまいります。
次に、基金の見通しと今後の奨学金事業の展開についてです。
「埼玉発世界行き」奨学金は、埼玉グローバル人材活躍基金約3億円を活用したもので、令和元年度末時点では約2.4億円にまで減少しております。
奨学金事業を安定的に継続するため、平成29年度には企業や個人から広く資金を集める「冠奨学金」を創設いたしました。
これは留学の目的、例えば「水問題の解決」であるとか「モビリティ技術の革新」であるなど企業が自ら業務と関連する留学目的を設定し、それに応じた研究を行う若者にその企業の資金で奨学金を寄附するものでございます。
令和元年度は21の企業などから3,632万円の資金をいただき、61人の若者に奨学金として支給しました。
この冠奨学金は、民間資金の活用と県内企業の社会貢献に資するとともに、県内企業と奨学生の繋がりを生み、県内への就職を促進する効果も期待できます。
今後とも、このような奨学生と民間と行政のWIN WIN WINの関係をしっかりと構築し、若者の世界への夢を育ててまいります。
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