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掲載日:2024年1月10日

令和2年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(美田宗亮議員)

優秀な人材の確保について

Q  美田宗亮  議員(自民)

本年2月定例会の代表質問において、我が会派の小島信昭議員が「職員の適正規模と確保策について」の質問を行いました。その中で、知事からは「増大する行政需要に対応した適切な職員定数の管理に取り組んでいく。埼玉県職員としての業務のやりがいを積極的にPRし、優秀な職員の確保に努めていく」との答弁がありました。前知事が掲げた最小最強の県庁といった数字ありきの前例にとらわれることなく、必要なところに必要な人員を配置していく姿勢は、多様化、高度化する行政運営を行う上で非常に大切であると考えます。実際、今年度の職員採用上級試験等では、一般行政職の採用予定数が前年度の149人から193人に、また、全体でも前年度の300人から359人と大幅に増えており、そうしたあしき前例にとらわれない知事の姿勢は数字でも見てとれます。
しかし、一方で同採用試験の結果を見ると、知事の掲げる優秀な職員の確保という点ではやや疑問に感じています。例えば先ほど例に出した一般行政職では、採用予定者数を大幅に増やしたにもかかわらず、受験者数はほぼ昨年度と同数であり、最終合格倍率は3.8倍と平成に入ってから過去最低の倍率となっています。また、技術系職種や免許資格系職種を見てみると、例えば建築職では21人の1次受験者に対し、1次合格者は同数の21人。また、今まさにコロナ禍でこれまで以上の補強が求められている保健師職も、26人の受験者に対し1次合格者は同数の26人と受験者全員が1次試験を通過しており、言うなれば1次試験で全くふるいにかけられていない、その体をなしていないのが現状であります。
この1次試験は、教養試験、専門試験といった公務員として必要な一般知識及び知能、そして職種に応じた専門的知識の能力をはかるためにも大変重要な試験科目であると認識しておりますが、この結果を見ると、その能力実証は実質行われていないと言わざるを得ません。これで知事のおっしゃる優秀な職員の確保が本当にできるのでしょうか。もちろん2次試験では、面接や論文試験など様々な視点で評価がなされているとは理解していますが、やはり20年、30年先の埼玉県の未来を背負っていく人材には、一定の教養、専門知識を有してもらいたいと考えております。
そこで、建築職や保健師職のような1次試験受験者数イコール1次合格者数となっている、実質1次試験の体をなしていない職種については、どのように公務員として必要な一般知識及び知能、そして職種に応じた専門的知識の能力がはかられているのでしょうか。人事委員会委員長にお伺いいたします。
また、本年度の職員採用上級試験等の最終合格発表を見て、次に感じたことは、これで本当に必要な職員数が確保できるのかでした。特に技術系・免許資格職で顕著でありますが、例えば総合土木職では採用予定者数41人に対し最終合格者数が37人、また獣医師職は採用予定者数15人に対して最終合格者数が12人となっております。ここでは二つの職種を例に挙げましたが、幾つかの技術系・免許資格系での職種でこれに近い傾向が見られます。
採用予定者数は県職員の欠員や定数の増減等を見込んで算出されていると承知しておりますが、合格発表の段階で既にその人数を満たしておらず、ましてやこれに辞退者が出た場合、さらに採用まで結び付く人は大幅に減ってしまうことが見込まれます。人材を確保するという観点でも非常に危惧しております。
そこで、こうした今年度の職員採用上級試験等の結果を受け、知事はどのような危機感を持ち、また、質・量ともに優秀な職員の確保に向け、今後どのような取組を行っていくのかお伺いいたします。
また、今回の採用試験の結果を受け、特に総合土木職をはじめとした技術系・免許資格系の職種で欠員が生じることが危惧されますが、そうした事態は起きていないのか、また起きてしまうおそれはないのか、併せて総務部長にお伺いいたします。

A  大野元裕  知事

今年度の職員採用上級試験等の結果を受け、どのような危機感を持っているのかについてでございます。
地方公共団体の職員採用試験の受験者数は、ここ数年、民間企業の採用意欲が高かったことなどから、全国的に減少傾向となっています。
特に、議員御指摘の技術系職種や免許資格職において、その傾向が顕著になっております。
本県においても、同様の傾向にあり、今年度の職員採用試験における最終合格倍率が過去10年で最低であったことは、大変憂慮しているところでございます。
次に、質、量ともに優秀な職員の確保に向けた今後の取組についてでございます。
質・量ともに優秀な人材を確保するためには、まず、多くの方に職員採用試験を受験していただく必要があると考えます。
そのためには、本県の魅力や県庁での仕事のやりがいを第一に広く知っていただくことが重要です。
本県には充実した鉄道網や高速道路網など「交通の要衝」として都市の賑わいと便利さを併せもつ魅力があります。
また、日本を代表する荒川や利根川などの豊かな河川、秩父の美しい山並み、見沼田んぼや武蔵野の

木林

 

など自然も豊かです。一方、今後、本県は本格的な人口減少局面を迎え、急激な高齢化の進行など、社会の大きな変化に直面しています。
また、新型コロナウイルス感染症など、誰も体験したことがない課題への対応も求められています。
県職員は、こうした社会の変化や危機管理に対応し、「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現に向け、ワンチームとなって意欲的に取り組んでいます。
就職を希望される方には是非、本県の魅力や、こうした職員の姿を知っていただき、本県で働くことのやりがいを感じていただきたいと考えています。
また、同様に、県庁を魅力的な職場にするためには、働き方も大きく変化させる必要があると考えます。
DXを推進し、テレワークを活用することなどにより、誰もが働きやすい職場環境をつくらなければなりません。
さらに、男女を問わず、職員一人ひとりが自らの能力を最大限に発揮できるようにすることも重要です。
そのためには、幹部職員の意識も変えなければなりません。
先日、私から職員に対して、働きやすい職場をつくるためには、職員一人ひとりの意識を変えていくことが必要であるとのメッセージを出させていただきました。
これを受け、副知事と各部局長が、自らが率先して取り組むための女性活躍「働きやすい職場づくり宣言」を行いました。
「日本一働きやすい県庁」とすることが優秀な人材の確保につながり、ひいては、「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現につながるのではないかと思います。
今後も、本県の魅力や仕事のやりがいを広く知っていただき、そして働きやすい職場に変えていくことで、優秀な職員を確保したいと考えています。

 

A  武笠正男  人事委員会委員長

 

建築職や保健師職などの1次試験に関する点についてお答えを申し上げます。
建築職の1次試験では、教養試験と専門試験による一般方式と、専門試験のみで行う新方式試験を実施しております。
教養試験は、社会人及び公務員として通常具備すべき一般的知識、知的能力などを測る目的で実施しております。
専門試験では、職種に応じた専門的知識を有しているか否かを判定しております。
いずれの試験においても、人事委員会では、あらかじめ一定の基準を設定しており、採用予定者数に関わらず、一定の能力基準に達していない者については不合格としています。
保健師職の1次試験は、教養試験のみを実施しております。
保健師職では、国家試験による免許を要件としていることで、専門的知識や技術のあることが確認できることから教養試験のみとしています。
保健師職についても、人事委員会で設定した教養試験の基準に達していない者については、採用予定者数に関わらず不合格としています。
1次試験の受験者と合格者の数は同数でしたが、一定の基準を満たした者を合格者としていますので、公務員としての必要な知識や能力は測られていると判断しております。

 

A  北島通次  総務部長

 

総合土木職などの技術系職種や保健師などの免許資格職は、他の自治体や民間でも必要性が高まっており、優秀な職員を採用するための十分な受験者数の確保がここ数年難しくなっております。
こうした状況の中、県では、様々な人材を幅広く受け入れるため、採用方法の多様化を図ってまいりました。
当初は一般行政職のみを対象としていた年齢制限を廃した経験者試験について、平成23年度に総合土木職と設備職を、平成26年度には建築職を、令和元年度に農業職をその対象に加えました。
また、児童相談所の体制を強化するため、これまでの福祉職に加え、新たに児童福祉司を配置し、採用を進めているところです。
さらに、新型コロナウイルス感染症への対応に当たり、その役割が非常に大きくなっている保健師については、今年度新たに追加の採用試験を行うこととしたところでございます。
最終合格発表後の辞退防止のため、合格者に対し、先進的な事業に取り組む先輩職員から、事業の魅力を伝える業務説明会なども行っております。
一方、こうした取組にも関わらず、議員御指摘のとおり、現在、例えば総合土木職で4名など、技術系職種、免許資格職ともに若干の欠員が生じている状況がございます。
欠員につきましては、業務に支障が生じないよう、再任用職員の活用や外郭団体への職員派遣を改めて精査することなどにより対応しているところでございます。
併せて、事務職員でも対応が可能な業務を切り出すことにより、技術系職種や免許資格職などの専門職が、本来の専門的な業務に専念できる環境づくりにも努めております。
今後とも、技術系職員による母校などの養成機関への働きかけや、若者が利用しているSNSへの発信を強化することなどにより、受験者の増加策に取り組んでまいります。

 

再Q  美田宗亮  議員(自民)

 

先ほど私の質問の要点が、技術系、免許資格系の職種で欠員が生じることがないのか、そうした事態が起きていないのか、又は起きてしまうおそれはないのかというところが一番聞きたいところでした。
人員がちょっと不足しているですとか、そのために再任用だとか、外郭団体のほうから応援をもらってというような言及があったと思うんですけれども、こうした日進月歩の技術を扱う人材ですから、人生の中での労働時間を延ばすとか、いろんなところから応援をもらうというのもそれはそれでいいんですけれども、やっぱり人材の新たな雇用で循環していかなければならないという観点が必要だと思っております。
先ほどはあまり細かくは申し上げなかったんですけれども、総合土木職で今年度が採用予定数41人、最終合格者37人、その差4人ですね。それで、辞退者が更に7人いるんです。昨年度は採用の予定が35人、最終合格が35人、辞退者が13人。おととしが採用予定45人、最終合格45人、辞退が6人。だから、やっぱり辞退する方がかなり出てきてしまいます。
というところで、知事にも先ほどお伺いしたとおり、やっぱり若い人を引きつける新たな魅力というのも、しっかりアピールしていかなければいけないんですけれども、現場の責任者の部長としてこうした職員の欠員が現在起きてしまっているのか。また、そういう場合に新たな循環というか、若い方をどんどん採用してやっていく手だてを考えていかなければいけないと思いますけれども、その点についてもう一度、御答弁いただきたいと思います。

 

再A  北島通次  総務部長

 

議員からは、日進月歩の技術を扱う職員には、新たな雇用がどうしても必要になるという御指摘を頂戴しました。
その前に、辞退者が多いという御指摘もいただきましたが、それにつきましては、先ほどの答弁のとおり、合格を出した後に、研修会や、先輩職員からの説明会などを繰り返し行いまして、埼玉県の魅力、それから仕事のやりがいというのを伝えながら、離さないという努力をしているところでございます。
議員からは欠員に対する対応についてのお話を頂戴しております。県政運営を円滑にするためには業務の量や内容に対してきちんと職員が配置される必要があるということは、御指摘のとおりだと思います。
欠員が生じてしまった場合には、さきほども答弁申し上げましたとおり、まずは、技術職や免許資格職が本来の専門的な技術、業務に専念できるように、事務職員でも可能な業務を切り出すと、こうした作業によって現在対応をしているところでございます。
もとより議員御指摘のとおり、新たに職員をどんどん入れていくということはとても大切なことですので、さきほど答弁させていただきましたような努力を行いながら、必要な職員数を確保して参りたいと存じます。

 

 

 

 

 

 

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

 

 

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