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ページ番号:132807
掲載日:2023年5月2日
Q 新井 豪議員(自民)
現在、埼玉県内には13市、1つの町、13組合の合計27の消防本部が存在しています。地震、洪水、大雪といった災害が大規模化するなど、消防に関する環境は大きく変化している中、10年前と比べて県内27の消防本部の消防サービスや対応力に格差が生じているという現場の声を聞きました。つまり、広域化された消防本部と単独で小規模の消防本部との力の差が著しくなっているということであります。
27の消防本部のうち、管轄人口が30万人以上の本部が8つ、30万人未満10万人以上の本部が13、そして管轄人口10万人未満の小規模の本部が6つ存在しております。小規模な消防本部においては、出動体制、保有する消防車両、専門要員の確保などに限界があり、運営面等で厳しさが指摘されることがあるなど、懸念が示されております。特に、西部地域や北部地域では人口減少により財政的にも厳しく、人口増加が見込める地域との格差が顕著に現れているのです。これを克服するためにも、消防の広域化を図り、組織を大きくして消防力を強化することが埼玉県内のみならず、全国の消防体制の喫緊の課題となっているのであります。
消防の広域化は、住民にとっても大きなメリットがあります。まず、消防本部の規模が大きくなり、本部全体が保有する車両や機材が増えることから、出動体制が充実します。そして、統一された指揮指令の下で迅速かつ効率的な災害対応が可能となる効果も生まれます。また、総務部門や通信指令部門が統合され、消火や救急部門に人員を再配置することができ、不足している現場体制の強化も可能になります。また、管轄地域が拡大することにより、地理的に広い枠の中で、より需要に応じた消防署や分署の適正な配置ができるようになります。
総務省消防庁は、平成18年に市町村の消防の広域化に関する基本指針を告示し、それに従い、全国の都道府県が消防広域化推進計画を策定しました。当初は、平成24年度末までに広域化を実現する計画でしたが、この期限が数回延長され、この4月の改定では期限が平成36年度までとなったのであります。消防庁は当初、本部ごとの管轄人口を30万人以上とする目標を掲げていましたが、本部の設置場所や財政負担をめぐる調整が難航している地域が多く、期限延長に踏み切ったという背景があります。今でも、全国に約730ある本部のうち、その6割が管轄人口10万人未満の小規模な消防本部のままとなっています。この再編が進んでいない状況において、総務省消防庁は今後10年後の消防体制や広域化の進め方を再検討するよう都道府県に要請をしたのであります。
そこで、まず質問します。国からこのような要請を受け、広域化に対する県のリーダーシップは強化されるのか。広域化の進め方が今までとどのように変わるのか。加えて、これまで地域によって広域化が進んでいない原因をどのように分析しているのかを危機管理防災部長にお伺いいたします。
また、広域化による消防力強化の実現は、本部統合の問題だけではありません。指令業務の共同運用についても検討すべき課題であると認識しています。
私たちが119番に通報すると、その最寄りの消防本部に接続され、その通報を受けた消防本部が救急車や消防車を出動させます。埼玉県では、ほとんどの消防本部がこのような指令業務を単独で行っておりますが、この関東地方ではこの指令業務を共同で行う共同指令センターの設置が進んでいる県が複数あります。
例えば、千葉県では一部の市を除き、県内2か所の共同指令センターで県内全体の119番通報を受けるようになっております。この共同指令センター設置のメリットは、指令業務の統合による現場対応の人員確保だけではありません。複数の消防本部の災害情報の共有が可能となり、同時発生の火災や大規模災害などに対して迅速な相互応援体制が確保できるようになります。また、市や町の境界付近で発生した火災に、現場到着時間の短縮が図れた実例もあります。
さらに、共同で施設や機器の整備をすることで、単独の消防本部では整備が難しい最新の情報通信機器の導入が可能になるというメリットもあります。千葉県では、この共同運用により整備費を6割も削減できたとのことです。
現在、埼玉県では、27の消防本部のうち指令業務を2つの本部で共同運用しているのが3組6本部ありますが、ほかの21本部はそれぞれが単独で指令センターを運用しているという現状です。各地域の消防本部の広域化に先駆け、この埼玉県において高機能指令センターの設置と、その広域共同運用が必要であると考えますが、併せて危機管理防災部長に御所見をお伺いいたします。
A 槍田義之 危機管理防災部長
まず、広域化に対する県のリーダーシップは強化されるのかについてでございます。
県では、平成20年3月に埼玉県消防広域化推進計画を策定して以降、地域ごとに連絡会議を開催し、広域化のメリットについて丁寧に説明を行ってまいりました。
特に広域化に前向きな地域については、重点地域に指定し、協議会の運営経費を補助するとともに、協議会の場に県職員も同席して積極的に助言を行ってきたところです。
その結果、計画策定当時36あった消防本部が現在は27と、25%減少しています。この間、全国では807の消防本部が728と約10%の減少にとどまっていますので、全国的に見れば、埼玉県の広域化は進んでいるといえます。
本県のこのような積極的な推進方法については、国からも高い評価を得ており、今後もこれまでどおり県がリーダーシップを発揮し、広域化を進めてまいります。
次に、広域化の進め方が今までとどう変わるのかについてでございます。
今年度、第3次となる消防広域化推進計画を策定しますが、今回の消防広域化推進計画の策定にあたっての進め方の特徴は、市町村にまず現状をしっかりと認識していただくという点です。そのために、現在、消防力カードという、いわば自己評価表を各市町村に作成してもらっています。
このカードを作成することによって、現状を自ら分析し、今後10年間を見据えて消防体制は大丈夫なのか考えていただく。そこから計画作成を行うということが今回の進め方の特徴といえるかと思います。
次に、これまで地域によって広域化が進んでいない原因をどのように分析しているのかについてでございます。
広域化が進んでいない原因としては、地域とのつながりが薄れるのではないか、財政負担が増えるのではないか、といった声があります。
昨年度、各消防本部に対し広域化についてアンケートを実施したところ、「将来的には広域化が必要かもしれないが現時点では運営上支障ない。」との回答が最も多く、現状に特に問題を感じていない本部が多いことが分かりました。
しかし、糸魚川火災などの大規模火災、近年激甚化する豪雨災害に加え、首都直下地震の発生も懸念されています。
市町村や消防本部の幹部の皆様には、この機会に、そうした大規模災害を見据え、また毎年増加の一途をたどる救急搬送なども念頭に現在の体制で対応できるのか、改めて考えていただければと思います。
次に、「高機能指令センター」の設置と広域共同運用の必要性についてです。
議員御指摘のとおり、高機能消防指令センターの共同運用は、消防広域化につながる効果が大きいと思います。
そこで、計画策定に当たっては、指令センターの設置及び指令の共同運用についても十分に検討してまいりたいと考えております。
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