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掲載日:2025年4月22日

令和6年度研究課題(大気環境担当 R5 低沸点HFCsの分析法開発と大気観測への応用)

(大気環境担当:市川、佐坂、松本、長谷川、村田)

HFCs(ハイドロフルオロカーボン、代替フロン)は、オゾン層破壊物質(ODS)であるCFCs(クロロフルオロカーボン)およびHCFCs(ハイドロクロロフルオロカーボン)の段階的廃止後に、冷凍、電子部品の洗浄、潤滑油のキャリア化合物などの用途に適した産業用代替物として開発・普及した。
日本では2019年から規制が開始されたものの、既に多くのHFCs充填機器が市場に流通しており、今後、それら機器の廃棄が行われていく。機器廃棄時のフロン回収率は10年以上3割程度で推移(直近でも4割弱)している。未回収分の多くは環境中へ排出・漏洩し、地球温暖化の進行に大きく関与していると懸念されることから、HFCs排出・漏洩状況を監視するためにも大気中HFCsの観測を強化する必要がある。しかしながら、HFCsの多くは低沸点化合物で測定困難であることから、国内外の既往研究ではカスタマイズされた特殊装置を持つ研究機関のみで測定が行われている以上の研究背景に基づき、本研究では大気中HFCsの実態把握と排出・漏洩を見据えた監視体制を準備するため、低沸点HFCs多成分同時分析法の開発を目的とした。
2024年1月~3月の期間における県内複数地点で採取した実大気試料を試験的に本分析法で測定したところ、良好にHFCs成分を定量することができた。本研究成果は、時・空間的に観測事例の少ない大気中HFCsの観測を強化することによって、排出・漏洩状況の実態が把握でき、今後の温室効果ガス対策やフロン排出抑制対策に資することができる。

《研究の概要》(PDF:307KB)

令和6年度研究審査会コメント

  • 測定法の開発は高く評価される内容である。同様に一般局である加須と熊谷を比較すると熊谷の方が圧倒的に高くなっているが、こうした原因も明らかになるとより県内での分布の原因も明瞭になる。これまで行われてきている、他の排気物質の傾向との比較による分析も可能なようである。
  • 有用性が非常に明確な分析技術開発といえる。今後の展開として、英語論文発表、国内自治体との技術共有に取り組むこと示されており、さらに価値が高まることが期待できる。
  • 有害VOCs成分の常時監視測定を応用して同時にHFCs成分の測定を可能とする大変有意義な研究で、十分な成果が得られている。本手法の普及を期待します。
  • 温暖化効果の高い化学物質のうち特に計測上課題の大きい物質群に関して、学術的実務的両面で、高い成果をあげられている。また大変、実用的な検討で県の環境保全に貢献できる。分析方法の普及を期待したい。

 

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

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