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掲載日:2025年4月22日

令和5年度終了研究課題(自然環境担当 R3~5 埼玉県内河川で高い大腸菌数を示す地点の傾向とその原因究明)

(水環境担当:渡邊、池田、見島、木持、田中、土壌・地下水・地盤担当:柿本、研究推進室:宮﨑)

環境水中の病原微生物は、人が水に接することで感染する恐れがあり、そのリスク管理は重要な課題である。それら病原微生物の主な発生源は、人畜(温血動物)のふん便である。これまで長きにわたり、ふん便汚染指標は、大腸菌群数として表されてきた。公共用水域水質常時監視では、大腸菌群数は BGLB最確数法(BGLB法)により求められる。しかし、BGLB 法では、測定方法の原理上、ふん便汚染に全く関係の無い一部の水中や土壌に生息している細菌も同時に大腸菌群として検出されてしまうため、ふん便汚染の実態を過大評価しているという問題点が指摘されている。近年、より直接的なふん便汚染の指標となる大腸菌数を簡便かつ迅速に測定することができる、特定酵素基質寒天培地法が考案された。このような測定技術の進歩を基に、令和4年度から、大腸菌数が新たなふん便汚染の指標(衛生指標)として環境基準項目に加えられた。今後、環境基準値を超過した地点については、行政による負荷削減対策が求められる。そこで本研究では、県内の大腸菌数の環境基準超過地点の特徴を明らかにし、さらにその上流域の大腸菌数を詳細に調査することで、汚濁負荷原因を特定し、負荷削減対策のための基盤情報を収集することを目的とした。

令和3~5年度の3年間で、環境基準超過地点の上流域を詳細に調査したが(合計190試料)、特定の汚濁負荷源が見られた地点はほとんどなく、上流域に民家が存在すると、A類型の基準値である300CFU/100mLを上回る傾向が見られた。これらの地点では、古い家屋も多く見られたことから、老朽化した浄化槽の交換、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換推進、保守点検および法廷検査の徹底により、環境基準を達成できる地点が増える可能性が高いと考えられる。

《研究の概要》(PDF:248KB)

令和6年度研究審査会コメント

  • 浄化槽を介した排水が大腸菌数を決定するという結果の様である。数軒の浄化槽でも大腸菌濃度が変化するということであれば、数が限られることから、異なる保守点検のレベルの浄化槽からの結果を比較したり、異なる排水量の結果を比較することも可能になる。より詳細な関係も得られ、より直接的な対策の可能性も考えられる。
  • 環境基準告示に応答して実施する調査・分析であり、その現場有用性は高い。過去のモニタリングデータの活用についても効率的な分析に繋がっている。
  • 河川の大腸菌ついて詳細なフィールド調査を実施し、その発生源の特徴を明らかにした。本研究結果を生かして、浄化槽の管理が徹底される方向に進むことを期待したい。
  • 県内水質で基準超過が時々発生するという大腸菌について、実態調査を丁寧に進められた研究である。発生源を特定することは難しい場合も多いが、推定し、県内の事業所等の指導などにつながることが期待される。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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