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掲載日:2025年4月22日

令和5年度終了研究課題(水環境担当 R3~5 三次元励起蛍光スペクトル法で検出される化学物質の同定と汚濁指標性の検討)

(水環境担当:池田、化学物質・環境放射能担当:竹峰)

三次元励起蛍光スペクトル法で検出されるタンパク質様蛍光成分は生活排水混入の指標として有用である。しかし、この成分は藻類や畜舎排水からも供給されるため、指標として使用できる水域に制限がある。また、蛍光強度を定量するにはPARAFAC解析が必要であり、流入の迅速検知には不向きである。一方、河川や下水中には生活関連の化学物質由来と推測される蛍光成分が検出されることがある。そこで本研究では、化学物質由来の蛍光成分を同定し、それらにより負荷源を追跡する手法を提案することを目的とした。本年度は、入浴剤由来の色素フルオレセイン、洗剤由来のLAS、洗濯用洗剤由来の蛍光増白剤DSBPの蛍光成分に着目し、河川への生活排水混入の指標性を比較・評価した。

その結果、フルオレセイン由来の蛍光ピークは、河川への生活排水混入に検知に有効であるが、光分解による消失や季節による使用量変化を考慮して使用する必要があることがわかった。また、雨天時の河川への生下水流入の迅速検知、小流域での生活排水混入率調査、地下水への生下水の漏洩調査等に特に有効と考えられる。

《研究の概要》(PDF:309KB)

令和6年度研究審査会コメント

  • フルオレセイン蛍光の光分解の速度が速いことが利用範囲を狭めている。光分解率を光強度の関数として求めることにより、光強度は時間の関数で与えられることから、その瞬間ごとの分解率の評価が可能になる。いくつかの時系列に対して求めることによって、生活排水の負荷を評価することも可能である。
  • 提案の迅速測定・検出手法(蛍光分析を用いた生活排水混入率の推定法)について、多面的にその有効性や適用可能範囲について検討が出来ている。学会での発表も精力的に実施できており、今後に他機関が追随して様々な地域での追加検証などがなされれば、実用化のための課題克服なども加速するものと期待できる。
  • 生活排水混入の指標としてフルオレセインを用いることが示された。測定の迅速性、安定性等、いくつかの観点から検討を行った結果から、指標として最も適切であることが理解できる。
  • 環境負荷を与える汚濁物質の簡易評価について、丁寧に取り組まれている研究である。県内の環境状態を把握するうえで、重要な検討である。実際の県内のデータを広域で得られるようになることが期待される。

お問い合わせ

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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