環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 研究評価の取組 > 令和6年度第2回研究評価 > 令和5年度終了研究課題(自然環境担当 R3~5 埼玉県の水田における非灌漑期の利用形態が土壌環境と水生生物に与える影響の研究)
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掲載日:2025年4月22日
水田は、生物多様性の高い農業生態系である。灌漑期には、多様な動植物が生息し、非灌漑期には巻貝や甲殻類等の水生生物が土壌中を越冬場所として利用している。埼玉県では、小麦が主要農産物のひとつであり、特に北部・利根地域では米の裏作として栽培される二毛作農業が盛んである。非灌漑期に麦を栽培すると、麦が土壌中の水分を吸収すること等により、土壌の水分等の土壌環境因子を変化させ、土壌中で越冬している水生生物の生存に影響することが考えられる。しかし、非灌漑期の土壌環境と土壌中で越冬する水生生物の関係については、これまで調査されてこなかった。そこで本研究では、非灌漑期における単作水田と二毛作水田における土壌水分等の環境因子と土壌中でのタニシ類等の水生生物の越冬状況を比較する。これにより、水田における生物多様性保全のための基礎的情報を得ることを目的とする。
その結果、同一農家の管理する水田において、ほとんどの水田ではヒメタニシが優占していたが、絶滅危惧種のマルタニシの生息も確認された。埼玉県平野部での記録は乏しいため、貴重な記録である。非灌漑期の土壌含水量は水田間で大きく異なったことが分かった。土壌含水量の多い水田でタニシ類の個体密度が高い傾向が認められた。二毛作水田は単作水田に比べて含水量が低い傾向にあり、タニシ類の個体密度も明らかに低かった。
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