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掲載日:2024年1月22日

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有限会社遠山木型製作所 (川口市)

創業85年で培った高い技術力と知見を活かし鋳造用木型を製作するとともに木型製作で培った技術力とノウハウを駆使し水理模型の製作にも取り組む企業

遠山木型製作所は、川口の地場産業である「鋳物」の土台となる木型製作一筋で創業85周年を迎える老舗企業です。
1937年に遠山豊秀氏(現代表取締役遠山智士氏の祖父)が川口市内に遠山木型製作所を立ち上げ、その後、1953年に遠山豊秀氏が有限会社遠山木型製作所を設立し代表取締役に就任しています。
1965年に遠山春美氏(現代表取締役遠山智士氏の父)が代表取締役に就任し、1981年に川口市栄町内の新たな工場を建設し、移転しています。
2020年 9月に、遠山智士氏が代表取締役に就任し、現在に至ります。
大型で複雑な形状の鋳造木型・模型を製造し、国内大手の重工業メーカーを顧客に持ち、目に見えない製品の根幹製造で国内外のインフラを支えるとともに、その技術を活かして新分野である治水事業への参入にも成功しています。

    
                                                                                        遠山木型製作所  工場

 

遠山木型製作所は、鋳造用模型の製造、販売、鋳造製品の販売、機械加工製品の販売を行っています。
近年では競合が真似のできない2メートルを超える大型木型製作を得意としており、最大で3メートルの大きさまで木型製作の対応が可能です。
訪問時に、火力発電の部品の木型ということで1.5メートルを超える大きな木型が工場にあり、案内していただきました。
数々の工業トップメーカーが絶大な信頼を寄せる「現場で使いやすい大型の鋳造用木型」製作には、知識と経験の両方が必要となります。
創業以来85年の長きにわたる数多くの実績とベテラン職人が数多く在籍することで、遠山木型製作所はそれを可能としています。

 

  工場内部1  

    
                                             工場内部の様子  ※最後の写真は火力発電所の部品の木型模型

 

【参考/会社案内リーフレット】

  会社リーフレット

 

遠山木型製作所は、2021年度に川口商工会議所が行っている「川口 i-waza(いいわざ)ブランド認定」を受けています。
「川口i-waza(いいわざ)ブランド認定制度」とは、ものづくり中小企業の集積する川口市において、川口商工会議所が川口市や川口産業振興公社など関係機関と連携して、優れた製品を産み出すための高い技術や技能を認定する制度です。
認定内容は、「製品機能・鋳造方案を見据えた大型木型製造技術」となっています。
大型で複雑な形状の鋳造木型・模型の製造にあたっては、鋳物の凝固収縮や熱ひずみ等を見込んだ現図を作成し、機械と熟練の技によりそれぞれのパーツを製造し組み上げていく必要があります。一工程一工程で緻密な製造をすることにより、組み上げた際にピタリと現図に合うこととなります。
また、国内大手の重工業メーカー数社を顧客に持ち、プラントの発電用コンプレッサー、タービン、レシプロコンプレッサー、上下水ポンプ部品等、目に見えない大型部品の製造で国内外のインフラを支えている点が認定のポイントとなっています。

【参考/川口 i-waza(いいわざ)ブランド認定制度】

        https://www.kawaguchicci.or.jp/brand/product/waza/tech42.html
                        ポスター                            (遠山木型製作所の「製品機能・鋳造方案を見据えた大型木型製造技術」)

 

    
                                                                                              木型の製作風景

 

川口商工会議所会報「MOVE」の2022年7月発行のVOL.584の表紙と2ページ目に遠山木型製作所の記事が掲載されていますので紹介します。
その記事の中で、大型の木型製作に乗り出したのが20年ほど前で、それまでは試作用の小型が大半であったが、国内大手の重工業メーカー数社を顧客に持ち情報入手が早いのが強みだったことから発電用コンプレッサー、上下水ポンプ部品の需要など環境インフラの需要に伸びしろを感じたことなどが紹介されています。
是非ともご覧いただければと思います。

【参考/川口商工会議所会報『MOVE 2022年7月 VoL.584』の掲載記事】

      
                                                                                      川口商工会議所 会報『MOVE 2022年7月 VoL.584』から引用

 

今回、遠山木型製作所へ訪問したきっかけの一つが、川口商工会議所が主催する「第3回 川口の元気経営大賞」の小規模企業の優秀賞を受賞したことです。
川口の元気経営大賞とは、企業の発展と地域経済の活性化を図るため、地域の経済・産業発展に貢献する”川口の元気な企業”を讃え、表彰する制度です。
受賞のポイントは、遠山木型製作所が従前から手掛けてきた大型木型の熟練技術を活用し、『水理模型製作』という新たな分野への参入に成功している点です。

【参考/「第3回 川口の元気経営大賞」のリーフレットから抜粋】

  
                                                           「第3回 川口の元気経営大賞」リーフレットから該当部分を抜粋


【参考/川口商工会議所:川口の元気経営大賞】

        https://www.kawaguchicci.or.jp/keieitaisyo2023/

                                                               (第3回 川口の元気経営大賞のホームページ)


「第3回川口の元気経営大賞」の小規模企業の優秀賞受賞に先立ち、遠山木型製作所は、2022年3月に埼玉県から経営革新計画の承認を受けています。
経営革新計画のテーマは、『大型木型製作技術を活かした気候温暖化問題対策治水事業への貢献』となっています。

【参考/埼玉県:経営革新計画を策定しませんか!】

        https://www.pref.saitama.lg.jp/a0803/shigoto/sangyo/kigyo/kigyoshien/keekakushin/
                   経営革新計画承認書                       (埼玉県/経営革新計画のホームページ)

 

遠山木型製作所が、治水事業への貢献ということで「水理模型製作」に携わるようになった経緯を聞かせていただきました。
そのきっかけは、地球温暖化による異常気象、特にゲリラ豪雨等の局地的な集中豪雨により、都市部での排水機能が喫緊の課題であること、また、幸いなことに木に対する水の摩擦係数がコンクリートやアスファルトに対するものと似ていることから、長きにわたり培ってきた木型製作に関する高い技術力と数多く実績から得られるノウハウを「水理模型製作」という新分野でも大いに活かせるのではないかということです。
会社のホームページによれば、河川改修やダムによる治水の分野において、水理模型実験は、数値解析だけではわからない複雑な流れの解明や構造物設計のため行われており、実験の対象はダムの放流設備、水の勢いを緩和する減勢工や下流河道と堤防、砂防施設などです。
一方、利水の分野でも水理模型実験は取水設備、分水工、開水路や管水路など多岐にわたります。さらに水環境の分野では、魚道模型なども対象となります。
これら構造物や河道等は計画案に基づき模型を製作、通水して流れの状況を観測して計画案の妥当性確認や機能向上のための改良案に結び付けていきます。
水理模型製作では、部分的にはアクリルや金属板も用いますが、構造物の主体は木材となり、河道部分はモルタル仕上げが一般的です。
遠山木型製作所がこれまでに製作した水理模型には、各種ダム模型、水門、取水・分水設備などがあります。ダム模型は木材主体で製作しており、取水・分水設備は塩化ビニルやアクリルなどを使用しています。

 

  【会社ホームページ/「水理模型紹介」から】

   

 地方公共団体が行う河川改修事業等に関連した水理模型実験に協力しているとの話を伺いました。


最後になりますが、遠山木型製作所は県等から様々な指定や認定を受けています。
2014年11月に県から彩の国工場の指定を受けており、応接室付近に「彩の国工場」の指定書と盾が飾られていました。
また、川口市の産業における鋳物・機械・木型などの工業、建設業、植木造園業、食品加工製造業など様々な製造業の分野で、技能の維持・発展に積極的に取り組み、他の模範となる事業所として、2014年11月に「川口市技能振興推進モデル事業所」に認定されています。
工場入口付近には「彩の国工場」と「川口市技能振興推進モデル事業所」の看板が掲げられていましたので紹介します。

【参考/彩の国工場】

        https://www.pref.saitama.lg.jp/a0812/a14.html
                                指定書                                (埼玉県/彩の国工場のホームページ)

 

【参考/川口市技能振興推進モデル事業所】

        https://monozukuri.kawaguchi-net.or.jp/support/detail/91
            認定証(プレート)        (「川口ものづくりネットワーク」のホームページ)

 

【参考/「彩の国工場」の盾、工場入口付近に掲げられた「彩の国工場」等の看板】

        
     

今回、工場を見学させていただく中で、従業員の皆さまが真剣に働く様子を直に見させていただきました。
鋳造用木型の製作現場を初めて見ましたが、木材と発泡樹脂を組み合わせて大型の木型を黙々と組み立てていく様子は、正に”職人”を想起させるものでした。
これらの過程を経て製作される大型の木型模型が私たちの生活を支えるための発電用コンプレッサーや上下水ポンプ部品を製造するために使用されているとの話を聞き、非常に重要な役割を担っていることに気付かされました。
また、これまでの木型模型の製作により培われた高度な技術とノウハウを、地球温暖化を起因とするゲリラ豪雨への対策の一助となる水理模型の製作現場に投入することで、喫緊の地球規模での課題への解決にも取り組もうとする企業の姿勢を目の当たりにして、川口のまちこうばの持つ技術力の高さに改めて驚きました。
ご対応いただきました有限会社遠山木型製作所の遠山代表取締役、ありがとうございました。

 

    
                                        工場にて撮影

 

有限会社遠山木型製作所

  • 所在地:【本社】川口市栄町1-3-14
                  【工場】川口市栄町1-4-6
  • ホームページ:https://toyamakigata.com/                       

お問い合わせ

企画財政部 南部地域振興センター  

郵便番号332-0035  埼玉県川口市西青木二丁目13番1号 埼玉県川口地方庁舎2階

ファックス:048-257-0529

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