第23回(令和6年度)渋沢栄一賞の受賞者について
渋沢栄一賞は、多くの企業の設立や育成に携わる一方で、福祉や教育などの社会事業にも尽力した渋沢栄一の生き方や功績を顕彰するとともに、今日の企業家のあるべき姿を示すため、渋沢栄一の精神を今に受け継ぐ全国の企業経営者を表彰するものです。
今回は32名の推薦・情報提供があり、選考委員会の審査を経て3名の受賞者を決定しました。(受賞者は五十音順です。)
受賞者及び受賞理由
須﨑 勝茂(すさき かつしげ)氏
株式会社丸沼倉庫 代表取締役

会社概要
不動産賃貸業 1969 年創業 従業員数9 人
優れた経営
- 1978 年、代表取締役に就任。合計床面積3 万坪を超える5 棟の倉庫を完成させるなど、業容を拡大
- 入居の際の契約年数を⾧くすることで、安い賃料を実現。さらに、⾧期契約の中で入居企業の業績が悪いときには賃料を下げるなど、顧客の維持に努め、短いスパンでの利益ではなく、息の⾧い仕事を通じて利益を確保
社会への貢献
- 1985 年、若いアーティストの支援を目的に、自身が所有する土地に私財を投じてアトリエを建設し、「丸沼芸術の森」を設立。勉強のための作品を収集し、その結実を復興への思いを込めて展覧会に貸与し、鑑賞の機会を設けている
- コロナ禍で尽力している医療機関や福祉施設などを支援するため、朝霞市に救急車他を寄附。また、能登の震災ではトイレトレーラーを派遣のほか、被災地支援として珠洲焼存続の一助となるべく陶芸機材を寄附
八代目 鈴木 與平(すずき よへい)氏
鈴与株式会社 代表取締役会長(鈴与グループ代表)

会社概要
港湾運送業、海上運送業、自動車運送業、倉庫業 他 1801年創業 従業員数1,146人
優れた経営
- 国内に143拠点を構え、国内トップクラスの物流ネットワークを展開するほか、海外にも13か国22拠点を構える
- 長年独自の物流改革に取り組んでおり、ドライバーの労働負荷や拘束時間を低減するため、中間拠点を起点とした「中継輸送」や、貨物専用フェリー(RORO船)を用いてトラックによる輸送を船舶に転換する「モーダルシフト」を推進
社会への貢献
- 1991年、静岡県下初の理工系大学となる「静岡理工科大学」の開学に携るとともに、初代理事長に就任し、未来を担う人材育成を通じて地域の発展に貢献
- 2008年にはフジドリームエアラインズ(FDA)を設立。『地産地翔』を企業理念に掲げ、地方と地方を結ぶ交流の懸け橋として、地方の交流人口を増やし、地域間の結びつきを強化、各地域の文化や経済の発展に大きく貢献
森光 孝雅(もりみつ たかまさ)氏
株式会社八天堂 代表取締役

会社概要
パン小売業(製造小売)、パン製造業 1933年創業 従業員数241人
優れた経営
- 2008年、冷やして食べる「くりーむパン」を開発。スイーツパンという新たなジャンルを確立したことで、パンの手土産市場という需要を生み出し、現在は1日約7万個を製造
- 企業経営の目的を「人づくり」とし、挑戦した失敗を応援する社風と「品性資本の三方よし経営」を掲げ、社内ベンチャーによる新会社の設立や農業福祉領域の課題解決に努める
社会への貢献
- 2016年、広島空港前に体験型の食のテーマパーク「八天堂ビレッジ」を開業。年間約20万人以上が来場する観光スポットに成長させるなど、地域活性化に貢献
- 2017年、千葉県木更津市に現地の社会福祉法人と共同で、就労継続支援B型としても機能する「八天堂きさらづ工場」を開始