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掲載日:2025年7月16日
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「生物多様性」…言葉は聞いたことがあっても、その意味や重要性について考えたことがないという人も多いかもしれません。
この機会に改めて生物多様性について考えてみませんか。そして生物多様性を守るための第一歩を踏み出しましょう。
生物多様性とは、生き物たちの豊かな「個性」と「つながり」のことです。
いろいろな生き物が、様々な自然の中に暮らし、お互いがつながり合っています。
いろいろな生き物が、異なる環境で自分たちの生きる場所を見つけ、互いに違いを活かしながら、つながり調和しています。
どんな生き物でも、ただ一種だけで生きていくことはできません。生き物は、食物連鎖、競争、共生、寄生など、他のいろいろな生き物と直接的・間接的に関わりあうことで、初めて生きていくことができます。
出典:環境省ホームページ「生物多様性国家戦略2023-2030の普及啓発」(https://www.env.go.jp/seisaku/list/senryaku_hukyu.html)
「生物多様性」には、たくさんの種類の生き物がいるだけではなく、様々な環境があること、そして同じ種類の生き物の中でも様々な個性があることの3つのレベルの多様性があります。
私たちの暮らしや活動は、自然から受ける恵み(生態系サービス)によって支えられ成り立っています。
生態系サービスは、主に4つ((1)基盤サービス、(2)供給サービス、(3)調整サービス、(4)文化的サービス)あり、私たちの命を支え、生活や経済活動にとって、必要不可欠なものです。
生物多様性が劣化することは、生態系サービスから受けられる恩恵の量と質が低下してしまうこととなり、私たちの生活自体が成り立たなくなる可能性があります。
そのため、私たちが、持続可能な生活を送るためには生物多様性の保全が必要とされています。
生物多様性に負荷を与え、脅かす危機が、次の4つあります。
また、4つの危機の背後にある間接的な要因として、生物多様性への認識や関心が低く、保全に関する視点が不足している点も挙げられています。
川や海の汚染、田畑や丘陵の開発、過剰な森林の伐採など
森林の不十分な管理、田んぼや畑の耕作放棄、里地・里山の利用低下など
外国から持ち込まれた生き物(外来生物)、農薬、殺虫剤などの化学物質など
温暖化などの気候変動や砂漠化など
ネイチャーポジティブという言葉を聞いたことはありますか。
ネイチャーポジティブとは日本語訳で「自然再興」といい、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」ことを指します。
今の地球は過去1,000 万年間の平均と比べて10倍~100倍もの速度で生物が絶滅していくなど、いわゆるマイナスの状態にあります。この状況から、これまでの自然環境保全の取り組みだけでなく、経済から社会、政治、技術までの全てにまたがって改善を促していくことで、自然が豊かになっていくプラスの状態にしていこうというのがネイチャーポジティブの趣旨です。
2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)や、G7 2030年自然協約などにおいてもその考え方が掲げられるなど、国際的な認知度も高まっているキーワードです。
生物多様性を保全して、ネイチャーポジティブを実現するためには、一人一人が自ら生物多様性を体感し、多くの生き物とのつながりを認識することで、生物多様性の保全の大切さを理解することが重要です。
例えば、自然環境や生き物に「触れる」、エコラベル付き商品など生物多様性保全に配慮した商品・サービスを「選ぶ」、保全活動や自然観察会へ「参加する」などといった行動も生物多様性を学ぶことにつながります。皆さんもできることから、生物多様性について考えてみる行動を是非始めてみてください。