トップページ > 県政情報・統計 > 広報 > 広報紙・テレビ・ラジオ・ソーシャルメディア > 広報紙「彩の国だより」 > 「彩の国だより」令和7年6月号 > 6月は環境月間 守り、つながる生物多様性
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掲載日:2025年6月1日
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▲写真提供:羽生市立郷土資料館 上:育てたムジナモを放流する子供たち 下:花を咲かせたムジナモ
ネイチャーポジティブ(自然再興)とは、生物多様性の損失を止め、自然を回復軌道に乗せることをいいます。今年1月に野生での絶滅状態から野生復帰を果たしたムジナモは、まさにその象徴。さあ、ネイチャーポジティブという奇跡のドラマを見てみましょう。
【問合せ】県みどり自然課
電話:048-830-3146
ムジナモは絶滅危惧種である植物の一つ。県が作成している「埼玉県レッドリスト(注1)2011植物編」まで野生では姿を見ることができない「野生絶滅」とされていました。そんなムジナモが自然に増殖し、数を増やせる「野生復帰」となったのは、全国でも珍しいこと。その背景には、さまざまな人の協力と長年の努力がありました。
(注1)レッドリスト:県内の絶滅の恐れのある野生生物の種をリストアップした基礎資料
タヌキなどの「ムジナ」の尾に形が似ていることから「ムジナモ」と名付けられました。
写真提供:羽生市立郷土資料館
羽生市イメージキャラクター
ムジナもん
\はにゅうのやんちゃな人気者/
大正10(1921)年
羽生市三田ケ谷(みたかや)の沼において、県内で初めて発見
昭和41(1966)年
国内最後のムジナモ自生地として宝蔵寺沼が国指定天然記念物に。その後台風による大雨での株の流出や、開発による水質の変化で宝蔵寺沼のムジナモの数が減少
昭和58(1983)年
羽生市ムジナモ保存会発足
会員たちは自宅でムジナモを育て、自生地に放流していましたが、沼の中で冬を越すことができませんでした…
羽生市・埼玉大学が宝蔵寺沼の緊急調査を行いました。植物学の専門家である埼玉大学の金子康子名誉教授の助言で放流する場所を変えると、100株ほどが冬を越せるようになりました。
ムジナモを食べてしまう天敵をただ駆除したり、日光を遮る植物を引き抜いたりするだけでは、他の水生植物も増え、ムジナモが十分に育つ環境にはなりません。そのため、沼の生き物みんながバランスよく生育できるよう、天敵の適度な駆除や、一定の高さで植物を刈るなど、自生しやすい環境を整備しました。
▲写真:ムジナモの天敵を駆除する様子
▲写真:昭和58年から続く活動である、ムジナモ栽培の指導を受ける地元の子供たち
ムジナモの自生地がある地区の旧三田ヶ谷小学校にはムジナモの栽培クラブがありました。今後新しい小学校でも保全活動は受け継がれます。
▲写真:ムジナモ自生地
羽生市ムジナモ保存会 会長
野中 孝一さん
初めはムジナモを増やすため、天敵をできるだけ駆除したり、日光を遮る植物を燃やしたりしていました。しかし、埼玉大学や羽生市の調査で、ムジナモだけでなくそこに住む動植物の環境ごと守っていくことが大切だと分かったんです。現在宝蔵寺沼には100万株を超えるムジナモが生息しています。今はあまり手を入れず、ムジナモは自然に身を任せている状態です。ムジナモの環境を守っていくうちに、自生地にはシラサギなどの鳥がやってきたり、新しい木が生えてきたりするようにもなりました。ムジナモがこれからも多様な生き物と共存できるよう、保全活動を続けていきます。
▲見学会など詳しくは保存会の公式ホームページをチェック!(別ウィンドウで開きます)
県では、ネイチャーポジティブの実現に向けて、新たにネイチャーポジティブ推進分科会を立ち上げ、官民連携による新たな取り組みを展開するほか、企業向けのセミナーや市町村・環境保全団体等との交流の機会をつくります。
熊谷市の元荒川源流域のみに生息するムサシトミヨの保護増殖のための周辺緑地等の保全活動に官民連携で取り組みます。
生き物一つひとつに個性があり、それらすべてが支え合っているというつながりのこと。生物多様性には三つのレベルがあり、私たちの暮らしはそれら全てが保たれることによって支えられています。
参考:環境省「みんなで学ぶ、みんなで守る生物多様性」
山、川、まちなどの環境
動物、植物などの生き物
色・形などの個性
県内にはムジナモのほかにも希少で絶滅の危機に直面している生き物がたくさんいます。その土地に住む生き物たちが共存できるよう、県内各地で保全活動を行っています。
写真提供:同センター
鴻巣市のシンボルでもあるコウノトリ。かつては乱獲や河川改修による湿地の消滅によって野生では絶滅したとされていました。しかしその後の保護・繁殖・放鳥の取り組みによって、現在は400羽以上が生息できるまでに回復しました。
鴻巣市明用(みょうよう)632
午前9時~午後4時45分(11~2月は午後4時まで)
火曜、年末年始
★繁殖シーズンにより、開館時間が変更となる場合があります
【問合せ】同センター
電話:048-594-6311
写真提供:同事務所
県の蝶であるミドリシジミの幼虫はハンノキの葉を食べて成長します。関東最大級のハンノキ林がある秋ヶ瀬公園(さいたま市桜区)が、ミドリシジミが観察できるスポットとして有名でしたが、開発などにより個体数が減少。現在はハンノキの植樹、ミドリシジミの生きる環境を調査することで保護をしています。
【問合せ】秋ヶ瀬公園管理事務所
電話:048-865-7966
写真提供:Plus-R 市塚徹
県の魚であるムサシトミヨは熊谷市にある元荒川の上流部が世界で唯一の生息地です。川が汚れるにつれ生息地が狭まり、絶滅の危機にさらされています。現在では、「熊谷市ムサシトミヨをまもる会」や地域の小・中学校が協力してムサシトミヨの生息地を保護しています。
熊谷市久下(くげ)2148-1
第1・3日曜 午前9~10時
年末年始
【問合せ】熊谷市環境政策課
電話:048-536-1547
さいたま市浦和区高砂3-15-1
県庁本庁舎1階
南側エレベーターホール
月〜金曜(祝・休日を除く)
★令和7年度中は展示予定
羽生市ムジナモ保存会のムジナモ標本アクセサリー(1個)を8人にプレゼント。詳細は「 クイズ&プレゼント 」をご覧ください。
にーしゃ(@neet_syakaijin)さんが制作してくれました!
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