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掲載日:2025年12月19日
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毎年11 月 14 日の「県民の日」を記念して、県内の小・中学生の作文を募集しています。
作文を書くことを通じて、未来の埼玉をつくる子どもたちに郷土の歴史や風土、様々な魅力を再発見してもらうことを目的としています。
※令和7年度の募集は終了しました。
令和7年度の実施結果は下記のとおりです。
令和7年度「県民の日」記念作文コンクール募集要領(PDF:252KB)
令和7年度「県民の日」記念作文コンクールでは『わたしが体験した!埼玉県の魅力』をテーマに募集しました。地元への愛着や埼玉県の多彩な魅力について、みずみずしく豊かに表現した素晴らしい作品1,438点が集まり、最優秀賞、優秀賞を含む計60作品が入賞しました。
ここでは、最優秀賞作品および優秀賞をご紹介します。
受賞者:青山学院大学系属浦和ルーテル学院小学校 4年 上畠 美佐紀さん
作品名:「権現堂堤」と笑顔の道
みなさんは幸手市の「権現堂堤」を知っていますか。ここは、私が生まれて初めて散歩に連れて行ってもらった場所です。その日の写真には、水仙がさいていて、お父さんとお母さんがうれしそうに私をだいていました。妹が生まれてからも、私たち家族は何度も権現堂堤に散歩に出かけています。
季節によってたくさんの花がさく権現堂提ですが、私は春の「景色」が大好きです。青い空、白い雲、その下に広がる広大な菜の花畑、さらにその近くには大きな桜の木が数えきれないほどたくさんならんでいます。本当にすてきな景色です。
権現堂堤には、もう一つすてきなものがあります。それは権現堂堤にさく、たくさんの「笑顔」です。道ですれちがう人や、屋台の人たち、みんなとてもよい笑顔です。私はそのすてきな笑顔を見るたびに、元気をもらいます。家族といっしょに出かけることだけでも楽しいですが、その人たちの笑顔を見るともっと楽しい気持ちになります。そして、そんな笑顔を見るたびに、私は自分も周りの人たちに笑顔をとどけたくなるのです。
菜の花が太陽の光の中でみせる黄色くまぶしい笑顔。そして、桜のピンクでかわいらしい笑顔。「きれいだね。」とお花たちに言ってあげると、それにこたえて本当に美しくさいてくれるように感じます。埼玉県の中に、こんなに美しい笑顔あふれる場所がある、そう思うと、とてもうれしくなります。
さて、権現堂堤はどうしてできたのでしょうか。今年の夏、私は権現堂堤へ調べに行きました。季節の花の説明などといっしょに、「行幸堤のひ」を見つけました。そこには、江戸時代になる前に、人々を水害から守るために造られたことが書いてありました。その後、何回もの洪水を経て、明治時代に人々の願いを受けて「新権現堂堤」が誕生したのです。大正時代には、桜の名所となりましたが戦争の時には、ばっさいされてしまい、まきにされてしまった悲しい時代もありました。しかし、戦後すぐに苗木が植えられ、美しい桜並木が復活したのです。人々のまたあの美しい桜並木を見たいという思いが、今の権現堂堤につながったのだと私は思いました。
権現堂堤は自然といっしょに生きようとする人々の力で生まれました。自然と共に生き、人々の幸せを願う埼玉の人たちの思いによって、守られ、今日までつながってきた場所なのです。花はたくさんの人を笑顔にし、毎年美しくさき続けています。こんなにも色とりどりの花のとなりで、人々が笑顔でいられることが、この幸手市にある権現堂堤の最大のみ力だと私は思います。
みなさん埼玉の美しい自然と、そこに集まる人たちのすてきな笑顔をぜひ見に来てください。そして笑顔あふれる権現堂堤の道を、大好きな人といっしょに歩いてみてください。あなたも、すてきな笑顔をさかせに来ませんか。
受賞者:本庄市立本庄南中学校 3年 倉林 怜央さん
作品名:未来へつなぐ埼玉の精神
私の住む地域には「男堀川」という川が流れている。春には水面が太陽の光でキラキラと輝き、夏には木々の緑が川辺をおおう。その川で、私は清掃活動に参加している。ごみを拾うことで、男堀川の水質や生態系を維持し、オイカワやタモロコなど在来魚が安心して暮らせる環境を守ることを目的としている。この景色を保全することは、未来の自然と触れ合える場を残すことにもつながる。
本庄市の学校の教室には、「世のため後のため」という言葉が掲げられている。短い言葉だが、自分の行動の先にいる「誰か」を思い起こさせてくれる。市内の小中学校では、九年間を通して「塙保己一に学ぶ学習」があり、その生涯や精神を学んできた。本庄は、埼玉三偉人の一人である盲目の国学者・塙保己一の生まれた地だ。
一七四六年、児玉町保木野村に生まれた保己一は、七歳で病気により失明した。視力を失ったことは当時、学問への道が閉ざされることを意味した。しかし彼は諦めず、十五歳で江戸へ出る。盲人の職業組織である当道座に入り、努力を重ねて最高位の総検校となった。
彼の最大の偉業は、大叢書「群書類従」の編纂である。全国に散らばっていた古書や記録を集め、分類し、誰もが学べるようにした。正編六百六十六冊、続編千百八十五冊という膨大な規模で、完成まで四十一年という気の遠くなるような年月がかかった。さらに版木を作り出版することで、後世の人々にも利用できるようにした。自分の時代だけでなく、次の世代のためを思い続けた姿勢は、二百年以上経った今も色あせない。
私は、この「後のため」という部分に特に心を打たれる°成果がすぐには見えなくても、未来の誰かを思いながら行動を続ける。その考え方は、川の清掃活動にも通じているのではないだろうか。活動をしても川の環境が一変するわけではない。それでも、地域の方に「ありがとう」と声をかけてもらうと、小さな一歩でも確かに役に立っていると感じられる。
保己一もまた、群書類従を完成させるまで幾度も困難に直面したはずだ。それでも志を貫き、歴史や文化を未来へ渡す橋をかけた。その歩みがあったからこそ、私たちは今も学びを受け継ぐことができている。
埼玉の魅力は、豊かな自然や歴史的建造物だけではない。困難を乗り越え、未来のために尽くす人々の精神が、この地に住む人々の根底にある。塙保己一が示した生き方は、本庄で育つ私たちに確かに息づいているのではないだろうか。
これから進路を考える中で、私はこの精神を自分の軸にしたい。勉強も地域活動も、すぐに結果が出るとは限らない。それでも未来の誰かのためにと信じて続ければ、必ず何かを変える力になるはずだ。
保己一の生涯は、私に「行動は時代を超えて届く」という希望を教えてくれる。私は、この保己一の精神をもっと多くの人に知ってほしいと願っている。本庄だけでなく、埼玉全域、さらには全国へと広めていくことで、「世のため、後のため」という思いがより多くの人の心に根づいていくのではないだろうか。
これからも、保己一の志を受け継ぎ、未来のためにできることを続けていきたい。そして少しでも、保己一の生き方や「世のため、後のため」の精神を広めていけるよう努力したい。私もまた、この地で受け継がれてきた「世のため、後のため」の精神を胸に、未来に希望をつなぐ一人として歩んでいきたい。
小学生
秩父市立花の木小学校 5年 金子 心春さん
作品名:秩父市の魅力
皆野町立皆野小学校 6年 竹内 憲司郎さん
作品名:秩父音頭祭り
中学生
さいたま市立美園中学校 1年 岡田 結衣さん
作品名:埼玉のいちご
蓮田市立黒浜中学校 2年 吉川 倉矢さん
作品名:蓮田市の魅力