紙すきの技術により、接合部の流体の漏れや異物混入を防ぐ材料であるガスケット材の開発・製造をしています。また、エンジンや産業機械向けのガスケット材を中心に、耐熱・耐油性に優れた特殊機能紙も製造しています。
自動車・建設機械・産業機械・農業機械など多くのメーカーが使用しており、約170社の企業と取引を行っています。
埼玉県環境SDGs取組宣言企業に登録しており、ガスケット材の廃材から生み出した再生紙で、ごみ箱を製造・販売しています。
「埼玉PX大賞」の第1回で大賞を受賞し、また、多様な働き方プライム企業の認定を受けています。
知事が工場内を視察するとともに、代表者や職員の方々と意見交換を行いました。

工場内でガスケット材の製造工程について説明を受ける
知事
工場内での丁寧な御説明を頂き、大変感謝いたしております。
160年前の和紙の技術を今に伝えていただくだけではなく、その特性を生かしていただいております。先ほどの工場見学では、様々な産業への応用の可能性も感じました。
紙の特徴として、薄さ、軽さ、強じん性、弾性という点を御説明いただきましたが、紙は破れやすい、燃えやすいというイメージを持っていましたので、正直意外な特性でした。御社の製品における強じん性や耐熱性はどの程度なのでしょうか。通常商品ではどの程度の強じん性や耐熱性を持っているのかお伺いしたいです。
関根代表取締役社長
耐熱性につきましては、200度程度まで対応可能なものがあります。また、一般的な紙とは異なり、パルプにゴムなどを組み合わせて作っているため、一定の強さや耐久性があります。一方で、紙は繊維の向きによって強さが異なるため、力を加える方向によって強い方向と弱い方向があります。現在のガスケットの主流は金属や液状のものになっていますが、使用する部位によって適した素材が変わります。
知事
耐火性はいかがでしょうか。
関根代表取締役者社長
一般的な製品では、パルプやゴムなどの有機物を使用しているため、高温になると徐々に劣化していきます。一方で、無機繊維など熱に強い材料を組み合わせることで、用途によっては800度程度の高温環境に対応できる製品もあります。
知事
ものづくりの現場でよく聞かれるのが、人材が確保できない、あるいは、御社の場合はそうではないかもしれませんけど、いわゆる3Kといったことで定着が難しいといった課題です。御社の場合はいかがですか。
関根代表取締役社長
他社の話を聞くと、採用はうまくいっている方だと認識しています。私が人材畑で働いていた経験を生かしていろいろな箇所でPRを行っています。ただ、最近苦労したのが、交代勤務制であるということです。機械を24時間稼働させるため交代勤務制は避けられませんが、若者は交代勤務制の応募にはほとんど来ないといった現状です。最近では30歳前後の採用実績も出ていますが、採用活動から採用に至るまで結構な時間を要しました。
知事
他社とは違ってこういった理由で御社に入るといった理由をお聞かせください。
吉澤製造部門設備課リーダー
私は群馬県の上場企業から転職しました。長男が生まれた時は、前の職場で育休が取れませんでした。第2子が生まれた時は弊社で働いており、育休が取得できました。実際に育休を取ってみると、奥さんが当たり前のようにしてくれていた家事を自分ですることになり、奥さんのありがたみを身に染みて分かる良い機会でした。
知事
行政の立場から申し上げると、会社が育休制度を作っても、社風で取りにくいケースが多く存在します。これは周りが取りにくい雰囲気を持つ場合と、同僚に迷惑は掛けられないと考える社員の自主的な判断の両方が関わっています。こうした社風は行政の制度だけでは変わりにくいものです。御社はいかがですか。
関根代表取締役社長
実を言うと、私が入社した際に、先代の社長である父と、自分が育休を取ることについて、衝突がありました。父からは入社半年で育休を取るなと言われましたが、強行突破して3子連続で育休を取りました。やはり、次期社長とか現社長が育休を取っていると育休を取りやすい社風が生まれると思います。
知事
なぜ紙にこだわり続けるのか、理由をお伺いしたいです。
関根代表取締役社長
合理的な話をすると、工場の機械は1個買うだけで10億円はかかってしまいますので、この設備を生かしたビジネスは合理的なのかなと思います。
ただ、もう少し心の話をすると、私は「温故知新」という言葉が好きでして、160年間続けてきた伝統を紡ぎながらビジネスをさせていただいているので、紙にこだわっていくことで新たな可能性は生まれていくかなと考えております。紙にこだわりながら企業成長していけば、元々は小川町から生まれたものでもありますので、何か地域経済を豊かにしていければと思っています。
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太陽ホールディングス株式会社嵐山事業所、
太陽グリーンエナジー株式会社(嵐山町)
太陽ホールディングス株式会社は、エレクトロニクス事業について、スマートフォンやパソコンなどに利用されているプリント基板用の絶縁材料ソルダーレジスト等で世界シェアNO.1メーカーとなっており、そのほか医療・医薬品事業、ICT&S事業も手掛けています。
太陽グリーンエナジー株式会社は、太陽ホールディングス株式会社の事業会社として、再生可能エネルギー事業と食糧事業を行っています。
再生可能エネルギー事業において、農業用ため池・調整池の水面を活用することで、環境負荷の低減と発電効率の向上を実現する水上太陽光発電を行っています。また、食糧事業では、生産をより効率よく、グローバルに展開可能な農法・手法の確立を目指し、「完全閉鎖型植物工場」を設置するなど、食糧問題に対する事業を展開しています。
嵐山事業所内に保育所を設置しており、地域の乳幼児も受け入れています。
知事が施設内を視察するとともに代表者や職員の方々と意見交換を行いました。

施設内にて事業概要について説明を受ける
知事
施設を拝見させていただいて、特に印象に残ったのは職場環境です。スタッフの皆様が一人一人、大切にされており、楽しく仕事をされている様子が伝わってきました。
また、過去20年間で産休・育休後の女性スタッフの離職がゼロだというお話がありました。もちろん働きやすく良い職場であるということはあると思いますが、研究所だと何年かすると自分の技術が陳腐化することや、すばらしい技術があっても自信がなくなってしまうことがあると思います。そのような点について、どのようにキャッチアップするシステムを作っておられますか。
後藤太陽GE代表取締役社長
おっしゃるとおり、古い製品が陳腐化するスピードは速く、世代交代も激しいです。一方、入社からずっと同じ研究をしている社員は少なく、世の中には新しい製品がどんどん出てきますので、新しいものに携われるというのは「やりがい」としてあると思います。
そのような中で事業を行っているので、戻ってきてからも新しいことにチャレンジし続ける環境にあるのだと思います。
知事
イメージですけども、大量生産でその中のラインの一人であれば、また同じところに戻れるかもしれませんが、ラボは最先端で研究開発を行っているため、そこで御自分が自分のキャリアを探すことは、なかなか難しいことだと思っていますがいかがでしょうか。
後藤太陽GE代表取締役社長
弊社では、自分が大学で専攻していた内容に仕事で直接携わることは、あまりありません。それよりも、大学で学んだ「仮説を立てて、それを検証していくこと」、「自分の持っていない技術を周りから拾ってくること」、「お客様の要望に合わせて短時間で何とか仕上げていくこと」といった新しいことの連続なので、自分はこれしかできないと幅を狭めてしまうと逆に仕事がしにくくなります。
例えば、研究員が人事や経営企画部門に異動することもあり、ジョブローテーションを積極的に行っていて、皆がチャレンジャーのような感じです。
このため、自分の技術が使えなくなったと悩むことはまずないです。
知事
正に自分たちが最前線にいるぞという気持ちを持っておられるのですね。
齋藤太陽HD代表取締役社長
社員が自ら、お客様や市場に打って出て、そこで新しい技術をキャッチして追い求めていくというエンジニアが多いですね。
知事
先ほど、概要説明で見させていただいた資料で、外部からの働きやすさの評価指標について、キャリアパス・人事評価・やりがいの三つがありましたが、それらはイコールではないと思っています。
つまり、キャリアパスが確定しているところが、果たしてやりがいがあるかということです。御社は、キャリアパス・人事評価・やりがいの三つが高い評価を受けていたのでどういうことなのだろうかとすごく気になりました。
後藤太陽GE代表取締役社長
キャリア面談で、「あなたはどうなりたい?どう活躍したいの?」と聞いて、なるべくその希望に沿ったチャンスを与えてあげるということが私の仕事だと思っております。多分、部下たちも「上司と共有できている」と何かしらの心理的安全性があると思っています。
知事
守られているから挑戦ができてやりがいがあるといったことですね。
後藤太陽GE代表取締役社長
齋藤(太陽HD代表取締役社長)もいつも言っていますが、挑戦が大事でして、挑戦して失敗したら、その失敗を次に生かそうといった考えをマネージャー陣で共有しております。
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株式会社協同商事COEDOクラフトビール醸造所(東松山市)
1970年代からさつまいもなどの地域資源を最大限活用しており、さつまいもを原料としたビールについては、世界初の製法特許を取得しています。
持続可能なビール造りの取組を進めており、排水処理場にバイオマス発電を導入しています。また、醸造所の敷地を開拓し、有機農法で麦を自家栽培する取組を進めています。
埼玉県の食のサーキュラーエコノミー技術導入支援補助金を活用し、循環型肥料提供技術を導入しています。
クラフトビールを東松山市のふるさと納税品の返礼品に提供しています。
知事が施設内を視察するとともに代表者や職員の方々と意見交換を行いました。

施設内にて、COEDOビールの製造工程について説明を受ける
知事
本日は、知事のふれあい訪問を受け入れていただき、誠にありがとうございます。これからの夢のあるお話、そして地域との連携の可能性についても大変参考になりました。改めてよろしくお願いいたします。
まず、こちらが新たな拠点とのことですが、元々の川越の拠点との一番の違いはどこでしょうか。
朝霧代表取締役社長
私たちは農業の会社ですので、自然の中で「ものづくり」をするというのが願いです。この比企丘陵の美しい空間の中で「ものづくり」ができるというのが大きいです。工場は単なるものづくり拠点ではなく、産業観光の拠点として機能させたいと考えており、埼玉県の観光課も推進されている部分と思います。
こちらは丘の上に立っており、景色も非常にきれいで、夕方には良い山々の風景が見えます。さらに、敷地の入口には麦畑を広げていく予定であり、北海道のような景観の先にビール工場が見えるイメージです。産業観光という形で、品質を追求したものづくりとエコが両立する空間として、東松山のここであれば100年にわたって活動を続けていけるような環境だと考えています。従来の拠点はそこまで個性のあるものではなかったので、そこが大きな違いだと思っています。
知事
耕作放棄地を麦畑として活用していきたいというお話がありましたが、どのくらいの広さがあれば採算が取れるのでしょうか。
朝霧代表取締役社長
日本の場合、集約した農地を確保するのは難しいのですが、現在お借りしようとしているところの周辺で総計1ヘクタール規模でやっていこうと考えています。
将来的には、もっとまとまった農地があって、集約されていると、私たちとしてもやりやすいです。
知事
この付近でも検討されておりますか。
朝霧代表取締役社長
そうですね。醸造所を中心に同心円状に農地を確保していくというのが、私たちの農地立地戦略です。将来的には1,000ヘクタール規模も視野に入れています。
知事
御社は、アグリベンチャーから始められて、今はアグリビジネスに移行したというお話をされていました。埼玉県は麦については高度な技術を持っていますが、御社のニーズや技術と地域の麦に関する技術について、どのような形でオープンイノベーションを実現できる可能性があるとお考えでしょうか。
朝霧代表取締役社長
私たちは、大麦栽培についてはまだまだ素人です。ですから、県の農業試験場など、大麦についての知見をお持ちの方々との連携が不可欠です。実際の栽培現場ではトラブルが多く発生することが予想されますので、相談できる体制があると非常に助かります。
麦については、種苗メーカーがほとんどおりません。野菜の場合は、優良品種の開発の競争がありますが、麦、特に大麦については、用途がビールやウイスキーや焼酎しかないので、民間メーカーのモチベーションが低いのです。ですから、私たちも窓口がない状態です。現在は自家採種で対応していますが、栽培の御指導を頂けるような体制があると心強いです。
知事
上里町では御存じのとおり、種麦の生産を行っており、量は少ないですが非常に多くの種類を扱っています。日本で最も種麦をやっているのが上里町ですから、そちらとの連携の可能性もあるかもしれませんね。
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