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掲載日:2026年2月24日

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訪問日
令和7年11月28日(金曜日)
訪問地域
越生町、毛呂山町、川越市
訪問先
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越生工業技術専門学校の高等課程を組織変更し、平成16年に「新しいスタイルの学びの場」として誕生した通信制・単位制の高等学校です。 「行うことによって学ぶ」を建学の精神とし、「生徒一人ひとりの個性を大切にする」 ことを基本姿勢に教育活動を展開しています。 三級自動車整備士の取得が可能な「自動車科」、調理師免許の取得が可能な「調理科」、学び直しや多くの資格取得が可能な「普通科アドバンスコース」、自分のペースで自分流の時間割を作成可能な「普通科ベーシックコース」を設置しています。 私立高校・通信制高校では全国初となるマイスター・ハイスクール指定校に令和5年度から採択されました。この事業では、企業や自治体、大学等と連携し、生徒は最先端技術への理解を深めるとともに、地域課題の解決に向けた活動を行っています。 訪問先では自動車科、調理科を視察し、教員の方々と意見交換を行いました。 |
自動車科を視察し、生徒と意見交換を行う |
マイスター・ハイスクールのCEOという立場から、また、これまで長い間教職員教育に携わってこられた立場から、民間の経験をいれながらマネジメントを行うことについて、どのようにお考えですか。
期限付きではありますが、民間から学校に来て、企業と教育現場の違いを強く感じるところはあります。先生方が自分の考えで動く点が学校の特色ではないかと思います。カリキュラム刷新の際は、上から指示を出しただけでは、全員が動くわけではありません。そういったところは、目的を共有し、PDCAサイクルを回しながら少しずつ取り組み、小さな成功を重ねることで先生方の行動が徐々に変わり、今につながってきていると感じています。
マイスター・ハイスクール事業は、企業や自治体と連携して事業を進めることになっています。越生町に協力していただいたり、企業の方に来校して教えていただいたりしています。これまでは、町外から通う生徒が多いため、越生町への関心が薄かったというのが正直なところでした。しかし、本事業を通じて、生徒たちが徐々に越生町に関心を持つようになってきていると感じています。また、企業との連携を通じて、これまで学校としてあまり意識してこなかったお客様目線の大切さを感じました。特に調理や自動車といった職業は、お客様を相手にするため、お客様目線で取り組むことが大事だと感じました。
産業界に聞くと、自動車科のニーズは非常に高い。一方で、中学生たちは、自動車科に行きたいかというと、必ずしも進学希望は高まっていないように感じています。企業側から学校にアプローチがあると思うのですが、その動きを生徒に対してどうつなげていくかということについてお聞きできますか。
自動車科の生徒には、東京都や神川県など、かなり遠方から来ている生徒もいます。また、三級自動車整備士の資格取得も可能ということで、将来的に整備士になりたいという生徒も多くいます。まずは、自動車の楽しさから学んでもらうことに取り組んでいます。
生徒たちの反応はいかがですか。
私のような素人より詳しい知識を持って入学してくる生徒もいますので、対応に工夫が必要なところもあります。
調理科についてですが、これは本人というよりも保護者の皆さんの方かもしれませんが、コロナ禍のときに運転資金を借りて返済が滞った事業者は、飲食店が一番多いのかなと思っています。ところが、現在の物価高の局面では、飲食店はほとんど影響を受けておらず、状況は回復しています。ただ、コロナ禍のときに印象付けられた調理は将来厳しいという負のイメージが保護者の皆さんに残っており、まだ尾を引いているのか、あるいは今の生徒たちの世代になると、そのイメージは払拭されているのか、その辺はいかがですか。
自動車科、調理科は共に定員40名で、国の規定で定員より1名も余計に取れません。そういう面から言うと、非常に簡単に集まりそうだと思うのですが、自動車科は自動車離れの影響もあり、今年は39名とぎりぎりの定員確保でした。埼玉県に1校しかないため、本来ならばより多くの入学者が見込めると思うのですが、なかなか来てもらえない状況です。調理科は、逆にそのような影響は全く受けていません。パティシエ・ブームの影響もあり、調理師資格取得後も、更に専門学校や短大でスイーツを学びたいという生徒もいます。
先ほどお話にあった地域課題の解決の実践という中で、自分たちで解決方法を学び、考え、課題を解決し、今後に結びつけるというサイクルがありましたが、このような生徒たちの取組を行政に生かす上で、越生町はもちろん、埼玉県でも国でもいいのですが、行政にこうしてもらうとよりお互いにとっていいという御意見があれば教えていただけますか。
本校は、私立高校であり、県立高校と直接連携する機会やパイプが限られているのが現状です。そのため、県内にもこのような特色ある取組を行っている私立高校が埼玉県にもあることを県内各所にお伝えいただければ幸いです。県立高校と連携して取り組める分野も色々とあると思いますので、相互協力することで、より魅力的で活力ある埼玉県の創出につながるものと期待しています。
全体として垣根を設けず、例えば加工食品コンクールに学校として作品を出品したり、自動車や環境分野などのフェアに生徒たちが参加したりするなど、様々なやり方があると思います。生徒たちが多様な形で輝くのであれば、是非やらせていただきたいと思います。
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第一実業ベリーズファームは、プラント及び機械器具の国内販売並びに輸出入を事業とする機械商社の第一実業株式会社のアグリ事業部門です。 業界トップレベルの洗浄度を満たした作業装置を用い無菌培養による苗づくりを行っています。特に液体培地を用いる「液体培養法」を採用し、従来の固形培養法と比較して数百倍のスピードで苗を増やすことを可能にしています。 クリーンな環境で、親株から伸びたツルの先にできる苗(ランナー苗)の生長点細胞を採取し、病原菌の保菌率を最小限に抑えた苗を「メリクリーン苗®」として商標登録し供給しています。 メリクリーン苗から育てたセル苗(小さなカップに入った苗)の利用により、生産者は育苗作業の手間や労力を大幅に削減でき、閉鎖型イチゴ栽培植物工場へ時期を選ばす適時適量の供給ができます。 令和6年度埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」において大賞を受賞しました。 訪問先では苗づくりを視察し、役員の方などと意見交換を行いました。 |
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生産者の皆様から、「あまりん」、「かおりん」、「べにたま」をとにかく早く欲しいと毎年言われております。場所ごとに対応してきたため、行き届かない地域では1年ほど言われていましたが、第一実業さんのお力添えにより実とり苗がこれまで想定していたペースよりも早く供給できるようになりました。まず感謝を申し上げたいと思っています、本当にありがとうございます。
正直に申し上げますと、第一実業さんに対してはプラント会社というイメージを持っていました。農林部から社名を聞いたときに、同名の別会社だろうと思っていましたら、同じ会社であるということで、多角的な事業展開をされていることに驚きました。
私たちとしても、これから様々な形で埼玉県から付加価値の高いものを出していきたいと強く考えています。
また、先ほど他社との協業等の取組についても御説明いただきありがとうございました。私たちとしても様々な形での組合せを模索しています。例えば農地転用に関しては、農林水産省にも働き掛けをしているのですが、ここを農地転用する代わりに農地をここに確保するということで、農地の面積ではなくて、出荷量で補償させてほしいと、これだけ必ず生産をする代わりに農地転用させてほしいというようなことを、今、農林水産省に働き掛けしています。そうでないと農地はあるけども、実際には農業に使われていない所になってしまい、本末転倒になってしまいます。そういった意味で、これから違う形の農業、稼げる農業、こういったものを是非やっていきたいと思っています。是非、御協力をよろしくお願いしたいと思っています。
まず、第一実業さんがアグリビジネスに入られたきっかけを教えていただけますか。
この場所は、もともと半導体分野の企業が所有していた土地でした。その企業が手がけていた一つの事業を譲り受けることとなり、その際に引き継いだ土地がこの場所でした。相当規模の遊休地でしたので、この土地を有効活用できないかということで、社内コンペを実施し、環境に優しい農業の分野にも参入していこうというプレゼンテーションが採用されたことがきっかけとります。
そうですか、分かりました。
次にメリクリーン苗®について桜花がしますが、シーズ先行の開発でしょうか。それともニーズ先行の開発でしょうか。
当初は、夏にイチゴ、冬にブルーベリーを栽培し、作目を転換しながら行う果実生産事業に取り組んでいました。しかし、果実生産事業の分野には高い技術を持つプロフェッショナルな農家の方々がおられ、同じ土俵で競争することは容易ではないと判断しました。様々なマーケティングを行う中で、今後、イチゴの苗は統計的にも供給不足に陥る可能性が高いこと、そして、農家の作業工程の中で最も負担が大きいのが苗を作る工程であることが分かりました。そこで、私たちの一番得意とする工業化・自動化のノウハウを生かし、農業における前工程の苗に特化した事業で進んでいこうという決断をしました。この苗事業に参入してから6年目を迎え、ようやく事業として成り立ってきたところです。
エンドユーザーである出荷される農家の皆さんにも営業されていると思いますが、反応はいかがですか。
導入当初は「苗が小さくて不安だ」という声を頂きますが、時期が進むにつれて苗は順調に大きく成長し、「これなら安心だ」「問題ない」と評価が変わっていきます。その後、連続して生産することで収量が増えるケースが多く、これなら来年もということで、リピート率は非常に高くなっています。
農業は比較的保守的な業界であるため、まずはサンプルを出荷させていただき1年間実際に栽培をしていただいています。そこで良いものができ、翌年からは使用料を頂き、年を重ねるごとに導入規模が拡大し、ようやく市場が広がってきたところです。
保守的な業界でありながら、イチゴに関しては、比較的意欲的な方、第二創業の方も含めて新規参入したり、作目を転換する方が埼玉では比較的多いと感じています。
イチゴは果樹と違い、植えれば翌年に収穫ができるという点で、ビジネスとしての面白さがあります。ただ、私たちが重視しているのは、味のストライクゾーンにある程度入ってほしいということです。私たちのイチゴは高値で取引されているため、この水準を下回るものが市場に出てしまうと、「あまりん」はおいしくないという評価につながりかねません。そこは最も気にしているところです。こうした点についてもお知恵を頂けると大変ありがたいです。
私たちは、工業化を進めることで、安定した品質の商品を、適正な価格で、適量を適時に市場へ供給できる体制づくりが重要だと考えています。自然環境が大きく変化する中において、これは非常に重要なポイントだと思っています。しっかりと貢献できるようにがんばってまいります。
よろしくお願いいたします。
生産者同士の食味会を実施して、他の生産者のイチゴを食べ比べることで、もっとおいしいものがあると気付き、皆さんがレベルアップをしていると伺っています。
はい、そうなのです。やはりブランドは守らないといけないものですから。
今、インターネットで「日本で一番注目されているイチゴ」と検索すると、「あまりん」が一番に出てきます。
関西のスーパーで「あまりん」が販売されているのを見て、思わず一人で興奮してしまいました。ただ、周りの方はまだわからないだろうなとも感じました。
関西では、まだ「あまおう」の認知度が高いのが現状です。その中で私たちが負けない存在であり続けるためには、単においしいものを作るだけではなく、品質の低いものを出さないことが何より重要だと考えています。また、知名度もまだ十分ではないので、その向上にもしっかりと取り組んでまいります。
当社の苗は、北海道から沖縄まで販売していますが、これまでは埼玉県では十分な営業ができないでいました。
当社は、安定供給という点において、製造メーカーの業界では知名度があり、企業間での取引が多いのが事実です。
そうですか。
埼玉は非常に交通の便がよく、公共交通を利用すれば1時間で5,000万人にアクセスできる数少ない地域です。是非、ここを拠点に色々な取組を進めていただければと思います。「あまりん」も数年後にはきっと全国に広がると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
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戦後、川越市に三つあった酒蔵のうち最後まで残っていた「鏡山酒造」が平成12年に廃業し、再興を望む市民の強い声を受けて平成19年に新たに川越市仲町に設立された酒蔵です。 川越で育てた米と川越の水を使用し、川越唯一の酒蔵として地元に支えられながら酒造りを続けています。 埼玉県が開発した酒造好適米である「さけ武蔵」を地元農家と協力して生産し、地域資源を活用した地産地消を強く推進しています。この「さけ武蔵」を生産する「JAいるま野さけ武蔵生産組合」は、その取組が評価され、令和2年度埼玉農業大賞の地域貢献部門優秀賞を受賞しています。 テニスコート1面分のマイクロブルワリー(小規模醸造施設)で、手頃な純米酒も高級大吟醸と同じ少量仕込みで醸しています。 「さけ武蔵」を使用した鏡山斗瓶取り雫酒大吟醸が、平成30年度全国新酒鑑評会において金賞を受賞しました。また、Made in SAITAMA優良加工品食品大賞2023において優秀賞を受賞しました。 訪問先では酒蔵を視察し、経営者の方と意見交換を行いました。 |
酒蔵にて櫂入れを体験 |
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五十嵐さんが鏡山をやろうと思ったのはどういうきっかけですか。
原宿や秋葉原と違って、川越に来る観光客の皆さんは和をお求めに来ていただいています。蔵の街川越に酒蔵という重要な施設がなくなってしまい、川越に来ていただいたからには、川越のお酒を飲んでいただきたいというのが始めたきっかけです。
埼玉のお酒は、それぞれの蔵によって特色があるというのが、一番の埼玉の特徴ではないかと思っています。鏡山さんが一番狙っているターゲットはどこですか。
私が一番狙っているターゲットは、若い人です。もちろん玄人の人たちもお酒は楽しんでいただきたいのですが、飲酒人口、飲酒量が減ってきているので、若い世代を育てていく必要があります。昔みたいに飲みにケーション、飲み会といったものが希薄になってきていますから、若い方に飲んでいただくことが大切だと思い酒造りをしています。
若い人には浸透していますか。
若い人たちに日本酒を飲んでいただきたいということを、ももいろクローバーZの皆さんにお伝えしたら、酒造りに来てくれました。彼女たちのファンには年配の方もいれば若い方もいらっしゃいますが、若い人たちに日本酒を知っていただくきっかけを作っていあだけたことはありがたかったです。
世界でも私たちのお酒は、フィリピンのマルコス大統領に御紹介させていただいたり、シンガポールのAmazonのお酒部門ではナンバーワンを獲得したりしています。私たちの酒は、シンガポールやフィリピンといった国々で、小規模ながらも着実に世界で楽しんでいただけています。JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)が埼玉にできたのはすごくうれしかったです。皆さんのサポートも頂きながら、世界でも私たちのお酒を紹介させていただければと思っています。
今後海外への展開についてはどうお考えですか。
日本酒業界は、残念ながら斜陽産業だと思っています。人口もどんどん減少する中にあって、現在の輸出は、全体の5%に過ぎません。これを20%程度まで高めていく必要があるのではないかと思っています。海外からの要望も非常に多く、うれしい反響です。海外には日本酒愛好家が多く、皆さん熱心で、日本人よりも詳しく、すごい情熱を持っています。
埼玉県の観光の特性ですが、埼玉県は千葉県、神奈川県に比べて、ホテルや旅館の客室数が3分の1となっています。東京都と比べると8分の1です。本来であれば宿泊していただいてお金を落としていただくのが一番なのですが、なかなかそうもいかない。そうであれば、川越まで来ていただいて、お菓子だけではなく、もう少しお金を掛けていただいて日本酒2本ぐらい買って帰っていただく。観光業そのものは、労働集約産業であり、実は生産性が非常に低いです。
話は変わりますが、ジン(蒸留酒)は、海外では焼酎のような安価なお酒です。それを日本から持っていっても売れないだろうと思っていましたら、アメリカですごく売れました。私たちもセールスに力を入れますので、是非、日本酒を海外で御紹介ください。御協力をよろしくお願いいたします。
知事に是非お力添えいただきたいことがあります。県内には、酒蔵が33社、ビールが30社、ワインが4社、ウイスキーが2社、ジンが2社あります。埼玉は、アルコール天国だと思っています。これだけそろっているのに、例えば10月に日本酒はさいたまスーパーアリーナで埼玉地酒まつり、ワインやウイスキーも独自でイベントを行っています。これを一つのイベントで行っていただきたいです。
ちちぶ乾杯共和国で、どぶろくまで含めて全部出てきたことがありました。
目指してほしいのは、「にいがた酒の陣」のようなイベントです。このイベントは、コロナ禍以前の平成31年には、2日間で約14万人を動員しました。現在は入替え制となっていますが、それでも2日間で約2万人が来場し、チケット収入だけで約8,200万円を生み出しています。ドイツのオクトーバーフェストをモデルに行われています。埼玉県でも個別にイベントを行うのではなく、一堂に会してなにかできるものがないかと、以前から言い続けています。
いくつかアイデアが出そうなので、考えさせてください。