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掲載日:2023年11月21日
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訪問日
令和5年5月10日(水曜日)
訪問地域
川越比企地域(鶴ヶ島市、坂戸市、川越市)
訪問先
日本初の近代的造船所「石川島造船所」を起源とする総合重工業グループで資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4つの事業分野を中心に事業展開しています。今年で、会社創設から170年を迎える日本を代表する企業です。
鶴ヶ島工場は、日本国内にある航空・宇宙部門の工場としては、23年振りとなる新規工場として建設された工場で、令和3年6月に操業を開始しました。
鶴ヶ島工場では、主にエアバス社製機体用のジェットエンジンの修理・整備を行っており、令和4年度には彩の国工場として指定されました。
知事は、会社の概要について説明を受けるとともに、工場内を視察し、工場関係者らと意見交換を行いました。
世界が相手の民間航空機整備工場を訪問する
2点お伺いしたい。まず、埼玉県内には大きな民間の飛行場がありません。埼玉県の地の利を踏まえて、今後の事業展開について教えてください。
地の利として、圏央鶴ヶ島インターの直近で、空港からの交通の利便の良さというのがあります。福島県相馬市にも工場があるので、連携を図っていきたいと考えています。
次に雇用の面についてお伺いします。埼玉県は多くの企業に立地していただいていますが、人の採用で苦労することがあるとのお話しをいただくことがあります。
また、先進的な技術を扱っている工場なので職員の技能の向上に努めておられるのは当然かと思いますが、パートさんも含めた技能の向上にはどの様に取り組んでいますか。
この業界は日本のみならず世界的にも人手不足な状況なので、航空大学校や専門学校にも一生懸命PRして採用できるよう努めています。
地域からの採用という点では、まずこの地域の皆さんに我々のことを知っていただき、将来働いてみたいと思っていただけるように努めることが先決であると考えています。
また、エンジン整備は労働集約型の事業なので人材が第一です。職員を育てながら先進的な技術を持つ職員を増員していくことが次第に難しくなっています。仕事を細分化するほか、次第に技能を高め仕事の幅を広げられるよう工夫をしています。
まだまだ人は必要で、技能を持った職員を補助するという形でパートさんに仕事をしてもらっています。
IHIの鶴ヶ島工場があるということで、定住者が増えるということを期待しています。
寮が鶴ヶ島市内にあるので、寮に入っている若者が将来的に周りに家を建て定住するということがあるかもしれません。
大きな部品を扱いながら繊細さを高度に融合させているのは人材があってこそだと思いますが、若手の教育で工夫していることはありますか。
いろいろな資格制度を設けていますが、教育には時間がかかります。そこで、航空学校などと連携し整備の現場で役立つカリキュラムを組み入れていただくなどの工夫を行っています。
人の命を預かる仕事なので、チームを作りその中で新人教育をしています。
創業以来、坂戸市内で試作品・金型・治具類製作・各種機械加工等を手掛けてきた社員数10人程度の小さな会社が、今までの下請け・孫請けの体制から転換するため、持ち前の技術と設備を活かしカマキリ型の料理用トングを開発しました。
ほかの動物タイプのトングも開発し、坂戸市のふるさと納税返礼品にも選定されています。
今の代表取締役は、岡山県職員として働いていましたが、前代表取締役の引退に伴い奥様の実家である会社を継ぐため、岡山から移住しました。
昆虫好きの社長の発想の下、カマキリ型の料理用トングを開発し展示会に出展したところ、テレビ局の目に留まり、本年1月5日放送のNHK「あさイチ」という番組で紹介されました。ほかにも犬や猫型のトングも製作・販売しています。
知事は、カマキリトングなどの製作工程を視察し、役員の方々などと意見交換を行いました。
カマキリトングの製造過程の説明を受ける
カマキリトングシリーズを拝見させていただいて、これからの製造業はBtoCに力を入れていくことも大切であると考えています。
一方で、業務の平準化がなかなか難しく、どうしてもコストが掛かってしまうと思います。その中でどうバランスを取っていくのか、また、今後の販路拡大についてどのように考えているのか教えてください。
BtoBだけでは景気の影響を受けやすいため、まだ始めたばかりだがBtoCで今後は全体の売上の半分を占めていけるようにしていきたいと考えています。
知事のおっしゃるとおり、確かにコストがかかってしまい、このカマキリトングも1個2,900円で販売しています。皆さんこれ良いですねと言ってくれるが、一方で値段が高いとも言われてしまう。できるだけ製造工程を見直しコストを下げる努力をしていきたいと考えています。
しかし、一番の問題は売り方です。今は自社ECサイトで販売しているが、なかなか見つけてもらえません。卸売で取り扱ってもらうのが一番売れ、大手小売販売会社などからも声を掛けていただいたこともあるが、手数料の兼ね合いで当社の利益を確保することが難しくなる。やはり自社で売るしかないが、改善できないかと感じています。
県内の様々な製造業の会社と話をさせていただいていて、BtoCは少量多品種の方が儲かると思うのですが、労働力の平準化や利益を維持したままずっと働くというのは難しいと思います。それをDXにより改善している会社が埼玉県内は割と多いです。技術も上がり製品化力も向上し、かつ作る喜びを享受できて、なおかつ平準化も図れる。実はこれが儲かるパターンだと思います。
中小企業が業態転換を図るケースも多いので、そういったお手伝いもさせていただきたいと思っています。
小江戸黒豚の飼育及び直営店のミオ・カザロや小江戸黒豚鉄板懐石オオノを経営しており、農業の6次産業化に取り組んでいます。
飼育のノウハウを活かし、平成29年度に、より付加価値のあるチョウザメの養殖事業及びオリーブ栽培事業を開始しました。
平成17年度には埼玉県優良生産管理農場に認定され、平成21年に第31回埼玉農林業賞、平成27年に第6回埼玉農業大賞優秀賞、平成28年に農林水産省全国優良経営体優良賞、令和元年に第27回優良外食産業優秀賞を受賞しています。
知事は、大野農場の概要について説明を受けるとともに、チョウザメの飼育水槽を視察し、農場の方々と意見交換を行いました。
大野農場でチョウザメの飼育を見学し、大野会長と記念撮影をする
今までと全く違う事業形態に投資し、利益を上げて資金を回収するには時間がかかると思います。事業の転換というのは非常に大きな決断であったと思いますが、どのように決断したのか教えてください。
人を増やさなければならないので、先ずは従業員と相談しました。人を増やすには有給休暇を増やさなければならなかったり、給与をアップさせたりしなければならないなど追加コストが発生しました。
また、売り上げが極端に大きくなるわけではないため、できるかぎり現存の施設を活用できないかと考えました。たまたま旧豚舎だった建物が2棟空いていたので、そのうちの1棟を活用して何をしようかと相談しました。
ガチョウやウナギなど色々なものが候補に挙がりましたが、結果的に残ったのがチョウザメの養殖事業ということでした。その後、視察なども行いました。
これからの事業展開についてどの様に考えていますか。もちろん県としてもお手伝いできることはお手伝いしていきたいと思います。例えばマッチングなど。
また、自社で作って販売し、利益を上げている会社も多いですが、その点はどの様に考えていますか。
養豚にしてもチョウザメにしても、自前でできる部分は極力自前でと思うが、それぞれに捌く施設や資格が必要だったり、人材やお金がかかるため、必要な部分は外部委託していきたいと考えています。
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