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掲載日:2023年12月11日
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訪問日
令和4年8月29日(月曜日)
訪問地域
秩父地域(横瀬町、秩父市、小鹿野町)
訪問先
横瀬町では「賑わいづくり中心地づくり」をまちづくりの柱として、遊休資産を有効活用した交流・活動拠点の整備を進めています。
チャレンジキッチンENgaWA(えんがわ)は、旧給食センター跡地に令和4年3月オープンした特産品の開発施設で、地域おこし協力隊員が地元食材にこだわった新商品開発を進めています。
NAZELAB(ナゼラボ)は、一般社団法人タテノイトが「子供の第三の居場所」として「よこらぼ」※に提案し、令和4年7月、JAちちぶ横瀬支店跡地に開設した施設です。こども食堂や図書館など放課後の居場所を提供しています。
LAC(リビングエニウェアコモンズ)横瀬は、不動産サイトなどを運営する株式会社LIFULLが令和4年5月、JAちちぶ横瀬支店跡地にオープンしたコワーキングスペースで、全国で41の拠点を持っています。
知事は、各施設を視察した後、AREA898(エリアはちきゅうはち)で代表者や地域おこし協力隊の方々と意見交換を行いました。
※「よこらぼ」とは、「横瀬町とコラボする研究所」の略称。横瀬町のフィールドや遊休資産を活用し、企業・団体・個人を問わす、実施したい取組を実現するため、横瀬町がサポートを行う事業のこと。
チャレンジキッチンENgaWAで地域おこし協力隊員から話を聞く
NAZELABの施設を見学する
地域おこし協力隊員からLAC横瀬の説明を受ける
横瀬町は小さな町で駅前商店街など中心がない町です。そこで「まちのヘソ」が必要と考え、具現化しているのがこのエリアです。
このAREA898の特徴は、敢えて壁を取り払ったことです。それぞれ集まってくる人たちが少しずつ違いますが、それらの人たちが交流してこの空間ができている。そこがとても大事なことだと思っています。
今日は、とても想像力をかき立てられる勉強をさせていただきました。
特に、ちちぶ農業協同組合さんは、このような遊休資産の活用や地域おこしなどにとても相性が良いのではないかと改めて感じました。
この場所は、直売所と事務所として使っていました。どうしても統廃合せざるを得ないという状況の中、AREA898として利用していただきました。その先の展開もお話をいただいていたので、地域のためになると思い、喜んで利用していただきました。
赤岩さんや舘野さん、新堀さんは、元々は町の外の人たちですよね。外からの目として、横瀬町の魅力とは何でしょうか。
「人」です。本当に「人」がすばらしいです。私たちが事業立上げの相談をした時も、不思議とそれにちょうど合った人たちが横瀬にいたり、紹介してもらったり、皆さんがとてもアクティブなので、積極的に応援をしてくれます。
元から住んでいる方と新住民は、どこでも、どうしても距離があると思います。そこを乗り越える、または乗り越えたコツや心掛けることなどはありますか。
横瀬町は、芦ヶ久保の氷柱や花咲山公園など、町民のボランティアで何かをつくるということが多いです。
そこに私たちが行って、一緒に作業を行う中で接点ができ、そこで交流が生まれて、頼りたいときに頼りやすいということが多いと思います。
まだオープンして3か月程度なので、地元の方たちは、あまり関係ない施設なのかなと思っているようです。もっと町の方たちにここを使っていただいて、伝えていかなければいけないなと思っています。
陽野ふるさと電力株式会社は、里山保全のボランティア団体「陽野ふるさと会」が前身の電力会社です。 高齢化による後継者不足を契機として住民出資による電力会社を設立し、地域特性を生かしたマイクロ水力発電事業を展開しています。 売電収入を地域住民のボランティア活動資金に充てて里山保全事業に活用するなど、地域に再投資する仕組みを作る取組などが評価され、令和2年に総務省ふるさとづくり大賞、令和4年に緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰を受賞しました。 知事は、代表者等と意見交換を行った後、秩父寺沢川発電所の見学を行いました。 |
秩父寺沢川発電所を見学する |
先日、緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰受賞の御報告で知事室へお越しいただき、お話を伺ってから、是非、水力発電所を見てみたいと思っていました。今日はこういった機会を与えていただきありがとうございます。
元々、近郊農業や山の傾斜を利用した農業と小水力発電は相性が良く、明治初期までは、農協に電力免許が与えられていました。
その後、規制が強くなり、結果として手が出しにくくなったという経緯があると理解しています。規制の問題についてはどのようにお考えでしょうか。
ゼロからのスタートということで、まず取っかかりをつくるのに少し時間がかかりました。
最終的には行政の皆さんに御理解と御協力をいただきましたが、その辺が我々素人としては一番難しかったかなと感じています。
確かに、初めてのことはいろいろとぶつかりますが、借入金の返済計画を延ばしていただくなど、いろいろな方の善意もありました。
元々秩父とは縁のない、小林さんと遠原さんにお伺いします。他にもすばらしい場所はあったと思いますが、その中で荒川日野地区を選んだ理由は何でしょうか。
自然公園の中に住居が構えられるところが非常に魅力的でした。写真作家としては、なるべく自分の作風と生活の乖離をなくしたかったので、とにかく山の中に住みたかったというのがあります。
元々住んでいた浦和から近いこと、それから人との出会いです。家を探しに来たとき、たまたま寄った江田(事業部長)さんのお蕎麦屋さんで尋ねたところ、空き家を紹介していただきました。近所の方も本当に良くしてくださって、これは間違いないと思って決めました。
私は、川のポテンシャルというのは、ものすごくあると思っています。マイクロ水力発電を行うに当たって、当然川と近くなると思うのですが、川の可能性をどのようにお考えでしょうか。
日本全国で、戦後に植林した杉の木が伐期を迎えていますが、林業が成り立たない状態です。川というのは保水する広葉樹林を増やしていくことが重要だと思っています。
そこで我々は、杉、ヒノキを切って、広葉樹を植える活動をしています。川も非常に重要ですが、まず山を何とかしていかないと将来的には期待が持てないと思っています。
ぜひ川も活用していただきながら、山や森もよろしくお願いいたします。
移住してきていただいた方を含めて、秩父応援団、埼玉県としても市長とともに大切に応援したいと思います。
ディアレット・フィールド・ブルワリー(小鹿野醸造所)は、平成31年1月から令和4年4月30日まで小鹿野町地域おこし協力隊として活躍した工藤エレナ氏が夫の工藤宏樹氏とともに起業した蜂蜜酒(ミード)専用の醸造所です。廃校となった旧倉尾中学校体育館を改修して令和3年7月にオープンしました。
小鹿野産・秩父産の蜂蜜を使った醸造を行い、町内で採れた百花蜜を使用した無濾過の「秩父小鹿野百花」は、小鹿野町ふるさと納税の返礼品になっています。
知事は、任期終了後も小鹿野町で活躍を続けている工藤エレナ氏のほか、元地域おこし協力隊員4名との意見交換を行った後、蜂蜜酒の醸造所の見学を行いました。
元地域おこし協力隊員との意見交換
醸造所で蜂蜜酒の仕込みについて説明を受ける
(1)元地域おこし協力隊員との意見交換
地域おこし協力隊として、埼玉県の誇る自然豊かな風光明媚な地域であります小鹿野への大きな熱い想いでこれまでも活動いただき、本当にありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
小鹿野町の魅力を他の地域と差別化して、どのように伝えていくのかは、とても難しいことだと思います。皆さんは活動を通じて、どのように差別化して訴えているのでしょうか。
差別化というと、あえて違うことをしがちですが、むしろ、今ある独自性を際立たせて、どう伝えるかということだと思っています。
エゴマ油は比較的黒い種を作って絞りますが、私は、石が多くて粘土質という独自の地質を利用して、あえて白いエゴマを作って絞っています。
また、小鹿野はヘリコプターで農薬散布するようなことがないので、安心して買っていただけます。それをどうお客様に伝えるかというのが今の課題です。
3年間、地域おこし協力隊として在籍していた時、役場の職員にサポートしていただき、とても居心地が良かったです。
自治体が親身になってくれるのは、移住する人にとってとても良いのではないかと思っています。
切り花は、輸送に強い品種、日持ちの良い品種が選ばれますが、ダリア園であれば日持ちは関係なく、多種多様な品種が展開できます。
また、非常に手間がかかる花を無農薬で栽培している生産者は全国にほとんどいない点も、お花屋さんのニーズに応えられているのではないかと思っています。
どの地域でも、新住民と元からいる人達との間では必ず温度差があると思いますが、本さんが小鹿野町に来られて、そこはどう感じましたか。
やはりあると思います。ただし、過疎が進んでいる地域だからと言って、新しく引っ越してきた方がルールを守らなくても許してくださいというのは、元々住んでいる方に対して酷な話だと思っています。
引っ越してきた方が配慮し理解することがとても大事であり、だからこそ、移住コーディネーターが必要だと思っています。
(2)醸造所見学
中世ヨーロッパでは、奥様が蜂蜜酒を造って、旦那さんと飲む1か月間をハニームーンと言い、それが訛ってハネムーンになっています。このことから、結婚祝いやギフトにもお勧めのお酒です。
ここでは、5リットルサイズの仕込み体験を行っており、1か月後に12本を自宅に届けるサービスをしています。結婚した夫婦で仕込んだり、友達にプレゼントするなど、お酒好きの人が自分で仕込めるという体験はなかなかないと思います。
香り高く、すっきりしておいしいです。
大きい瓶だと持って帰りにくいので、12本ではなく小分けにして、結婚式の引き出物にしてもいいかもしれませんね。
小鹿野町、東京農業大学と一緒に、山村を活性化していこうという事業に取り組んでいます。
その中で、養蜂家さんは、事業承継したいけれども、お金にならないものは若者に引き継がせたくないという考えを持っていることが分かりました。
そこで、養蜂家の方々のお手伝いができればと思い、需要喚起に取り組み、小鹿野町の養蜂家の皆さんが希望する限りは全量を買い取るということを宣言しています。
逆に、受粉の関係で、県内の果樹農園さんが、お金を払ってでもぜひ養蜂家に来てほしいというところもありますので、そういった所ともタッグを組みながら取り組むという方法もあるかもしれません。
今日は、とてもリアルな皆さんの息遣いが聞こえるような話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。ぜひ、さらに小鹿野を好きになっていただき、そして好きになっていただける方を増やしていただけるようお願いします。
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