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掲載日:2025年10月20日
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知事
私の方から今日は2点御報告をさせていただきたいと思っています。最初は、来年度、令和8年度の予算編成方針についてであります。本日各部局に予算編成方針を示し、令和8年度の予算編成作業がこれより本格的にスタートいたします。令和8年度の予算編成は3つの方針の下に行います。1つ目ですが「未来を築く、歴史的課題への挑戦」であります。これまでも申し上げてきましたとおり、本県は「人口減少・超少子高齢社会の到来」と「激甚化・頻発化する自然災害などへの危機対応」という時代の転換期における2つの歴史的課題に直面しています。これらの課題は一朝一夕に解決できるものではありませんが、県民の皆様の未来に向けて責任を果たすべく、これらの課題に敢然と立ち向かい、埼玉の未来を着実に築くため、時代の変化を捉えた中長期的な施策を構築していく必要があります。人口減少・超少子高齢社会への対応として、人口減少下でも持続的発展を確実なものとするための社会全体のDX推進による生産性の向上、つまり人口減少があっても生産性を向上させることによって経済を持続させるという意味です。あるいは埼玉版スーパー・シティプロジェクトによる持続可能なまちづくり、そして医療・福祉人材の確保、サーキュラーエコノミーの推進などによる環境と経済の両立、渋沢MIXを中心としたオープンイノベーションの創出など、あらゆる施策を着実に実施してまいります。また、激甚化・頻発化する災害というもう一つの課題に対しては、突発的な大雨の発生など、最近の気候にみられるとおり、災害は必ず起こるという前提の下、想像力を働かせ、入念な備えを進めてまいります。具体的には、流域治水対策など県土の強靱化を図るとともに、これまで取り組んできた「埼玉版FEMA」の実効性を更に高めるなど、各分野での取組を進めてまいります。2つ目は「『日本一暮らしやすい埼玉』5か年計画の総仕上げ」であります。ジェンダー主流化などにより女性活躍を推進するとともに、こどもや高齢者、障害者、性的マイノリティなど、あらゆる人材が活躍できる社会づくりを進めるなど、5か年計画に掲げた「あらゆる人に居場所があり、活躍でき、安心して暮らせる社会」の実現を一層確かなものにしてまいります。令和8年度は5か年計画の最終年度、総仕上げの年に当たることから、これまで取り組んできた事業について、計画の実効性を担保するため、PDCAサイクルに基づく検証、改善によりブラッシュアップを行い、将来像の着実な実現を図ってまいります。3つ目は「時代の変化に対応した不断の行財政改革の推進」であります。高齢化の進展による社会保障関連経費の増加やインフラ施設の老朽化対策など、引き続き厳しい財政状況が見込まれる中、必要な施策を実行するためには、不断の行財政改革を推進する必要があります。行財政改革に当たっては、引き続きDXの推進により、デジタルを前提に従来の仕事のやり方をTXの手法を活用して根本から見直し業務の生産性を高めるとともに、県民サービス向上の取組を深化させてまいります。また、EBPMに基づく事業レビューにより事業の必要性、有効性を検証することで新陳代謝を促し、真に効果的な事業に限られた財源と人材を重点的に活用してまいります。これらの取組を進め、将来を見据えた基金残高を確保するとともに、県債残高の適正な管理につなげてまいります。さらに、物価上昇が継続していることを踏まえ、予算計上に当たっては、適正な労務単価や資材価格を反映するほか、様々な公的制度に関わる基準額の見直しなど、社会情勢の変化に適切に対応してまいります。これら3つの方針を定め予算編成を行い、「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向けた取組を進めてまいります。なお、現時点での収支見込みについてでありますが、今後の予算編成過程において調整が必要な額は、一般財源ベースで1,558億円となっています。この金額はあくまで一定の前提の下に推計されたものであり、歳入歳出を今後しっかり精査していくことで最終的な調整を行ってまいりたいと考えています。
知事
次に、「埼玉県返礼品付ふるさと納税事業」についてであります。県ではこれまでも県版のふるさと納税に取り組んでおりましたが、寄附を頂いた方に対して感謝状の送付にとどめておりました。10月20日月曜日から返礼品付きのふるさと納税を県として開始いたします。ふるさと納税は寄附者が選んだ自治体に寄附を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額を控除する仕組みであります。県内各地域の魅力ある特産品を返礼品として提供し、県内各地域の魅力をアピールすることで、本県のファンを増やし、実際に埼玉県に訪れてもらったり、特産品を引き続き買っていただくことなどにより、地域振興の更なる進展につなげたいと考えています。県の返礼品の特徴ですが、複数の市町村の「食」や「コト」、「モノ」をカテゴリーごとに組み合わせているところにあります。「食」とはお酒やスイーツ、あるいは「コト」は県内各地で楽しめる体験、「モノ」は県産木材による木工製品などを御用意しております。また、複数市町村にまたがった商品やサービスであることによって、それぞれの市町村の返礼品として扱えないものを埼玉県オリジナルの返礼品として提供することも特徴の一つとなります。10月20日から提供する返礼品ですが、103のメニューを用意しております。「食」は83、「コト」つまり体験は5、「モノ」は15となっております。
次に具体的な返礼品を幾つか御紹介したいと思います。まずは、「食」の返礼品でありますが、埼玉県は全国でも有名な酒どころであります。その中で、行田市にある川端酒造さんと、川越市にある鏡山酒造さんから4回に分けて、日本酒が届く「日本酒大満足セット」を御用意いたしました。例えば、川端酒造の「清酒桝川(せいしゅますかわ)」はほんのり香る吟醸香とふくよかな味わいが特徴となっています。鏡山酒造の「鏡山 山田錦大吟醸」につきましては、フルーティーな吟醸香に包まれた芳醇辛口の大吟醸酒であり、城下町にある2つの酒蔵の日本酒の味比べができます。次に、「コト」つまり体験の返礼品でありますけれども、小川町にある料亭「寿司忠(すしちゅう)」のお食事券と、ときがわ町にある温泉施設「都幾の湯(ときのゆ)」の食事券付き入浴ペア券を組み合せた「比企エリアお楽しみセット」であります。小川町の料亭は明治43年創業の伝統ある料亭であり、歴史を感じるお部屋で地元の有機野菜などを使った日本料理が楽しめます。ときがわ町の温泉施設は、里山の温泉で四季の風を感じながら過ごすことができます。比企地域は都心から車で約2時間という利便性にもかかわらず、日常から離れ、御褒美のような時間を過ごすことができる素敵な地域でありますので、是非、御堪能いただきたいと思います。
最後に、「モノ」の返礼品としては、春日部桐たんす組合の「桐の棚」を御紹介します。春日部桐たんすは、江戸時代より受け継がれてきた伝統技法で桐の美しさを存分に引き出して作られた、軽くて丈夫な最高品質の桐のたんすであり、こちらはその技法で作られた棚の返礼品であります。この返礼品は、工程ごとに複数の市町村にまたがった商品であるため、市町村の返礼品として扱えない県オリジナルの返礼品です。今回3つの返礼品を御紹介させていただきましたが、そのほかにも地域の魅力がたっぷり感じられるような返礼品を様々取りそろえております。今後も、県有施設を活用した体験型の返礼品など、県オリジナルの返礼品も随時増やしていく予定であります。最後に、埼玉県へのふるさと納税につきましては、4つの返礼品提供ポータルサイト、楽天ふるさと納税、ふるなび、ふるさとチョイス、ANAのふるさと納税で申込みをお願いしたいと思います。詳しくは、県ホームページを御確認ください。なお、注意点ですが、埼玉県民の方は埼玉県にふるさと納税をすることはできますが、返礼品をもらうことができません。県民の皆様には、是非県外にお住まいの親類やお友達に広めていただきたいと思います。県外の皆様には、是非本県のふるさと納税返礼品をきっかけとして、埼玉県の魅力を知っていただき、実際に埼玉県に訪れていただいたり、特産品を引き続きお買い求めいただくなどして、埼玉県のファンになっていただきたいと思っております。
毎日
予算編成方針についてなのですが、県税は増える見込みということなのですが、それなりの計算をされてそういうふうに見込みを立てたと思われるのですが、例えば物価高によって消費税の収入が上がるとかそういうことかなと思うのですが、そういう見込みの根拠になるものを教えていただきたい。それと、社会保障関連経費、やはり年々右肩上がりでして、県税の収入増が今回は増になっていますが、いつまで続くかも分からない中、知事がどうそれを受け止め、今後どういうふうな方向性に持っていこうとしているのか、先ほどの(予算編成方針)3番のところに当たるのかなとは思うのですが、ちょっと改めて知事のお考えをお願いいたします。
知事
まず県税収入につきましては、堅調にこの数年間、特に新型コロナウイルス感染症以降というのでしょうか、5類移行以降につきましては着実に増加しております。これは法人(二)税もそうですし、(地方)消費税などは御指摘のとおり物価に伴うものもあろうかと思いますが、これらにつきましても増加しているというのが現状であります。その一方で、御指摘のとおり社会保障関連経費など、義務的経費が主たるものでありますけれども、増加していることも事実であります。これらを両方として足して考えれば、先ほど申し上げたとおり、引き続き財政は厳しいということになります。また今回お示しさせていただいた収支、特に歳出の見込額のほうですけれども、これについては調整をしたというよりも、それぞれの部局から上がってきたものを足し上げたものであります。これらにつきましては、要調整額となり、このままだと不足いたしますので、したがって、今後、予算の編成の過程を通じて、それぞれの部局、あるいはニーズ、そして昨日も各議員さんからも頂きましたし団体からも頂いておりますけれども、御要望などを踏まえて、精査をしていくつもりでございます。
毎日
今後もどんどん社会保障関連経費、その必要経費が上がっていく中、税収がいつまで増が続くのか分からない中で、それをどう受け止め、どういうふうに工夫してやっていこうとされているのかというのを改めて聞きたいのですが。
知事
歳入そのものは令和3年から比較しても約15.2パーセント増えています。ただ、御指摘のとおりいつまでも増えるとは限らないと思っておりますし、日本の経済の先行きについては専門家の方々も比較的悲観的な見方をする方が多いのではないかというふうに私も認識をしています。その一方で、歳出については御指摘のとおり義務的な経費、つまり我々が予算の中で増やすとか増やさないとかという議論ではなくておのずと出ていってしまう経費が非常に多いというのが現状であります。私たちといたしましては、だからこそ、この3番目にありますけれども、不断の行財政改革、これを進めなければならないということで根本から一つ一つの仕事を見直していっておりますけども、その中でも埼玉県はDXに伴って生まれた時間を消すことなしに、それぞれの部局でコントロールして、TX、タスクトランスフォーメーションとして必要な業務や、それぞれの個々の職員のいわゆるアップスキリングに割り当てる、こういった仕組みを持っています。これは単純に時間を削減して、そして必要なところに持っていくだけではなく、実は時として、それぞれの部局でどこに何時間費やされているかという把握がそれぞれの部局でなかなか毎回やっているわけではない中で、いわゆる管理職にしっかりとその意識を植え付けるという、そういった効果も持っているというふうに考えております。また将来を見据えて、これは収入を増やすということも大切なので、今、ネーミングライツ等のいわゆる県独自の収入を上げていく、こういったこともやらせていただいていますので、これまでの行財政改革の手法に加えて、新たに先ほど申し上げたTX、ネーミングライツ等の県独自の収入、こういったものを挙げさせていただいておりますので、不断の行財政改革の一環として、これを進めることによって、危機感を持って将来に向けて取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。
時事
発表事項それぞれについて1点ずつお伺いしたいのですけれども、まず、最初の予算編成方針について、今回の基本方針については、昨年度から「未来を切り拓く」を「未来を築く」に表現を変えたほか、あと暮らしやすい埼玉5か年計画の総仕上げという観点を加えていること、また物価上昇への対応を強調されているかと思うのですけれども、今回の基本方針に込めた意味であったりとか、変更点について改めて知事の思いを御説明いただきたいのですけれども。
知事
まず、順番が違うかもしれませんが5か年計画の総仕上げのほうは、来年度には5か年計画の5年目になります。したがいまして、ここに向けては、我々はこれまでできたこと、できないことを含めて、最終的に5年目の計画の将来像をきちんと描きながらPDCAサイクルを回してどこに着地させるかということをやっていくということをまず申し上げたいと思っています。その上で、今、物価高の話がございました。物価高騰等を含めた社会情勢の変化に適切に対応というのは(予算編成の3つの方針の)3番にもありますけれども、恐らくこれからしばらくの間、どの程度物価高騰になるかというのはもちろん見越せませんけれども、目先だけではなくて、実質賃金の目減りも含めて、埼玉県はちなみに実質賃金については、この1年間も2か月(のちに訂正:4か月)を除いて全て上がっていたと思いますけれども、そういった我々は例えば価格転嫁などを通じて、ほかの県にはない数字を残してはいますが、しかし、目先だけではなくて中長期的に抜本的な経済に手を入れていくという必要も考えると、先ほど申し上げた人口減少・超少子高齢社会においても、持続的な発展を行う、生産年齢人口が減っても労働生産性を上げる、付加価値を上げる、こういった政策をこれまでも行ってきましたけれども、これまでは切り拓くというところから、次はその上に積み重ねるという意味で「築く」という思いをもう一歩進めたつもりであります。付加価値の向上についてはサーキュラーエコノミーや、あるいは渋沢MIXなどで同じことをしていても、少しでも多くのビジネスチャンスがある、あるいは労働生産性については以前から申し上げていますけれどもDXだとか価格転嫁だとか、こういったところに恐らく非常に力強い施策を埼玉県打ってきたと自負していますので、これを単にやりますということではなくて、実績を一つずつ積み重ねるという意味で「築く」というふうに、させていただいたつもりでございます。3ポツ(予算編成方針の「時代の変化に対応した不断の行財政改革の推進」)につきましては、先ほどの毎日新聞さんからの御質問にて大体答えているとおりだと思いますので、それでよろしければその形にさせていただきたいと思います。
時事
もう1点ですけれども、返礼品付ふるさと納税についてお伺いしたいです。この返礼品付ふるさと納税について、寄附金については地域振興のために各市町村に交付する県の補助金のふるさと創造資金の原資にすると伺っているのですけれども、今回初めて県として返礼品付ふるさと納税を始めた経緯というか目標金額もあわせてちょっと教えていただけると。
知事
返礼品付ふるさと納税については、様々な御意見があり、単純に手放しで賛成ではない方々もおられるというふうに私も思いますし、問題もあると思っています。他方で、現状で申し上げると、埼玉県の場合にはこれまで、もちろんお礼状を差し上げるという意味でふるさと納税ができたのですけれども、返礼品付きのふるさと納税を行っていなかったことによって、結果としてですけれども流出額が大幅に超過していたということもあります。また、ふるさと納税で返礼品を出して埼玉県独特のものをお渡しすると、埼玉県のいい「モノ」、あるいは「コト」消費であれば良い「コト」、これを知っていただけるという効果も我々はあるというふうに考えておりますので、これについては、ふるさと納税で流出額を可能な限りまずは抑えていくということが必要ではないかと考えました。目標はもちろんお金だけではないですけれども、金額、寄附の目標という意味で申し上げると、5年後の令和11年度に、寄附件数で4,300件、寄附額で1億4,600万円を目指しているところであります。ちなみに令和6年度の埼玉県へのふるさと納税の寄附については、1,300万円でした。これは先ほど申し上げた返礼品のないやつですね、1,300万円でしたので、これを5年後に1億4,600万円にしたいと考えておりますので、これを積み重ねていけるようにしたいというふうに考えているところでございます。また、この使い先ですけれども、ふるさと納税、やはり埼玉県のそれぞれの良さを目に見える形で良くなったとお考えいただくということが、一つ寄附していただいた方々の思いにも応えると思いますので、県内市町村の魅力ある地域づくりを推進するため、県が市町村に対して交付しているふるさと創造資金の原資とさせていただきたいと思っております。ちなみにこれまでも、「ふるさと創造資金」を活用して「住むなら埼玉移住促進事業」とかですね、あるいは「市町村と地域団体との協働事業」などに支出してまいりましたので、こういったところに将来的にも具体的には支出をすることになるかと考えています。
日経
予算編成方針に関して1点お伺いしたいことがあるのですけれども、先般、商工会議所連合会さんなどからも要望が出て、産業界からは特に次年度予算で人手不足対策というところにやはり手を打ってほしいという声が多かったかと思います。中には高等専門学校を新設するといった、そんな提案もあったりしているところですけれども、これから具体的に配分であったりとか、そういったところは今後決めていくことだと思うのですけれども、改めてこの来年度の事業の中で特に人手不足にどのように県として対応していくのかというようなところのお考えというのがあればお伺いできればと思います。
知事
商工会議所連合会の御要望にもあったというふうに御指摘がございましたけれども、人手不足についてはこの商工会議所連合会もお入りいただいた「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」がございます。この戦略会議におきまして、我々といたしましても分科会を設置して集中的にこれを取り進めているところでございます。もちろん、この戦略会議の中にはいわゆる一般的な合意として頑張りましょうと、こういったどちらかというと抽象的というかそれぞれの連携を図る、そういったものもあれば、具体的に人手不足の厳しい業界に対応するということで、特に2024年問題と言われた、建設それから運輸、この分野で具体的に何かしましょうということで、我々、例えば「宅配を1回で受け取ろうキャンペーン」のようなものを行って、既にキャンペーンのステッカーを宅配トラックに貼っていただいていますが、1万枚の貼付が終わっています。こういった一つ一つ具体的な積み重ねをしていかないといけないというふうに思っておりまして、それ以外にもシニア人材の確保ということで、大学の卒業生などを対象にしたものであったり、あるいは外国人材の確保、さらには女性人材の就業支援、そして若手人材の確保ということで高校・大学との連携、こういった具体的なものを既に進めているほか、生産性を高めるためのリスキリングや、あるいはDX、さらには労務費を上げるための適切な価格転嫁、こういったことを行っています。また各団体にもお願いをして、物流事業者等の人材確保の事例を横展開するとか、具体的な話をたくさん進めているところでございます。商工会議所の要望についてはまだ私も具体的に見てはいませんけれども、例えば高専の新設などについては教育局の所管になろうかなとは思いますが、学校に入ってくれる人がそもそも我々の高技専においても、実はそんなにいないということでございますので、御要望のとおり来たとしても、入学者を例えば商工会議所のほうでどのようにあっせんしてくれるかとか、我々が仮にそういった箱を作ったとしても、人をどうするかというのはそう簡単ではないので、したがって、人手不足対策イコール高専の新設には必ずしもならないので、そこは丁寧に先ほど申し上げた一つずつ作り上げていかないと、実際には策を打ったけれども無駄であったということに絶対にしてはいけないので、先ほど申し上げた戦略会議等でも丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。
毎日
大野知事は、首都圏の他の知事らと共にこれまで税収の地域格差是正を訴えてこられました。9月の定例東京都議会の小池知事の所信表明でこのことを触れられ、住民税利子割の議論について、小池都知事は極めて少ないサンプル調査を基に拙速に進められていると指摘されました。また東京一極集中でなく地方分散をという意見についても、持論を述べられた上で両者に見え隠れするのはファクトをないがしろにして東京の力をとにかく地方に切り分ければよいかのような短絡的な発想と批判されていました。このことについて知事の受け止めとお考えをお聞かせください。
知事
まず、小池都知事のお立場からお話をされたことというものについて論評はいたしませんが、ファクトについて申し上げると、まず個人住民税の利子割については、令和7年度与党税制改正大綱において「税収帰属の適正化のための抜本的な方策を検討し、令和8年度税制改正において結論を得る」と明記されました。これを踏まえて、総務省の「地方税制のあり方に関する検討会」において議論が行われ、今年の7月に中間整理がなされ、今後国において適正化に向けた税制改正の議論が進むものと認識しております。先ほど限られたサンプルといった御議論がありましたけれども、この検討会が示した個人住民税利子割の都道府県別シェアは全国で課税された全ての利子割のシェア、すなわち日本の全人口を対象としたものでありますけれども、そこにおいても東京都のシェアは47パーセントを超えており、税収の偏在は明白であります。引き続き、このような、きちんとしたファクトに基づいて、国の責任において、個人住民税利子割の税収帰属の適正化に向けて必要な措置がなされるよう検討が進められるべきであると考えているところであります。また個人住民税ではございませんが、地方法人関係税収の偏在是正については、8月29日に先ほどの御指摘のことだろうと思いますが、私と千葉県、神奈川県の両県知事と共に、総務大臣及び財務副大臣に御要望させていただいたところであり、引き続き、「特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律」附則第9条に基づき、法律の施行後の全国の状況を勘案し適正な偏在是正措置を早急に講じることを求めていきたいと考えております。これは法の附則に書かれた義務でありますので、是非、国におかれては、このような不公正を放置されることがないようお願いしたいと思っています。そして人口に関する東京一極集中の話だろうと思いますけれども、こちらにつきましては、国において、人口急減・超高齢化、東京一極集中といった課題があると、その課題に対してこれを克服するためとして、平成26年12月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定されました。また、令和7年6月には「地方創生2.0基本構想」を示されるなど、地方創生の取組を国は進めてきました。しかしながら、大変残念なことに全国の自然減、あるいは合計特殊出生率の減少傾向は現在も続いているところであります。東京都はその一方で常に人口の社会増を維持しているなど、東京一極集中も改善しているとは言えないのではないかと思います。さらに、深刻なことにこれに伴って税収の偏在はますます加速をしているところであります。特に、東京都と隣り合う周辺地域においては、東京都との財政を含む差によって深刻な影響を直接受けており、東京一極集中の是正こそが喫緊の課題であり、引き続き、あらゆる機会を捉えて国に対し要望を行っていきたいと考えています。
毎日
(小池)都知事が言われているこの要望が「東京の力を地方に切り分ける」というものと(知事が)考えるかどうかお聞かせいただけますか。
知事
私たちが考えているのは、当然それぞれの地域によって力を入れることが異なることは当然であろうと思いますし、それぞれの課題が地域ごとにあるのだろうというふうに思います。そこに対して、それぞれの自治体が力を入れていることは必要だと思います。ただ、その力を入れる、その力そのものがあまりにも偏在をしている場合に、特にそれが隣り合う地域や他の地方に大きな影響を与えるようなものについては、私は不公正であると言わざるを得ないと考えています。例えば、埼玉県においても、これは日本全国どこでもそうだと思いますけれども、その地域に居住をして、その地域で使うものをその地域から発注をして買物をする、これがeコマースとして行われる場合に本社が東京にあると、それらに伴う税金やあるいは収入、利益といったものが本社のある地域に重点的にばらまかれてしまって、結果としてお金を吸い上げるけれども地方には恩恵が来ないといったことも想定されるところであり、これから先はファクトですけれども、この偏重の状況というものをしっかりとまず状況を(勘案し)、国は先ほど申し上げましたけれども、我々としてもいろんなファクトを出せますが、まずは法律の附則の条項に従って全国の状況を勘案し適切に是正措置を講じることが必要だと申し上げているので、東京がお持ちの力を何とかというよりも、これは公正さに関わる問題でございますので、東京から奪うのではなく国が適正な制度を構築するべきであるというふうに申し上げているつもりであります。
日経
台湾電子部品大手の国巨(ヤゲオ)が埼玉県内に本社を置く芝浦電子へのTOBを行っており、遠からず買収成立する見通しとなっております。ホワイトナイトとしてミネベアミツミ社が名乗りを上げ、一時は買収価格の引上げ合戦とも言える状況となりましたが、そのことによって公開買い付け期間の長期化等も起きました。温度センサーの分野で、特に芝浦電子は世界の高いシェアを誇り、埼玉県を代表するイノベーション企業とも言える会社ではありますが、このことに対して県内の財界等の注目も非常に高く、知事も是非、一連のこの動向に対する御所感をどのように見ていらっしゃったのかといったところがありましたらお伺いできればと思います。
知事
株式会社芝浦電子は、昭和38年、東京の板橋区からさいたま市内に本社を移転してこられました。御指摘のとおり、温度センサーについては世界的なシェア、約13パーセントと聞いていますが、埼玉を代表する電子部品メーカーになっていると思います。現在、南与野駅西口に研究開発機能も備えた本社施設を新たに建設中で、年明けには完成というふうにも聞いております。芝浦電子の台湾企業による買収については我々も報道では存じ上げており、関心を持っているところでありますが、具体について承知しているわけではありません。他方で、こういった優れた技術力が評価されたことが企業買収の発端、一つの原因になったのではないかと思っています。報道によればではありますが、買収後も法人格は維持させる、あるいは従業員の雇用も維持するという方針だということで合意したというふうにも聞いております。したがって仮に資本関係が変わったとしても従業員に影響が及ばず、また引き続き優れた技術力を有する埼玉県を代表する企業として発展されることを期待すると、現時点では述べるしかないのだと思います。
時事
2点お伺いします。民間調査会社のブランド総合研究所の47都道府県の魅力度ランキングで2025年度の最下位が埼玉県でした。魅力の発信不足という声もありますけれども、今回の結果について、大野知事の感想と御見解をお伺いしたいです。
知事
魅力度ランキングという言葉が正しいのかどうか分かりませんけれども、この「地域ブランド調査2025」というのには、調査項目が90あるそうです。その中での魅力度はその中の1項目ですが、それ以外の調査項目でいうと例えば「住民参加」でいうと全国1位、そして「教育・子育て」は全国2位、「居住意欲度」は16位となっており、住みやすさ、あるいは埼玉を御存じの方の満足度や評価は高い一方で、観光の評価が非常に低いということがこの結果になったというふうに考えています。また、この会社ではなくても、他の調査もたくさんあって、例えば一般財団法人日本総合研究所が実施した「2024年度版 幸福度ランキング」では総合順位は15位ですけれども、教育分野は7位、文化は9位、さらに民間の不動産賃貸会社が実施した「いい部屋ネット 街の魅力度ランキング2025」におきましては、総合では16位ですけれども生活利便性は3位であります。そういったことから考えると、住むにはいいけれども、観光地ではないというふうに見られているというふうに言えるのかもしれませんが、私たちから言えば、江戸の面影が残る蔵造りの町並みで知られる川越、これは日本中の多くの観光地よりもたくさんの方々が来ていただいています。また荒川を豪快にすべる長瀞のライン下り、あるいは「世界一幸せな(動物)クオッカ」に世界の中でドイツと並んで、オーストラリア以外では東松山で会える、こういった観光スポットに加え、食についても評価が低いようですけれども、全国いちご選手権での3連覇を含め、日本で最もおいしいいちごとして5回連続で埼玉県のいちごが優勝したり、あるいは彩玉、さらにはうどんなど、本当に多くの魅力があると思っています。最近では、こうした魅力が本当にほぼ毎週というか、毎日のようにテレビ番組でも取り上げられておりますので、我々といたしましては、十分外に対して様々な形で知っていただいているというふうには思いますけれども、これを県の魅力というふうにお感じでない可能性もあるのかなというふうに考えているところであります。いずれにいたしましても、私たちとしては様々な機会を活用しながら、県内外の皆さんに埼玉県のこれだけ魅力があるということを単に住みやすいだけではなく、観光の分野でもPRをさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
時事
あと、最後に1点なのですけど、政局についてお伺いしたいのですけれども、自民・公明の連立から公明党が離脱しました。今後の連立の在り方について、今、議論が進んでいますけれども、今後の政局の在り方であったりとか、知事の御意見があればお伺いしたいです。
知事
国政政党における、連立なり、あるいは協議なりといったことについて、私が述べるべきものはないと思っております。しかしながらその一方で、是非国に対してもお願いをしたいし、実際に私がコンタクトしている国会議員には必ず申し上げていますけれども、衆議院選、参議院選を通じて、国民の実質的な所得であったり、物価高であったり、こういったものに対する論戦が国政選挙を通じてほぼ全ての政党がこれを議論していて最も大きな争点だったと思っています。しかしながら、この物価高対策を可能にするための補正予算が、いわゆる政局によって後に後にとやられてしまうことは決していいことじゃないと思っています。したがって、私たち地方自治体としては、可能な限り早期に国政において補正予算、これはどのような形かというのは彼らが考えることですけれども、補正予算は可能な限り早期に組み、物価高対策を行っていただきたいというのは、我々は強く感じるところでございます。いずれにしても、国の政局について私が何か述べるようなところは現時点ではなく、私も今、現時点で政党にも所属していないので、自分の政党に対して何とかとかですね、そういった思いはございません。
NHK
鶴ヶ島市の老人ホームで入居者の女性2人が殺害された事件について2点お伺いできればと思っております。事件の受け止めについて、知事の受け止めを伺えればと思います。加えて報道ですと暗証番号を元職員が入力して建物の中に侵入したという報道があります。暗証番号自体をこまめに変えろというような法的な規定というものはないとは思うのですけれども、防犯対策について高齢者施設の指導の御担当を県はされていると思いますので、防犯対策の徹底について、当該施設を含めて高齢者施設全体に何か要請を行ったりですとか、場合によっては立入調査なんかもされたりする御予定はあるのか、その2点を伺えればと思います。
知事
まず、今回の本当に痛ましい事件によってお二人の方が命を失いました。お二人の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。その上で、事件発生後、元施設職員が殺人容疑で逮捕され、現在警察で捜査が進められているところであり、県としては事件の詳細について現時点で把握ができているわけではありません。しかしながら、県といたしましては、当該施設の防犯管理体制等に問題がなかったか確認するために、今後、施設への立入調査を行うことを考えております。また本日ですが、県内の社会福祉施設などに対して、夜間の施錠など防犯管理体制等の再確認を依頼する通知を発出するとともに、県老人福祉施設協議会など関係団体に対しても、施設の防犯管理等の徹底についての協力要請を行わせていただいたところでございます。なお国が定める基準においては、宿直の時間などを含め、介護サービスの提供内容に応じて介護職員の勤務体系を適切に定めることとしていますが、この事件が起こった当時、まだ先ほど申し上げた事件の詳細は把握していませんが、1名の夜勤体制であったというふうにも聞いております。この体制が適切であったかどうかについては、今後の調査で確認させていただきたいと思っています。また、元職員が御指摘のように、在職当時の暗証番号を利用して入室したというのが事実であるとすれば、防犯上の安全管理が適切ではなかった可能性があると思います。したがってこの点も含め、今後の調査で確認し、必要な指導を行わせていただきたいというふうに思っているところであります。
NHK
通知はもう発出されたという理解でよろしいでしょうか。
知事
本日行いました。(終)
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