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掲載日:2024年4月15日
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知事
私の方から今日は何点か御説明させていただきたいと思います。また、今年度もよろしくお願い申し上げます。さて、まず、私から「ジェンダー主流化の推進」について御報告いたします。これは、ジェンダー主流化を県の施策に反映させ、埋もれていた男女それぞれの視点を取り入れた取組を進めることによって、誰もが暮らしやすい埼玉を目指すものであります。改めて、ジェンダー主流化でありますけれども、あらゆる施策において固定的な性別役割分担、性差別、偏見等が社会的に作られたものであることを意識する視点を取り入れることにより、1つの施策が結果として男女間で格差をもたらしていないかを点検し、施策効果の向上を図るものであります。ジェンダー主流化を全庁へ展開していくに当たり、その手法の確立が必要となります。そこで、令和5年度、昨年度、ジェンダー主流化に向けた事業点検の試行として、幅広い県政の分野から5つのモデル事業を選定し、実施いたしました。なお、この試行に当たっては、国際協力分野でジェンダー主流化について経験豊富なJICAからアドバイザーとして御協力いただきました。試行結果につきまして、主に令和6年度に予算化したものについて御説明させていただきたいと思います。
まず、「ジェンダー視点に立った災害対応」であります。ジェンダーの視点で現状を見ると、過去の災害発生時に、避難所では女性が性被害等の様々なリスクに直面しています。もう一度、先ほどのジェンダー主流化について申し上げますけれども、これらの施策に対して、例えば、様々な固定的性別役割分担や性差別、偏見等に、こういったものを考えると、例えば、今回の避難所について考えると、そこに問題はないかということを点検するものだというふうに申し上げました。この視点を入れて、この避難所について申し上げると、例えば、これまでアンケートでそこが判明してきましたけども、内閣府が全国市町村を対象に実施した調査結果と、県が県内の市町村に実施したアンケート・ヒアリング(調査)によって、実態把握を行ってみました。例えば、内閣府の調査によると、避難所の開設・運営の訓練や研修にジェンダー視点を取り入れているのは県内の市町村の中では13と少数にとどまっています。また、県の調査によると、市町村の地域防災計画等の策定プロセスから女性が参加している市町村は半数にとどまっています。これらの結果を踏まえると、災害発生時に住民に最も身近で関係のある「避難所」について、ジェンダー視点の導入が進められなければならない。特に、様々な問題でジェンダーという意味で、災害対応、実は大きな問題、課題がありますので、そこではジェンダー視点の導入を含め、避難生活における安心安全の向上が急務となっていると考えます。令和6年度には、市町村におけるジェンダー視点による避難所開設や運営の重点強化を図るため、県として、県標準手引き及び映像資料を作成し、それに基づくマニュアルを全市町村で策定をしていただくよう促していきます。これまでも、避難所では、例えば、女性が被害に遭ったり、女性特有の問題が考慮されていなかったりということで、様々な問題が出てきたことに対して、我々は対応するという意味であります。
次のパネルになりますけれども、「新規農業者の育成・確保」です。ジェンダー視点からこの現状を見ると、本県における女性の新規就農(者)割合は25.6パーセントと低い状況にあります。女性の新規就農者割合が少ない理由を把握するため、県として、就農を考える女性からの就農相談内容の分析であったり、あるいは、既に就農している女性農業者へのヒアリング等を実施いたしました。その結果、就農相談内容の分析からは、就農を考える女性がいて、その方々は、「農業法人で働きたい」とか、あるいは、「小規模農業をやりたい」とする割合が男性よりも高いことが判明いたしました。また、既に就農されている女性農業者にヒアリングをしたところ、「トイレや更衣室など女性が働きやすい環境が整備されていない」とか、あるいは、「女性農業者の経営モデルが身近にいない」といった声がありました。女性の就農者を増やすためには、女性が働きやすい環境の整備や、女性就農者等に対する埼玉県での就農方法のPR、農業法人が、例えば、女性用トイレや更衣室の整備をする等の「女性が働きやすい環境整備」を行う際に、県として支援を行う等、女性就農者の育成・確保が必要であるということが判明し、令和6年度の取組といたします。
次に、「都市公園施設の整備」です。これまでは、トイレや子供用設備等、県営公園の施設整備においては、ジェンダーの視点の取り入れは行われていませんでした。そこで、県として、公園利用者に対するアンケート調査を実施しました。その結果、トイレ、あるいは授乳室に対する女性の満足度が低い、その主な要因として、トイレが使いにくい、あるいは防犯対策に対して高いニーズがある、あるいは授乳室が子供の遊び場の近くになく不便である、こういったことを感じているということが分かりました。また、女の子、女児はブランコやプレイハウス等の遊具を好んでいるということも分かり、男女で差があることが分かりました。そのため、より多くの方に快適に公園を御利用いただくためには、性別によることなく誰もが利用しやすい遊具であったり、あるいは授乳室のある広場であったり、誰もが安心して快適に利用できるトイレであったりが必要であるということが分かってまいりました。そこで、令和6年度の取組として、誰もが使いやすい公園づくりに向けた取組を進め、誰もが遊べる広場の整備や誰もが利用しやすいトイレの設置に取り組んでいくことといたしました。
最後に、「今後のジェンダー主流化の取組」であります。ジェンダー主流化の全庁展開を実施し、本県全体の男女間格差の解消を図る取組を広げてまいります。すなわち、県においては、これまでは5つの選ばれた施策を考えてまいりましたが、これを県の全ての施策の点検を通じて、ジェンダー主流化の視点を取り入れた施策を展開し、施策効果の向上を図ってまいります。また、市町村や企業におけるジェンダー主流化の理解を促進するとともに、ジェンダー主流化の視点を取り入れた事業や活動を展開していただいて、本県全体としてジェンダー平等の実現を目指してまいります。令和6年度につきましては、ジェンダー主流化の全庁展開として、先ほど、御説明した令和5年度の試行成果を全ての施策に横展開してまいります。男女間格差の実態を把握し、その格差の解消を図ってまいります。また、市町村や企業、組織のトップ等の理解促進を図るため、市町村長や、あるいは企業の幹部を対象としたトップセミナーを開催したり、担当者向け講座も実施いたします。トップセミナーの開催に当たっては、私、自らジェンダー主流化の重要性を訴え、ジェンダー主流化に向けた取組を社会全体に推進できるような、そんな流れを是非つくってまいりたいと考えているところでございます。
読売
ジェンダー視点に立った災害対応の、県内の、まず、今の実態とですね、あと、避難所の運営については、2024年度(令和6年度)の当初予算案にも盛り込まれていましたけれども、具体的にどのように取り組むのかというところをお願いします。
知事
まず、例えば、阪神淡路大震災や東日本大震災等、過去の大規模災害においては、避難所で、例えば、性被害に遭うとか、あるいは授乳スペースが不足しているとか、女性向けの生活用品が不足している等、正にジェンダーを巡る問題が報告されてまいりました。また、今般の能登半島地震においても、避難所において、女性が着替える場所がないとか、あるいはトイレが男女共用である等の報道もありました。県内市町村で実態調査をしたところ、多くの市町村において、地域防災計画や避難所運営マニュアル等にはジェンダーの視点を導入するということが記載されてるのですが、実は、訓練等への反映といった実質的な内容については、全体として、まだまだ道半ばであるということがよく分かりました。また、国もガイドラインを作成しているのですけれども、基本的な考え方、あるいはチェックリストを示しているだけで、具体的な避難所開設や運営のマニュアルにまでなっていません。そこで、大規模な地震、また、国のこういったガイドラインはですね、大規模な地震被害を想定した長期の避難所運営を専ら念頭に置いています。他方で、本県の場合には、本県の地理的な特性等を見ると、やはり風水害に対応した短期間、例えば、1日程度の避難所の開設等も想定する必要があろうかと思っています。そこで、令和6年度には、災害時、もちろんない方が良いのですけれども、災害が起きた場合には、ジェンダー視点を踏まえた避難所の開設や運営ができるよう、標準の手引き及び映像資料を作成して、それに基づく市町村版マニュアルの策定を全ての市町村に普及していきたいと、これが私どもが取り組みたいと今思っていることであります。
読売
もう1点ありまして、全庁展開というお話しがありましたが、県庁では、子育てとか(埼玉版)スーパー・シティ(プロジェクト)とかいう課題についてPTを立ち上げていらっしゃいますけれども、このジェンダー主流化もPT設置まではいかなくても、この横串、部局横断の展開を目指すのか、この点についてお願いします。
知事
ジェンダー主流化の全庁展開と先ほど申し上げました。その具体策ですけれども、まずは、それぞれの部局が今行っている施策、これを当然のことと考えるのではなくて、ジェンダーの視点を取り入れるということが必要です。ただ、なかなかですね、やっている施策ですと、今までの延長線になってしまうので、まずは、施策の対象となる県民の方々に、ジェンダーに関する調査やヒアリング等を行っていただいて、男女間での格差が結果として発生していないかを点検いたします。そして、その結果、男女間の格差が仮に明らかになるというようなケースがあった場合には、その取組案をそれぞれの部局で策定していただき、そして、その策定した案を実施するというやり方をしたいと思っています。各部局においてはジェンダー主流化を推進して、男女間格差の解消を図る取組を促進する仕掛けを、是非、作りたいと考えており、そのうちの1つとしては、例えば、これまでも埼玉県として主要な優先施策については、人事評価等の全体の枠と言うのでしょうか、パイに加算したりしてまいりましたので、そういったことも今後検討していきたいと思っています。
時事
災害対応へのジェンダー視点の反映についてですが、各自治体の災害対応のセクションに女性の職員が少ないと言われております。埼玉県では、どのように対応を行っている、もしくは行っていくか教えてください。
知事
先ほど、ジェンダー視点のところでの災害対応の(説明の)中で、まず、各部局のものと、それからジェンダー視点の導入をした策定プロセス、この両方が必要だと思っています。埼玉県の場合には、皆さん御存じだと思いますけれども、一昨年からですかね、全ての部局に女性の課長を登用するということで、災害対応部局についても同様にしています。また、災害関係ももちろん含めてですけれども、様々な委員会、あるいは、こういったプロセスを定めるような、そういった専門家の集まりには、女性が一定程度、クォーター制度を導入して、今、42パーセントという女性の割合を(目指)していますけれども、これが相当今進んできているので、(詳細な)数字は、すみません、後程お話しますけど、多分私の理解ですと(達成割合は)9割以上になっているはずですので、そういったことで、女性の視点を入れていくということを考えています。また、市町村に対しても、避難所に、例えば、関しては、市町村が主体として設置いたしますので、この策定プロセスにおいて、例えば、女性に参画していただくということで、計画はあるけれども、これを是非見直していただくということを促していきたいと考えています。
時事
あともう1点あるんですけれども、県の地域防災計画には女性の他に性的マイノリティについても何か記載があるようなんですけれども、そちらについてはどう対応していくのかについてもちょっと教えていただければなと思います。
県民生活部
災害の直接の担当ではありませんけども、ジェンダー主流化というのは、まず男女間の格差に着目していくわけですけれども、そこを、切り口としては性的マイノリティも含めたですね、様々なジェンダーの平等といいますか、そういったものを目指すものだというふうに理解しております。
知事
ちなみにUN Women(国連女性機関)の定義においては、ジェンダーというのは、物理的・生物的なものではなく、社会的に規定されるものであると定義されていますので、ジェンダー主流化というときには、物理的・生物的なものにとどまらないというふうに御理解いただいてもよろしいのではないかと思います。
時事
対応は行っていく方針であるという理解でよろしいでしょうか。
危機管理防災部
今、お話のありました性的少数者に対しましてもですね、配慮するようにというのは規定があるところでございます。例えば、プライバシーですね、見えないようにするというところにおいてもですね、女性においても、こういった少数者に対してもですね、同じく配慮していくというところが求められているところでございまして、この点がまだ不足しているところがございますものですから、今後、解消するようにですね、努めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
日経
2点、御質問がございます。まず、1点目なんですけれども、今回、令和5年度で5つのモデル事業を選定とあるんですけれども、これを選定するプロセスと言いますかですね、ここでどういう検討作業があったのかというのを、まず、可能な範囲でお伺いしてよろしいでしょうか。
県民生活部
設定に当たってですね、モデル的な事業ということで、県民に分かりやすいものということと、ある程度分野が県民に直接関わるような分野でということで、分かりやすいものを複数の部局間をまたがるような形で選定させていただきました。
日経
先ほどおっしゃったような県民の調査というのは、令和6年度以降やっていくということになる、何か県民の調査、ヒアリングとおっしゃったと思うんですけれども。。
知事
そのとおりです。
日経
あと2点目が、今回のジェンダー主流化は男女の機会の平等ではなく、結果の平等からアプローチしていくもので、結構全国的にも珍しい、自治体でも珍しい取組かと思うんですけれども、埼玉県のこうした取組を将来的には他自治体にも参考になるように情報発信するとか、ジェンダー主流化が完了した後の、更にその先で、もし考えていらっしゃることがあればお伺いしてよろしいでしょうか。
知事
ジェンダー主流化は、例えば、女性が働きやすい職場ですとか、あるいは社会進出といった時に、私たちは、女性が働きやすい職場や、あるいは女性が過ごしやすい社会というのは、誰にとっても過ごしやすい社会であったり、働きやすい社会であるというふうに考えているところであります。そこで、このジェンダー主流化については、これはそもそも試み自体はそんなに新しいものではなくて、1997年に国連で提唱をされたものですけれども、実際に、日本国内で、これが実は導入されているというのは非常に少ないので、先ほど申し上げたJICAとか、非常に少ない例だと思っています。これを私たちは、本当に、例えば、法律や制度では女性と男性の平等というものは、私は実現していると思います。そこで、法律上不平等があるというようなことはないのだと思います。ただ、現実の問題として、それでもガラスの天井がある、あるいは現実の問題として、女性が、あるいはジェンダーが異なる人たちが、そこで差があると思っているというのは、これも現実の問題として事実だと思います。そこで、こういった平等が機会として保障されていれば、例えば、避難所で男性も女性も同じようなトイレを使って、男性も女性も同じように洗濯物を干して、これは必ずしも機会の平等が保障されていても、結果として私は平等ではないと思っているので、やはりそういったことを点検する必要があるというふうに考えました。そして、これを実際に成し遂げた後、もしくは同時並行的に、市町村や、あるいは企業さんにも広めていくということで、私どもが、全都道府県にとは申しませんけれども、社会の中にこれを、是非、還元していきたいというふうに考えているところであります。
NHK
ジェンダー主流化の取組、トイレですとか身近な空間を過ごしやすくするという考え方、すごく共感するところがあります。その上でちょっと質問なんですけれども、まず、今回、農業分野が入っているというのは、埼玉県の、例えば農業県であって、何か例えばすごく働きづらいというような声が具体的に上がっていたですとか、今回ピックアップされた背景に何かあるのか、あれば是非教えていただきたい(という)ことと、何かそれにJICAですとか、いろいろ助言をいただいた機関があったと思うんですが、そういったところの何か傾向等も参考にされたのか、もう少し詳しく教えてください。
知事
女性の就農が進んでいないというのが一番大きな理由です。
農林部
今、知事からも御説明があったとおり、やはり就農する前の相談等でですね、やはり女性は農業法人で働きたいとかですね、大規模ではなくてですね、まずは小規模から始めたいという、そういった意見なり、就農相談をしている中で声がありましたので、取り組もうということで考えております。
NHK
ジェンダー主流化ということで、もし今後何か教育面でも、例えばジェンダー主流化を図っていく上で、普及を進めていく上で、教育で普及させていくということもとても大事じゃないかなと感じているところなんですが、今、県立学校では、男女共学(化)をどうしていくかというような議論もありますけれども、もし教育分野でも、どうやって浸透させていくか、若いうちからこういう考え方をどうやって浸透させていくかという、もし何か目指すもの、お考えのことがありましたら、是非教えてください。
知事
私どもといたしましては、もちろん教育の内容については、教育委員会において集団で決定していただくものではあります。他方で、女性差別撤廃条約は教育について1項目を割いています。そこでは、男性と女性が同様の施設において、同じようなクオリティで、そして同様のカリキュラムを享受できることとしており、また、今(男女)共学(化)の話がありましたけれども、共学(化)については「共学」と「共学その他の教育」を推進することによって固定化された男女の役割概念というものを打破していくということが求められています。そういった意味では、正に目的は「同様のクオリティ・同様の施設」こういったものを提供したり、あるいは男性と女性の固定的な役割分担概念というのでしょうか、こういったものを撤廃していくことがこの条約で求められていますので、県としてもそれらのことに従って、必要な、例えば予算的措置とかですね、あるいはこのジェンダー主流化が貢献できるものがあるとすれば、我々としても教育(委員会)のお手伝いをしていきたいと考えているところであります。
埼玉
ジェンダー主流化の全庁展開ということで、ちょっと意地の悪い質問かもしれないのですが、県庁内での取材をさせていただいている中で、お茶を出すという行為があるかと思うのですが、ほぼ女性がやっているところしか見たことがないんですね。これについてやっぱりこう、知事は率直にどのようにお考えになるかというのを教えていただけますでしょうか。
知事
お茶出しは女性の役割ではないと、私は思います。もちろん、お茶を出していただくという役割は、多分しばらく残るし、特に狭山茶はおいしいですから、是非、出していただきたいと思いますが、ちなみに、県知事の部屋では、女性と男性とが両方で出していただいていて、その割合としては、多分半々か、あるいは男性の方が若干少ないかぐらいだと思いますけれども、私は別に女性に限られると(いうのは)固定的な役割概念、正に典型的なものだと思うので、そういうことが、もし、いまだに女性だけの役割だと思っている部局があるとすれば、直ちにやめて欲しいし、それは(やめるよう)指示します。
読売
新年度の意気込みについて伺いたいと思います。新年度が始まってですね、新しい体制の下で、難題である人口減少とかですね、災害対応に取り組むことになると思います。今回の人事では実績と継続面を重視されていましたけれども、昨年度の総括とですね、それをどう生かしていくのかも含めですね、新年度の意気込みをお聞かせください。
知事
昨年、私が冒頭に申し上げたのは、令和5年度を「ポストコロナ元年」にするというふうに申し上げたはずであります。実際の問題として、昨年度には、(「ポストコロナ元年」にすると)宣言した後ですけれども、5月にコロナの感染(症)法上の位置付けが2類相当から5類になったので、実際に大きな転換点を迎えることになったと思っています。しかも、「ポストコロナ元年」にすると去年の冒頭申し上げたときに、そのときにやはり申し上げたのですが、コロナ前の状態に完全に同じに戻るということはもう有り得ないだろうと、同時に、コロナ禍で例えば起きた変化の中では前向きなもの、例えばデジタル化とかもありましたと、そこでこれらも踏まえて、コロナを超克した段階で持続的発展を可能にする社会を実現させる、これが去年、私が申し上げてきたことでありました。そういった意味で申し上げると、もちろん国の方針を踏まえて感染症対策をやるということはそうだったのですけれども、それをやりながらも、(コロナを)超克して持続的発展を可能にする社会と申し上げたので、10年先、20年先を見据えて、埼玉県の持続可能な発展に向けての礎を築くとの決意で、「社会課題の解決と経済の両立」、つまり社会的課題、例えばパンデミック、これと経済をどう両立させるかというのが我々にとってずっと問われてきたことなので、例えばそういったこと、あるいは「新型コロナ感染症の拡大防止」、まだ去年の場合には今よりもやはりコロナが深刻でした。また「『日本一暮らしやすい埼玉』の実現加速」、この3つの柱を最優先で取り組んできたつもりであります。1つ目の「社会的課題の解決と経済の両立」については、例えば県の窓口でのキャッシュレス決済の導入だとか、社会全体のDXの取組を推進するとともに、5月に「サーキュラーエコノミー推進センター(埼玉)」を設置するなど、脱炭素化の、つまり持続的な発展に向けた取組を行いました。2つ目の「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」では、2類相当から5類に感染症法上の位置付けが変更されたことを踏まえて、医療機関向けの支援を行いつつも、国の動向を踏まえながら、軽症者の療養体制だとか感染者のフォローアップ体制の確保等を行いました。3つ目の「『日本一暮らしやすい埼玉』実現の加速」については、多様化する災害情報に対応するための災害オペレーションルームの機能強化をしたり、孤立した子育て防止、育児の負担軽減に向けたギフトボックス等の配布や、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」にエントリーした市町の取組を支援するためのマッチングであったり、あるいは様々な支援に取り組みました。また、「埼玉県5か年計画」の将来像実現に向けた取組を更に前進させるということで、我々としては、ここに力を入れると同時に、私としても、実は去年は選挙がありましたので、1つの大きな区切りとしてこれらについて取り進めてきたつもりであります。今年度については早くから申し上げているとおり、私たちは歴史的な2つの課題に直面していると考えています。1つ目が「超少子高齢化社会」、そしてもう1つが「激甚化・頻発化する災害」、この対応ですけれども、この2つの課題に対応するために、例えば社会全体の生産性向上、あるいは住み続けられるまちづくり、気候変動やコロナ禍の経験を踏まえた持続可能な社会・経済の構築等、これらの社会の変革に対応するニーズが高まっていると思っています。そこで、令和6年度予算、先ほど人事の話も頂きましたけども、予算の場合には「歴史的課題への挑戦と未来への確かな布石」として、経済が正常化に向かう中、その正常化でとどまってはいけないと、埼玉県が直面する歴史的な課題に敢然と立ち向かえるようなものにしなければいけないということで、先ほど申し上げましたけども、人口が減る中でも生産性を上げることによって、人口減少のオーナスを結果として私たちが経済の維持につなげ、それをベースとして、例えば増えゆく高齢者を支援したり、あるいは望まれているこどもたちへの支援、こういったものを拡充するための原資にしていく、これを成し遂げたいと思っています。また、この生産性の向上のためには、デジタルツール、DX化が必要ですけれども、県庁の業務を例えばデジタルツールで効率化するタスクと、あるいは人がしなければいけないタスクに仕分けていきます。これをTX(タスク・トランスフォーメーション)と名付けて、このデジタルツールで効率化できるものについては、生成AIやあるいはノーコードツール、こういったものを職員が活用すると、そういったことでタスク・トランスフォーメーションを推進するなど、正に生産性の向上を組織として行っていきます。また、超少子高齢化の諸課題に対応する、これは以前から申し上げていますが、埼玉版のスーパー・シティプロジェクトをより一層加速させるとともに、サーキュラーエコノミーを推進して、オープンイノベーション、スタートアップの創出等で、地域経済の持続的な発展・生産性の向上を実現させたいと思います。また、安心して出産・子育てできる環境の整備や、こどもの居場所づくり、児童虐待の防止等、こどもを産み育てることに希望が持てる、あるいはこどもたちが未来に希望を抱ける社会の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。また、2つ目の課題である「激甚化・頻発化する自然災害と新たな危機への強固な備え」として、埼玉版FEMA、これをより一層充実させ、県全体の危機管理・災害対応力の底上げを図ります。また、これらの取組に加えて、社会の在り方も変化していて多種多様な価値観が広がっているため、あらゆる人に居場所があり、活躍でき、安心して暮らせる社会の実現を、一層確かなものにするために、「埼玉県5か年計画」で掲げた3つの将来像、「安心・安全の追求」、「誰もが輝く社会」、「持続可能な成長」の実現に向けてそれぞれの施策を充実させ、「日本一暮らしやすい埼玉」の実現につなげる、そんな年にしていきたいと考えています。
埼玉
さいたま市出身の宇宙飛行士、若田光一さんについてです。32年間にわたって宇宙開発の最前線で活躍し、3月31日付けでJAXAを退職されました。功績はもう挙げたら切りがないことで、昨年も、彩の国功労賞の表彰式等で県庁の方に何度かいらっしゃったかと思います。今後は民間の立場で有人宇宙活動を支援する意向を示されました。その足跡が県民に与えた影響ですとか、若田さんの今後の挑戦に向けて、知事から一言頂けますでしょうか。
知事
まず、若田光一さんにつきましては本当に長年にわたってJAXAで勤務をされ、また我が国の宇宙に対する産業、さらには人材育成、そしてこどもたちの夢、こういったものを長きにわたって育んできていただいた方であります。私といたしましても敬意を表したいというふうに思っています。もう皆さん御存じのとおり、5回も、これは日本人最多ですけれども、宇宙飛行を経験されたほか、国際宇宙ステーションの船長を日本人として初めて務めるなど、日本の宇宙開発のパイオニアであります。それはとりもなおさず、埼玉県にとっても誇りであるというふうに考えています。この御活躍については先ほど御指摘があったとおり、平成8年に県民栄誉章、(平成)21年には彩の国特別功労賞、そして昨年には彩の国功労賞をお送りし、県民を挙げてお祝いをしたところであります。昨年お越しいただいた際には、日本人が月面に立つ、このことについて熱く語っておられました。今後も「生涯現役の宇宙飛行士」を目標に、民間のお立場で宇宙活動を支援していただけると聞いています。若田さんが、あるいは若田さんの意思を受けた若者たちが、月面に立つ、あるいはもっと遠くに夢を持って立っていただけるという、そんな未来が私は必ず来ると思っており、そこで若田さんが果たされた役割というものは極めて大きいと思っています。今、「挑戦する夢」と申し上げましたが、やはり若田さんが困難なことに挑戦する姿、これは私たち埼玉県民、ひいては日本国民に与えたポジティブな影響がとても大きいと思います。是非、引き続き、そんな挑戦する姿、あるいは夢を持つということの素晴らしさを県民に訴えていただきたい、伝えていただきたいと、これを強く私としてはお願いをしたいと思っています。いずれにいたしましても、若田さんの御活躍に対して、敬意と感謝を心から申し上げたいと思います。(終)
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