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掲載日:2022年3月25日

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埼玉県の起業家インタビュー「想いをカタチに」(第4回:山本孝枝さん)

ポートレート

未来をより素敵なものにしようとチャレンジし続ける埼玉県の起業家や起業家スピリット溢れる経営者の方々にお話を伺うインタビュー特集「想いをカタチに」。

第4回は、春日部のふれあいキューブにある「創業支援ルーム」の支援を受けて起業した、株式会社ハウスドック 代表取締役 山本孝枝さんです。

さて、山本孝枝さん流「明日を拓く」ヒントとは?ぜひご覧ください!

 

★インタビューは平成29年8月に行ったものです。 

想いをカタチに
~未来へと挑み続けるチャレンジャーたち~

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結婚・出産・育児→仕事復帰→起業に向けての準備

――起業するまでのお話を聞かせてください

浜松の商業高校を卒業し、事務職として3年ほど勤めた後、結婚を機に横浜へ転居しました。子供を授かってからは専業主婦となり、平成4年から約14年間、家事と育児に専念する生活を送りました。春日部には、平成6年、新居を求めて引っ越しました。春日部での生活はもう20年以上になります。

子育ては楽しく、充実した毎日でしたが、その一方で、「子育てはいっときのもの、子育てが終われば後は長い自分自身の時間が待っている」という意識も常にありました。そのため、子供が小さい頃から「いつか建築関係で資格を取ってしっかり働きたい」と考えていました。

平成18年、下の子も中学生になったしそろそろ働いてみたい、でもいきなりフルタイムで働くのは体力的にも不安ということで、体慣らしとして近所の製菓工場でパートとして働き始めました。パート勤務なので、子供の帰宅時には家にいられるのも安心でした。その頃、夜間のインテリアコーディネーターの養成スクールにも通い始めました。そこで学んだことで、いよいよ建築関係の仕事に就きたいという気持ちが強くなりました。

建築関係の会社、数十社に履歴書を送るものの、なかなか採用には至りません。ようやく、春日部市内のリフォーム専門会社の営業職として採用されました。大変だよと言われましたが、やりたい気持ちの方が強かったです。平成23年のことでした。この会社で2年間働き、現在の仕事につながるノウハウを得ました。

 

 

一つの出会いから明日が拓く

――起業しようと思ったきっかけを教えてください

当時、周りの人から独立を勧められることはありましたが、自分で起業してやりたいという気持ちはそこまで強いものではありませんでした。

そんなある日、ひとりのお客さまに、「ゆくゆくは独立してやってみたい。お店を出したい」という話をぽろっとしてしまったのです。すると、なぜか非常に親身になって応援してくれました。

その方に、「女性起業家を応援する団体がふれあいキューブの「創業支援ルーム」に入っているらしいから行ってみたら」と教えられ、話だけでも聞いてみようと思い「創業支援ルーム」を初めて訪れました。

その際「NPOウーマノミクスプロジェクトin春日部」の活動を知り、いろいろなセミナーに参加してお話を聞くうちに、「ここ(創業支援ルーム)で起業の勉強をしながら部屋を借りてやってみない?」と具体的なお話をいただくようになりました。

起業に向けていろいろと勉強する中で、女性限定の創業支援スクール(7日間コース)を受講し、実際に事業計画書を作成してみることになりました。計画を具体的な数字に落とし込んでいくうちに、これなら自分にもできるかもと感じるようになり、自信につながっていきました。「よし!やろう!」と決めた瞬間です。

平成27年2月3日に株式会社を設立し、3月16日に「創業支援ルーム」に入居しました。お客さまから紹介されて「創業支援ルーム」を見学していたのがその前年の11月のことなので、出会ってから創業までトントンと進んだ感じです。

 

――ご家族の反応はどうでしたか?

起業に当たって主人に相談したところ、「心配はもちろんあるけど、やりたいならやってみれば」と背中を押してもらえました。

子供たちは「いいんじゃない?」という反応。2人の子供たちも今は社会人となって手を離れたため、創業の準備に専念することができました。ちょうど子育てが一段落して自分の人生が楽しくなってくる時期だったので、今回の創業は自分にとってベストのタイミングだったと思います。

 

 

主婦目線のリフォームでより快適な暮らしを

――「ハウスドック」は、どのような会社ですか?

総合リフォーム業として住宅の修理・点検全般を手掛けています。

「ハウスドック」という会社名は「人間ドック」から名付けました。定期的に点検することにより、経年による家の傷みを早期に発見し、大事に至る前に直して安全・安心に暮らしていただきたいという思いが込められています。現在お住まいの家を、丁寧に手入れしながら80年以上良い状態で住んでいただけるようにしたいというのが当社の願いです。

また、私は長い間、専業主婦でしたので、水回りなど、普段から家事をしている主婦だからこそ分かる「主婦の目線」を取り入れたリフォームをご提供させていただいています。定期的なメンテナンスを行い家の傷みを早期に発見した方が、トータル的なコストは安く抑えられるというのも、主婦ならではの経済観念に訴えかけるものではないかと思います。 

 

 お客さまからのご相談

 

――建設業界ということで、女性ならではの苦労もあったのでは?

確かに、外注の職人さんとの折衝で「女性だからどうせ分からないだろう」と甘く見られることもありました。そのたびに、「他所ではこうやっているでしょ」「普通はこうやるでしょ」と、他の現場での施工内容などを示して理詰めで説得していきました。私としても、お客さまに納得していただける工事をしたいので必死でした。相手に「女性でも手を抜けないぞ」と思ってもらえればこちらのものです(笑)。

とはいえ、苦労ばかりではありません。女性であることがプラスになったこともあります。

お客さまは、前職から引き続きお付き合いさせていただいている方の他に、飛び込み営業を行い増やしていったのですが、「女性なので話を聞きやすい」ということはよく言われます。平日の昼間に家にいるのは主婦の方が圧倒的に多いと思いますので、そこは強みかなと感じています。「男の人なら絶対家に入れなかったけど、あなただったから入れちゃったわよ!」と言われたこともあります(笑)。


 

――なぜ建築関係の仕事を目指したのですか?

中学の家庭科の授業で、自分の部屋の図面を描く機会がありました。ちょうどその頃、自分の部屋が欲しいと思っていたので、図面を描くのが楽しくて楽しくて。その時に「大工さんという職業もいいなぁ」と思ったのが始まりです。自分の手を動かして何かを作るのも好きでしたし。

高校も、工業高校に通いたかったのですが、自宅からの距離など条件が折り合わず、自転車で通える近くの商業高校に通うことにしました。しかし、商業高校で簿記や帳簿付けの知識を身に着けることができたので、起業した今となってはそれも良かったと思っています。



 

周囲の助けを積極的に活用

――「創業支援ルーム」に入居を決めた理由を教えてください

「創業支援ルーム」は、施設がとても綺麗でセキュリティもしっかりしていて、家賃はとてもリーズナブル。創業後しばらくの間、事業が軌道に乗るまでは家計をやり繰りしながらでも何とかなりそうだと思いました。

また、日常的にインキュベーションマネージャー(起業支援や起業家育成の担当者)のアドバイスが受けられますし、定期的に入居者同士の情報交換会や交流会があって楽しそう、共用室・相談室などの設備も充実、と非常に魅力的でした。

 

情報交換会での講演

 

    

――「創業支援ルーム」に入居してみてどうでしたか?

創業時はすべて1人でやるので分からないことだらけ。情報集めが大変でした。そんな状況でしたので、インキュベーションマネージャーに何でも相談することができてありがたかったです。株式会社の設立の仕方から教えていただきました。

また、小規模事業者持続化補助金の申請の際にも、インキュベーションマネージャーに事業計画書を見てもらうことができ、おかげさまで2回とも採択につながりました。1回目の補助金でホームページ、チラシ、看板シートを作成し、2回目の補助金で春日部商工まつりに出展しました。商工まつりに出展したことで新しいお客さまの獲得につながりましたし、地域の方とコミュニケーションが取れる良い機会にもなりました。

 

かすかべ商工まつり出展ブース

 

それから、同じ入居者にさまざまな分野のスペシャリストがいるというのも魅力の1つです。

創業支援ルームの仲間で「Kas-Biz(春日部コミュニティビジネス倶楽部)」として集まり、春日部市民活動センターの登録団体として活動しています。昨年はふれあいキューブの5周年記念イベントにKas-Bizとして参加し、カフェや専門家による相談コーナーを設けて来場者の皆さんと交流を図ることができました。

 

Kas-Biz会員による夏休みイベント

 

他にも、定期的に開催される入居者同士の交流会には卒業した人も参加できるので、そこからまた新たな交流が生まれます。自分が卒業した後のことを考えても、こうして訪れることができる場所があるのはうれしいですね。

 

Kas-Biz忘年会

 

強い信念を持って

――ビジネス成功の秘訣を教えてください

「情熱」と「諦めない心」だと思います。

以前、リフォーム会社で働いていた時、営業成績が思うように上がらない時期があったのですが、その際に先輩が自分の経験を話してくれました。11カ月間全くお客さまがつかなかった時期があったそうなのですが、「自分にはこれしかない、諦めない」という気持ちで頑張って12カ月目にいいお客さまをつかんだという話でした。途中で諦めていたら12カ月目はなかったんですよね。諦めたらそこでおしまいだなと強く印象に残りました。自分も、諦めずにコツコツ長く続けていきたいと思います。

私自身が起業できたので、やってみたい気持ちがある人ならば、ぜひチャレンジしてみてほしいです。

振り返ってみると、まず、自分の想いを口に出して言ってみることが大切だなと感じます。そこから自分の周りのいろいろな人たちが後押しをしてくれるのですから。


 

――プライベートの楽しみはどんなことですか?

プライベートの楽しみは旅行です。温泉や海外などいろいろなところへ行きます。

 

友人との台湾旅行

 

自分だけで行くのも楽しいですが、今は、社員旅行でみんなを連れて行ってあげられるようになりたいです。そのためには会社を成長させること、そして長く続けられる会社にすることが大きな目標ですね。

 

未来に向かって

――今後の目標を教えてください

今は1人でやっていますが、ゆくゆくは人を雇って一緒にやっていきたいです。しっかり会社を成長させて、創業支援ルームを卒業する2年後くらいには人を雇えるようにしたいです。

それから、5年後には建設業の許可を取りたいと考えています。許可を取るには5年以上の業歴と資格が必要なので、自分で1級建築施工管理技士の資格を取ろうと思い動き始めています。建設業の許可があれば、お客さまもこれまで以上に安心して仕事を依頼していただけるのではないかと思います。

これからも春日部で、地元に根付いた仕事をしていきたいと思います。これまで住んで子育てなどでお世話になってきた春日部に、起業を通じて恩返しをしたいです。そのため、ボランティアとして地域活動に参加するなど、協力できることはどんどん協力していきたいと考えています。

  


インタビューはいかがでしたか?「情熱」と「諦めない心」を持ち、自らの信念を貫く。新たな視点を取り入れ、より豊かな生活を実現する。何かしたいことのある人、チャレンジしてみたいことのある人にとっては、背中を押してくれる言葉の宝庫だったのではないでしょうか。

「未来へと挑み続けるチャレンジャー」の皆さんから学ぶ、「明日を拓く」ヒント。これからも、インタビュー特集「想いをカタチに」をどうぞお楽しみに♪

 

注目情報

創業支援ルームバナー

県内には、公設や民間のさまざまなインキュベーション施設(起業家の育成や新しいビジネスを支援する施設)があります。今回ご紹介した春日部の東部地域振興ふれあい拠点施設「ふれあいキューブ」にある「創業支援ルーム」もその一つです。

インキュベーション施設はいわゆるレンタルオフィスとは異なり、入居されている方には、経営面で幅広い知識とネットワークを有するインキュベーションマネージャーの支援を受けられるなどのメリットがあります。 

公式ページ

県内のインキュベーション施設一覧

ふれあいキューブ「創業支援ルーム」

 

 

 

 

お問い合わせ

産業労働部 産業支援課 創業支援担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎4階

ファックス:048-830-4813

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