インタビュー・コラム

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掲載日:2024年3月22日

伊藤 美香(いとうみか)さん

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プロフィール

50代。二児の母。
子育てが一段落した2006年8月にALSOK埼玉株式会社に嘱託社員として入社。2024年の夏で勤続18年になる。入社当時は親の介護と仕事の両立に苦労しつつも、人と話すことが好きであり、施設警備を通して人々と触れ合うことで働くことの喜びを感じている。「今の警備業の仕事は天職」とおっしゃり、毎日生き生きと働いている女性です!

円グラフ

今の仕事は天職!

現在は、弊社が契約している企業の窓口として受付をメインとした業務を行っています。ご契約先企業のルールに則り、企業と来訪されたお客様との間を取り持つパイプ役を担っている仕事です。また必要に応じた鍵の貸出、モニター監視や巡回を行うことで不審な車や人がいないかなどの確認をしています。事故などが起こらないよう未然に防ぐということと、万が一何かがあっても、いち早く気がつくことができれば事故が大きくなるのを防げるので、警備業は大事な仕事だと感じています。

この仕事をしていて良かったなと感じるのは、ちょっとした気遣いに従業員の方や来訪されたお客様から「ありがとう」と言っていただいたり、笑顔をいただけたりすることです。私は顔を覚えることが得意な方ですが、あるお客様の来訪時、その日は通常とは違い事前に担当者から届出があったので「〇〇様、本日は届出があり面会票のご記入が不要です。ご連絡しますのでそのままでお待ちくださいね。」とお声がけしたところ「名前で呼んでいただけるとは思わず、すごく嬉しかったです!」と言ってくださいました。またある時には、納品受付時に外国の配達員の方が漢字をとても上手に書かれたことに思わず「漢字を書くのがすごくお上手ですね。」と言ったところ「小学生の娘に教えてもらっているの!」とにっこり笑顔をいただきました。よく来訪していた取引先の担当者が異動になってしまった時は、警備員の私にまでご挨拶に寄ってくださったこともありました。契約先(警備先)の企業には海外の方も含め、フレンドリーに接してくださる方が多く、社員さんやお客様、業者さん・・・皆さんと毎日明るく挨拶や言葉を交わせることはお互いに心地良く、この仕事の楽しみの一つです。

毎日違う触れ合いがあり、皆さまから元気をいただける今の仕事は、とても楽しく、人と話すことが好きな私にとって天職です!

取材風景

すべては「今」に生かされる ~チームワークの大切さ と 人と接する喜び~

子育てが一段落し、16年ぶりに就職活動をしました。たまたま家に入っていたチラシがきっかけで、医療事務を受講したり検定を受けたりしました。ブランクが長かったので再就職は正直不安でしたし、社会になじめるかプレッシャーもありました。そして未経験の仕事、思っていた理想、とは違い、即戦力を求められたり、レセプトのパソコン技術を求められたりと、就活はとても苦戦しました。

再就職にあたって取得した医療事務の資格を生かし、最初は整骨院に勤めて、そのあと調剤薬局に転職しました。どちらも働きやすかったのですが、半日の勤務であり、もう少し長く働きたいという私の希望が叶わなかったので、転職しようと思いました。整骨院と調剤薬局を経験したことで「対面の接客が好き」ということに気づき、医療事務にこだわらず、次は「受付」で就活しようと思いハローワークに行きました。そこで弊社に応募して入社することになりました。

整骨院では、「患者さんとたくさんお話してくださいね」と言われていたので、患者さんとの会話を通して、社会への復帰の勘を取り戻せましたし、”人と接することの喜びと楽しさ”というのを実感しました。また、調剤薬局はスピードと正確さが要求されるお仕事だったので、お互いフォローし合いながら仕事をしました。そこでは”チームワークの心地よさ”を学びました。

警備業に就職して最初は、「受付をしながら警備ってどうやるのだろう?」と戸惑いはありましたが、実際勤めてみると、警備業はチームワークの仕事であり、受付を通して人と接する仕事なのだと感じました。16年のブランクを経て再就職し、それぞれの仕事から得た経験はすべて無駄ではなく「今」に繋がっているのだとしみじみと感じています。なので、不安でも1歩踏み出したところから段階を踏んで、今の仕事に出会えたと思っています。

周りの皆さんに協力していただいたり育てていただいたり、常にたくさんの方に支えられていることを強く実感しています。日々のお客様や同僚との交流がとても楽しいです。そして、警備業は安心と安全を提供する仕事なので、ご契約先から信頼していただけることで、いつの間にか誇りとやりがいを感じる仕事になっていました。これから就職を考えている方、ブランクがある方、未経験の職種へトライする方、最初から希望の職に就けなかったとしてもあせらずに「それはきっとその先へと繋がっていくと思いますよ」とお伝えしたいです。

警備業のイメージを変えたい!!

私は採用の説明会や合同説明会などにも微力ながら参加しており、女性キャリアセンターのイベントでも弊社の仕事内容の説明をしたことがあります。そうした時、特に女性の求職者から一番と言っていいほど「危ない目に遭うことはないですか?」という質問をいただきます。一般的に警備業は危険が伴うイメージがあるのでしょう。逃走犯などが入ってこないとも限りませんので、「絶対危なくない」とは言い切れませんが、私は働いている18年間で遭遇したことはありません。お客様をお守りするという気持ちは常にありますが、我々警備員も一般人、人命第一。身を挺して守るというところまではしません。もし逃走犯などと遭遇したとしても立ち向かう必要はないという方針で、会社からも受傷事故(立ち向かってけがをすること)を避けるようにと指導を受けています。警備業はチームワーク。一人でなんとかしようとせず一緒に働いている他の警備員の応援を呼ぶなど周りに知らせることも大事です。

ただし、不審者が見つかった場合、警備員として心がけることがあります。観察すること。今後の対応に生かすためや、万が一の際はその情報を警察に引継ぐことになるので「おおよその年齢・性別・身長・服装などの特徴や逃走経路」をしっかり観察しておくことが重要になります。

また、緊急的な対応としては、お客様が倒れられて、救急車を呼ぶといった場面もあります。お客様の命に関わることもあるので初動が大切。緊張しますが、なるべく平常心を心がけて、チームワークで迅速な対応を心掛けています。

業務からは少し離れますが、同じ企業を担当する隊員同士で「おいしいスイーツがあったから買ってきたよ」とか、先日も私のスマートフォンの調子が悪い時に隊長がさっと対応してくれたり普段からいろいろ相談にのってくれたりと、頼ることも多く、隊員同士の結束力の高さは日頃から感じています。

巡回

介護と仕事の両立

家庭と仕事の両立で一番大変だったのは親の介護です。入社した当時は、まだ母は歩けていたのですが、実家に通う⇒デイサービスを呼ぶ⇒リハビリ施設に行く⇒最後は特別養護老人ホームに入る、という形でどんどん悪くなっていってしまいました。その頃は、仕事終わりに実家に通い、また次の日仕事に行き、土日も実家に行きという感じでした。ある日ヒヤッとしたことがありました。退社後に実家に行った時、母が卵を茹でていたのを忘れて破裂してしまい、床から天井から汚れていたのです。火事にならなくて本当に良かったのですが、片付けをしながら明日も仕事なのに…と、泣きながら夜道を帰ったこともありました。

介護と仕事の両立は大変でしたが、隊長や隊員に勤務調整はもちろん、いろいろなことで助けてもらいました。偶然とはいえ配属先も実家や老人ホームに近いところで、仕事をしながら親の介護ができたことに感謝しています。「正社員へ」というお話もありがたいことに何度もいただきましたが、介護で大変な中で正社員になる責任の重さも考え、嘱託社員のまま継続させていただきました。

警備業界に興味がある女性に向けてメッセージをお願いします

警備業は、身辺警備や貴重品運搬警備、交通誘導、施設警備など業務内容は幅広いです。弊社は常駐警備(建物専門)の警備会社ですが、私が長年働いてきた中での考えとしては、「人とのコミュニケーションが好きで、人との対話をベースにやりがいを感じたい」という方に向いていると思います。説明会で未経験を心配なさる声も耳にしますが、未経験の私がここまで長く働けている仕事です。

また、どんな仕事でも健康で体力がある方が良いに越したことはないですが「危ない人物に立ち向かったり、体を酷使したり、頑丈な体で体力勝負」というイメージをこの機会に払拭していただけたら幸いです。18年前、私が入社した頃は弊社も女性社員は少人数でしたが、現在は29人(うち正社員は23人)とだいぶ増えてきました。まだまだ男女比では男性が多い職場ですが、女性の管理職もいて、女性社員の活躍の場が広がってきていることを感じています。

そして、趣味があると他の部分で支えにもなりますしリフレッシュにもなるので、どんどん自分の興味のあることはやってみて、いろいろな自分の居場所を作ってください。そのようなご自身の経験は無駄なことはなく、どこかで繋がってくるということを信じて1歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

 

※警備業に興味のある方は参考にしてください。
   一般社団法人埼玉県警備業協会のホームページ(警備業の概要)

 

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