インタビュー・コラム

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掲載日:2022年10月20日

WEリーグ選手・スタッフ  インタビュー

File5_WEリーグ

リーグ戦開幕直前!WEリーグ女性活躍推進スペシャルインタビュー!

WEリーグはWomen Empowerment Leagueの略称で、2021年9月に開幕した日本初の女子プロサッカーリーグです。この名称には日本に“女子プロサッカー選手”という職業が確立され、リーグを核に関わるわたしたちみんな(WE)が主人公として活躍する社会を目指す、という思いが込められています。設立の意義には、女性活躍社会の牽引や女子サッカー発展等を掲げています。(WEリーグホームページより抜粋)。

埼玉県内の「WEリーグ」3チームの選手・スタッフに、サッカーや仕事への取組姿勢や考え方について取材しました。皆さんそれぞれが苦労・悩みを抱えつつも、乗り越えるための工夫や心の持ち方についてお話しいただきました。

三菱重工浦和レッズレディース(佐々木繭選手・遠藤優選手)
大宮アルディージャVENTUS(村社汐理選手・久保真理子選手)
ちふれASエルフェン埼玉(薊理絵クラブアンバサダー・瀬野有希選手)

「2022-23 Yogibo WEリーグ」は、10月22日(土曜日)に開幕し、最終節となる2023年6月10日(土曜日)または11日(日曜日)までの間に全22節、合計110試合を開催されます。試合日程等は、各ホームクラブホームページにてご確認ください。

三菱重工浦和レッズレディース https://www.urawa-reds.co.jp/redsladies/

大宮アルディージャVENTUS  https://www.ardija.co.jp/ventus/

ちふれASエルフェン埼玉 https://www.as-elfen.co.jp/

佐々木繭(ささきまゆ)選手

佐々木選手9

サッカーで目標にしていること

プロサッカー選手になりましたが、ここに至るまでを一言でいうと、「小学校5年生からサッカーを始めてすぐにその魅力に取りつかれ、夢中になってサッカーを続けてきたら、プロサッカー選手になっていた」という感じです。小さい頃から多くの人に支えられてきたからこそ、今サッカー選手でいられると思いますし、今まで関わってくださったすべての方にとても感謝しています。

サッカーで目標にしていることは2つあります。一つ目は「WEリーグで長く活躍すること」、二つ目は「女子サッカーの認知度を向上させること」です。サッカーはとても競争が激しいプロスポーツです。一日でも長く活躍するために、私はプロとして次のことを心掛けています。

(1)気持ちで負けない

サッカーの時は負けず嫌いを貫いています。

(2)ケガをしないことを意識した体づくりと体のケア

毎日のコンディションチェックは怠りません。普段から力を上手に抜く感覚と負荷をかける感覚のバランスを追求し、コーチにも協力をしてもらい試行錯誤しながら、体幹を鍛えるトレーニングをしています。トレーニング方法は多種多様で、分からないことはいっぱいありますが、どのやり方がベストであるかは自分を信じて決めています。ケガをしないために、試合前の準備では人一倍念入りにストレッチを行っています。また、試合後やオフの時も自分の体と相談して、しっかりケアするようにしています。

(3)プレー中の意識の持ち方

冷静に自分自身のプレー分析を行うとともに、「周りの選手を活かす」ことを意識してプレーします。そして派手なプレーをするのではなく、パスやトラップなど一つひとつの基本的なプレーを大切にしています。サッカーはひとりでするものではないので、自分のベストを尽くすとともに、状況の的確な判断と選手間の連携でチャンスを作り、ピンチを防ぐことができるように励んでいます。

(4)対戦相手の研究

試合前は対戦相手のVTRを観て、相手の強みと弱みをしっかり把握して勝利へのイメージトレーニングを行います。その他にも、Jリーグの試合や自分のチームの試合を観ることで良いプレーについての研究もするようにしています。その結果、以前よりもポジショニングが良くなったと感じています。

もちろん厳しさだけでなく、長いシーズンを乗り越えるため、オフには心身ともにリフレッシュできるように自分を労わっています。

もう一つの目標は、ピッチに立つ選手としてではありませんがもっと大きな目標で、「女子サッカーの認知度を向上させたい」と考えています。

女子サッカーの裾野は確実に広がっていますが、まだまだファン・サポーターを増やす取組が足りないと思います。そういった意味では、私自身が女子サッカーの魅力の発信者になり、SNS等を利用し、私にできることをコツコツと積み上げていきたいです。また新たな取組として、個人ブランド(コーヒーブランド)を立ち上げて、別な分野とサッカーの認知度向上のコラボをやってみることにしました。多くの方にとって身近なコーヒーを通じて、女子サッカーを知ってもらうきっかけになるといいなと考えて始めました。今後、多くの方々が女子サッカーと繋がっていただけることを期待しています。そして、もっとファン・サポーターの皆さんに夢を届けられるように頑張ります。

サッカー以外の仕事との両立等で意識していること

私は、プロサッカー選手以外の仕事もしています。レッズランド(浦和レッズが運営する会員制総合スポーツ施設)で働き、主に施設の受付事務や道具の準備・管理などをやっていますが、利用者の方との交流プログラムにも参加したりします。

レッズランドの仕事をすることは私にとってプラスになっています。サッカー選手としては経験ができない、一般企業での仕事の進め方やお客様対応作法など周りの社員(スタッフ)から学ぶことができ、一緒になって仕事をやり遂げる機会にもなっています。

また、お客様から「サッカー頑張ってね」「次の試合も期待しているよ」と応援の言葉をかけていただき、サッカーへの励みになることもあります。なにより、運動をしている方の自然な笑顔を見ることができることがとても嬉しいですね。

レッズランドの仕事では、大きな苦労や悩みはありませんが、仕事をする上で意識していることはあります。人の話を素直に受け入れたり、協力してくれる人を見つけることが大事だと思います。何かをやり遂げるためには、的確なアドバイスや同じ目標に向かって伴走してくれる仲間は非常にありがたいです。サッカーも仕事もひとりでするものではないので、共通するものがあるのかもしれません。

就職を考えている方、悩みを抱えながら働いている方へ(一言メッセージ)

新しいことを始めたり、初めての環境へ飛び込んだりする時は不安がつきものです。そのような時、私は「素直に、謙虚に、出会いを大切に!」「迷った時はワクワクする方を選んでそこで努力する!」と考えて一歩を踏み出すようにしています。

また、普段は人に悩み事の相談などはしませんが、進路に悩んだ時は恩師や尊敬する先輩に相談して、アドバイスをいただいています。困った時や悩んだ時は、頼れる方々へお話してみると解決の糸口になるのではないでしょうか。

遠藤優(えんどうゆう)選手

遠藤選手9

サッカーで目標にしていること

WEリーグが始まったことで、サッカーという好きなことを職業にすることができて、一つの夢がかないました。プロ選手として、サッカーに費やせる時間が非常に増えて嬉しい面もありますが、厳しさもあります。チーム練習以外の時間の使い方は、すべて自分で決定し、サッカーで結果を出さなければいけないので、良い結果が出ない時は言い訳ができない厳しさがあります。

サッカーでの目標は「スタメンへの定着」です。今までは途中からの出場がほとんどでした。ピッチに立つ時は、勝っている時でも負けている時でも試合の状況をしっかり把握してベストを尽くすことに変わりはありません。途中出場で求められる役割は、とても難しくてやりがいを感じますが、やはりスタメンで出場したいです。そのためには、着実に力を付けて、監督・コーチをはじめ周囲の選手からも認められるようになる必要があります。

判断力向上の面では、任されたポジションごとに最善の判断を追求していきたいです。体力強化の面では、筋トレや体を鍛えることはもちろん、スタミナをつけて90分走れるように走り込みを頑張っています。その他、栄養管理を配慮した食事に気を使っています。メニューそのものだけでなく、早食い防止の意識など、その成果もあってか、良いコンディションを維持できています。

サッカーと家庭の両立で意識していること

<結婚されたと伺いました。仕事も家庭も大事にすることについて、考え方や取組について教えてください。>

私の基本的な考え方は、「仕事に家庭の事を持ち込まないこと」「仕事は仕事、家庭は家庭でオンオフをはっきりとさせる」です。そうであっても、落ち込んだ時や悩んだ時は、夫によく相談して悩み解消を図っています。また、疲れている時は無理に家事を頑張らないで、2人で協力して家事を行っています。結婚前と変わりませんが、私生活およびサッカーをやっている時も責任を持った言動に注意しています。結婚したことが、サッカーに悪い影響を与えているとは言われなくないですからね。

オンオフの切り替えのため、好きなことでもあり特技でもある「ネイルの時間」は大切にしています。一般の方向けにネイルの体験会の開催やチームメイトへのネイルアートの実施などもやっていて、この時間が私にとってリラックスできる貴重な時間であり、サッカーへの集中力を生み出す源となっています。時には、半身浴や美容の時間でもリフレッシュしています。

女子サッカーについては、まだ一般の方に周知されていないと思っています。もっと多くの方に興味を持っていただきたいし、女子サッカーの魅力を一人でも多くの方に知ってもらい、試合を観てもらいたいと考えています。そのためにも、SNSでのプライベートな情報発信や、微力ながらホームゲームに小学生を招待しています。そうすることで私自身のやる気度が上がったり、子供たちから元気づけられたりします。

そして、職業としての女子プロサッカーを取り巻く環境がもっと向上するといいなと思っています。まずは地元の皆さんから応援されるような選手になれるように、子供向けサッカー教室や地元の交流イベントなど小さなことから関わり、地域の課題解決と女性アスリート支援を目指すプロジェクトにも参加しています。子供とのふれあいは、とても楽しいひと時を過ごすことができ、リフレッシュできる貴重な機会となっています。

就職を考えている方へ、悩みを抱えながら働いている方へ(一言メッセージ)

お仕事をする上で様々なお勤め先があり、働く環境は皆さんそれぞれです。これから就職をする方、もうすでに働いている方、何事も息抜きしながら頑張りましょう!

「やる時はやる、休む時は休む」、このオンオフがしっかりとできていれば自然と結果がついてくると思います。世の中の働いているすべての方を応援しています。一人でも多くのファン・サポーターの方に浦和駒場スタジアムに足を運んでいただけるように、私も頑張りますので、皆さん一緒に頑張りましょう!

村社汐理(むらこそしおり)選手

村社選手

サッカーの目標は、たくさんの人に元気と幸せを送ること

小学校4年生頃からプロになりたいと思い始めていました。女子サッカーの世界に飛び込み、大宮アルディージャVENTUSでチャンスを掴み、2021年のリーグ戦にも出場していましたが、今年3月のトレーニング中に大ケガをして手術をしました。今はリハビリ中で、完全復活を目指しています。過去にも試合中に、相手選手の肘がぶつかり鼻を負傷し入院生活を送ることもありました。サッカー選手である以上ケガのリスクはつきものと理解していますが、今はまた苦しい時期を過ごしています。

ケガをすると試合や表舞台に出られません。治療中・リハビリ中は落ち込むこともありますが、ファンの方には「村社、つらそうだな」と思わせたくないと思っています。また、自分自身もその期間をつらい日々と思いたくなくて、なるべく楽しくなるように自分で環境づくりの工夫をしています。運転中には好きなアーティストの音楽をかけて気分転換しています。また、やらなければいけない仕事がいっぱいたまってしまった時は、小さな目標を決めて「この時間までにこの仕事を終えてクリアするぞ」「全部終わったら好きなことやって楽しむぞ」と考え、前向きに仕事に取り組むようにしています。

その他にも仕事や生活で落ち込んだ時は、家族に話しかけたり、本を読んだり、好きなアーティストのDVDを観たりして気分転換を図り、最近では「なにわ男子」の曲をピアノで弾いてモチベーションを上げています。サッカーの目標は、たくさんの人に元気と幸せを送ることです。ピッチを走り回り、攻められても攻め返す姿や勝って笑っている姿をお見せして、ファンの皆さんに元気と幸せをお届けしたいです。そのためにも早く復帰して、皆さんに私が元気に駆け回る姿を披露したいと思います。

サッカーと仕事の両立

私はサッカー以外の仕事もしています。勤務先は建設関係の会社で、社内での事務以外にも学校や企業を訪問し自社の広報活動をすることもあります。始めは慣れない作業も多くて何もできず電話対応ひとつでも苦労しましたが、今は複数の業務をこなせるようになりました。仕事の責任も感じています。私のちょっとしたミスで作業現場に迷惑をかけてしまったこともありました。失敗をしながらも社長の温かいお心遣いと周りの方の支えで、いろいろな仕事をやり遂げています。社員の皆さんからは、仕事だけでなくサッカーのことでも応援の言葉をいただきながら、恵まれた環境で働かせていただいています。また、サッカーでも仕事でも多くの企業様と関わりますので、自分自身「頑張らなくちゃ」と心意気を感じています。チームでも会社でも組織の一員として、何事も責任感とプライドを持って精一杯取り組んでいます。

<二刀流もいいのではないか>

今はサッカーと仕事の両立をしています。選手としてはアマチュア契約ですので、サッカーにより集中しやすい環境を得るためにも、プロ契約に憧れはあります。

ただ、サッカーと仕事を両立する二刀流は、自分には合っていると感じます。サッカー以外の仕事をすることでたくさんのメリットはあります。一般社会を知る。一般企業で働く人の気持ちになれる。何かをやり遂げた経験。達成感なども働きながら得ることができます。仕事を通して何事にも代えられない貴重な経験をすることや人脈づくりもできます。

環境が変わることへの心の持ち方

今までサッカーをやってきて、環境が変わることはたくさんありました。

例えば、ポジションが変更になることの苦労です。左サイドバックで主にプレーをしてきましたが、右サイドバックでプレーするようになった時は、プレー中の視界がガラッと変わり対応するのに結構苦労しました。私が不器用なこともありますが(笑)。同じようにポジションがDFからMFになる時も苦労はあります。一般の方には分かりにくいのですが、サッカー選手にとって右と左では大きな違いがあるのです。

また、現チームの一員となるまでに、何回か所属チームの移籍を経験しています。

新しい生活や仕事など、新たなことを始める時は誰でも不安を抱くものでしょう。人によっては、環境が変わることはマイナスに思われるかもしれませんが、私の場合は今までの経験がすべてプラスになっています。自分の目標に向かって進むことを一番に考えたら、チームが変わってもポジションが変わってもやることは同じなのかなと思っています。新しい環境への不安を解消するために、どのような状況でもポジティブに考えることを実践しています。毎日小さな目標を作って少しずつクリアしていく。そのようなことでも不安解消には有効だと思います。

働いている皆さんにとっても、「転職をする」、「転勤になる」、「所属部署が変わる」など環境が変わることはあるでしょう。変化の時は不安を感じることが多いでしょうが、お互いに自分の目標に向かって進んでいきましょう。

これから働く方や悩みを抱えながら働いている人へ(一言メッセージ)

人生は1回なので、何度挑戦しても失敗になることはありません。自分のやりたいことに一歩踏み出せば、きっと道は開けると思います。私にも不安はあります。スポーツ選手として引退を迎えたときは、その後のセカンドキャリアについてどうしようかという不安があります。今はサッカー選手として全力で過ごし、引退を迎えたときはその次の目標に向かって全力で進もうと思っています。

 

久保真理子(くぼまりこ)選手

久保選手

プロサッカー選手は小さい頃からの夢

小さい頃からサッカーを始め、本当にサッカーが好きで楽しみながらサッカーに全力を注ぎ、常に上のレベルを目指して過ごしてきました。小学生の時には明確に日本や世界のトップレベルでサッカーをやりたい、日本代表選手になりたいと思っていました。大学を卒業し大宮アルディージャVENTUSに入り、夢への一歩を踏み出せたことでチームにはとても感謝しています。

WEリーグ所属のすべての選手がプロ契約選手ではありません。リーグのプロ化で華やかさを感じることもある反面、プロの厳しさもあり、多くの選手がサッカー以外の仕事を両立しながら頑張っています。私の目標は、チームとプロ契約を結んでサッカー一本で食べていけるようになることです。サッカー一本であれば、すべてサッカー中心に考えることができます。自分にとってベストなスケジュールで注力できるので、練習時間の確保や体調管理面でのメリットがあります。もちろんサッカー以外の仕事を持つこともメリットがたくさんあります。

仕事は社会勉強の貴重な経験

私は、サッカー以外の仕事もしています。主にガスを取扱う総合エネルギー企業で、社内では、キャンペーン企画や販売に関わっていますが、私にとっては初めての働く機会であり、すべてが勉強になります。取引先へのメールの送り方などビジネスマナーも学ぶ機会にもなっています。就職活動もしておらず何も分からない状態で入社しましたので、上司・先輩から教わること一つひとつがとても良い経験になり、自分にとって新しい引き出しがたくさんでき、日々成長を感じています。大学を卒業してサッカーしかしていなければ、できない経験ですので、会社にはとても感謝しています。ありがたいことに会社の方には、サッカーを理解していただくとともに応援をしていただいています。

サッカーチームでも先輩に自分からいろいろ聞いたりしていますが、職場でもわからないことはどんどん周りの方に聞いて、教えてもらったことは全部吸収しようという気持ちで過ごしています。自分から積極的に動くことで「頑張ってね」と励まされることも多くあります。

<サッカーと仕事の両立での苦労>

仕事の時間がある分、プロの選手よりはサッカーに充てられる時間は限られます。

チーム練習が終わった後、もうちょっと自主練習をしたいなとか。ちょっと身体が疲れているからマッサージケアの時間にしたいなとか。もちろん、お金をもらって働いている以上、勤務時間中は責任を持って全力で働きます。限られた時間の中で、身体と心に相談しながらベストの選択をするように心掛けています。今日は納得いかないからもうちょっとトレーニングして明日はゆっくりしようとか、今日は早く寝て明日頑張ろうと気持ちを切り替えてメリハリをつけるようにしています。

不安をエネルギーに変えて頑張ろう!

サッカーを職業とすることに不安はあります。

WEリーグの初年度が終了して、引退する選手がすごく多いと感じました。「この人まだまだ十分やれるのに」「え、あの選手が契約更新しないの」と思うこともあり、プロリーグの厳しさをすごく肌で感じています。私もいつまでこのチームでサッカーができるのか、先がわからないことの不安はあります。

不安はあるけど、できることを一生懸命やるしかないと思っているので、「不安をエネルギーに変えて頑張ろう」と自分に言い聞かせています。

<ケガの連続で心が折れそうになることも>

2021年夏にケガをしてしまったのですが、2022年3月には完治し試合の控えメンバーに登録されるようになりました。「さあこれから」と思っていた矢先に、大ケガをして手術をしました。今はリハビリの途中です。これほど長い期間、実践から離れていることは初めての経験です。今はケガした分、身体のことを含めて、自分自身と向き合う時間がすごく長くとれています。復帰に向かって頑張っています。ケガも前向きに付き合うしかないと受け止めています。

ストレス解消法としてコンビニで売っている「カリカリ梅」を食べたり、今はBTSの曲を聴いて元気を出しています。

<これから働く方や悩みを抱えながら働いている人へ(一言メッセージ)>

本当にやりたいことや思い切り自分の好きなことをやって、楽しく働きましょう。私自身は、一日も早くケガを治し全力プレーができるようになること、そして実力がチームに認められてプロ契約できることを目標に頑張ります。

薊理絵(あざみりえ)クラブアンバサダー

薊アンバサダー

選手時代は14年間エルフェン一筋で活躍されましたが、現役を引退されたきっかけは?

現役時代は、体力・気力にも自信がありました。私のアピールポイントは、走り続ける体力があることだと思っていたので、走りのトレーニングメニューでは、「チームでは一番じゃないといけない」「ぶっちぎりの一番じゃないといけない」と、若い頃は勝手に思っていました(笑)。ただ、いつの日か「走るのがちょっと辛いなあ」との感覚が出てきました。それが、メンタル面なのか、体力的な衰えからなのか自分では分かりませんでしたが、走りに対しての辛さが出ていたことが引退を意識するきっかけだったのかもしれません。

引退については毎年考えていました。引退した後、エルフェンが負ける姿を見るのももちろん悔しいけど、逆に勝ち始めると思うとそれもまた悔しく、どちらにしても悔しい気持ちになることが毎年引っ掛かり、引退にまで至りませんでした。しかし、最後のシーズンはなぜか、私が引退後、純粋に勝ってもらいたい、勝ち続けてくれたら嬉しいと思うようになりました。そう思ったときに、スッキリ、このタイミングで引退しようと決めました。

現役時代に引退後の仕事について考えたことはありましたか?

現役時代にセカンドキャリアの不安はありました。好きなことを見つけて、これやりたいと思えたら引退しようかなと思ったこともありますが、やっぱり選手時代はサッカー以外のことは考えられなくて、結局引退まで何も浮かびませんでした。

クラブからアンバサダーとして仕事の話をいただいたことには、とても感謝しています。

現役時代は、エルフェンの選手としてトップリーグ(1部)で優勝することをずっと目標にしてきましたが、選手としては達成できずに終わりを迎えました。そのような時、アンバサダーの話をいただきました。現役引退後もフロントとしてエルフェンのチームの一員として、目標に向かって頑張りたいと強く思うようになり、幸運にも今までと違った形でチームに関わる仕事ができるようになりました。

仕事での目標

現在、クラブアンバサダーとして、広報活動・チームの情報発信に関わる仕事、地域の方との交流、営業活動などをしています。

選手時代は、SNSなどは苦手な分野でほとんどやっていませんでしたので、情報発信力向上に向けて仕事をしながら勉強中です。素直に自分の言葉で文章を書き、チームに関わるいろいろなことを皆さんにご紹介したいと思っています。まだまだ力不足ですが、エルフェンのこと、選手のことが大好き過ぎるので、ホームタウンの皆さんにも、サッカーに興味のない方にも、チームの関係者にも、その他すべての方にエルフェンの魅力を伝えたいです。そして一人でも多くの方にエルフェンを好きになってもらいたい、エルフェンを知ってもらいたいと願っています。もちろん選手自身にも、このチームが好きになってもらえるような仕事をしたいと思っています。チームのホームページでは、「薊アンバサダー『あとりえ』」の専用コーナーも担当していますので、是非一度見てください。

 

<元選手だからこそ意識していること>

チームの選手がとても協力的で、選手のちょっとした気遣いや行動には、いつも感謝しています。選手に伝えたら喜んでもらえるだろうと思えることは、少しでも早く、なるべく多く伝えるようにしています。選手に意見を求めた方がいいと思えるものは、積極的に相談させてもらっています。

 

<選手はチームの宝物>

チームにとって選手は宝物です。協力的な選手が多いところもこのチームの自慢なところではありますが、あまり選手に頼り過ぎてもいけないと思っています。チームの価値・選手の価値を高めるために、選手がサッカーに集中できる環境を保つことは、何より重要です。選手の負担が重くなり過ぎないようにバランスを取るよう、調整には十分気を遣うようにしています。

悩みや辛いことを抱えながら働いている方へ(一言メッセージ)

誰でも落ち込むことはあります。働き始めることへの不安や職場で辛いと感じることがあると思います。私も選手時代は、苦しいことが多くありました。しかし、どんな時でもあまりマイナス発言をしないようにしました。ただ人間ですので、どうしてもたまってしまうものもあります。やっぱり一人でため込むことはよくありません。

今では辛い時に言葉を発したい時は、キツイ時ほど笑って「キッチー」と言ってテンションを上げて仕事をしています(笑)。私の周りには、ちょっと変わったスタッフが多いからだと思いますが、周りにも辛そうな人がいると、笑っていっしょに乗り越えることもできたりします。周りを巻き込んで、自分たちで盛り上げてポジティブな方に持っていけるように考えることも大切かなと思います。キツイ時こそ、笑って「キツイな」を共有できれば、乗り越えた時には、さらに笑い話で盛り上がれます。すべてが笑って対応できるものではありませんが、周りの人と一緒に乗り越えることを考えるのも大切なことだと思います。

瀬野有希(せのゆうき)選手

瀬野選手

プロとして最高のパフォーマンスを発揮できるように

小学校1年生からサッカーをやり始め、将来は絶対にプロサッカー選手になりたいと思っていました。女子の場合、サッカー以外の仕事をしながらサッカー選手を続けることが当たり前の環境でしたが、WEリーグが始まりプロ選手への道が開けました。今は幸運にもプロとしてサッカーに専念できる環境でやらせていただいており、とてもありがたく思っております。

練習でも試合でも、身体と心のコンディションをベストの状況に持っていく必要があります。身体の管理について言えば、普段からコンディション管理には万全を期しています。練習前のストレッチは、自宅でも練習場でも誰よりも念入りにやっているつもりですし、簡単な刺激入れ(ウォーミングアップ)や体の張り具合に応じたケアなど体をしっかり整えるように注意を払っています。もちろん練習後のボディケアも怠らずしっかり意識しています。今は、時間が自由に使える強みを活かし、効果的に自主練習にも取り組めています。

心のコンディションについてお話します。普段の生活から練習に入る時にも、「気持ちの切り替え」を大切にしています。ストレッチやトレーニングを始める前でも、サッカーモードをオンにするためには、きちっとメイクをしないと気持ちが乗ってこないのです。笑われてしまうかもしれませんが、メイクは私にとって、大事な切り替えスイッチになっていて、これによって気持ちが高まります。

試合の前も心の準備を大切にしています。適度な緊張感と落ち着きがほしいと考え、以前からゲン担ぎもあって試合前に香水を付けています。また、最近はBTSとNiziUの曲を聴いて、試合に備えています。テンションは上がり過ぎても下がり過ぎてもダメですので、自分の「ちょどいい」を保ち、最高のパフォーマンスを発揮できるように心掛けています。

<レベルアップした姿をお見せしたい>

昨シーズンは多くの試合に出場できましたが、ケガもあり全試合出場はかないませんでした。今シーズンは全試合出場と日本代表に関わることができるようにレベルアップしたいと思います。新たな取組としてパーソナルトレーニングを始め、メンタルトレーニングを取り入れ、自分自身と向き合う時間を増やし客観的な自己分析を始めました。その効果が徐々に出ていると実感しています。

結婚はサッカーにも私生活にもプラス

最近は増えてきましたが、女子選手は結婚する人は少ないですね。リーグ全体に、もっと「結婚してもサッカーを続けられる環境があるんだ」という雰囲気がもっと広がってほしいです。

私は、少し前に結婚しましたが、家ではお互いに支え合っています。洗濯や食事の準備などは私がやって、後片付けは夫がやるなどして、家事も分担してやっています。たいした料理は作れませんが(笑)。ただ、私が試合で帰宅が遅くなることもあるので、夫には助けられています。夫も職業としてではありませんがサッカーに関わっていたので、サッカーへの理解が深いこともあり助かっています。選手やプレーのことも話題にできるので、新たな気付きになることも多く勉強になります。サッカーの細かい話もできて、苦労話も分かり合えることがとてもありがたいです。

また、悩んだ時に結構プラスな言葉をかけてくれるので、自分も前向きにチャレンジしようとの気持ちになれます。もちろん、チームメートへ相談することも多いですが、夫も大切な存在です。結婚したからといって、過度な負担や苦労もありません。結婚がいろいろな面でプラスになっていると思っています。サッカーと家庭を別々に考えるのではなく、どんなことでも各自が頑張るところは各自でしっかりやり、お互い支えるところは支え合って自然体でいいのではないでしょうか。結婚がプラスになり、サッカーのパフォーマンスも向上したと言えるようにしたいですね。

セカンドキャリアや移籍の不安もありますが・・・

今まで大好きなサッカーを職業としてきましたが、いつかは引退することになります。今はサッカーに打ち込んでいる状況ですので、引退後自分は何をしたいのだろうと、真剣に考えたことがありません。曖昧なビジョンはありますが、先のことを考えるとちょっと不安にはなります。目の前にあるサッカーを一生懸命やり、後のことは引退してから考えてもいいと思います。

 

<選手の移籍はプラスと捉える>

選手の移籍や引退は寂しい気持ちになりますが、新しく加入する選手との出会いはプラスになります。サッカー選手は個性豊かな人も多いので、組織の活性化にも繋がっていると感じます。かつて面白い選手に出会ったことがあります。自分が苦しい時に笑わせてくれる選手で、その選手のおかげで、私の気分が盛り上がりキツイ局面を乗り越えることができました。人って面白いですよね。

 

<これから就職を考えている方、不安を抱えながら働いている方へ(一言メッセージ)>

人にはそれぞれ得意不得意があると思いますが、しっかり自分自身と向き合い、自分がどうしたいかを考えることは大切です。自分がやってみようと思うことは、ひとりでできないことであっても、周囲の方の協力を得ながら前向きに取り組んでいきましょう。私も周りの方に支えられていることがたくさんあります。ひとつひとつのアシストに感謝の心を持ちつつ、一歩一歩進んでいきましょう。

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