インタビュー・コラム
ここから本文です。
掲載日:2024年4月9日
山根 裕美(やまね ひろみ)さん
プロフィール
48歳。 二児の母。
前職の職場が遠方にあり、自身が体調を崩してしまったことをきっかけに、2017年9月、アース警備に入社。現在は正社員として経理、人員管理、受注業務などの事務を担当。繁忙期には現場に向かい警備業務もおこなう。また、毎日各現場を巡回し、従業員に声掛けをして積極的にコミュニケーションを取っている頼れる女性です!
こどもたちの後押しで転職を決めた
私は2017年に事務職(経理)として弊社に入社しました。それまでは、こどもたちが幼かったのですが、シングルマザーであったため「少しでも稼ぎたい」と思い、遠方まで通勤しながら、がむしゃらに働いていました。そうしたところ、自分の体調を崩してしまい、近場の勤務地での転職を考えるようになりました。悩んでいたある日、家族会議を開き、相談したところ、こどもたちは転職について理解を示し後押しもしてくれました。ハローワークで求人を探していたところ、前職と類似の仕事内容で、働く条件も良かったため、今の会社で働くことを決めました。入社後は、こどもたちと一緒に出かけたりプライベートの時間が持てるようになり、今はすごく充実しています。
現在は、事務所で経理や人員管理、休暇管理、出勤交渉(シフト作成)などの事務仕事の傍ら、現場を巡回して従業員の勤務状況や警備計画に不備がないかを確認し、必要に応じてフィードバック指導をしています。繁忙期や急な警備要請の際には、私も現場に向かい従業員として警備にあたることもあります。
また、スキルアップのために簿記3級取得の勉強をしていますが、いずれは警備員指導教育責任者の資格も取りたいと考えています。この資格を取得することで専門的な知識などを持つ者として、指導・教育することでレベルが上がりますし、それが弊社の警備の質の向上にもつながると考えています。
警備業は危険を未然に防ぐ仕事
警備業には、身辺警備や貴重品運搬警備、交通誘導、施設警備などいくつかの業務がありますが、弊社は道路工事や建築工事現場での「交通誘導警備業務」を主に行っています。具体的には、工事現場の出入り口などで車両や歩行者の誘導を行い、交通渋滞や歩行者事故を未然に防ぎ、人々の安全を守る、工事現場には欠かせない業務です。
また、最近では花火大会の雑踏警備業務の依頼もあり請負いました。花火大会やイベントなど多くの人が集まる場所で、入退場者の整理や車両の誘導などを行う業務で、対象となる範囲が広くかつ多くの人が集中するため、複数の警備会社が協力して行うことが多いです。交通誘導警備と雑踏警備では、専門的知識が異なり、仕事内容も違ったりするため、雑踏警備のノウハウをしっかり身につけて、協力するようにしています。
警備業は、危険を未然に防ぐ仕事のため「確実性」が求められる仕事です。私は、人員管理も行っていますので、事前に現場監督さんや作業員さんに工事内容を聞いたり、現場周辺を巡回し危険箇所の有無等を確認しています。確認した情報は整理して従業員に共有し、周辺を利用する近隣住民や歩行者などに声かけをして、現場の安全を守るよう尽力しています。
そして、弊社は「安全と信頼」という形なき商品を扱っている会社ですので、人材を大切にし、成長させる企業でありたいとも考えています。その結果として、業者の方からも、従業員からも、「この会社でよかった!」と思ってもらえる会社にしていくのが、今の目標です。私たちの仕事は、確実な交通誘導によって安全・安心を守ることで、社会貢献が出来ているのだと考えます。
従業員とのコミュニケーションを大切に
交通誘導警備の仕事は基本的に直行直帰となるため、日々の業務連絡が電話のみになってしまいます。そのため、従業員からの要望や困りごとの声が届かない事のないように、私が毎日各現場を巡回して、従業員とのコミュニケーションを欠かさないようにしています。暑い日などには、冷たい飲み物の差し入れをしたりもして、従業員の体調管理にも気をつかっています。
また、警備員の配置人数は受注によって異なります。例えば、先方から交通誘導警備員は1人という要望であったとしても、必ず現場を調査し、どういう危険性があるのかなどを考えたうえで、依頼人数について受注元の業者と調整しています。後から警備員が不足していたということがないよう、気をつけるようにしています。
そして、この仕事をしていてよかったなと感じるのは、地域の方から「暑いのにご苦労様」と冷たい飲み物をいただいたときや、業者の方から「今日は助かったよ、ありがとう」といった言葉をいただいたときです。事務の業務をしつつ、毎日各現場に行って、従業員のフォローをするなど大変なことはいろいろありますが、感謝の言葉は、そうした大変な思いが洗い流されていくようで、やりがいになっています。
警備業界に興味がある女性に向けてメッセージをお願いします
この業界で働く女性は少ないのが現状としてあり、弊社も女性の社員は7人(警備員6人と事務職兼警備員の山根氏)で社員全体の一割にも満たず、求人を出しても、20人に1人女性が面接にくるような状況です。「夏は暑い、冬は寒い、立ちっ放し、大変そう、危ない」といったマイナスなイメージが、大きな壁になっているのだと考えます。夏の暑さや冬の寒さの対策としては、制服での調整や差し入れなどで補っていますし、警備の知識やスキル向上を目指している方には、資格取得支援を行っていますが、まだまだ、警備業に対するイメージが払拭されていないのが現実です。
私は、高校卒業後に時給の高さにつられて、警備員のアルバイトをやりました。その頃は警備員として働く女性が今よりも珍しかったので、現場の方にかわいがっていただきました。当時から、女性でも警備員として現場で働きやすいように、周囲がちょっとした気遣いをしてくれていたのだと思います。現在は、熱中症に気をつけないといけない時期には、現場監督がパラソルを用意してくれたり(休憩時に利用)、建築工事の出入り口では「車が入って来ないようにしてくれれば日陰にいてもいいよ」と言ってくれる方もいます。そんなちょっとした気遣いに今も支えられています。
警備業界では、勤めている方の年齢も幅広く、未経験から始めた方もたくさんいらっしゃいます。初めて従事する際には警備業法で定められている、20時間の新任教育(警備業法第21条2項)がありますし、働き始めてからも年2回の現任教育研修を実施しています。
知らない業界の仕事に就くのには、不安や抵抗を感じるかもしれませんが、警備業は、現場や同僚とのコミュニケーションが大事になる仕事ですので、人とのコミュニケーションを大切にしたい方に向いていると思います。また、交通誘導警備は、外での警備がメインですので、四季折々の匂いや空気の移り変わりなどの季節感を感じられるといった、ちょっとした楽しみがある仕事でもあります。まずはイメージにとらわれず、興味を持っていただき、ご縁があって一緒にこの業界で働くことができたらうれしいです。
※警備業に興味のある方は参考にしてください。
一般社団法人埼玉県警備協会のホームページ(警備業の概要)