インタビュー・コラム

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掲載日:2021年11月19日

内田 緒織(うちだ さおり)さん

File1_内田 緒織さん

プロフィール

医療法人愛和会 愛和病院 経営統括室 本部長。5児の母。
1994年~2002年に5人のお子さんを出産、子育てを経験。
埼玉県川越市の愛和病院にて、経営統括室の本部長として様々な角度から病院経営に関わりながら、より良い病院作りのために活動している。

1993年 大学卒業後、一般企業に秘書として勤務
2004年 愛和病院入職。愛ちゃんワールド健診センター勤務。
「チャイルドマインダー」取得。
2006年 「社会福祉士」取得(養成課程1年半・合格率30%)
2015年 経営統括室に異動。
2017年 MBA取得(立教大学・大学院)

募集が出ていなかった病院に応募をして就職

5人目の子供を産んでちょうど1年くらい経った頃でした。仕事復帰はある程度考えていたのですが、出産でお世話になった愛和病院で働きたいと考えるようになりました。出産の際の良い思い出もあり、また家から近いため、安心して働けると思ったからです。
あいにく職員募集は見つけられなかったのですが、愛和病院に勤めているご近所の方に「愛和病院で働きたい」という話をしたら、これから人を募集する予定があるという情報をいただきました。そのご縁もあり入職することができました。やりたいと思ったら、まずは自分が動いてみることが大切だと強く感じました。

サポートしてくれる人をどれだけ持てるかが大事

私が5人の子供を育てながら働き続けることができたのは、多くのサポーターがいてくれたおかげです。同居していた主人の両親と、その親族の方々。そして私の実家の両親や妹たち。さらに保育園や幼稚園、ファミリーサポートセンター、ベビーシッターにもお願いしたことがあります。その時の状況に合わせて、あらゆるサポーターにご協力をお願いしました。私は恵まれていたと思います。

ただ、仕事との両立のためいろいろな方にサポートをお願いした結果、子供たちの成長過程で起こる「初めての寝返り」「初めての立っち」などの体験は私以外の方が立ち会うことになりました。それについては悩むこともありましたが、子育ては自分1人でやるものではないと考えることにしました。皆さんの力を借りて育つことで、子供たちにとっても良い影響があるはず。少し覚悟を決めたという方が正しいかもしれません。
もちろん自宅で過ごす時間を大切にして、できる限りの愛情を注げるように努力してきました。

資格取得に向けた想いと、支えてくれた家族のサポート

病院に入職したときは特に資格は持っていませんでした。しかし病院の中で患者さまに安心して向き合っていただくためにも、何か資格があった方が良いと考えるようになりました。そこで、最初に配属されたのが乳児健診の部署だったため、まずは保育の資格である「チャイルドマインダー」を取得しました。

その後、医師、助産師、看護師などライセンス資格がある方々と一緒にチームを組んで仕事をするようになった時にも、別の資格も取得した方がいいと勧められ「社会福祉士」の資格を目指すことにしました。この資格は合格率が約30%と狭き門。これは努力しなければダメだと考え、学校に1年半通うことにしました。勉強への意欲は強かったのですが、やはり子供が5人いましたので、安定した受験勉強時間の確保は難しい状況。そこで、試験直前の3か月間は勉強に打ち込むため、週2日の休日に、実母と姑に子供の世話をお願いしました。資格取得ができなかったらもう二度と試験は受けない、という約束もしました、まさに一発勝負のチャレンジです。そして無事に合格することができました。

また、2015年に乳児健診センターから経営統括室に異動になりました。そのタイミングで、何か少しでも会社に貢献したいという想いが強くなり、上司の勧めもありMBA資格を取得するために大学院に通うことにしました。平日の夜に2コマ、土曜日に4コマの授業があるため通学は大変でした。それでも2年間の通学の甲斐あって、無事にMBA資格を取得することができました。

仕事と子育てをしながらの資格取得は大変でしたが、期間を決めて集中して取り組むこと、何より周囲のサポートのおかげでやり遂げることができました。

子育ての期間は永遠ではない

「子育ては、夫婦協働の期間限定のプロジェクトXです」という安藤哲也先生の言葉を大切に思っています。安藤先生は「イクメン」という言葉を創出されたファザーリング・ジャパンの設立者です。子育ては期間限定、手がかかる期間は限られているのです。子供たちとの親子関係は一生続きますが、例えば男性の立場から考えても、子供がパパをすごく必要としている期間は限られていると思います。その貴重な期間をどう考えるかで、夫婦の子育てへの意識も変わってくるのではないでしょうか?サポーターに協力を得ながらでも、自分なりに子供と関われる充実した時間を、しっかり過ごしていただきたいと感じます。

子育ては完璧でなくてよい

子育てをしながら仕事をするにあたり、自分自身のちょっとしたリラックス法や、息抜き方法を用意すると良いと思います。あまり頑張りすぎないようにすることが大事です。子育ても仕事もマラソンみたいなもの。短距離では終わらない長距離走です。
私自身は、どちらかと言えば非完璧主義です。仕事は完璧を目指して努力する必要があると思いますが、子育ての完璧というのは、何が完璧なのかと考えても答えを出しにくいと思います。自分の経験で言えば、最初の子は「テストで100点を取らせよう」とか「いい学校に進んでもらおう」とか、そんなことばかり考えました。しかし、そのような考え方では子供に対して「駄目」や「禁止」が多くなってしまい「圧」をかけるような状態になってしまいます。そのため5人目の子育ての頃には「毎日元気に学校に行ってくれたらそれで良い」と、子供に求めるハードルが下がってきました。こう考えることで、自分自身もあまり怒らなくなるし、子供の方も楽しく毎日が過ごせているようです。

肩の力を抜くと、人生は楽になります。
自分のことを信じて、自分自身のことを好きになってポジティブな気持ちで子育ても仕事も楽しんでまいりましょう!

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