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掲載日:2025年6月16日

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令和7年度住民監査請求結果一覧

令和7年度受付分一覧表

番号 件名 受付年月日 結果公表日
1 県営住宅の生垣管理に関する件 令和7年4月4日 令和7年6月10日

1.県営住宅の生垣管理に関する件

請求の要旨

(1)請求の趣旨

請求内容に含まれる個人又は任意団体に関する明確な根拠がない記載については省略した。

ア 埼玉県営甲住宅(以下「本件住宅」という。)A号棟南側の中木生垣が5年ほど前から多数枯死しているが、住人が埼玉県住宅供給公社(以下「公社」という。)や県にその事実を伝えているにも関わらず、何ら必要な措置を取っていない。

イ 本来なら、枯死に対する保険が適用され新たなる丈夫な中木生垣を植栽させるべきであるのに、その保険適用さえ怠っている。「植樹保険」やその他の各種損保の特約、「枯れ補償」さえ適用しておらず、適用が否決された可能性が考えられるので、調査のうえ、これを回答することを求める。

ウ 樹木枯死のため、1階住人は外部の人間から部屋を覗き見ることができ、外部からのゴミの侵入を防ぐことができず、防犯上、衛生上、問題が発生していることが放置されたままである。県営住宅の一部住人だけこのような扱いを受けることは、不公平で看過できない。

エ 本来なら公社が埼玉県都市整備部住宅課(以下「住宅課」という。)にその被害状況を報告する義務があるにも関わらず、そのことを行わなかったため、住宅課はその対応ができなかった。県は、現在の職務執行の在り方、責任の所在を通じ、住民のための改善改革をはかり、「一住民の意見」であっても公益に資するなら現場の切実な意見として、県と公社が受け入れ取り入れる体制を構築すべきである。

オ 問題の根幹は、公社が、被害があっても県に報告しないその職務怠慢により、県がその事実を把握できず、県の所有している資産価値ならびに信用を毀損しているその態勢が諸悪の根源であると考える。

カ 令和6年9月15日、本件住宅A号棟西側南側の県の資産である中木生垣に、機械で滅茶苦茶な大量器物損壊行為が行われた。後片付けは全くせず、翌日に、応急措置で広範囲に散らばった「粗大ゴミ」を一か所に集める作業をしたのは住民4名である。その後の紐括り作業やゴミ置き移動作業のほとんどは請求人一人だけが行った。

キ 令和7年2月中旬に同棟南側の荒れ放題であった低木生垣の刈込作業がこの建物が設置されて以来、初めて実施された。結果として、5年間も放置され荒れ放題の広範囲にわたる低木生垣の表層・表土は、今まで一度も手入れされていない状況と判断されるものであり、厚みのある腐敗物で覆われ、プラスチックゴミが大量にその中から発見されている。この片付け作業は全て請求人一人だけでやらざるを得ない状況であった。県は県の資産である敷地の「草刈り」を住民に課す以上、「草刈り」は労働契約が適用されないため労働法の適用を受けない「作業」であり責任の所在が全く不明であり(傷害保険さえ適用されなかった)、人権侵害の適用さえ受けないこの「法的グレーゾーン」の作業を行っていることに、何らかの対処をすべきである。

(2)請求する措置の内容(以下「請求措置内容」という。)

ア 本件住宅A号棟南側の枯死した中木生垣(以下「当該中木生垣」という。)の植栽を請求する。

イ 本件住宅A号棟南側の県の資産である低木生垣内部の除草作業の作業スペースを最低でも10か所以上、設置することを請求する。それができなければ、低木生垣の全撤去をするとともに防草シートの設置を請求する。

ウ 公社担当職員と本件住宅自治会の関係性の実態を調査し、不正事案を発見することを請求する。

エ 5年前に当該中木生垣の枯死を公社は把握しており、公社より被害報告を受けていない県はどこまでその内容を把握していたか不明だが、この件は立派な「器物損壊事案」であり、県は警察に被害届を提出することを請求する。刑事案件にできないならば、民事案件にて関係者に対し損害賠償をさせることを請求する。

オ 令和6年9月15日に本件住宅A号棟西側南側の中木生垣を自治会の大量破壊活動により、膨大な量の粗大ゴミを発生させる事案を生じさせた。この器物損壊、証拠隠滅他、その他、刑法にあてはめられる根拠があるならば、県として被害届を出すことを請求する。

カ 本件住宅においては一住民の意見であろうとも、公益に資するならばその要望を聞き入れ実現できる態勢を構築することを請求する。また、県はその職権が適用可能ならば、会計や業務上疑義がある自治会には特別監査を直ちに実施することを請求する。

キ 本件住宅の枯死した当該中木生垣に対して保険の請求をすること。保険適用できないならば保険適用できなかった理由についての調査を実施すること。

ク 公社は自治会を管理組合と位置付けていることを根拠に区分所有法の準用の適用の有無を回答することを請求する。

ケ 県は自治会という組織との関係性を改め直す時期に来ていることを認識すべきであり、自治会の資格審理や基準となるガイドラインを作成し、本当に住民の意見を反映した自治会であるかの可否を毎年審査し、不適当ならば、「自治会」として公認しないことを請求するとともに、自治会機能が住民のために回復されるまでは、住宅課や公社が主導となりその自治会本来の理念に基づいた組織体制の再建構築するまで「公社による直接管理」を請求する。また、一般的な「自治会」単体の機能だけ行使する「自治会=町内会」と入居者全員が議決権を持つ「管理組合」の分離を検討すべきことを請求する。そして、住民代表としては「管理組合」の意見を優先して聞き入れるようにするのが理想だろうと考える。

コ 県や公社は、月1回の住人に草刈り(雑草処理)・ゴミ除去清掃作業やなし崩し的に樹木管理まで負担させているが、一部の住人に超過重負担が発生している。これに対する対処策として、県の施設である住宅の敷地管理の徹底を県として効果ある具体策を提示し、現状の作業にとどまらず高層階ほど有利に働く共益費も含め「不公平・格差拡大」を修正すべきことを喫緊の課題として自治会への強力な指導を請求する。

サ 自治会加入しなければ県営住宅に入居できない申込みの仕組みが依然として残存している。自治会加入の本人の自由意思の有無を尊重するよう是正を求める。

シ 本来なら、枯死に対する保険が適用され新たなる丈夫な中木生垣を植栽させるべきであるのに、その保険適用さえ怠ったのである。「植樹保険」や「枯れ補償」などを適用できない行為が行われたため、適用否決された可能性が考えられるので調査のうえ、これを回答することを請求する。

監査結果の概要

本件請求については、理由がないものと判断し棄却する。

1 監査対象事項

請求人が措置を求めている事項のうち、県の財務会計上の行為又は怠る事実のみを監査の対象とした。

すなわち、本件住宅A号棟南側において数年前から当該中木生垣が枯死していることに対して、その損害賠償請求がなされていないこと、また、当該中木生垣の枯死に対する保険の請求がなされていないことが、違法又は不当な県の財務会計上の怠る行為に当たるか否かについてを監査対象とした。

したがって、これ以外の請求については、県の財務会計上の行為又は怠る事実に該当しないため、監査は実施しない。

2 監査対象事項に対する判断

(1)中木生垣の枯死と損害賠償について

請求人が植栽を求めている中木生垣については、本件住宅A号棟の新築に合わせて植栽され、その後1年間は「枯れ補償」の特約が設定されていた。

枯れ補償期間満了時に枯死していなかったことは県が確認済みである。枯死した理由については公社の記録には残っていないが、当時担当していた公社職員(現在は退職)から、「人為的に伐採等はしておらず、新築時に植えた生垣の一部が根付かずに枯れてしまったと記憶している」とのコメントを確認しており、住宅課としては生育不良により枯死したものと認識している。

また、中木生垣は公営住宅法第21条で規定する「遅延なく修繕しなければならない」施設には当たらず、当該中木生垣については本件住宅の自治会からの復旧又は撤去等の要望はなかった。

令和7年2月に実施した本件住宅A号棟新築後最初の定期剪定工事の中で、枯死した中木生垣を伐採したことから、自治会長の了解を得た上で、公社が、令和7年4月24日~25日に当該植栽の復旧工事を実施した。

これらの対応には違法性・不当性は無い。

したがって、県が当該中木生垣の枯死の損害賠償を誰かに求める理由は無い。

(2)中木生垣の枯死に対する保険適用について

県営住宅の植栽工事において、中木生垣に枯れ補償を設定することや、その補償期間の設定については、特に法律上の定めは無く、県の裁量により決定されるものである。また、補償期間は1年間が一般的である。

よって、枯れ補償に要する費用負担などを考慮した上で、県が補償の期間を植栽後1年間に限ったとしても、そのことに違法性・不当性は認められない。

また、枯れ補償終了後は保険請求に係る債権がないことから、請求を怠っている事実は認められない。

監査結果全文

県報定期第624号(令和7年6月10日発行)

 

お問い合わせ

監査事務局 監査第一課 財政的援助団体等監査担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第3庁舎1階

ファックス:048-830-4940

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