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掲載日:2022年3月30日

令和4年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(飯塚俊彦議員)

S-GAPのバージョンアップと国際水準の農業推進について

Q  飯塚俊彦 議員(自民)

本県では、県内農家に農業に関する法令、指針等を遵守してもらうため、平成26年度から埼玉スマートGAP、略称S-GAPに関する取組を開始しています。その上で、平成28年度には達成度を自己チェックするのではなく、県の評価委員によって客観的な評価を行うS-GAP農場評価制度を創設しています。この取組の目的を改めて確認しますと、食品安全、環境保全、労働安全への配慮を通じて効率的な農業経営、取引先の信頼度向上、農作業事故の防止を図ることで、農業経営の持続性の確保を狙うものと位置付けられています。
一方、政府広報によりますと、農林水産省では令和4年4月をめどに平成22年4月策定の共通基盤ガイドラインを廃止し、人権の保護及び農場経営管理の分野を加えた包括的な国際水準GAPガイドラインを新たに定め、生産現場に拡大していくこととしています。また、都道府県に対しては新たな基準に基づいたGAP指導の実施を求めることとし、引き続き都道府県GAPを存続する都道府県においては、今後、現行の都道府県GAPの取組内容を新たな基準に則して国際水準へ順次引き上げることを求めていくこととしています。
そして、時代の趨勢(すうせい)とは思いますが、小売や実需者が取引農家に対し、費用負担が必要な民間GAP認証を求める現状へと進みつつあります。特に昨年、東京2020オリンピック・パラリンピック競技会において、食材の調達基準としてGAP認証等が採用されたことが大きく影響していると思います。これは小規模家族経営農家には大きな負担と聞いています。
一方で、これまで本県では、S-GAPについて指導員や評価員を育成して農家に対し制度の周知を行うとともに取組への支援を行っていますが、令和4年1月末現在、実践農場数は673農場と十分とは言えない状況であります。令和3年8月に定めた農林水産業振興基本計画では、令和7年度の実践農場数を1,600経営体とすることを目標としていますが、達成に向けて潮目を変えるには今以上の知恵と工夫が必要であると考えます。S-GAPの取組は、県内農家の将来にとって重要であると思いますが、この目標を達成するに当たっては、地域によって経営体の規模や環境が異なるなど、農家の多様性に配慮し、きめ細かく県内農家を支援していくことが重要であると考えます。また、S-GAPの普及促進に当たっては、消費者の認知度向上が大きな鍵になることは、これまでも言われてきたとおりであります。
そこで、農林部長へ2点お伺いいたします。
まず、農林水産省が示している国際水準GAPガイドラインとはどのようなものなのか、お示しください。
次に、今後、国際水準GAPへの改定を進めることで生産者にどのような影響を及ぼすと考えるか。また、不利な立場にある生産者への特別な支援が必要かと思いますが、御所見をお伺いいたします。

A   強瀬道男   農林部長

農林水産省が示している国際水準GAPガイドラインとはどのようなものかについてでございます。
国では、平成22年に食品安全、環境保全、労働安全の分野で農業生産において実践すべき取組を明確化したガイドラインを策定し、県ではこのガイドラインに準拠したS-GAPの普及・推進を図ってきたところでございます。
その後、この10年で農産物輸出が拡大し、輸出先国や取引企業から労働者の人権への配慮などを含めGAPの取組を求められるなど、環境変化が生じているため、国がガイドラインを見直すこととしたものでございます。
新たな国際水準ガイドラインは、これまでの食品安全などの3分野に、人権保護と農場経営管理の2分野が追加されており、現在、国が案として公表しているところです。
人権保護については、外国人技能実習生に対する適切な労働環境整備や、家族間の十分な話し合いによる家族経営の実施などが取組項目となっています。
農業経営管理については、農場の運営方針や農作業手順のマニュアル策定、業務ごとの責任者配置などが取組項目となっています。
次に、国際水準GAPへの改訂を進めることで生産者にどのような影響を及ぼすのかについてでございます。
国際水準ガイドラインは、従来と同様に、生産者がGAPを実践しやすくなるよう取組事項を明確化するものであり、取組を義務付けるものではありません。
生産者が国際水準GAPに取り組む場合、従来のガイドラインに比べて、例えば野菜では17項目の取組が追加されるため、取組の多さに抵抗を感じることも考えられます。
一方、国際水準GAPの取組は、SDGsへの貢献など持続可能な生産を行っていることを消費者や実需者に訴求しやすくなるほか、生産関連データを蓄積し活用することで、経営改善にもつながると考えられます。
国は、今後ほぼ全ての産地で国際水準GAPが実施されることを目指しており、県としても多くの産地で推進することが必要と考えています。
本県の現行のS-GAPについては、新たにGAPに取り組む生産者が実践しやすい入門編GAPとしての役割もあることから、今後の位置付けを検討してまいります。
次に、不利な立場にある生産者への特別な支援についてでございます。
国では、産地単位で国際水準GAPの導入を推進することとしています。
産地単位の集団でGAPに取り組む場合、集団の事務局が各生産者の取組の評価者となり、共通の作業手順書の作成や生産販売に関する記録の整理などを一括して行うため、個々の生産者の負担を軽減できます。
集団での取組はS-GAPでも行っており、県では、講習会などを通じて、生産者のGAPへの理解促進と、事務局に対して、取組を評価する能力を身に着けられるよう支援してまいりました。
また、事務局が集団の各生産者の取組を評価する際には、農林振興センター職員が農場巡回に同行し、アドバイスを行いながら取組をサポートしています。
こうした取組の結果、県北の生産出荷集団では、小規模家族経営農家を含む209人の構成員全員がS-GAP実践農場として評価されています。
国際水準GAPの推進にあたっても、こうした産地単位の集団での取組を重点的に推進してまいります。
また、集団に属さず個別に取り組みたい生産者に対しても、実践に向けた相談に丁寧に対応など、伴走型の支援を継続してまいります。
これらの施策により、国際水準GAPに関心のある生産者が円滑に取組を行えるよう支援してまいります。

再Q  飯塚俊彦 議員(自民)

このGAPという新しいというか、今までつくってきた基礎というか、こういうふうにしていけば、より良いものができるよというのは十分分かるんですけれども、この新GAPの推進に当たってというのは、これは本当に生産者の声を聞いていただきたい。
私の友達でもある方は、お母さんと息子さんと二人でキュウリを栽培しているんですけれども、こういうことの中でなかなかGAPというものが本人たちに認識ができないでいる。そういう中で、本当にこの寒い中、朝早くから夜遅くまでというふうな、一般的に先ほど御答弁していただいた集団的に一所懸命やってくださっているところはいいんです。ですけれども、そうじゃない農家の方々も大勢いらっしゃるというふうなことが非常に心配であります。
ですので、この生産者の声をいろんなパターンを十分に聞いていただいて、GAPの追加、グローバルGAPへもっていくというふうなことをしていってほしいなというふうに思うんですけれども、そこのところの生産者の声を十分に聞いて進めてほしいというんですけれども、その辺もう少し突っ込んでこうだよというものがあったらお知らせ願いたい。そして、できるならばこのS-GAPというものが新GAPへ同じような形でスライドをしていく、プラスアルファは当然あるんでしょうけれども、できるかどうかの御所見を農林部長にお伺いさせていただきます。

再A   強瀬道男   農林部長

1点目の「生産者の声を聞きながら進めて欲しい」ということですが、GAPの推進につきましては、何よりも生産者の理解と実践ということが不可欠でありますので、生産者の声を聞きながら進めていくというのは非常に重要なことだと考えております。
GAPの推進に関しましては、生産者団体や学識経験者などで組織している検討委員会を設置しており、今後、検討委員会の中で国際水準ガイドラインを踏まえたGAPの推進方策などについて、幅広い意見を伺いながら、取組の推進の仕方について検討していくこととしております。
この検討に当たりましては、県内の生産者から幅広く、どのようにしたらGAPに取り組みやすくなるか、あるいは必要な支援などについても幅広く声を聞きながら、生産者の声にしっかり耳を傾けてGAPを推進していきたいと考えております。
また、2点目の新GAPへの移行についてですが、この検討委員会の中での推進方策の検討も踏まえて、現場で丁寧に対応していくことで、より多くの方が新GAPに進んでいけるように支援していきたいと考えています。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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