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掲載日:2022年6月21日

令和4年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(小島信昭議員)

人的財産の活用について

Q   小島信昭 議員(自民)

先ほどDXプロジェクトに関する質問でも申し上げたとおり、人それぞれ専門性の問題もありますし、そもそも1日は24時間、1年は365日、時間は限られています。一人の人間が直接管理できる物理的な量は、個人差、能力差はあっても限界はあります。
県執行部のリーダーとして、県のCEOとして、判断、決定しなければならない業務は多岐にわたる上、昨今、新型コロナウイルス対応や鳥インフルエンザ、自然災害などの危機管理事案が頻発、日常化しており、知事の判断すべきことが山積されている状態です。重要な案件を複数同時に抱えることはできなくはないでしょうが、その精度は確実に間違いなく落ちます。自らが先頭に立って本当に必要な重要事項を適時、的確に判断していくためには、大方のこと、事務的なことは部下に任せる姿勢が必要ではないかと思います。
先日、県職員から聞いた話には驚きました。知事は、日常的に県庁の課長などに業務のかなり詳細なことの指示を自ら直接メールで行っていると聞いております。その数はかなりの数なもののようであります。この話を聞いて思ったのは、課長と知事の間の部長や副部長、そして副知事は何をしているのだろうということです。そして、多岐にわたる重要な事項全てにわたって、知事は物理的にできるのだろうかという疑問です。
県の組織条例では副知事は3人以内と規定されていますが、長らく2人体制となっていました。昨年、3人目を任命したいという人事議案を県議会としても承認し、現在は3人体制となっています。多くの県政の課題に応えるためには、知事を直接支える副知事の増員はやむを得ないと判断させていただきました。ところが、その有能な行政手腕をパスして、知事が直接職員に指示を出している。どこかおかしいと感じました。
そこで、知事に伺います。知事は、知事にしかできない重要な判断を決定するためにも、直接職員とやり取りをするのではなく、県庁という優れた指揮命令系統のシステムをフル活用し、組織運営の中で人材を育て、優秀な人材を活用するのが真のリーダーの役割ではないでしょうか。知事の御所見を伺いたいと思います。
人材活用という点で、もう1点伺います。
産業労働部の前身である商工部の時代、県は公費で職員に中小企業診断士の資格を取らせていましたが、これを廃止したため、産業労働部には中小企業診断士の資格を持った職員がほとんどいなくなりました。そのため、生活をかけて日々悪戦苦闘、努力をしている商工業者にとって、産業労働部の職員は物足りない存在となっているようです。
このことは、行財政改革の名の下に資格取得や職員研修などの必要な経費が削減されたり、職員数の極端な圧縮が長年にわたって行われてきたせいで職員に余裕がなくなり、人事異動の際、後任へのスムーズな引継ぎや、本来先輩職員から後輩へと引き継がれる知識や技術の伝達、自己研さんの時間という大切なものを置き去りにせざるを得なくなった結果だと思います。職員一人当たりの県民の数が全国一だと誇らしげに言っている裏では、このような状況になっていたということです。この状況は、一朝一夕には改善しません。失われた技術、知識はすぐには戻りません。
しかし、まずはこの現状から転換を図る必要があると思います。折しも地方公務員法が改正され、令和5年度から地方公務員の定年年齢が段階的に引き上がる見込みとなっています。新規採用職員の採用計画にも、影響を及ぼすものと推測されます。できれば、この期間をうまく使いたいものです。定数を柔軟に運用することで、これまで職員定数を過度に圧縮してきた悪影響を解消する方向で活用することができるのではないでしょうか。
そこで、提案させていただきます。
現場で直接県民に接する職場に余裕を持った定数を配分し、経験豊富な職員を配置することで、若手職員への確実な技術、知識の継承を図ってはいかがでしょうか。また今後、61歳から65歳までの役職定年した職員をその知識、経験を生かせる職場に積極的に配置し、後進の育成をするという任務を与えることで人材の活用を図ってはいかがでしょうか。以上、2点について、知事の見解を求めます。
人への投資は直ちにその結果は見えませんが、その結果は必ずや将来現れてきます。間違いなくあのときの投資のおかげで埼玉県庁は良くなったといわれる時代が来るはずです。政治家として、将来に責任を持つ立場として、大局に立った判断を求めます。

A   大野元裕   知事

指揮命令系統の活用と組織運営の中での人材育成についてでございます。
私は知事就任以来、豊富な行政経験と手腕を持つ副知事や部長たちに支えられており、彼ら、彼女らの力があったからこそ、様々な危機管理事案にも対応できていると信じています。
私が課長に直接メールで指示をしているとのお話もありましたが、電子メールの特性として共有ができる点があり、メールでの指示は課長に対してだけではなく、必ず副知事や部長にも同時に共有し、その案件や課題に応じ、副知事や部長に指示を出す場合も当然ございます。
本県の指揮命令系統では、副知事は副知事として、部長は部長として、課長は課長としての職責が位置付けられています。
指示に基づく施策の立案・実施に当たってはラインに基づく責任が生じるところ、その職責はそれぞれに応じ確実に全うされています。
引き続き、このシステムを活用することで、ワンチーム埼玉として、県庁が最大の力を発揮できるよう努めてまいります。
また、部下職員を育成し、優秀な人材を活用してこそ真のリーダーであるとのお話は全くもって同感でございます。
「財を遺すは下 、事業を遺すは中、人を遺すは上なり」とは、明治から昭和初期に活躍した政治家、後藤新平の名言でありますが、人材の育成、そして、その活用なくして、困難な仕事は達成できません。
どんなチームづくりが必要か、どう人材を育て、活用すればよいか、私も、日々、頭を悩ませており、議員の御提案も重く受け止め、常に改善を加えてまいりたいと思います。
次に、若手職員への確実な技術・知識の継承を図ることについてです。
これまで職員定数につきましては、新たな行政需要や県政の重要課題に対応するため、業務のスクラップ・アンド・ビルドや執行体制の効率化などを通じ、業務量に応じた適切な定数管理に努めてまいりました。
職員の定年年齢が引き上げられた以降であっても、これまでと同様、業務量に応じた適切な定数措置が原則であると考えています。
現在、総務省の研究会において、定年年齢引上げ期間中の新規採用の確保に向けた方法として、一時的な調整のための定員管理の考え方が整理、検討されております。
今後、国や近県の動向も踏まえつつ、職員定数のあり方につきまして必要な検討を行ってまいります。
一方、議員お話しのとおり、県民生活に支障を生じさせることのないよう、確実に技術・知識の継承を図ることは重要であると考えます。
そのため、施設や団体に対する監査や検査、工事における管理・監督など幅広い知識と経験が求められる業務に熟練したベテラン職員を配置し、若手職員にノウハウが受け継がれるよう工夫をしております。
例えば、県土整備事務所では、施工監理主幹グループを設置し、キャリアの長い職員が、経験の浅い職員を指導する体制を強化し、若手職員の技術力向上を図っています。
今後も、業務に深く通じ、かつ指導力のある職員を直接県民と接する職場にも配置し、持てる技術・知識を若手職員にしっかりと引き継ぎ、県庁全体がワンチームとなり、更なる県民サービスの向上に努めてまいります。
次に、61歳から65歳までの経験豊富な職員の活用についてです。
本県では、例年、定年退職者の約6割が再任用を希望し、現在、492名の職員が再任用職員として働いているところであります。
再任用職員については、職員の意向や適性、能力などを考慮の上、経験、技術、知識やノウハウが後進に継承できるポストへの配置に努めております。
議員お話しのとおり、令和5年度からは、地方公務員の定年が60歳から65歳まで2年に1歳ずつ段階的に引き上げられる見込みです。
定年の引き上げにより、従来の再任用制度に比べ、より多くの高齢者職員が勤務することが想定されるとともに、勤務の一体性や連続性が確保され、より高齢者職員の能力の活用が図りやすくなります。
これを契機に、これまで以上に、幅広い分野で高齢層職員の活用を進めていくことが重要と考えております。
例えば、現職時代から培ってきた対外交渉力や専門性を生かせる現場での業務などに配置することにより、後進の育成にもつなげることができると考えます。
具体的には、地権者とのやり取りが重要となる用地業務に交渉力に長けた職員を配置することや、納税業務において滞納整理に精通したベテラン職員をスタッフ職として配置することなども考えられます。
今後も豊富な経験やスキルが生かせる職場に高齢層職員を積極的に配置し、その技術や知識を若手職員へ継承していくことで組織としての総合力を高められるよう、人材の活用を図ってまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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