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掲載日:2023年7月10日
Q 守屋裕子 議員(共産党)
感染拡大のピークと言われる4月には、医療崩壊ぎりぎりと言われました。「どんなにお願いしても入院をさせてくれない」と県民の悲痛な声が殺到し、自宅待機中に陽性患者が死亡する事件も起こりました。そもそも本県の人口当たりの医師数も病床数も全国最低、これは近年変わっていません。こんな医療体制のぜい弱さが、コロナまん延の中での混乱の原因となりました。このような事態を絶対に繰り返さないために、医療体制を強化しなければなりません。
埼玉県は、6月2日の対策本部会議で、政府が想定するピーク時フェーズ3コロナウイルスの外来患者2万4,000人、
入院想定2,400人という事態に備え、議論を開始しました。このような最悪の事態を想定しての備えは重要です。まず、ピーク時に備え、医療体制を整備する決意を知事に求めます。
地域医療体制にとって最大の課題は、医療機関の経営危機です。日本病院会など3団体の調査によれば、コロナ患者を受け入れた病院は、4月は平均1億円の赤字です。問題は、経営危機はコロナ対応をした医療機関だけにとどまらないということです。
埼玉県保険医協会の調査では、昨年と今年4月では実に9割以上の施設で外来患者が減少しました。「このままでは、コロナ第2波と闘う前に地域医療が崩壊する」というのが、医療機関の率直な声です。県議団が訪問した県東部の医療機関では、県からの要請で6床の感染症病床を確保するために、70床の病床を閉鎖せざるを得ませんでした。そのための減収により、職員の賞与も通常どおり出す見通しがありません。
県は、6月定例会に2本の補正予算を提出しています。コロナ対応の中心医療機関への支援は盛り込まれていますが、経営難にあえぐ医療機関全体に対する財政支援がありません。知事、医療機関の全体の経営難をどのように認識しているのか、答弁を求めます。国に対しても医療機関の減収補償を求めるべきと考えますが、どうなのか。県として独自の支援を求めますが、以上3点について御答弁を求めます。
第2の課題として危惧されていることは、ピーク時のコロナ病床を整備する際に、コロナ診療以外の診療がストップしてしまうということです。訪問した県北の基幹病院の話では、この間、コロナ対応のため病床を5割削減し、救急診療停止、新規患者受入れを停止したとのことです。仮にピーク時想定に基づいた分担病床数を引き受けたなら、他の一切の診療を中止しなければならないと心配されていました。コロナピーク時、フェーズ3に、救急や他の診療科をどう保障していくのか、保健医療部長、お答えください。
本県感染症指定医療機関のほとんどが公立・公的病院であり、コロナ禍の中で多くが公立・公的医療機関の大切さを実感されたことと思います。しかし、厚労省は全国424の公立・公的医療機関を名指ししての再編整備を依然として推進しております。党県議団は、まずは再編整備計画の撤回を求めています。
県立循環器・呼吸器病センターは、もともと感染症病床21床を備えた基幹病院ですが、まん延期に一般病床も含め46床まで広げ、全県のコロナ患者を引き受け、大奮闘をしました。しかし、病院医師は慢性的に不足しており、いまだ医師定数の76%までしか充足しておりません。コロナ対策の要である同センターの医師充足に、できる限りの努力を尽くさなければなりません。病院事業管理者の答弁を求めます。
もともと循環器・呼吸器病センターは、県北という立地からも医師確保に長年苦しんできました。この問題を病院局のみに任せず、県全体の問題として一人でも多くの医師を確保する決意を知事に求めます。
本県の全国最低と言われる医師不足の根底に、公立医学部を持たないという問題があります。党県議団は、一貫して県立大学に医学部設置をと主張してきましたが、県北の循環器・呼吸器病センター付近にこそ医学部を創設して、同センターを附属病院とすることを提案します。今からでも取り組むことを求めますが、二点、知事の答弁を求めます。
コロナ禍の中で、循環器・呼吸器病センターはじめ県立病院の減収は避けようがありません。こうした状況の下、地方独立行政法人に移行していくことには、改めて不安を覚えております。確認のためお聞きしますが、赤字であっても県立病院の公的役割を果たすために、これまで同様、県の財政支援は適切に行われていくのでしょうか。病院事業管理者、御答弁を求めます。
この間、医療従事者の昼夜を分かたぬ奮闘のおかげで、医療崩壊ぎりぎりのところで踏みとどまることができました。その勇気と献身性に敬意を表します。
一方で、PCR検査を積極的に行う医療機関のスタッフの子供が学童クラブに来ないよう、他の保護者たちが署名行動などコロナへの恐怖心のため、医療従事者が心ないバッシングを受けてきたことに胸が痛みます。今も医療機関スタッフは、心に大きなストレスを抱えています。まず知事が、感染症で先頭に立った医療機関を直接訪問し、医療従事者を激励するとともに、コロナウイルスへの無理解を払拭するキャンペーンの先頭に立っていただきたい。知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
議員お話しのとおり、既に各医療機関には、救急医療をはじめ地域の役割分担を踏まえながら2,400床の確保に向けて、準備をしていただいているところでございます。
仮に第2波により感染者数が大幅に増加したとしても、入院治療が必要な全ての方が入院でき、ホテルを希望する全ての軽症者の方が、ホテルで療養できる体制を構築するために、全力を尽くしてまいります。
次に、医療機関全体の経営難の認識、国への減収補償を求めること、県独自の支援についてでございます。
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている医療機関では、陽性患者受入れのために予定入院や手術を一部延期したり、あるいは病床稼働率が低いなどから、経営状況が厳しくなっております。
また、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない医療機関においても、受診抑制により患者が減少したため、診療報酬が大きく落ち込むなど、経営状況が大変厳しくなっているものと認識をしております。
こうした状況下における医療機関の減収補償については、本県のみならず全国的な問題でもあり、我が国の医療提供体制を今後とも維持していくためにも、国が責任を持って財源を用意すべきと考えています。
そこで、私は、これまで西村経済再生担当大臣や加藤厚生労働大臣などに、診療報酬の増額改定や新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の拡充などについて、緊急要望を随時行ってまいりました。
こうした要望を受け止めていただき、今回の国の第2次補正予算では、新型コロナウイルス感染症対応を行う医療機関の病床確保料が3倍になるなど大幅に拡充しております。
また、新型コロナウイルス感染症対応を行う医療機関以外への支援も必要なことから、疑い患者受入れのための救急・周産期・小児医療機関の院内感染防止対策などの支援も盛り込まれました。
他方、国としては医療機関に対する直接の経営支援は行わないというスタンスであり、県としては、幾度も国に対し要望いたしましたが、国の立場は変わりません。そこで、県独自の支援として、4月の臨時会で御議決いただいた新型コロナウイルス感染症患者の入院受入れに対する協力金や看護職員への手当の助成を行うこととしております。
さらに、新型コロナウイルス感染症対応を行う医療機関以外の医療機関も含めた全ての医療機関への支援として、外来受診を控える患者に対するオンライン診療を促進するため、診療実績に応じた助成を行うこととしております。
次に、循環器・呼吸器病センターの医師不足の問題を県全体の問題として取り組む決意についてでございます。
秩父、北部などの特定地域における医療機関の医師確保は大変厳しいものであり、その解消のために特に有効な対策が地域枠などの医学生向け奨学金制度であると考えております。
奨学金制度により、令和3年度に研修を終える医師は5名となりますが、令和9年度には100名を超える医師が確保できる見込みでございます。
こうした医師を循環器・呼吸器病センターを含めた特定地域の公的医療機関に配置できるよう取り組んでまいります。
次に、医学部を創設し循環器・呼吸器病センターを附属病院とすることについてでございます。
国は現在医学部の新設を認めておりません。
さらに、医学部定員も将来の医療需要のピークを見越して、減員に向けて見直ししており、令和2年度の医学部定員は全国で90名削減されることになっています。
このため現状では、議員御提案の循環器・呼吸器病センターを医学部附属病院とすることは困難です。
本県としては、しかしながら医師不足地域においては医学部新設を認めていただくよう引き続き国に対し要望をしてまいります。
次に、医療機関を直接訪問し、医療従事者を激励するとともに、コロナウイルスへの無理解を払しょくするキャンペーンの先頭に立つようにとの御提案についてです。
私は、4月24日に感染症指定医療機関である埼玉医科大学を、また、6月9日には循環器・呼吸器病センターを訪問し、最前線で闘う医療従事者の皆様に感謝と激励の思いをお伝えをさせていただきました。
医療従事者の皆様は、日々、感染リスクの高い厳しい環境の中で、強い使命感を持って業務に従事しておられます。
他方、新型コロナウイルス感染症に対する無理解のために、医療従事者だということでタクシーの乗車を拒否されたとか、お子さんが保育所への入所を断られたということが起こっています。
私は、こうした差別的な扱いをなくしたいと、先般の記者会見でも特にこの件について県民の皆様にお願いをさせていただくなど、機会をとらえて医療従事者や御家族の皆様へのいわれなき差別をやめていただくよう発信してまいりました。
引き続き、本件については私が先頭に立って、医療従事者の皆様への差別をなくす取組を強力に進めてまいります。
A 関本建二 保健医療部長
コロナのピーク時において救急や他の診療科の機能をどう確保していくのかは重要な課題と認識しております。
新型コロナ患者の受け入れにより一部の診療機能を止める必要がある場合には、地域で診療機能の分担を協議していただくことが必要となります。
今後、医療関係者で構成する地域医療構想調整会議において、救急医療などの役割分担について協議をしてまいります。
A 岩中督 病院事業管理者
循環器・呼吸器病センターは新型コロナウイルス感染者を昨日までに89名受入れ、特に重症者の治療に大きな役割を果たしてきました。
この間、現場の医師は最前線で未知のウイルス疾患の診療に当たり、多くの症例検討などを通じて様々な経験を重ね、医療の質を高めてきました。
現在、この経験から得られた知見に基づく学会発表の準備を進めており、医療の発展や公共の利益に積極的に貢献することも県立病院の役割でございます。
こうした高度先端医療の実践は病院の魅力を高め、医師確保の大きな力になると考えています。
また、来年4月の移行を予定しております地方独立行政法人では、更なる高度医療の取組を進めるとともに、医師の専門性に応えられる処遇を定めることができます。
例えば、医師のスキルや経験を評価する専門医制度を給与に反映する仕組みや年俸制の導入など、優れた医師の確保に繋がる制度をつくることが可能になります。
今後も、医師がやりがいを持って働ける魅力ある病院づくりを進め、医師の充足に努めてまいります。
次に、独法化にあたりこれまで同様県の財政支援は適切に行われていくのかについてでございます。
県立病院は高度専門医療、小児、救急などの政策医療を提供してまいりましたが、独法化後も役割は変わりません。
こうした医療の提供に当たり、経営努力ではカバーできない部分を補うため、繰入金をいただいております。
地方独立行政法人法では、不採算な部分について県が運営費を負担することが定められています。
独法化後も適切な負担をお願いしながら、県立病院の役割を果たすため、患者さん目線での医療をしっかりと提供してまいります。
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