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掲載日:2020年3月31日
Q 高木功介 議員(自民)
医師の長時間勤務が問題となっております。平成29年に厚生労働省が調査した結果、何と勤務医の10%以上が年間1,920時間の残業、月換算で160時間以上の残業をしていることが判明しました。うち年間2,880時間、月換算で240時間以上の残業をしている医師は1.8%もおります。
現在、厚生労働省でも医師の働き方改革について検討会が進められており、令和6年には残業時間の上限を特例として年1,860時間、月換算で155時間にする見込みですが、これでも過労死ラインである月80時間残業の約2倍を容認する過酷な内容になっております。医療現場は、医師の長時間労働によって成り立っている面が強く、厳しい規制を当てはめれば医療が立ち行かなくなるとの懸念からです。
もちろん我が国が人口減によって、将来、医療現場環境が変わる可能性も高く、長期的に見る必要もあります。しかし、救急車や医療費の無償化が、些細な疾病でも時間外に救急指定病院に頼るという、いわゆる「コンビニ診療」を生み、それが劣悪な医療労働環境に、最後には必要な人に適切な医療提供ができない環境を生んでおり、対策が必要になっております。
長時間労働の是正など医師の働き方改革は、医療制度全般に係る問題につき、県の範疇を超えるものと考えております。そのため、利用者を調整することにより実現可能な医療労働環境の改善について、保健医療部長の所見を伺います。
厚生労働省は、令和元年12月に応招義務をはじめとした診療治療の求めに対する適切な対応の在り方について、報告書をまとめました。その中で、時間外診療については、診療時間外、勤務時間外であることを理由に診察を拒否しても応招義務違反にはならないとしております。すなわち、最高裁判例の言葉を変えれば、患者の側も「十分な治療を受けるためには、医師の意見を尊重し、治療に協力する必要がある」ことを求められるようになりました。
それを踏まえて、県としても救急車の適正利用の啓発はもちろんですが、医師の大きな負担になっている救急指定病院における診療時間外の利用を調整し、医療労働環境の改善に寄与すべきと考えます。
現在、既に時間外診療には医療点数の割増しはされていますが、診療費の無償の人には、この割増し点数も無料で利用制限することはできません。そのため、時間外選定療養費の制度を活用し、時間外診療の際には5,000円から1万円の実費を原則加算し、時間外診療を制限する救急指定病院が増えてまいりました。
なお、この制度は緊急入院になった場合、医師が緊急性があると判断した場合、生活保護受給者には適用されないなど、留保事項を多くの病院は付しております。この制度を活用している病院では、これまで大きなトラブルがなく運営され、医療労働環境の改善に効果があると証明されております。
また本制度は、厚生労働省が推進している医療機関の役割分担を明確化した病診連携推進政策にも沿ったものであります。
そこで、埼玉県としても県内の救急指定病院に時間外選定療養費の制度の導入を奨励し、県民にも十分な治療を受けるためには医師の意見を尊重し、治療に協力する必要を広く啓発し、医療労働環境の改善を求めていくべきと思料しますが、保健医療部長の所見をお伺いいたします。
A 関本建二 保健医療部長
医療機関が診療時間以外で診察を行う場合や、病床数が200床以上の病院に紹介状なしで受診した場合には、医療機関は選定療養費として特別の料金を徴収することができます。
県内の一般病床200床以上の病院69カ所のうち、この選定療養費を徴収している病院は42カ所と、6割以上の病院で活用されています。
選定療養費は、大病院に集中する傾向がある外来診療について、できるだけ、かかりつけ医など身近な医療機関での受診を促し、それぞれの医療機関が本来の役割を発揮できるようにする目的で導入されている制度です。
救急医療の現場では、本来、入院が必要な患者に対応するための第二次救急医療機関に軽症の患者が集中し、医師や看護師などに過重な負担がかかり、本来の機能に支障が生じております。
お話の時間外選定療養費を広く導入することは、こうした医療機関の役割分担や医療労働環境の改善のための有効な手段の一つです。
第二次救急医療機関に来る軽症患者の受け皿も必要なことから、初期救急の体制整備も併せて考える必要がございます。
このため、初期救急の現状と役割分担の整理や、地域における医療機関の機能分化などについて、それぞれの地域の医師会や消防などの関係機関で構成される救急医療対策協議会などにおいて、協議を進めてまいります。
また、選定療養費の導入目的である、かかりつけ医と病院との役割分担について県民の皆さんに御理解いただくためのリーフレットを作成するなど、県民の皆様への啓発についてもこれまで以上に取り組んでまいります。
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