ページ番号:247786

掲載日:2024年2月16日

ここから本文です。

株式会社常陽産業 (川口市)

飲料自動販売機のダミー缶製造で培った真空成型技術とチョコレート印刷を組み合わせて「チョコレート転写モールド」で躍進する企業

常陽産業は、1990年4月に小竹俊德氏(現会長)が川口市内でプラスチック製品製造業として創業しました。
2017年8月に、現代表取締役の平井 浩様が社長に就任し、今に至ります。
本社は川口ですが、2010年に杉戸工場が稼働を開始し、製造の拠点となっており、真空成型・チョコレート関連、シリコーンゴム形成、プレス加工、精密電子部品の組立事業等を行っています。
最近では、チョコレート関連事業において、長年培った真空成型技術により生まれた「チョコレート転写モールド」を活かして、チョコレートにメッセージを記した「懺悔チョコ」が新聞やテレビで話題になっています。
また、今年度から埼玉県が新たに行うB to BからB to Cへの多角化支援事業の参加事業者として選ばれ、デザイナーとともにシリコーンゴム事業で培ったノウハウを投入し、食器の試作品製造にも取り組むなど、「心ある、ものづくり」を通して社会に貢献する企業として、前進しています。

        
                                                                   常陽産業  左:本社(川口市)、中・右:杉戸工場(杉戸町)


事業は大きく分けて4部門から構成されており、(1)真空成型・チョコレート関連事業、(2)シリコーンゴム事業、(3)プレス加工事業、(4)組立事業となっています。
シリコーンゴムの製造から各種ゴム素材の加工、真空成型による樹脂トレーや商品POPなどの製造を得意としており、製造後の組み立てやパッケージングも得意としています。

 

【参考/会社案内リーフレット】

      

 

(1) 真空成型・チョコレート関連事業
  各種樹脂材料をあらゆる形状に成型加工します。印刷した素材を成型加工することで、商品の見本やPOP製品とすることや各種トレーなどの制作が可能です。
  真空成型とチョコレート印刷を組み合わせた「チョコレート転写モールド」を開発し、特許を取得しています。

    
        工場内部の様子及び自動販売機の見本用に使うプラスチック製の「ダミー缶」

          
        クリーンルーム、チョコレート転写モールド及び「懺悔チョコ」等

(2) シリコーンゴム事業
  高精密シリコーンゴム部品を練加工から成型までワンストップで製造しています。
  弱電関連、自動車関連、生活雑貨等、様々な分野への供給実績があります。

  
    工場内部の様子

(3) プレス加工事業
  ウレタン・ゴム・樹脂・マグネット等の様々な素材を納入形態に合わせて、あらゆる形状に打ち抜き・裁断加工します。両面テープの貼り合わせ等も可能です。

    
       工場内部の様子

(4) 組立事業
  精密電子機器を部品から完成品行程までワンストップで組み立てます。
  社内で製造した製品を個装箱及びブリスターパックへの梱包を行い完成品としての供給が可能です。ピロー包装・組立・袋入・検査等、幅広く対応しています。

    
        工場内部の様子/左:精密電子機器の組立、右:箱詰


川口商工会議所では、「ものづくり中小企業」が集積する川口市において川口市役所や(公財)川口産業振興公社などの関係機関と連携して、高い技術力やノウハウを生かした優れた製品を市の「ものづくりブランド」として認定していく『川口i-mono(いいもの)ブランド認定制度』を2009年度から開始しています。
常陽産業は、2021年度に「川口 i-mono(いいもの)ブランド」の認定を受けています。
認定内容は、暮らしにまつわるいいもの/ホビー・ファッション・生活用品として、誰でも簡単、鮮やかなデザインを写す「チョコレート転写モールド」となっています。
「チョコレート転写モールド」は、樹脂シートに多彩な可食チョコレートインクを用いて色鮮やかなデザインを印刷し、真空成型により複雑な立体形状を実現しました。
ユーザーは、モールドに溶かしたチョコレートを流しこみ冷やすだけで、誰でも簡単にパティシエが手掛けたようなデザインを纏ったチョコレートを作ることができる点が評価されました。
これまで可食インクの多色刷りやモールド成型は、デザインのずれや色のにじみが発生しやすく、複雑な形状の立体表面や側面にデザインを施すことは困難でしたが、常陽産業が今までに培った印刷・成型技術を基に研究・開発を重ね、それを可能としました。

【参考/川口 i-mono(いいもの)ブランド認定制度】

        https://www.kawaguchicci.or.jp/brand/product/kurashi/hobby15.html 
                          イメージ写真                      (常陽産業/誰でも簡単、鮮やかなデザインを写す「チョコレート転写モールド」)


【YouTube動画/株式会社常陽産業  「チョコレート転写モールド」】

        https://youtu.be/NkUqbsJY4AM


クリーンルームでの生産体制を整備し、検品・包装まで一貫生産を実施しています。
繊細なレース柄や花柄のほか、動物・乗り物等のキャラクターデザインは子どもたちにも人気が高く、親子でチョコレート作りを楽しむユーザーも増えています。
チョコレート転写モールドを利用したチョコレート専門店「Choco Sun」をECサイトで運営しています。また、大手100円ショップにおいて、常陽産業が手掛けた「チョコレート転写モールド」が購入できるという話を聞きましたので、早速購入してみました。
ECサイトとともに、この場で紹介をさせていただきます。

【参考/チョコレート専門店「Choco Sun」のECサイト】

        https://jyschocosun.base.shop/

 

        
     大手100円ショップで購入した「チョコレート転写モールド」の写真

 

次のYouTubeチャンネルでは、100本を超える「川口 i-mono(いいもの)ブランド、i-waza(いいわざ)ブランド」の紹介動画を見ることができます。
これらの動画の制作は、先日、企業訪問を行なった株式会社ハルファが手掛けています。
ものづくりのまち、川口の高い技術力やノウハウを生かした優れた製品やそれらを産み出すための高い技術や技能の数々を是非ともご覧ください!

【参考/KAWAGUCHI  i-mono・i-waza  YouTubeチャンネル】

        https://www.youtube.com/channel/UCeH02sfgIFFDmhtJAlWty5w

 

2021年度にチョコレート転写モールドが「川口 i-mono(いいもの)ブランド」の認定を受けるのに先立ち、2017年8月に埼玉県から経営革新計画の承認を受けています。
経営革新計画のテーマは、「リアルな立体感と色彩感を高める『チョコレート転写モールド』の技術開発」となっています。

【参考/埼玉県:経営革新計画を策定しませんか!】
       https://www.pref.saitama.lg.jp/a0803/shigoto/sangyo/kigyo/kigyoshien/keekakushin/
      経営革新計画承認書    (埼玉県/経営革新計画のホームページ)

 

今回、常陽産業へ訪問したきっかけは、新聞やテレビなどのマスメディアに集中的に取り上げられたためです。
具体的には、2023年10月17日の読売新聞に「真空成型とチョコレート印刷を組み合わせた『チョコレート転写モールド』を開発。」の記事が掲載されたのをきっかけに、次いで11月21日の埼玉新聞では「注目集まる『懺悔(ざんげ)チョコ』問い合わせ相次ぎ、自販機でも販売へ  夫婦げんかで気まずい時いかが」の見出しに目が留まりました。
その後も、11月22日にフジテレビの「イット!」で、11月23日にはTBSの「Nスタ」でも「懺悔チョコ」が話題として取り上げられています。
大切な人に伝えたい言葉や、自分自身への戒めを、チョコレートに込めて贈る商品ということで、発売以来、SNSや口コミで話題となり、多くの人から高い評価をいただいたことがその理由と思われます。
これらの詳細は、常陽産業のホームページの「お知らせ」の中で確認できます。

  【参考/常陽産業ホームページ・お知らせ】  https://joyo-s.co.jp/news


その中でも、読売新聞と埼玉新聞の記事は、常陽産業の取組がよくわかる内容となっています。

【参考/「2023年10月17日付け読売新聞オンラインの関連記事へのリンク】

-  成型技術活用チョコに絵柄…常陽産業(川口市)  -
  https://www.yomiuri.co.jp/local/saitama/feature/CO067056/20231016-OYTAT50076/

 

【参考/「2023年11月21日付け埼玉新聞の関連記事へのリンク】

-  注目集まる「懺悔(ざんげ)チョコ」問い合せ相次ぎ、自販機でも販売へ  夫婦げんかで気まずい時いかが  -
  https://www.saitama-np.co.jp/articles/55535

 

これらの情報に接する中で、川口市内の面白いことに取り組んでいる企業であり、是非ともお話を聞きたいとのことで今回の企業訪問実現へと至りました。


今回の企業訪問の中で、自動販売機の見本用に使うプラスチック製の「ダミー缶」の製造を主力にしていた常陽産業が、ディスプレイ化等で急速にその需要が落ちていき危機感を感じるようになったことや、さらにはコロナ禍における企業の経費削減策により、単に板に印刷したもので済ませる動きが加速し、2022年にはダミー缶の受注が半減してしまったことを伺いました。
それを乗り越えるための一つの解決策が「チョコレート転写モールド」の開発であり、その開発の成功に導いたのが長年のダミー缶製造で培った「真空成型」技術であったということで、大変興味深く話を聞かせていただきました。


常陽産業が新たに取り組もうとしていることがもう一つあります。「これ1つで調理→食卓→保存をサイクルする器」の開発です。
それは、埼玉県が今年度の新規事業として立ち上げた多角化支援事業の参加企業として選ばれたことが大きな要因となっています。
この事業は、自社の技術を生かしたB to C(一般消費者向け)の商品づくりを通じて、事業の多角化や業態転換にチャレンジする事業者を支援するものです。
県では、外部の視点や専門的なマーケティングなどのノウハウを活用し、企画段階から試作・製品化まで一貫してサポートすることで、B to C 市場へのアクセス機会の創出をサポートしていきます。
企業訪問の際に、この件について詳しく話を伺い、1月24日、25日にさいたまスーパーアリーナで開催される「彩の国ビジネスアリーナ2024」において、採択された13企業の試作品が展示されるということでしたので、楽しみにして「彩の国ビジネスアリーナ2024」の会場を訪問しました。
今回、常陽産業が取り組む内容については、会場でパンフレットが配られていましたので、ここで紹介させていただきます。
調理から食卓、そして保存までをサイクルするシリコーンゴムの器ということで試作品が展示されていました。デザイナーと話し合い、自社の持つ技術やノウハウを提供して生み出される作品は、試作品の段階でありながら、今後の展望までしっかりと見据えられた素晴らしいものでした。
今回、会場において黒羽専務取締役に話を伺ったところ、特許の申請を先日行なったとのことでした。
シリコーンゴムから生み出されるカラフルなこの食器は、単に食卓を彩るだけでなく、キャンプなどのアウトドアグッズとしての可能性も大いに秘めており、今後の動向がとても気になります。

 

  【埼玉県多角化支援事業/パンフレットの該当部分を抜粋】

        

        
        「彩の国ビジネスアリーナ2024」での多角化支援事業の出展ブースの様子

            
        常陽産業の食器の試作品  ※カラフルなシリコーンを用いて製造を行う予定


最後になりますが、埼玉県が行う「埼玉県環境SDGs取組宣言企業制度」において、環境分野のSDGsのゴールの達成に向けた取組を令和3年2月に宣言しています。
取組項目は、「廃棄物、3Rの推進、省エネ、化学物質等、社会貢献活動」となっており、SDGsを意識し、持続可能な環境に配慮した企業の姿勢が打ち出されています。

【参考/埼玉県環境SDGs取組宣言企業制度のご案内】
        https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/180430/seido_2021_3.pdf


【参考/埼玉県環境SDGs取組宣言企業一覧(製造業) ※No.45を参照】
  https://www.pref.saitama.lg.jp/a0501/sdgs/kigyourist-seizougyou.html


今回は企業訪問に伺う前から、新聞記事やテレビ番組の中で夫婦である平井代表取締役と黒羽専務取締役の姿を幾度となく目にしていたため、いつもと違う雰囲気の中での企業訪問となりました。
会社経営でお互いに忙しい中、夫婦で喧嘩した際に、チョコレートにお詫びコメントを入れてそっと渡す「懺悔チョコ」の話題を目にして、一見ありそうですが実際には見たことがないというのが最初の印象でしたが、複雑な形をしたチョコレートに綺麗に文字を載せるのは技術的に非常に難しいということを聞いて納得しました。
今回、長年の自動販売機用のダミー缶製造により培った真空成型技術により、これが実現できたと聞いて感慨深いものがありました。
また、今年度から埼玉県が新たに取り組む「B to B からB to C への多角化支援事業」にも、多くの応募企業がある中から厳選された13社のうちの一つに選ばれ、今回、常陽産業が得意とするシリコーンゴムに関する技術とノウハウを活かし、デザイナーとのコラボレーションにより生み出された製品で新たな分野に挑戦しようとする姿勢を目の当たりにして、ものづくりに真剣に取り組んできた企業は一味違うなと感心しました。
ご対応いただきました株式会社常陽産業の平井代表取締役と黒羽専務取締役、ありがとうございました。

 

          
       杉戸工場前に設置されたチョコレートの自動販売機の前で撮影

 

株式会社常陽産業

お問い合わせ

企画財政部 南部地域振興センター  

郵便番号332-0035  埼玉県川口市西青木二丁目13番1号 埼玉県川口地方庁舎2階

ファックス:048-257-0529

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?