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掲載日:2021年12月10日

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土地収用法による事業認定の申請とは

「法」・・・土地収用法(昭和26年6月9日法律第219号)、「規則」・・・土地収用法施行規則、「施行令」・・・土地収用法施行令

事業認定庁は起業者の申請に対して

  • (1)事業が法第3条各号のいずれかに関するものか
  • (2)起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力があるか
  • (3)事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するか
  • (4)土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるか

を審査し、この4つの要件にすべて該当すると判断したときは事業の認定をします。(法第20条)

起業者は事業認定を受けなければ、収用委員会に裁決の申請をすることができませんので、事業認定の申請は土地収用手続の第1段階といえます。

このページに掲載している項目は次のとおりです。

  1. 事業認定庁
  2. 事業認定手続
  3. 事業認定の効果
  4. 事業認定の失効
  5. 手続の保留
  6. 都市計画事業と土地収用

 事業認定庁

事業の認定に関する処分を行う機関(事業認定庁)は国土交通大臣又は都道府県知事です。起業地の範囲と事業の性質により区分されています(法第17条)。

 

事業認定庁

事業認定庁

申請事業

国土交通大臣(本省)

  • 国、独立行政法人等の国みなし法人の事業
  • 起業地が2以上の地方整備局の管轄区域にわたる民間事業

国土交通大臣(地方整備局長等)

  • 都道府県の事業
  • 地方整備局の管轄区域は超えないが、都道府県域を超える民間事業

都道府県知事

  • 市町村の事業
  • 都道府県域を超えない民間事業

 事業認定手続

事業認定手続の流れは次のとおりです。

(1)事業説明会の開催

起業者は「説明会の開催その他の措置」を講じて、事業の目的及び内容について、利害関係を有する者に説明しなければなりません(法第15条の14)。

(2)事業認定申請書及び添付書類の提出

起業者が事業認定を受けようとするときは、国土交通大臣又は都道府県知事に対して事業認定申請書及び添付書類を提出する必要があります(法第18条)。

(3)事業認定申請書の収受及び写の送付

事業認定庁は、申請書の書類審査を行い、申請書に欠陥があれば、起業者に対し相当な期間を定めて補正を命じます(法第19条)。

申請書が整うとこれを収受するとともに、起業地が所在する市町村長あて申請書及び添付書類のうち関係部分の写を送付します(法第24条第1項)。大臣認定の場合には、更に起業地を管轄する都道府県知事あてその旨を通知するとともに、申請書及びその添付書類の写を送付します(法第24条第3項)。

(4)事業認定申請書の公告縦覧

起業地が所在する市町村の長は、起業者の名称、事業の種類及び起業地を公告し、公告の日から2週間、事業認定申請書及びその添付書類の写を、公衆の縦覧に供しなければなりません(法第24条第2項)。

2週間の縦覧期間中に、事業の認定について利害関係のある者は、都道府県知事に意見書を提出することができます(法第25条第1項)。

(5)公聴会の開催

事業認定庁は、公聴会の開催請求があったとき等は、公聴会を開いて、一般の意見を求めなければなりません。(法第23条)

(6)第三者機関からの意見聴取

事業認定庁の判断と相反する意見書が提出された場合には、「審議会その他の合議制の機関」の意見を聴き、その意見を尊重しなければなりません(法第25条の2)。

(7)事業の認定の告示

事業認定庁は、事業の認定をしたときは遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知するとともに、起業者の名称、事業の種類、起業地及び起業地を表示する図面の長期縦覧場所を告示しなければなりません(法第26条第1項)。

事業の認定は、この告示の日から効力を生じます(法第26条第4項)。

(8)告示後の義務

事業認定庁から事業の認定をした旨の通知を受けた市町村長は、起業地を表示する図面を、事業の認定が効力を失う日又は事業認定庁から土地等の取得の完了の通知を受ける日まで公衆の縦覧に供しなければなりません(法第26条の2第2項)。

また、起業者は、事業の認定の告示があったときは、直ちに土地所有者及び関係人に対して、これらの者が受けることができる補償等について周知させるため必要な措置を講じなければなりません(法第28条の2)。

 事業認定の効果

事業の認定の告示があった後は、主として次のような効果を生じます。

土地物件調査権の発生(法第35条、法第36条)

事業の認定の告示があった後は、起業者は土地調書及び物件調書を作成しなければなりません。この調書作成のため、起業者はその土地又はその土地にある家屋等の工作物に立ち入って、これを測量し、物件等を調査することができます。立ち入ろうとする者は、立入りの3日前までに、その日時及び場所を当該土地又は工作物の占有者に通知しなければなりません。

関係人の範囲の確定(法第8条第3項)

事業の認定の告示があった後において、新たな権利を取得した者は、既存の権利を継承した者を除き、関係人に含まれません。

例えば、地上権や建物の所有権といった既存の権利を譲渡された者は関係人となりますが、新たに土地や建物を借りた者は、関係人とはなりません。

土地の保全義務(法第28条の3)

事業の認定の告示後は、何人も都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような土地の形質変更をしてはいけません。

土地等の価格固定(法第71条、法第72条)

補償金の額は、事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価変動に応ずる修正率を乗じて得た額となります。これがいわゆる「価格の固定制」といわれるものです。

損失補償の制限(法第89条)

事業の認定の告示があった後の土地の形質変更、工作物の新築等及び物件の附加増置は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けた場合でなければ、これに関する損失補償を請求できません。

裁決申請請求権の発生(法第39条第2条)

起業者は、事業の認定の告示の日から1年以内に限り裁決を申請することができます。事業の認定により土地等の価格が固定されるため、物価変動に応じる修正が行われるにしても、早期に正当な補償が支払われるようにするのが土地所有者等のためには利益になると考えられるからです。

このため、土地所有者等に対し、自己の権利に係る土地について裁決を申請することを起業者に求める権利が認められています。

補償金の支払請求権の発生(法第46条の2)

土地等に対する補償金の額が事業認定の告示の時で固定されるため、この見返りとして、価格固定時より補償金の支払請求権を認めたものです。

なお、補償金の支払請求は、裁決申請の請求と併せて行わなければなりません。

 事業認定の失効

事業の認定は、次に掲げる場合には、将来に向ってその効力を失います。

土地収用法で事業認定の効力が生じる期間を限ったのは、事業の認定が土地所有者及び関係人の財産権に重大な影響を与えるためです。そこで、その期間をなるべく短くして法律関係の安定を図っています。

  • (1)起業者が事業の認定の告示の日から1年以内に収用又は使用の裁決の申請をしないとき、又は事業の認定の告示の日から4年以内に明渡裁決の申立てをしないとき(法第29条)
  • (2)起業者が事業の認定の告示後、事業を廃止又は変更して、土地を収用する必要がなくなった場合で、その旨の周知措置を行い、都道府県知事が告示したとき(法第30条)
  • (3)起業者が起業地内のすべての土地について必要な権利を取得し、その旨を都道府県知事に届け出たとき(法第30条の2)
  • (4)起業者が、収用又は使用の手続を保留した土地について、事業の認定の告示があった日から3年以内に手続開始の申立てをしないとき(法第34条の6)

 手続の保留


起業者が事業の認定を受けて事業を施行する場合、その規模が大きければ、資金準備、用地事務を処理する能力等の関係から、起業地全体について単年度ですべての用地取得を完了させることはほとんど不可能であり、むしろある程度、長期継続的に行うのが通常です。

これに対し、土地所有者及び関係人に与えられる裁決申請請求権や補償金支払請求権は、事業認定の告示があれば即時行使できることになっており、これを受けた起業者は極めて短期間にその処理を行わなければならないことになり、起業者に事務処理上、過大な負担を強いることになります。

このような事情を考慮して、事業の認定はできるだけ早期に受けて起業地は確定しておくが、事業認定の告示によって生ずる効果のうち一定のものを一時停止して、起業者の便宜を図る制度です。

手続の保留(法第31条~33条、規則第13条の4別記様式第7)

(1)手続保留の申立て
起業者は、収用又は使用の手続を保留しようとするときは、事業の認定の申請と同時に、手続を保留する旨及び手続を保留する起業地の範囲を記載した申立書を事業認定庁に提出します。

(2)手続保留の告示
起業者が手続の保留の申立書を提出した場合、事業認定庁は、その申立てが適正になされていれば、事業認定の告示の際、あわせて手続が保留される旨及び手続の保留される起業地の範囲を告示します。

 

手続の保留の効果(法第34条の5ただし書)

手続が保留された起業地は事業認定の告示の時に起業地として確定し、土地の形質変更を制限する土地保全の効果等が生じます。しかし、土地価格は固定されず、土地所有者及び関係人には裁決申請請求権及び補償金の支払請求権は与えられません。

したがって、起業者に周知義務も課されないかわりに裁決申請もできないことになります。

手続開始(法第34条、法第34条の2~6、規則第13条の5、別記様式第7の2)

起業者は、収用又は使用の手続を保留した土地については、事業の認定の告示があった日から3年以内に都道府県知事に手続を開始する旨を申立てなければなりません。この期間内に申立てがないと、事業の認定は将来に向って失効することになります。

(1)手続開始の告示
起業者から手続開始の申立てがあったとき、都道府県知事は、遅滞なく、収用又は使用の手続が開始される旨及びその土地を表示する図面の縦覧場所を告示します。

(2)起業地を表示する図面の縦覧
起業者から手続開始の申立てを受けた都道府県知事は、直ちに、手続開始をしようとする土地を表示する図面を起業地の存する市町村長に送付します。
市町村長はこの図面と事業の認定のときに送付されている起業地を表示した図面とあわせて、公衆の縦覧に供します。

 

手続開始の告示の効果

手続開始の告示があると、この時点で事業の認定の告示があったとみなされます。

したがって、土地価格は固定され、関係人となるべき者の範囲が制限されるとともに、土地所有者及び関係人に裁決申請請求権や補償金の支払請求権が与えられます。

また、起業者は、この時点で土地所有者及び関係人に対して補償等に関する周知措置を行うことを義務づけられる反面、土地物件調査権が与えられ、収用委員会に裁決申請及び明渡裁決の申立てをすることができます。

なお、手続開始の告示があると、この日から1年以内に裁決申請をしないと、事業の認定の効力は失効します。

 都市計画事業と土地収用

都市計画事業のための土地等は、土地収用法に定める手続を経て収用することができます(都市計画法第69条)。この場合、次のような特例が認められています。

計画事業の認可、承認の告示は事業認定の告示とみなす(都市計画法第70条)

起業者は事業認定の申請をすることなく、裁決申請の手続へと進むことができます。したがって、起業者には事業認定の告示があったとみなされる日から土地所有者及び関係人への周知義務が発生します。

また、土地所有者及び関係人には裁決申請請求権や補償金の支払請求権が生じます。

都市計画事業の認可、承認の告示から1年以内に権利取得裁決を申請しないときは、1年を経過するごとに事業認定の告示があったものとみなされる(都市計画法第71条)

都市計画事業の認可等の告示後、1年以内に裁決申請をしなくても事業認定の告示の効果は失効せず、都市計画事業施行期間中は改めて事業認定の告示があったものとみなされます。

たがって、土地価格の固定の効果は1年間しか認められず、1年を経過するごとに価格を見直すことになります。

また、関係人の範囲、土地調書等の作成時における立会人等も、基準時が1年移動しますので、その間に権利の移動があった場合には異なってくることになります。

収用又は使用の手続の保留は都市計画事業の認可、承認とあわせて行い、手続開始の申立ては、事業施行期間が経過するときまでに行えばよい(都市計画法第72条、第73条)

収用又は使用の手続を保留した場合、補償等についての周知義務や裁決申請請求権、補償金の支払請求権は生じません。

ただし、土地の買取請求権は発生します(都市計画法第68条)。

お問い合わせ

県土整備部 用地課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 衛生会館3階

ファックス:048-830-4861

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