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掲載日:2025年9月9日
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麻しんは感染力が非常に強いウイルス感染症です。急性の全身感染症であり、発熱、発疹、カタル症状(風邪のような症状)を引き起こします。ワクチンによって予防が可能です。免疫を持たない人が感染するとほぼ必ず発症し、一度かかると生涯免疫が持続するといわれています。原因ウイルスは麻しんウイルス(パラミクソウイルス科モルビリウイルス属のRNAウイルス)で、自然宿主はヒトのみです。
世界的には、ワクチンの普及により患者数・死亡数が大きく減少した国や地域もある一方、アフリカ、インドなど発生数が多い国や地域もあります。
日本では平成20年(2008年)から小児への2回接種制度が導入され、平成27年(2015年)にはWHOから「麻しん排除国」として認定されています。一方、海外の流行国で麻しんに感染し、国内においてワクチン未接種の人を中心に周囲への感染が拡がった事例の報告は認められています。
麻しんは、通常10〜12日の潜伏期間を経て発症します。
最初に38℃前後の発熱とともに、風邪のような症状、鼻水、くしゃみ、咳、咽頭痛などのカタル症状が現れます(カタル期)。この時期の終わりには、口の中の両側の頬の粘膜にコプリック斑(1mmほどの白い斑点で周囲に紅斑を伴う)が出現し、同時に結膜炎が見られることがあります。
発熱は3〜4日続いたのち一旦下がりますが、再び39℃以上の高熱とともに全身に赤い発疹が現れます。発疹は癒合しながら広がり、3〜5日で解熱、その後5〜6日かけて発疹は消退し、褐色の色素沈着を残します。
麻しんは肺炎や中耳炎を合併しやすく、重症化すると成人では約6〜8%、小児では約1%に肺炎を起こすとされます。また脳炎は1,000〜2,000例に1例程度で発生するとされます。
肺炎・脳炎は死亡の主要原因です。先進国であっても1,000人に1人が死亡すると言われています。
高熱が持続する場合は、合併症がなくても入院が必要になることがあります。
まれに、乳児期に麻しんにかかった人が、平均7年後に発症する神経疾患の亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)を発症することがあり、頻度は10万人に1人程度とされています。
ワクチンを接種してから長い時間が経過しているなどの理由により麻しんに対する免疫力があっても十分ではない場合に、高熱が出ない、発疹が軽い、潜伏期が延びるといった典型的ではない麻しんの症状を呈する場合があります。こうした場合を修飾麻疹と呼んでいます。
抗ウイルス薬などの治療薬がないため、症状に応じた対症療法を行います。
合併症に対しては必要に応じ、酸素投与や抗菌薬による二次感染への治療などが行われます。
麻しんは感染力が非常に強く、ワクチン未接種など免疫を持たない人が患者と接触すると、ほとんどが感染します。
主な感染経路は空気感染で、空気中に漂うウイルスを吸い込むことによって感染します。
このほか、近くで患者が咳やくしゃみをした際にしぶきを吸い込んで感染する飛沫感染や、ウイルスが付着した場所を手で触ったあとに鼻や口を触って感染する接触感染もあります。
発症して最初の頃のかぜの様な症状の時期に感染が起こりやすく、症状の出現前に感染することもあります。解熱後3日までは感染に注意が必要です。
なお、潜伏期間(感染から発症するまでの期間)は9~11日と言われていますが、事例によっては6日間程度で発症していることもあります。
感染力が強く空気感染する場合もあるため、手洗いやマスクのみで十分な予防効果が期待できないので、麻しんワクチンを接種することが最も重要な予防対策となります。
1歳時と小学校入学前の1年間に、定期接種として、MR(麻しん・風疹)ワクチンとして麻しんの予防接種を受けることができますので、必ず受けるようにしましょう。
第1期:1歳の1年間(1歳の誕生日の前日から2歳の誕生日の前日まで)
第2期:5歳以上7歳未満で、小学校入学前の1年間
MRワクチンを1回接種すると約95%の人が免疫を獲得し、2回接種することでより確実に免疫がつくといわれています。
一度麻しんに係ると、通常は一生免疫が持続するといわれています。過去に検査で麻しんと診断されたことが明らかな方は予防接種を受ける必要はありません。
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