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掲載日:2025年3月5日
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温泉資源に恵まれた日本では、古来多くの人々が温泉に親しんでいます。現在、我が国には、2万7千本以上の源泉があり、また、宿泊施設は1万3千件を越える状況にあります。
「埼玉県に温泉はない。」と思っている方は、いませんか。実は県内には100を超える温泉利用施設があります。
この貴重な天然資源である温泉は、環境省が所管する「温泉法」により、温泉源の保護と利用の適正化がなされています。
温泉法では温泉の定義について次のとおりに定めています。
温泉法 第2条(昭和23年7月10日法律第125号)
この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
別表
物質名 |
1kg中の含有量 |
---|---|
溶存物質(ガス性のものを除く) |
1000ミリグラム以上 |
遊離炭酸(CO2) |
250ミリグラム以上 |
リチウムイオン(Li+) |
1ミリグラム以上 |
ストロンチウムイオン(Sr2+) |
10ミリグラム以上 |
バリウムイオン(Ba2+) |
5ミリグラム以上 |
フェロ又はフェリイオン(Fe2+又はFe3+) |
10ミリグラム以上 |
第一マンガンイオン(Mn2+) |
10ミリグラム以上 |
水素イオン(H+) |
1ミリグラム以上 |
臭素イオン(Br-) |
5ミリグラム以上 |
沃素イオン(I-) |
1ミリグラム以上 |
ふっ素イオン(F-) |
2ミリグラム以上 |
ヒドロひ酸イオン(HAsO42-) |
1.3ミリグラム以上 |
メタ亜ひ酸イオン(HAsO2) |
1ミリグラム以上 |
総硫黄(S)〔HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの〕 |
1ミリグラム以上 |
メタほう酸(HBO2) |
5ミリグラム以上 |
メタけい酸(H2SiO3) |
50ミリグラム以上 |
重炭酸そうだ(NaHCO3) |
340ミリグラム以上 |
ラドン(Rn) |
20(百億分の1キュリー単位)以上 |
ラジウム塩(Raとして) |
1億分の1ミリグラム以上 |
(元素記号等については一部読み易いよう改めています)
したがって、地中からゆう出する際の温度が、摂氏25度以上の温度であればそれをもって温泉ということになり、また、摂氏25度未満であっても、上記別表の19種類の物質のうち、いずれか1つ以上の条件をみたせば、温泉ということになります。
温泉はその泉質によって、温泉水に含まれている成分と含有量などによって、次のように大別されます。
溶存物質量を温泉1kg中に1000mg以上含むもので、陰イオンの主成分が塩素イオンであるものをいいます。陽イオンの主成分により、ナトリウム-塩化物泉、カルシウム-塩化物泉などに分類されます。
溶存物質量を温泉1kg中に1000mg以上含むもので、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンであるものをいいます。陽イオンの主成分により、ナトリウム-炭酸水素塩泉、カルシウム-炭酸水素塩泉などに分類されます。
溶存物質量を温泉1kg中に1000mg以上含むもので、陰イオンの主成分が硫酸イオンであるものをいいます。陽イオンの主成分により、ナトリウム-硫酸塩泉、マグネシウム-硫酸塩泉などに分類されます。
溶存物質量が温泉1kg中1000mgに満たないもので、泉温が摂氏25度以上のものをいいます。pH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉と呼びます。
二酸化炭素を温泉1kg中に1000mg以上含むものです。
二価及び三価の鉄イオンの総量を温泉1kg中に20mg以上含むものです。
水素イオンを温泉1kg中に1mg以上含むものです。
総硫黄を温泉1kg中に2mg以上含むものです。タマゴの腐敗臭に似た特有の臭いは、硫化水素によるものです。
このほか、放射能泉や含アルミニウム泉、複数の泉質を合わせ持ったものがあります。
温泉の脱衣場等には、その温泉の源泉名、泉質、泉温、成分、禁忌症(適応症)、入浴上の注意等が掲示されています。
これはその温泉について、国の指定機関による科学的な分析を行い、その分析結果を基に都道府県知事が禁忌症、適応症、入浴上の注意を決定し、その結果が掲示されているものです。
温泉の医治効果については、その温度その他の物理的因子、科学的成分、温泉地の地勢、気候、利用者の生活状況の変化その他諸般の総合作用に対する生体反応によるもので、温泉の成分のみによって各温泉の効果を確定することは困難ですが、国においては一般的な禁忌症、適応症、入浴上の注意を次のとおり示しています。
(温泉療法を好ましくないとしている病気や症状)
急性疾患、(特に熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性の疾患、高度の貧血、その他一般に病勢進行中の疾患、妊娠中(とくに初期と末期)
(温泉療法を好ましいとしている病気や症状)
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
療養泉とは温泉のうち一定の成分等が一定以上含まれているものをいいます。
(温泉に該当するものすべてが含まれるわけではない)
このように、温泉療養をしてはいけない病気や症状も少なくありませんので、温泉療養を行う際は自己診断だけではなく、医師の指導を受けることが望ましいと思われます。特に、温泉の知識を持った「温泉療法医」に相談されることをお勧めいたします。
温泉を掘る場合は温泉法第3条に基づき、事前に埼玉県知事の許可を受ける必要があります。
許可にあたっては、埼玉県環境審議会へ諮問し、審議を経た上で答申をいただき、許可をする(又はしない)決定が必要であるため、必ず事前に御相談ください。
温泉を不特定の者に利用する場合は、温泉法第15条に基づき、事前に埼玉県知事(又は保健所を設置する市の市長)の許可を受ける必要があります。許可にあたっては、温泉の成分によって施設の基準が異なる場合がありますので、あらかじめ御相談ください。また、タンクローリーやポリタンクによる温泉の販売であっても、温泉利用許可の対象となることがありますので御相談ください。
令和7年2月18日に福島県福島市高湯温泉の温泉関連施設において、源泉の管理作業に向かった3名の方が亡くなるという痛ましい事案が発生しました。
一部報道によると、現場付近の硫化水素濃度が高かったという情報もあり、硫化水素ガスによる中毒死の疑いがあるとされています。
温泉事業者におかれましては、以下の告示及びガイドライン等を今一度ご確認いただき、更なる安全対策や事故の未然防止に万全を期していただくようお願い申し上げます。
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