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掲載日:2022年10月13日

令和元年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(江原久美子議員)

渋沢栄一をブームで終わらせないについて

Q   江原久美子   議員(県民

渋沢栄一が沸騰しています。渋沢栄一は、明治から昭和の初めにかけて日本経済の基礎を作った日本の実業家です。また、資本主義の考え方を日本に広めただけでなく、小さな資本を集約し、経済を動かす大きな成長資金になる銀行という仕組みを作ったことも大きな功績の一つと言えます。第一国立銀行、現在のみずほ銀行や王子製紙、現在の王子ホールディングス、東京海上保険、帝国ホテルなど多くの企業の設立に関わって、その数は500以上に上り、「近代資本主義の父」と言われています。関わった事業が多いため、逆に一言で説明できないことが知名度の低さにつながっているのかもしれません。
しかし、「道徳経済合一説」などはとても有名で、多くの経営者のバイブルとなっています。また、講演録である「論語と算盤」は日本ハムの栗山監督の愛読書であることなどからも、渋沢栄一は現在もなお経済人、文化人、スポーツ選手などの各界の人たちに大きな影響を与えています。
キャッシュレス化が進んでいますが、今回、実に40年ぶりの新1万円札の肖像に選ばれました。このことからも国家的な評価を得られている証と言えますし、何よりお札として初めての経済人として選ばれたことに大きな意味と高い評価がうかがえ、正に国家的英雄だと思います。
また、先月には、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」では、渋沢栄一の生涯が描かれることになり、地元深谷市では、ゴールデンウイークには例年の何倍もの観光客が押し寄せ、うれしい悲鳴を上げていました。深谷市は、栄一ゆかりの団体である東京商工会議所、東京都北区渋沢栄一記念財団、深谷商工会議所、深谷市商工会の間で包括連携協定を結び、具体的な事業を展開していくこととなっています。また、深谷市独自の事業においても、渋沢栄一翁一色と言ってもいいほどです。
翻って、県内では、その功績の割に理解が進んでいないと感じることがあります。県では、渋沢栄一賞、渋沢栄一ビジネス大賞なども行っていますが、そんな評価でいいのかなと思います。深谷の渋沢栄一なのでしょうか。1万円札になる方です。郷土が誇る日本の英雄に対する敬意が少し足りないのではないかと少し残念に思います。
また、知事は、「紙幣に続き、大河ドラマ60作品目の節目で栄一翁が大ブレイクし、埼玉の魅力を発信してくれることに期待している」とのコメントを出されていますが、むしろ今こそ県を挙げて、日本を代表する埼玉県の郷土の英雄である渋沢栄一の功績を語り継ぎ、多くの皆さんに理解してもらうことが必要だと思います。
お札や大河ドラマでブームは起こりますが、いっときのブームではなく、繰り返しますが、将来にわたり埼玉県の英雄の功績を語り継ぐ責任があると考えています。大河ドラマは2021年です。その前後は大いに盛り上がることは確実です。県の観光振興として、渋沢栄一を軸にロケ地巡りや埼玉県北部の埼玉県三偉人巡り、周遊観光などはいかがでしょうか。功績やゆかりの地を巡ることにより、より理解が深まると思います。
会派では、栄一がまちづくりに尽力した北海道清水町に伺いました。我々の訪問は新聞記事にもなりましたが、既に栄一翁で大いに盛り上がっていました。お札になるのは2024年の上期ですから、それに合わせて渋沢栄一ゆかりの市町村や関係団体などが大集合し、新1万円札発行記念のビッグイベントを開催するのはいかがでしょうか。
また、日本の渋沢栄一なのですから、日本遺産に登録を考えてはいかがでしょうか。さらには、現在、深谷市にある公民館に併設されている渋沢栄一記念館を県が新施設としてリニューアルするのはいかがでしょうか。県が誇る偉人であり、その功績を深く理解してもらい、後世に伝えるべき役割が埼玉県にあると思います。
4点の提案をいたしましたが、ブームに乗っていくことはもちろんのこと、埼玉県が渋沢栄一の功績を一過性で終わらせることなく後世に伝えるべき、そして、それは埼玉県の地域経済に貢献すると考えます。
そこで、まず知事に伺います。渋沢栄一翁をどのように評価されますか。また、先ほど幾つかの提案をさせていただきました。それらも含め、県としての観光・経済振興など、今後の取組について産業労働部長に見解を伺います。

A   大野元裕   知事

郷土の偉人である渋沢栄一翁が新1万円札の顔になることが発表されたことに続き、NHK大河ドラマ「晴天を衝け」の主人公に決定したことは、県としても二重の喜びであり、大変うれしく思っております。
御存じのとおり、渋沢翁は、武蔵国血洗島村、現在の深谷市の農家にお生まれになりました。
自らも「血洗島の農夫」とおっしゃっておられたように、藩閥出身ではないにもかかわらず、明治の元勲にも肩を並べる大きな功績を残され、評価を受けておられます。
渋沢翁は、著書「論語と算盤」の中で「真の富とは道徳に基づくものでなければ決して永くは続かない」と述べておられ、生涯で500を超える企業の設立や運営に関わりました。
関係された多くの企業が現在でもなお日本経済をけん引していることは皆様御存じのとおりであります。
同時に、企業の目的は利潤の追求にあるとしても、その利益を社会に還元することを訴え、福祉、教育など約600もの公益事業に尽力するなど、企業のあるべき姿を求め続けました。
晩年は、アメリカの青い目の人形と日本の市松人形の交換などを通じ、民間外交にも力を注がれるなど、世界平和にも貢献し、ノーベル平和賞の候補にも2度選ばれておられます。
経営学の父と呼ばれるピーター・ドラッカーは、その著書「マネジメント」において、「渋沢栄一は世界の誰よりも早く、経営の本質は責任にほかならないということを見抜いていた。」と述べておられます。
こうしたことから、渋沢翁は、近代日本の礎を築いた最大の指導者、実践者であると同時に、優れた思想家の一人であると考えています。
渋沢翁が唱えた「論語と算盤」の精神は、経済成長と環境や社会との調和を図るSDGsの精神そのものであると同時に、コンプライアンスを含む社会における企業の役割を体現していると考えています。
企業倫理が問われる今日、渋沢翁が改めて評価されているのは、時代が渋沢翁の精神を求めているからであり、国内はもとより国際的にも評価されるべき偉人であると私は考えております。

A   加藤和男   産業労働部長

県としての観光、経済振興などの今後の取組についてお答えを申し上げます。
ひとりの人物が大河ドラマの主人公となり、かつ、紙幣の「顔」になることは過去に例のない、大変大きな出来事です。
このビッグチャンスを観光振興や経済振興に生かすことは大変重要なことだと考えております。
まず、議員御提案の「ロケ地巡り」や「埼玉県の三偉人巡り」についてでございます。
ロケ地巡りは、作品の登場人物になった気分を味わうことができ、作品に対する理解を深めることができることから、大変人気のある観光メニューです。
印象的なシーンの撮影が地元で行われ全国に向けて放映されれば、より注目度が高まり、放映後にロケ地や渋沢栄一翁ゆかりのスポットに全国から多くの方の来訪が期待できます。
これにより、観光消費額の増加や地元並びに埼玉県のイメージの向上にもつながります。
まずは、より多くの撮影が県内で行われますようNHKに対し早い段階から強く働き掛けてまいりますとともに、制作担当者とのきめ細かな対応にも努めてまいります。
また、議員お話のとおり渋沢栄一翁を含めた埼玉県の三偉人はすべて県北出身であり、ゆかりのスポットを巡る周遊観光を促進することは、県北地域の広い範囲の観光振興に大きく寄与するものと考えます。
地域の食や酒を楽しむ提案を効果的に組み合わせ、地域経済の活性化に貢献するものにしてまいります。
まずは、昨年旅行業の免許を取得した埼玉県物産観光協会が主体となり、魅力的な「三偉人巡り」の企画・提案に取り組んでまいります。
あわせて、旅行商品の商談を行うトラベルマートなどを通じて一般の旅行業者に働き掛け、都内などから多くの来訪者の参加が可能となる三偉人関連の旅行商品の開発につなげてまいります。
新1万円札発行記念のイベントを開催することについても御提案をいただきました。
大河ドラマの放映や新1万円札の発行の機会を捉えたイベントの開催は多くの方の参加が見込まれ効果が高いと考えます。
観光振興の観点から近隣市町村への波及効果も考慮しながら、まずは地元深谷市とどのような取組ができるか検討してまいります。
これ以外にも「日本遺産への登録」や「渋沢栄一記念館のリニューアル」の御提案をいただきました。
地元での議論や取組などを踏まえ、県関係部局と課題の整理を行ってまいります。
また、渋沢栄一翁は日本を代表する経済人であることから、本県以外の自治体にも関わりがあります。
近隣自治体とも連携をし、渋沢栄一翁にスポットを当てたより広域的な観光振興にも取り組んでまいります。
この好機をしっかりと捉え、一過性のブームとせず県北地域はもとより、県全体の観光振興や経済振興につなげられるよう、深谷市をはじめ関係自治体とも一体となって積極的に取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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