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掲載日:2019年7月12日

令和元年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(萩原一寿議員)

交通事故防止対策について

Q   萩原一寿   議員(公明

4月に池袋で、5月には大津市で発生した交通事故は、関係者のみならず多くの人に強い衝撃と深い悲しみを与えました。池袋で突然最愛の妻子を失った男性は、会見で悲しみをこらえつつ、交通事故による犠牲者がいなくなる未来にと言われました。亡くなられた方々に、心からの御冥福をお祈り申し上げます。
近年、交通事故の発生件数は減少傾向にありますが、75歳以上の高齢ドライバーによる事故の割合が高まっています。安全不確認など単純なミスによる事故が目立っているのが特徴です。それによって尊い命が失われることを見過ごすわけにはいきません。警察庁は、昨年末時点で全国に563万人いた75歳以上の運転免許保有者が、2022年には100万人増えて663万人になると推計しています。増加する高齢ドライバーの事故防止対策は、正に喫緊の課題です。
山梨県富士河口湖町では2009年から、65歳以上のドライバーを対象に認知操作の能力向上を図るシニアドライバー支援事業を行っています。先日、公明党議員団で富士河口湖町に視察に行ってまいりました。同町では、高齢化率が34%、各家庭に1人1台のレベルで車を保有するほど、車が生活に欠かせないのが実情です。7月から12月までの約半年間、最低月1回、基本的に無料で研修を受けることができます。
例えば、実車教習のほかに、ドライビングシミュレーターという自動車教習所にあるカートレーチャーに似た機材を用いて、運転の講習を行っています。継続的なトレーニングにより、80代半ばの人であっても運転技能が改善でき、事故率と相関関係にある脳機能がかなり上昇するなど成果を上げています。町の担当者からは、運転技術が衰えないようにするには、運転し続けることであるとの話が印象的でした。さらに、ほぼ毎回、TMTと呼ばれるテストや事故防止のための講座、レース場での走行見学など、10年間で延べ約550人の町民が受講しており、その中で事故を起こした人は一人もいないそうです。
高齢者の免許返納を促す一方で、生活上、車がどうしても必要な方が相当数いることも事実です。その方々が事故を起こさないような施策を進めるべきです。具体的には、安全に運転できる人を増やすことです。富士河口湖町のような一定期間に実戦的な研修を通して高齢者の運転能力を維持改善することにより、事故防止を進めるべきと考えます。上田知事に御所見を伺います。
また、事故防止の有効な手段の一つが、自動ブレーキやペダルの踏み間違え時の急加速を防ぐ機能を搭載したASV、先進安全自動車です。自動ブレーキの搭載により人身事故が六割減ったとの民間調査の結果も出ています。とはいえ、高齢者にとって高額なASVを購入することは、負担が大きいことが課題です。国は既に運送業者にASV導入を支援していますが、一般の高齢者を対象とした購入支援もすべきです。香川県は、高齢者を対象にASVの購入を補助しています。さらに東京都は、アクセルとブレーキの踏み間違いなどを防止する装置の購入費用を補助する考えを明らかにしました。この装置は通常約3万円から9万円ですが、その9割を都が負担するということです。
本県においても、香川県や東京都の事例を参考に、県独自の補助金制度を導入すべきです。併せて上田知事に見解を伺います。
大津市の事故は、交差点で衝突した車が歩道にいた保育園児らの列に突っ込みました。それも、園児らは交差点から十分に離れた位置にいたにもかかわらず、重大な事故になってしまったのです。事故現場となった交差点には、車の侵入を防ぐ車どめや車両用防護柵は設置されていませんでした。このことを教訓とすべきです。
交通事故を国際的に比較した国際道路交通事故データベースによると、世界の対象30カ国の人口1万人当たりの死者数において、日本は歩行者が巻き込まれて亡くなる割合が他の先進国と比べて極めて高く、ある識者は、日本では歩行者よりも車を優先した道路づくりがされてきたと指摘しています。歩行者が巻き込まれる事故を防ぐため、県道を中心とした交差点の安全点検を行い、車どめや車両用防護柵の設置などの安全対策を計画的に進めるべきです。
市町村とも交差点の安全対策について連携強化をすべきと考えますが、県土整備部長の御見解を伺います。
併せて、本県における交差点での事故に関して、歩行者が巻き込まれたものを含め、これまでの状況と今後の取組について警察本部長に伺います。

A   上田清司   知事

まず、「交通事故防止対策について」のお尋ねのうち、実践的な研修を通じた高齢運転者による事故防止についてでございます。
高齢運転者に身体機能や認知機能の低下が運転に及ぼす影響を理解してもらうことは、車を安全に運転する上で非常に重要であります。
このため県では、平成28年度から「高齢者安全運転推進プロジェクト」を行ってまいりました。
これはタブレット端末を使った実技や講習などにより、身体機能の低下に応じた安全運転のノウハウを身に付けてもらうものでございます。
平成30年度までの3年間に212回、延べ1万350人が受講しておられます。
このほか、民生委員や交通安全母の会会員の協力により、平成30年度は延べ111万の高齢者世帯に対し、事故防止のための注意喚起を行っております。
また、老人福祉センターや観光バス会社などの協力により、平成30年度は延べ93万人の方に対し、交通安全アドバイスを行ってきております。
議員お話しの例は、住民一人ひとりのニーズに応じた事業を行うことが可能な市町村ならではの取組でございます。
県としては、こうした先進的な取組を市町村に紹介するとともに、市町村が新たな取組を始める際にはしっかりと支援してまいります。
次に先進安全自動車やアクセルとブレーキの踏み間違いなどを防止する装置の購入補助についてでございます。
このような車や装置が、高齢運転者による事故防止に効果的だといわれております。
県ではこうした車や装置の普及に向けて、ホームページへの掲載、チラシの作成・配布、体験試乗イベントの開催などを行っております。
ただいま議員から、香川県や東京都の制度を参考に県独自の補助金制度を導入すべきとの御提案がございました。
香川県の制度は先進安全装置が装備された新車購入時に1台当たり3万円を補助する制度で、年間およそ1,500台を対象としております。
一方、東京都の制度については、補助の対象とする人数や装置の基準など具体的な内容は、今後詳細を詰めていくと聞いております。
このほか鳥取県でも、平成30年度までの3年間モデル事業として同様の補助制度を実施しておりますが、今年度はやっておりません。3年間の鳥取県の事業効果などについてしっかり確認をしていきたいと思います。
国ではこうした機能を備えた車のみを運転できる高齢者専用の運転免許や、アクセルとブレーキの踏み間違いなどを防止する装置等の性能認定制度を設ける方針と聞いております。
こうした国の動向あるいは他県の制度をしっかり踏まえて、県として何ができるか、しっかり検討させていただきたいと思います。

A   中村一之   県土整備部長

県では、これまで5年に1回、学校関係者や保護者による通学路安全総点検を実施し、防護柵や路面標示、舗装修繕などの対策を進めております。
平成28年度に実施した通学路安全総点検では、保育園などの園外活動で使用する道路も点検の対象とし、車止めや路面標示などの対策を実施したところです。
平成30年度末までに、道路管理者である国、県、市町村や警察などにおいて、約2,000カ所で対策を実施いたしました。
さらに、滋賀県大津市の事故を受け、県が管理する道路の主要な交差点約1300カ所について緊急的な点検を実施したところです。
この点検では交差点において、車道と歩道が防護柵や縁石などで分離されているかを中心に確認しています。
点検結果を踏まえ、分離されていない35カ所については、早急に車両用防護柵や車止めを設置し、安全対策を行ってまいります。
今後は、点検箇所の交通状況や利用者の状況を分析し、既に縁石で分離されている箇所においても、より歩行者の安全性の向上を図るため、車両用防護柵などの設置について警察と協力し、検討してまいります。
また、市町村との連携、強化につきましては、これまでも県土整備事務所を単位とする通学路の安全検討委員会や警察との道路交通連絡会議において連携を図っております。
今年の5月から6月にかけて開催した道路交通連絡会議において、交差点の交通事故に伴う歩行者の二次的被害防止には防護柵などの対策が必要であることを再認識したところです。
今後も将来を担う子供達が安全に安心して生活できるよう関係機関と連携強化を図りながら交差点の安全対策を推進してまいります。

A   富田邦敬   警察本部長

県内における交差点付近での人身事故は、本年5月末現在4,852件、前年同期比500件、9.3%減少、うち死亡事故は31件、前年同期比18件、36.7%減少しています。
このうち自動車同士の衝突に歩行者が巻き込まれた事故ですが、この期間は軽傷事故が1件でしたが、平成29年2月に、草加市内において死亡事故が1件発生しています。
このような事故を防止するため、警察では、信号無視、横断歩行者妨害、一時不停止の交差点に関わる三つの交通違反の取締りを強化しておりまして、5月末で6万901件、前年同期比4,368件、7.7%増加しているところです。
また、大津の事故は交差点で右折車と対向する直進車が衝突したものでしたが、このような事故を防ぐためには、右折車と直進車を完全分離する信号が有効です。
現在306基ありますが、平成29年度から4カ年の重点整備計画を既に推進中でして、今年度も信号を51基改良する予定としています。
加えて、車両用防護柵や車止めの設置などによる安全対策を、県等の道路管理者と協力して検討してまいります。
今後とも、関係機関と連携を図り、各種対策を推進してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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