環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 研究評価の取組 > 令和3年度第1回研究評価 > R03第1回審査会コメント1/研究課題(大気 R03-R04 高時間分解測定に基づく短寿命BVOC)

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掲載日:2023年1月11日

環境科学国際センター研究課題(大気環境担当/R3~R4)

 高時間分解測定に基づく短寿命BVOCの実態把握

(大気環境担当:市川、佐坂、長谷川、米持/R3~R4)

 国内のVOC年間排出量の約70%を占める植物起源VOC(BVOC)の多くは光化学活性が高く、光化学オキシダント(Ox)生成や二次生成粒子の観点で非常に重要な物質と考えられています。シミュレーション結果から、関東圏内のOx生成レジーム(VOC律速であるのかNOx律速なのか)がBVOC排出量の設定値により大きく異なることが試算されていますが、国内のフィールド観測例は限定的であり、更なる知見の集積が望まれます。
 本研究では、加熱脱着用捕集菅を用いた時間分解能の高いサンプリング方法により、埼玉県内の大気環境中におけるBVOCを高精度に観測し、BVOCの地域別、季節別、時間帯別の実態と特徴を把握します。さらに、Ox生成が盛んな夏季に得られたBVOC観測データと一般環境大気測定局のOx濃度の解析から、夏季におけるOx生成への寄与評価を試みます。

《研究の概要》(PDF:257KB)

 

令和3年度第1回研究審査会コメント

研究課題

高時間分解測定に基づく短寿命BVOCの実態把握

研究審査会コメント

  •  シミュレーションに依ってBVOCの実態把握の重要性が確かめられて進められており、埼玉県で行う研究としての重要性は高いです。植物が対象になることから、この結果が直ぐに政策に結びつくことは考えにくいですが、将来に備えて基礎的な実態を把握しておくことは重要です。植物由来の物質であることから、日射による影響、季節的な変化は大きいと考えられることから、一日のうちでの変化や季節変化にターゲットを絞った計画になっています。こうした点でも評価される内容です。今後様々な展開が考えられますが、日射だけでなく、様々な環境ストレスによって発生量など変わることも考えられます。植物の受ける環境ストレスやそれに対する生理特性と関係づけることで、領域を超えた新しい研究に発展することが考えられ、結果が楽しみな研究です。
  •  サンプリングの際には、おそらく、樹種やその健康状態(天候、昆虫や動物などによる食害や病気など)、おかれている環境(土壌状態、日当たりなど)の情報も併せて収集すると思います。このような定性的な記載も大事ですので、抜かりなくデータ収集して進めていただければと思います。
  •  埼玉県の地理的特徴を踏まえたサンプリングを行っているため、施策立案を支援する可能性が高いです。
  •  高時間分解測定法が新規性のポイントとして強調されていますが、従来から提案・利用されてきた手法との明確な差別化、優位性の主張ができるように研究が進められることを期待します。研究終期においては、BVOCの計測が充実することによりOx対策にどのようなメリットが生じたかを定量的に説明・主張できることが望ましいです。
  •  天然由来のVOCレベルやその変動に関する情報から、それに由来するOx生成レベルが推定できるはずで、その情報に基づいて、従来の人為起源VOCやNOx対策によってOxレベルはどこまでは下げることができるのか、についての、ある種の限界を推定することができるはずです。その推定値は、今後の人為起源汚染削減の方向性や目標設定に極めて重要な情報となるはずで、そうした解析をぜひ念頭においていただきたい。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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