スマート農業機械の整備
埼玉県農業大学校では、令和3年11月にJA共済連埼玉から地域貢献活動の一環としてスマート農業機械(直進アシストトラクタ及びロータリ)を寄贈していただきました。
今後、最先端のスマート農業機械を学生実習に活用し、最先端の農業技術の習得を図ります。
寄贈されたトラクタは、本校水田ほ場での実習において、肥料の散布に活用いたしました。
直進アシスト機能により、散布している作業機の状況を振り返って確認しながら直進できるとともに、同じ場所に肥料を重なることなく散布することができました。
今後も様々な実習において直進アシストトラクタを活用し、スマート農業に取り組みます。
スマート農業への取組
埼玉県農業大学校では、最新のスマート農業を学生実習で取り組んでいます。
無人トラクタの実演会を実施
令和4年3月2日(水曜日)、構内ほ場等において、ヤンマーアグリジャパン株式会社の協力により、無人で作業を行うトラクタの実演研修を行いました。
機能
- このトラクタは、ほ場の形を有人操作で走行し、ほ場の形を覚えさせることにより、無人で作業を行うことができる。
利点
- トラクタは有人と無人の二台で同時に作業することが可能で、初心者や後継者不足の農業界に革命的な機械となる。
- 手元のカラーモニター活用し瞬時に様々な情報を把握することで、無駄やムラのない作業が可能となる。
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無人トラクタの実演 |
ほ場にて実地研修 |
VRを活用した農作業事故防止研修
令和4年3月2日(水曜日)、JA共済連埼玉の協力により、VR(Virtual Reality)を用いた作業別農作業事故防止研修を行いました。
研修内容
VRを活用し数種類のメニューから学生が選んだものを経験した。
1.トラクタ 2.管理機等 3刈払い機 4.コンバイン 5.スピードスプレーヤ
機能
- VR(Virtual Reality)を用いて農作業事故の状況を、あたかも現実世界のように体感の経験ができる。
利点
農業機械の操作に慣れてきた人の中に自分の技術を過信している人が多くいるためVRを用いた実体験に近い研修を実施することにより作業者の意識が高まる。
<VRとは?>
Vrtual Reality(バーチャルリアリティ・仮想現実)の略称。コンピューターによって作られた仮想的な世界を、あたかも現実世界のように体感できる技術。この技術を体験するには、ゴーグル型のデバイスを頭部に装着する場合が多い。
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ゴーグル型のVRを装着 |
VRから見える画像(参考) |
スマホでハウスの様子がわかる監視・制御システム(野菜学科 施設栽培専攻)
名称
- 環境測定機器プロファインダー3.(株式会社 誠和)
- CO2発生装置(ネポン株式会社)
機能
- 栽培時の温度・湿度・日射量・二酸化炭素濃度(CO2)の測定。測定データはPC、スマートフォンからリアルタイムに確認。
- プロファインダー3.と連動し、CO2発生装置が濃度を一定に制御。
設置及び設定
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ハウス内CO2発生装置 |
測定データの表示 |
ハウス内の環境測定機器 |
授業での活用
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環境制御技術によるトマト栽培 |
測定データの表示 |
居ながらにして、畑の様子がわかるほ場環境計測システム(野菜学科 露地栽培専攻)
名称
機能
- 露地ほ場・ハウスに設置したセンサーにより温度、湿度、日射量、土壌温度・水分・ECのデータを2分間隔で測定。
- クラウド上に測定データがアップロードされ、PCやスマートフォンのアプリでほ場やハウスの状態を確認できる。
- クラウドに蓄積したデータを収集、分析。異常を検知した場合に、警報が送信される。
設置及び設定
- センサーを露地ほ場・ハウスに設置
- スマートフォンのアプリを起動
- アプリ上でID・パスワードを登録
授業での活用
無人田植機で田植えを実施(水田複合専攻)
農業機械メーカーの協力により、無人で田植えを行う田植機の実演を行いました。
機能
- この田植機は、ほ場の外周を有人操作で走行し、ほ場の形を覚えさせることにより、無人で植付作業を行うことができる。
利点
- 苗等の補給作業に従事する人のみで植付けを行うことができ、機械操作に係る人手を減らすことができる。
- 集中力を必要とする機械操作が大幅に減り、長時間の運転に伴う作業者の負担が軽減される。
- 田植作業に慣れていない人でも、きれいに植え付けることができる。
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人の操作なく植付作業を行う田植機 |
ほぼ直線で苗を植え付けることができる |
ドローンによる農薬散布(水田複合専攻)
水田複合専攻の水田ほ場においてドローン(XAG社製 P30)を利用した農薬(除草剤)の散布を実演しました。
機能
このドローンは、人工衛星のGPS情報を受信するアンテナと、ドローンとスマートフォンをつなぐ送信機、スマートフォンのアプリのみで飛行できる。
飛行前にほ場の外周をGPSアンテナで位置情報を測量し、ほ場の形を登録することでアプリが自ら飛行ルートを作成するため、コントローラーによるドローンの操縦は不要である。
利点
- ほ場に入ることなく様々な農薬を散布することができるため、作業者の負担を大幅に削減できる(アタッチメントを交換することで、液剤・粒剤ともに散布可能)。
- 迅速に農薬を散布できる(標準作業時間は1haで約15分)。
- ドローンの飛行時の操作は不要なため、操縦に習熟する必要がない(ドローンの扱いには民間が主催する講習を受ける必要あり)。
- 飛行に伴う下降気流により、葉裏まで液剤を散布することができる。
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ドローン(XAG社製 P30) |
ドローンが粒剤(除草剤)を散布 |
電子の目で水田の様子がわかる水田管理システム(水田複合専攻)
名称
- 水田farmo(すいでんふぁーも)(株式会社ぶらんこ)
機能
- 水田に設置したセンサーが水位、水温を約15分間隔で測定。
- スマートフォンのアプリを通じて測定データを確認。
- センサーや通信機には太陽光パネルが付いており、電源は不要。
設置及び設定
- センサーを水田内に設置。
- センサー付近でスマートフォンのアプリを起動。
- アプリ上で位置情報やセンサーIDを登録。
授業での活用

メールで牛の分娩を教えてくれる分娩予定牛の24時間監視システム(酪農専攻)
名称
- 牛温恵(ぎゅうおんけい)(株式会社リモート)
- 養牛(ようぎゅう)カメラ(株式会社ネットカメラ)
機能
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牛温恵
牛の膣内に装着した温度センサーで体温を測定、分娩予定をメールで知らせる。
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養牛カメラ
分娩予定牛の様子を24時間監視するシステムで、遠隔地でも分娩の様子がわかる。
夜間の分娩でも、照明をつけて、事故の軽減、計画的な分娩にそなえることができる。
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設置
- 農業技術研究センター敷地内の酪農専攻牛舎分娩房に設置。
授業での活用

つらい姿勢が続く作業も、毎日できるパッシブ型アシストスーツ(短期野菜専攻)
名称
- サポートジャケットBb+PRO2.(ユーピーアール株式会社)
機能
- モーターやバッテリーを使わずに、伸縮性反発のある素材で、正しい作業姿勢の維持と筋肉の動きを助け、背中や腰に大きな負荷がかからないようにする。
- 着用して作業することで、正しい姿勢で作業することができ、疲労の蓄積が軽減され、農業に従事できる期間が拡大される。
- 動力がないため、軽量・コンパクトで洗濯・消毒も可能であり、また、電動型に比べて非常に安価である。
設置
授業での活用
- 実習時に着用し、非着用時と、疲労具合等を比較する。

リモコン式自走草刈機実演会(有機農業専攻)
名称
概要
- リモコン式自走草刈機はその名のとおり遠隔で除草作業が可能であり、150m以上離れていても操作が可能である。
- 傾斜面での草刈りが可能で、機種によるが最大45度まで対応が可能であり、1mを超える高さの草でも刈ることができる。
利点
- 傾斜面での草刈りが可能(RJ700Aは45度、AJK600は40度)
- 上下2枚刃方式で刈り取った草が細かくなる。
- 前進、後進どちらでも草刈りができ、効率的な除草作業が可能である。
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RJ700A(アテックス社) |
AJK600(三陽機器社) |
スマホで撮影した米の画像からAIが等級判定するアプリ
名称
AI米粒等級解析「らいす」(株式会社スカイマティクス)
機能
アプリ内で撮影した米粒の画像を、農林水産省が定める検査規格を参考にしたメーカー独自のAIシステムが自動解析し、玄米等級の目安を判定・表示することができる。
利点
- スマホの簡単な操作のみで扱うことができる。
- 等級の目安を農産物検査前に確認できるため、検査後に持ち帰って再選別する手間が省ける。
- 穀粒判別器など高価な計測器がなくても簡易に等級の目安がわかる。
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黒カルトン上に並べた玄米をスマホのカメラで撮影
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アプリが撮影された玄米を一粒ずつ識別して分類し、整粒比などから等級を判定
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農業用追従ロボットの実演会を開催
名称
自動追従型ロボット「メカロン」(農研機構、Doog)
機能
LiDARセンサー(レーザーセンサー)により、従事者を追従することで運搬や農作業の補助、作物・ほ場のセンシングなど様々な利用が可能になる。
利点
- ボタン一つで追従モードになり、従事者を一定間隔で追従する。
- クローラー走行により、傾斜地、凹凸、ぬかるみ等あらゆる地形に対応できる。
- リチウムイオンバッテリーにより最大12時間の走行が可能。
- 高トルクモーターによる高いけん引力を持ち、100kgを積載、けん引可能
- IP44Xの防水、防塵機能により水洗いが可能。
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サツマイモほ場で走行するメカロン |
収穫したサトイモを積載走行 |