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掲載日:2026年3月26日
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本事業は、飯能市のまちづくり会社が、飯能大通り商店街にある空き物件をリノベーションし、11のお試し開業ブースと1つのシェアキッチンを備えた施設『偏愛デパートメント・やまにわ』を整備し、そこに新規創業者等を呼び込むことで、地元商店街の新たな担い手を確保する取組です。
商店街の新たな担い手を呼び込むため、東京都内で入居者募集イベントを実施したほか、入居者が施設を卒業した後は商店街内の空き店舗で本開業できるよう空き物件のオーナーを招いたセミナー・交流会を実施するなど、商店街活性化に向けた様々な取組を行いました。また、事業に係る一部経費は、クラウドファンディングにより調達しました。
令和8年2月のグランドオープンの際には、地元商店街や近隣商店街の会員店舗や近隣商店の店主、地元金融機関や市役所・商工会議所など多くの方がお祝いに駆けつけました。また、各入居者(店舗)は、3月に開催された商店街イベントに参加するなど、商店街の新たな担い手として早速活動を始めています。
以下は本事業の詳細です。補助事業者から提出された実績報告書の内容を転記又は要約して紹介します。
本事業の舞台は、飯能市にある「飯能大通り商店街」。
飯能駅から徒歩10分ほどにある、電気屋、呉服屋、酒屋などの歴史のある店舗が多い商店街です。
飯能銀座商店街とも隣接しており、休日には飯能河原や山へ向かう多くの観光客が通る商店街となっています。
また、商店街内には、飯能商工会議所や商店街が管理するポケットパークがあります。
そのような飯能大通り商店街も、店主の高齢化が進み、徐々に店舗が減ってきています。
空き店舗化し取り壊された後、多くの場合は集合住宅となってしまい、住宅にならない場合も「知らない人に貸したくない」等の理由でシャッターが閉まったままの状況が続いてしまっています。
本事業は、こうした課題に対し、商店街の担い手の確保、空き店舗解消のための施策として企画されました。
| 商店街の概要 |
|---|
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飯能市内外から商店街の新たな担い手を呼び込み・育成し、まちなかの活性化を図るため、飯能大通り商店街内に以下の施設を整備しました。
また、拠点卒業後には、商店街の空き店舗に入居・開業してもらうため、以下の事業を実施しました。
| 事業名 |
新しい事業・新しいはたらき方を生み出す拠点づくり~なりわいを育む拠点事業~ |
|---|---|
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事業内容 |
次の事業を実施。 ⑵施設の広報・入居者の募集事業 ⑶専門家伴走支援事業 ⑷空き物件活用開業支援事業 ⑸資金調達事業 ⑹その他事業 |
| ターゲット |
飯能で新たに事業・活動を始めたい人 |
| 拠点場所 |
埼玉県飯能市本町1-9(隣は飯能商工会議所)
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《Akinaiロゴ》
《空き物件活用》
飯能大通り商店街内の空き店舗を、11のお試し開業可能なスペースと1つのシェアキッチンを備えた商業インキュベーション施設「偏愛デパートメント・やまにわ」(入居期間最大3年間)にリノベーション。
店舗は接客メインのシェアスペーススタイルにし、飯能近隣にはなかった製造許可付きシェアキッチンを併設しました。令和7年9月から着工し、関係者を集めた左官ワークショップ等も織り交ぜながら、令和8年1月にプレオープン、2月にグランドオープンしました。
《実施前》元鋼材店兼住居だった「山二鋼材」。1F前面は店舗、1F奥は倉庫スペース、2Fは居室があった。
《実施後》1F前面(旧店舗)は接客メインのシェアスペースに。1F奥(旧:倉庫スペース)はアトリエ・事務所に。2F(旧:居室)は事務所を想定してリノベーションした。
| 実施前 | 《1F前面》 《1F奥》 《2F個室》 |
|---|---|
| 実施中 | 《1F奥》 《左官WS》 《建具入替》 |
| 実施後 | 《1F前面》 《1F奥 》 《2F個室》 |

店舗名 Hub+はり灸院
商売内容 鍼灸
「場所がある」というのは、独立開業の第一歩を踏み出す後押しになりました。

店舗名 kiitos ulliulli
商売内容 レジンアート
レンタルボックスを借りていたのですが、お客様に直接会いたくて店舗を構えることにしました。

店舗名 おもいで時間
商売内容 フレグランス
商工会議所の創業スクールを受講。店舗の予定はなかったのですが、事業が広がりそうだったので。

店舗名 大江花歩
商売内容 彫刻
市内でアトリエを探していたところ、やまにわを紹介していただきました。
入居者及び二拠点居住者獲得のため、田舎に興味関心のある人を集め、やまにわの紹介やワークショップ、先輩移住者等による体験トーク等のイベントを実施。移住等をテーマにした雑誌「TURNS」を定期刊行している第一プログレス様にもご協力いただきました。
東京・有楽町の交通会館にて、「地方でもう一つの肩書きをつくる」をテーマにしたトークイベントを開催。飯能で新しい取組を始める方3名をゲストにお迎えし、ご自身の活動や飯能を選んだ理由を伺った。
20名の方に参加いただき、飯能で実現したい夢などを互いに披露していただいた。イベント後も歓談タイムで盛り上がった。
《HPで料金形態等を発信》
《Instagramを活用》
《移住サイトに掲載》
《自社メディアで周知》
やまにわの入居者や事業を始めたい方向けに、好きなことをビジネスにする方法についての対談イベントを実施。武蔵野美術大学で美大生の創業支援を行っている酒井氏をお招きし、対談することで、入居希望者のモチベーションアップを図りました。
ゲストには武蔵野美術大学で美大生の創業支援を行っている酒井氏をアテンド。著書の「ナラティブモデル」をベースに、伴走者としてのコメントや、ビジネス化する際の注意点などを伺った。
「好きなことを仕事にする」をテーマとしたイベントは株式会社Akinai代表の赤井氏との対談方式。市内を中心に、東京都東久留米市や練馬区などから20名が参加した。
入居者が卒業した後に本開業できる場所を発掘するため、活用してもいい空き物件を持っている大家さんに「貸すことのメリット」「大家業の楽しさ」を知ってもらうトークイベントを実施しました。
第1部は、株式会社まめくらしの青木氏を講師にお招きし、「まちを元気にするやりかた」「大家業の楽しさ」を中心にお話しいただいた。
第2部は、諏訪から飯能に移住して、古民家を本屋&デザイン事務所にリノベし開業した神岡さんご夫妻と、リノベした古民家の大家さんに来ていただき、参加者に飯能市内で起きている空き店舗活用の取組を、地域の身近な動きとして知っていただいた。
拠点整備のための資金集めと、宣伝も兼ねてクラウドファンディングを実施。返礼品には地域の事業者さんにも協力してもらい、周知をさらに広げました。
クラウドファンディングは、一番大事なコンセプトをしっかり伝えられるのが一番の利点。掲載する画像は、シャッターが降りていた店舗が復活する、というワクワク感を演出した。事業内容だけでなく、株式会社Akinaiがこれまで行ってきた活動とその目的を伝え、集大成として今回のインキュベーション施設を整備するという事業背景も説明し、応援してくださる人を募った。
《飯能の事業者のお菓子セット》
《一番番支援が多かった返礼品なし》
《飯能檜のルームフレグランス》
《お買い物チケット》
飯能での二拠点居住希望者・移住者を集めて、副業・複業のアイデアやプランを作る「飯能リノベLAB」を開催。自社で運営しているメディア「はんのーと」で告知を行いました。
1回目は飯能を知る街歩き、お互いを知る自己紹介や交流会を中心に開催。
2回目は先輩移住者がお話し、やりたいことを始めるために一歩を踏み出すためのワークショップを行った。
1か月の実践期間を経て、3回目に最終発表。飯能に関わるきっかけを作ることができた。市内、東京都練馬区、茨城県、福島県など様々なエリアから参加者が集まった。
ただ場所を貸すだけではない、プラスアルファの価値を提供する施設にするため、入居者同士の交流を促したり、地域の事業者と交流する機会をつくりました。
月に1回入居者交流会を開催。顔合わせの他、運営に関してのリクエストも言える場にする。それぞれの活動をプレゼンする会も開催する予定。
「アーティストトーク」というイベントを不定期で開催。第1回目※は鍛鉄作家・加成幸男氏。一般参加も受け付けており、様々な人と交流できる場にしていく。※日時:令和8年2月14日(土曜日) 場所:偏愛デパートメント・やまにわ
令和7年9月に東京都内で開催した入居者募集イベントの来場者にアンケート調査を実施しました。以下、調査結果による分析です。
都内イベントの申込者のうち45%が飯能在住者でした。年代は20代から50代まで幅広く、男性と女性の割合は1対2という構成で、会社員が最多でした。
飯能在住者は、都内イベントに出向くほど、飯能への愛が強い傾向にあります。
都内イベントへの参加目的で、最も多いのはコミュニティへの参加で、現地に行く前に地域の人とのつながりを求めていることが分かりました。
20代の方は今後のキャリアを考えて地方移住を視野に入れており、50代の方は退職後のことを考えての参加でした。
入居の問合せ数を集客チャネルごとに分析しました。
(集客チャネル:自社メディア「はんのーと」/SNS、都内イベント、別の施設への問合せ、知人・家族の紹介、その他(リノベラボ等))
最も多いのは株式会社Akinaiが運営している別施設への問合せで、タイプの異なる施設を複数運営していることが強みになりました。
また、SNSに関しても自社メディア「はんのーと」を運営していたこともあり、やまにわのSNSも順調に周知が広がって、問合せにつながっています。
入居者・入居検討者にきっかけをヒアリングし、入居の可否によってタイプの傾向があるか分析しました。
やりたいことが具体的な人は入居につながりますが、事業として不明瞭な人は入居にはつながらないことがわかりました。
そのため、入居につながらない人には、入居する前にイベント等で本人がやりたいと考えていることを一度やる機会を提供する、等のサポートが必要だと感じました。
計画よりも工事が遅れたこともあり、2月のオープン時は当初の予定より入居者が少ない状態でしたが、3、4月からの入居契約も順次進めています。
入居者以外でも、興味を持ってくれた様々な事業者と組んで事業を行っていくことも、施設の認知度を上げる重要なファクターとなります。
そして誰よりも施設や運営チームが楽しむことが大事だと思います。
令和7年度に引き続き、入居者の募集を行っていくとともに、入居者に向けて勉強会や交流会、専門家派遣等を実施していきます。また、入居者の活動をお互いにプレゼンする会も開催する予定です。
また、街なかの空き店舗等の大家さんとの関係性づくりを進め、卒業者用の拠点を用意して、まちの活性化と魅力的な店舗が増え続ける商店街を目指していきます。
ほかにも、沿線事業者とつながるイベントの企画・コラボレーション商品等の企画・開発も今後していければと思います。
この事業には、拠点となる「不動産」の他にも、入居者を集める「メディア」が必須になってきます。既存の媒体と連携したり、行政や商工会議所、商店街とのつながりも重要になります。
また、拠点は業種を想定せず、フラットに作っておくのがおすすめです。やまにわでも、事務所を想定していたところに鍼灸師から入居希望があったり、アーティストから入居の問合せがあったりします。入居者は予想外の使い方を持ってきてくれるのです。
事業性も大事ですが、何より「自分たちがおもしろい」と思えることをやるのが一番です。
そして、市内はもちろん、市外の事業者さんからも「飯能盛り上がってますね。一緒に何かやりましょう」と連絡をいただいています。エリア内にとどまることなく、様々な地域の人たちとつながっていく場所にし、商店街を盛り上げていきます。
小さな商店街にとって、やまにわさんのオープンは嬉しい驚きでした。
若い方々が入ってきてくれることを期待します。私たちも全力で応援していきます。