トップページ > 県政情報・統計 > 広報 > 広報紙・テレビ・ラジオ・ソーシャルメディア > 県政広報ラジオ番組「朝情報★埼玉」(あさ★たま) > 令和7年5月 > 6月2日放送
ページ番号:268633
掲載日:2025年6月2日
ここから本文です。
おはようございます。埼玉県知事 大野 元裕 です。
皆さまはムジナモをご存じでしょうか。
NHKの「連続テレビ小説」で有名になった、牧野富太郎博士が発見した、水生の植物で、その形状がタヌキの尾に似ていることから、ムジナモと名付けたと言われています。
このムジナモが、埼玉県で、極めてまれな「野生復帰」を果たしました。
国内のムジナモは、台風による沼の増水や、開発による水質変化などにより、1960年代に絶滅状態となりました。
このような状況の中、羽生市、羽生市ムジナモ保存会、埼玉大学が主体となり、ムジナモが野生で生育できるよう、水質の改善や、他の生物とのバランスなどについて試行錯誤を重ねてきました。
40年以上にわたるこれらの取り組みが、このたび実を結び、見事に「野生復帰」を果たしました。
絶滅状態にあった動植物が、野生で生育できるようになったことは、埼玉県では初めてであり、全国でもトキやコウノトリなど、限られた事例しかありません。
ムジナモが「野生復帰」を果たしたことは、大変誇らしい偉業であると考えています。
さて、皆さまはネイチャーポジティブという言葉をお聞きになったことはありますか。
これは、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」という考え方です。
これまでは生物多様性の減少傾向、つまりネイチャーネガティブな傾向が続いてきましたが、まずは損失を止め、2030年までに増加、つまりネイチャーポジティブに反転させることで、2050年には自然と共生する社会を実現するとされています。
埼玉県では、ネイチャーポジティブの実現を目指し、優れた自然や貴重な歴史的環境を保存する緑のトラスト運動や、希少な野生動植物の保全などに取り組んでいます。
地域住民の皆様による保全活動により、ムジナモが野生復帰したことは、ネイチャーポジティブのシンボル的な事例と言えます。
生物多様性は生態系を支えるのみならず、食料、水、木材、繊維など、直接的に利用できる資源を提供し、気候調整、水質浄化、病害虫の抑制といった、環境の安定を保つ役割を果たすなど、私たちに多様な影響を与えます。
このため、従来の自然保護にとどまらず、自然を再興する、より積極的な取り組みを社会全体で進めていく必要があります。
全国に誇るネイチャーポジティブの実践経験を持つ埼玉県も、市町村や、企業、県民の皆さまとワンチームになって、ネイチャーポジティブの実現に取り組んでまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください