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2021年9月15日(水曜日)

【スポーツで埼玉を元気にする!】新井千鶴選手(柔道)

新井千鶴選手

東京オリンピック柔道女子70キロ級で金メダル、混合団体で銀メダルに輝いた新井千鶴選手は、寄居町出身で埼玉・児玉高校3年生の時に全国高校総体で優勝し、その後世界選手権2連覇も果たしています。

令和3年9月8日に知事及び県議会議長を表敬訪問された際に、インタビューさせていただきました。

柔道の魅力とは?

小さい頃はなかなかそういう自覚はなく、ただひたすらに毎日稽古に励んで楽しむという感じでしたが、柔道を通じて年々経験を積むごとに、相手に対する思いやりなども含めた礼節、ただ強いだけではダメだということを学ばせていただいて、人としても成長していける競技であると思うようになりました。

それは若いうちはわからないかもしれませんが、年々経験を積ませていただく毎に、まわりの方々との出会いやサポートによって気づけるようになることで、そういった柔道の魅力をより体感しながら、競技力を高めていくことができるのだと感じています。

 

小さい頃の柔道の思い出はどのようなものがありますか?

2_新井千鶴選手小学生の頃は、本当に純粋に楽しむ、体を動かすことや技をかけあうことを友達と和気あいあいと楽しんでいるという感じでした。

その中でも、礼儀作法だったりあいさつだったり、武道だからこそ学べる大事なことを所属するチームで教わりました。

ただ、稽古を積むごとに自分のレベルが上がっていって、見えてくる大会もどんどん大きくなって、勝つために自分はどうしたらいいかと考えるようになり、日本代表になった今は国際大会や自分の目標を達成させるために楽しむだけでは勝っていけない世界なので、年齢に応じていろいろなものを感じながら経験を積み重ねてきました。

本格的に目標を持ったのは高校生の時で、高校で全国制覇を達成することができたからこそ、次は世界で活躍する選手になりたいとか、達成する毎に目標が大きくなっていった感じです。

それまでは大きな目標はあまり持っていなくて、目の前の目標を立てて、そこを達成したら次っていう感じだったので、オリンピックと強く思ったのも世界チャンピオンになってからでした。

小さい頃によく「夢はオリンピックで金メダルを取る」ということがあると思うのですが、私はそこまでの気持ちはありませんでした。

 

お休みの時は何をしていますか?

切り換えるために、休む時はしっかり休みます。ひたすら寝ています。結構インドア派なので、家で映画を見たりして、あまり出歩かないです。

普段、自分自身を鍛えてものすごく疲れているので、家にいる時はゆっくりしています。

 

柔道以外に得意なスポーツは?

3_新井千鶴選手高校時代は球技が得意じゃなかったです。力が強すぎて、テニスではボールがあっちこっち飛んじゃうとか、フェンス超えてどこかに行っちゃうとか、よくありました。

小・中学校の時は割と運動神経がよかったのですが、高校になって本格的に柔道に専念するようになると特化してしまうのか、他の競技ができなくなりました。

でも、社会人になって、体の使い方などに目を向けないと成長していけない段階になって、いろいろな動きを取り入れていかないといけないとか、左右使えるようになろうとか、自分で何が必要なのか考えてチャレンジしていく中で、苦手だったものが改善していきました。

もともとできないっていうわけではなくて、どちらかというと習得に結構時間がかかるんですよね。初めからできるとかではなくて。柔道もこれだけ長くやってきてやっと目標達成できたように、習得するのに時間をかけてしまうのですが、一つのものをやると決めたら最後までやり切るタイプなので、他の競技でもやっぱり「こういうものが大事だな」とか、「自分が強くなるために必要だな」と思ったら、そこを追求し続けられるので、前に比べたら、球技もできるようになったかなと思います。

 

勝負飯は?

うどんが好きで、試合の前は、うどんを食べます。その理由としては減量があげられます。

試合前日の夜8時に計量をやるのですが、その後、当日は私の階級(70キロ級)だと73キロまで増やせます。海外の選手は結構体が大きく、ぎりぎりまで体重を増やしてくるので、私もよりエネルギーになる炭水化物を取り入れるために、うどんを食べるようにしています。

計量の後、好きなものを好きなだけ食べたら頑張れるかもしれないけど、次の日は胃がもたれたり、逆にコンディションが悪くなってしまうので、消化のいいもの、よりエネルギーになるものとして、私はうどんが好きなので食べています。

 

柔道を勧めるとしたらどんなふうに勧めますか?

柔道は相手の方と向き合うことで距離感を感じられる特殊なスポーツだと思います。技が決まった瞬間は気持ちのいいものです。これだけ技の種類がある競技はないのかなと思いますし、そういうのを一つ一つ覚えて、体感していきながら成長を感じられるのもいいのかなと。

きついとか痛いとか辛いとかではなくて、礼節や相手を思いやる心、自分の心も見直すことができますし、自身の気持ちを改めることもできます。また教育の一環でもあるといった視点で入ってきてほしいなと思います。

 

 

質問に答えるときの一つ一つの言葉の選び方や立ち振る舞いから、「武道家」としての矜持を見せていただきました。

目の前の目標を一つずつ達成し続けた先にあったのが金メダル、というお話が意外でしたが、目標の立て方も一人ひとり違っていいのだと気づかされました。

新井選手が自分と向き合い、自分なりの方法で柔道を追求していった結果、手にした金メダルの輝きは格別なものでした。

 

先日、残念ながら現役引退を発表されましたが、指導者としての今後にもぜひ注目してください!