トップページ > 『キレイに走る』ランナー向けエクササイズ ~第2回 腕振りの重要性を理解する~
ここから本文です。
2021年11月25日(木曜日)
第1回に引続き、『正しいフォーム』を作るためのエクササイズを紹介します。今回のテーマは、『上半身と下半身の連動』です。その代表的な要素として、腕振りに着目します。
そもそも、なぜ走るときに腕を振る必要があるのでしょうか?やみくもに強く腕を振れば良いのでしょうか?国立スポーツ科学センター・アスレティックトレーナーの高嶋さんに伺います。
走るときに腕を振るのは、前方への推進力を得るためです。実際に両手を後ろで組んだまま走ってみてください。とても走りづらいことを実感してもらえるはずです。おそらく皆さんも感覚的には腕振りが重要だということを理解しているのではないでしょうか。ではなぜ腕を振ることで前方への推進力を得られるかのメカニズムを理解しましょう。
まず、腕振りによって、上半身だけでなく下半身にも動きが生じるということを理解しましょう。腕を後方に引くことで、反対に骨盤が前方に引き出されます。骨盤が前方に引き出されるということは、脚が前方に出ることを意味しています。つまり、腕を振ることによって脚を動かす、ということになるのです。
ただやみくもに腕を振れば良いという訳ではありません。重要なポイントは『肩甲骨』です。腕を後方に引いたときに、肩甲骨が内転する(体の中央に向かって動く)ことで、引いた腕と同じ側の骨盤が前方に引き出されます。この動きを繰り返すことで、腕振りのエネルギーを前方への推進力に換えながら走ることができます。肩甲骨の動きを理解して、正しく動かすことにより『正しいフォーム』に近づきます。
しかし、肩甲骨周辺の筋肉は、デスクワーク等の日常生活の中で凝り固まってしまいがちです。そのような状態では、肩甲骨を上手に動かすことはできません。ここでは、肩甲骨周辺の柔軟性を高めるストレッチングと走る際の肩甲骨の動きを理解するためのエクササイズを紹介します。
(1) 背筋を伸ばして立ち、肩幅程度に脚を開いて、手のひらを後方に向ける
(2) 手のひらを外側に向けるように腕を捻りながら、肩甲骨を中央に寄せて胸を張る
[回数の目安]5~10回程度
【注意】腕だけを動かすのではなく、肩甲骨がしっかり動くよう意識しましょう!
(1) タオルを両手で掴み、肩幅より少し広めに広げ、頭の上に掲げる
(2) 頭の後ろ側で、タオルを掴んだ両手を大きく10回程度上下させる
[回数の目安]5~10回程度
【注意】背筋を伸ばして、タオルを上下に動かす点に注意しましょう!
できるだけ大きく上に伸び、しっかりと下まで引くことで肩甲骨が動いていることを意識しましょう!
(1) ペア、もしくは壁を相手にする
(2) 両手を伸ばし、上半身を前方に倒して、相手又は壁に体重をかける
(3) リズムよく上半身を沈み込ませる
[回数の目安]5~10回程度
【注意】背中(肩甲骨)と腕がつながっていることを意識しましょう!
肩甲骨の下の筋肉を意識しましょう!
(1) ペアの人に、肩甲骨を触ってもらいながら、交互に両腕を前後に動かす
(2) 前に出した側の手の甲が内側を、引いた側の手の甲が下を向くようにする
[回数の目安]左右10回ずつ程度
【注意】触れられている位置が、腕振りの動きに合わせて左右に動いていることを理解しましょう!
(1) ペアの人に、肩甲骨を触ってもらいながら、走るときと同様に腕振りを行う
[回数の目安]左右10ずつ程度
【注意】走る時と同じように腕を振り、その際の肩甲骨の動きを理解しましょう!
↑青い点(肩甲骨)が動いているのがわかりますか?
いかがでしたでしょうか?
次回は、『5分でできるランニング前エクササイズ』を紹介します!お楽しみに!!