国登録有形文化財(建造物)の新規登録について(越谷市・林泉寺本堂など6件)
部局名:教育局
課所名:文化財・博物館課
担当名:指定文化財担当
担当者名:中村
国の文化審議会(会長:島谷弘幸(しまたに ひろゆき) )は、令和7年11月21日(金曜日)開催の同審議会文化財分科会における審議・議決を経て、越谷市増林3818に所在する「林泉寺本堂(りんせんじ ほんどう)」、「林泉寺子安観音堂(りんせんじ こやすかんのんどう)」、「林泉寺鐘楼堂(りんせんじ しょうろうどう)」、「林泉寺地蔵堂(りんせんじ じぞうどう)」、「林泉寺表門(赤門)(りんせんじ おもてもん(あかもん))」、「林泉寺脇門(黒門)(りんせんじ わきもん(くろもん))」の6件の建造物を新たに登録有形文化財に登録するよう、文部科学大臣に答申しました。この結果、後日行われる官報告示を経て、県内の登録有形文化財(建造物)は230件になります。
林泉寺本堂 1棟
特徴
- 建設年代:延宝元年(1673)頃
- 登録基準:二 造形の規範となっているもの
- 主な特徴:林泉寺の本堂。境内東寄りに西面して建つ入母屋造桟瓦葺(いりもやづくり さんかわらぶき)で正面に一間向拝(こうはい)を付しています。平面は前方を外
陣(げじん)、後方中央を内陣、両側を脇陣とし、内陣に禅宗様の須弥壇を配し、格天井(ごうてんじょう)に草花の彩色画を華やかに飾っています 。

正面

内陣
林泉寺子安観音堂 1棟
特徴
- 建設年代:宝暦12年(1762)
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:本堂西方に南面して建つ観音堂です。桁行(けたゆき)三間、梁間(はりま)三間、入母屋造桟瓦葺(いりもやづくり さんかわらぶき)で、銅板葺の一間向拝(こうはい)を切下げて付し、四周に縁(えん)を廻しています。台輪上に三斗(みつど)を組み、軒は二軒繁垂木(ふたのき しげたるき)。内部は一室の畳敷で棹縁(さおぶち)天井を張り、背面側に仏壇を構え、厨子(ずし)に納めた子安観音立像を安置しています。全体に当初の形式を良く残した建物で す。

正側面

内部
林泉寺鐘楼堂 1棟
特徴
- 建設年代:延享5年(1748)
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:本堂の南西に位置する鐘楼堂です。切石積み基壇(きだん)に建つ方一間、入母屋造桟瓦葺(いりもやづくり さんかわらぶき)で、面取りした角柱を四方転びに立て、腰貫(こしぬき)、内法貫(うちのりぬき)、頭貫(かしらぬき)で固め、台輪を廻しています。組物は絵様肘木(えようひじき)に三斗組(みつとぐみ)を重ねた特徴的な形式で、中備(なかぞなえ)は蟇股(かえるまた)、軒は二軒繁垂木(ふたのき しげたるき)。落ち着いた外観が境内の景観を形成しています 。

正側面

組物
林泉寺地蔵堂 1棟
特徴
- 建設年代:江戸時代後期
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:境内西方に南面して建つ地蔵堂です。三間四方宝形造桟瓦葺(ほうぎょうづくり さんかわらぶき)で柱間は正面中央間を広くし、三方に縁(えん)を廻らしています。軸部は角柱で桁を直接支え、軒は一軒繁垂木(ひとのき しげたるき)。内部は板敷の一室で棹縁(さおぶち)天井を張り、背面側に通しの仏壇を構え厨子(ずし)に納めた地蔵菩薩坐像を安置しています。

正面

内部
林泉寺表門(赤門) 1棟
特徴
- 建設年代:宝暦6年(1756)
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:本堂の西方に西面して建つ一間一戸の四脚門(しきゃくもん)。切妻造桟瓦葺(きりづまづくり さんかわらぶき)で、主柱は五平柱(ごひらばしら)とし、軸部は腰貫(こしぬき)、内法貫(うちのりぬき)、頭貫(かしらぬき)で固めています。棟通りは「扇に日の丸」の浮彫(うきぼり)をあしらった蟇股(かえるまた)や、吹寄菱格子(ふきよせひしごうし)で飾るなど意匠上の見所となっています。全体を朱塗としていることから、赤門と称されています。

正面

軒裏
林泉寺脇門(黒門) 1棟
特徴
- 建設年代:江戸末期
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:赤門の南方に西面して建つ一間一戸の薬医門(やくいもん)。切妻造桟瓦葺(きりつまづくり さんかわらぶき)で、主柱間、控柱間に桁を渡して梁を架け、梁上の束で棟木を受け、梁の前後で軒桁(のきげた)を受けています。軒は一軒疎垂木(ひとのき まばらだるき)で、門口に板戸を吊っています。地域が黒門と呼び親しむ脇門です。

正面

軒裏
林泉寺について
正林山徳泉院林泉寺は、永仁5年(1297)創建と伝えられる寺院です。嘉元2年(1304) の墨書銘を持つ「木造伝正観音菩薩坐像」(県指定有形文化財)のほか、
徳川家康が鷹狩りの際に駒を繋いだと伝えられる「林泉寺駒止のマキ」(越谷市指定天然記念物)等多くの文化財が伝わっています。
問合せ先
- 越谷市教育委員会生涯学習課文化財担当 ☎:048-963-9315(直通)
登録有形文化財(建造物)とは
文化財保護法に基づき、保存及び活用のための措置が特に必要とされるものが登録される。建築後50年を経過している建造物で、次のいずれかの基準に当てはまるものが対象となる。
- 一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 二 造形の規範となっているもの
- 三 再現することが容易でないもの
報道発表資料(ダウンロードファイル)