国登録有形文化財(建造物)の新規登録について
部局名:教育局
課所名:文化財・博物館課
担当名:指定文化財担当
担当者名:中村
国の文化審議会(会長:島谷弘幸(しまたに ひろゆき) )は、令和7年7月18日(金曜日)開催の同審議会文化財分科会における審議・議決を経て、県内に所在する「小山家住宅主屋(こやまけじゅうたく おもや) 」「小山家住宅蔵(こやまけじゅうたく くら)」、「アトリエあずき倉庫(旧青木製餡工場倉庫)(あとりえあずきそうこ(きゅうあおきせいあんこうじょう そうこ))」、「星野家住宅主屋(ほしのけじゅうたく おもや)」(以上、さいたま市)、「繁田家住宅長屋門(はんだけじゅうたく ながやもん)」(入間市)、「冨田家住宅離れ(とみたけじゅうたく はなれ)」(羽生市)の6件の建造物を新たに登録有形文化財に登録するよう、文部科学大臣に答申しました。この結果、後日行われる官報告示を経て、県内の登録有形文化財(建造物)は224件になります。なお、羽生市では、初の国登録有形文化財(建造物)になります。
小山家住宅主屋 1棟
特徴
- 建設年代:明治時代中期
- 所在の場所(地番):埼玉県さいたま市見沼区大字小深作字小深作前353他
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:市街地北東の丘陵地に位置する農家の主屋です。敷地中央に南面する二階建寄棟造平入桟瓦葺(よせむねづくり ひらいり さんかわらぶき)で、一階は東に土間、西に四室を配して北西室に床を構え、北西に角屋(つのや)を付しています。二階はかつて蚕室(さんしつ)とし上部に和小屋を現しています。伝統的な間取りを残し、地域景観の核となる民家です。現在は地域の福祉交流施設として活用されています。

外観

小屋組
小山家住宅蔵 1棟
特徴
- 建設年代:明治時代前期
- 所在の場所(地番):埼玉県さいたま市見沼区大字小深作字小深作前353他
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:主屋の西方に東面して建つ農具用の土蔵です。二階建切妻造平入桟瓦葺(きりづまづくり ひらいり さんかわらぶき) で、正面に下屋(げや) を付し、外壁は大壁で軒まで塗り込めています。内部は各階一室の板敷で、二階上部に現す小屋組は束立(つかだて)の和小屋としています。窓が少なく閉鎖的な構えの土蔵で、敷地北側の歴史的な景観をつくっています。

外観

小屋組
アトリエあずき倉庫(旧青木製餡工場倉庫) 1棟
特徴
- 建設年代:昭和26年(1951)
- 所在の場所(地番):埼玉県さいたま市浦和区岸町七丁目125-1他
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:JR浦和駅西方に位置する旧製餡工場の小豆倉庫です。敷地中央に位置する切妻造妻入桟瓦葺(きりつまづくり つまいり さんかわらぶき)の東西棟で、西に戸口を開け下屋(げや)を付しています。外壁モルタル仕上で、鉢巻など伝統的な蔵造風の意匠が見られます。内部の東が旧倉庫で吹抜上部に洋小屋(トラスを組んだ小屋組み)を現しています。内部に荷物搬出入用貨車のレール敷を残しており、往時の様相を留めています。現在はシェアアトリエとして活用されています。

外観

軌道レール及び小屋組
星野家住宅主屋 1棟
特徴
- 建設年代:昭和36年(1961)
- 所在の場所(地番):埼玉県さいたま市緑区大字三室字東宿2119
- 登録基準:二 造形の規範となっているもの
- 主な特徴:旧三室村の中心部に建つ旧家の主屋です。設計は旧浦和市出身の土屋巌(つちやいわお) 。平屋建切妻造平入桟瓦葺(ひらやだて きりづまづくり ひらいり さんかわらぶき) の東西棟、東側は二階建で切妻造の妻をみせています。内部は西に広縁(ひろえん)付座敷、東に一段低くサンルームを配し、要所に赤や青を用いアクセントとしています。全体に均整が取れたモダンな意匠の主屋です。

外観

和室・広縁
繁田家住宅長屋門 1棟
特徴
- 建設年代:文政11年(1828)
- 所在の場所(地番):埼玉県入間市宮前町786-3他
- 登録基準:一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 主な特徴:旧日光脇往還(現国道299 号)沿いに東面して建つ旧黒須村名主屋敷の長屋門です。平屋建切妻造平入桟瓦葺(ひらやだて きりづまづくり ひらいり さんかわらぶき) で、外壁は漆喰壁で腰は簓子(ささらこ)下見板張。門口の南側に配する続き間座敷は南西に縁を廻らし庭を望み、書院や欄間の組子など繊細なつくりとなっています。なお、慶応2年(1866)の武州世直し一揆の際に打ちこわしの被害に遭い、その時に鉈で傷つけられた痕が門柱に残されています。

外観

座敷の床廻り
冨田家住宅離れ 1棟
特徴
- 建設年代:昭和27年(1952)
- 所在の場所(地番):埼玉県羽生市南三丁目236
- 登録基準:二 造形の規範となっているもの
- 主な特徴:羽生市の中心部に位置し、冨田染物店ニ代目(冨田染工場一代目)冨田辰蔵氏によって接客を行う「離れ」として昭和27年に建築された離れ座敷です。二階建切妻造桟瓦葺(きりづまづくり さんかわらぶき)で、南面東寄りに入母屋造(いりもやづくり)玄関を突出し、西に階段室などを増築しています。南庭に面して各階三室の続き間座敷を配し、二階中の間と小脇に、下地窓を蔓枝で菱組にするなど全体に凝ったつくりの離れです。羽生市初の登録物件となります。

外観

2階 奥座敷・中座
問合せ先
さいたま市教育委員会文化財保護課 ☎:048-829-1723(直通)
入間市博物館 ☎:04-2934-7711(直通)
羽生市立郷土資料館 ☎:048-562-4341(直通)
登録有形文化財(建造物)とは
文化財保護法に基づき、保存及び活用のための措置が特に必要とされるものが登録される。建築後50年を経過している建造物で、次のいずれかの基準に当てはまるものが対象となる。
- 一 国土の歴史的景観に寄与しているもの
- 二 造形の規範となっているもの
- 三 再現することが容易でないもの
報道発表資料(ダウンロードファイル)